複雑・ファジー小説
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- 超能力者と絶対に殴り合う能力
- 日時: 2018/03/26 17:23
- 名前: 波坂 (ID: KLUYA2TQ)
- 参照: http://www.kakiko.info/bbs2a/index.cgi?mode=view&no=359
初めましての方は初めまして。それ以外の方はこんにちは。
波坂と言う者です。
意見や感想、アドバイスなどは大変嬉しいのですが、それが的確なものであるかどうかを一度確認してから投稿して下されば幸いです。
宣伝などはできる限り控えて下さい。
※リンクは能力の募集に繋がっています。よろしければどうぞ
2015/10/17 スレッド設立
2017/01/18 受験の為、更新停止
2017/03/07 受験終了。更新再開
2017/03/28 参照回数8000突破
2017/05/14 参照回数9000突破
2017/9/01 参照回数10000突破
2017/12/15 参照回数11000突破
2018/2//13 参照回数12000突破
Twitter創作アカウント→@namisaka_sousak
【目次】
第一章>>1-21 第二章>>23-31
第三章>>32-46 第四章>>47-67
第五章>>68-77 第六章>>78-104
第七章>>105-202 番外編>>203-215
第八章>>219-236 第九章>>237-269
第十章>>270-現在更新停止
- Re: 超能力者と絶対に殴り合う能力 ( No.17 )
- 日時: 2015/11/04 21:39
- 名前: 波坂 (ID: DJvXcT4Z)
……何かいかにも研究所みたいな造りですね。
「……そうだな」
私と時雨さんは研究所に侵入し、今内部を探っているのだが……。
困りましたよ。中々首謀者が見つかりません。
「当たり前だな……」
時雨さんは言い終わると急に振り返り、足を止めました。
どうしたんでしょう……何かあったんでしょうかねぇ?
「平子」
「はい?」
返答すると同時に、私は時雨さんに突き飛ばされたって訳ですよ。
何するんですか! と言おうとした時だった。
私がさっきまで立っていた所に燃えている何かが飛んできた。それは……人型……消火装置火が消えたので見ると、あのローブを羽織っていた。
恐る恐る時雨さんの前を見ると、そこに立って居たのは……一人の女性。
超能力があるのか、髪の毛はセミロング辺りの長さで色はオレンジ。鋭い目付きをしていた。身長は女性としては高身長で、特殊警察の制服を着ています。
「……久しぶりです。桟橋先……いや火麗先輩」
……えっ?
先輩? なぜ? 時雨さんはこの人を知っているの?
「十橋時雨……貴様は!」
ただ、女性の態度を見ると仲は良くないようだ。
「火麗先輩……あの時はすいませんでした」
「言い訳など聞きたくない。とっとと拳を構えろ。なんなら正当防衛の理由を作ってやる」
すると女性はいきなり炎の玉を出現させた。でも警官相手なら正当防衛じゃない気がする。
「それは……ありがたいです」
時雨さんも鉄の棒を構えた。
正直、二人が何を言い争っているのか私には分からない。
だが、今分かるのは、桟橋さん。もしくは火麗と名乗った女性は強い能力を保持している。
「……燃えろ!」
時雨さんの元に火球が押し寄せる。対して時雨さんは鉄の棒を振り回し火球を散り散りにした。
「熱っ!」
しかし振り回した鉄の棒は温度が急激に上昇した様でぐにゃりと曲がってしまい、時雨さんは熱さに驚き手放してしまった。
「……鉄の棒の空気摩擦をいじりましたね」
時雨さんはどうやら彼女の能力を知っている様だった。でも……空気摩擦?
「お前の空気摩擦を私がいじる前に投降しろ。火傷するぞ」
彼女は再び火球を作り出した。
時雨さんは、
「……じゃ、本気で行きます」
と指をバキバキと鳴らしました。かっくいー。
そして、彼女から火球が放たれた。時雨さんはそれをずっと、ずっと顔を剃らさずに目視して、地面を蹴って壁に向かい数発避けました。ですが、炎の弾幕は終わっていません。そのまま壁に手を付いた時雨さんはそのまま壁に掌打を叩き込み爆発的な推力を生み出して更に回避しました。
しかし、時雨さんの体が炎を上げてた。冗談ではないですよ。
時雨さんはどんどん炎に包まれて行く。私はえ? と思う事しかできなかった。
炎に包まれた時雨さんの体はゆっくりと前傾していた。
- Re: 超能力者と絶対に殴り合う能力 ( No.18 )
- 日時: 2015/11/05 22:24
- 名前: 波坂 (ID: DJvXcT4Z)
私は何処かで思っていました。
時雨さんは負けないだろう。と。
ですが、彼は今、炎に包まれたままゆっくりと前傾しています。
……時雨さんが……負けた?
あり得ないと思いました。ですが……時雨さんは炎に包まれて倒れた……。
と思っていた次の瞬間でした。
燃えている時雨さんの体が、急に動きました。床を蹴って、直線上には……彼女がいます。
「チィッ! しぶとい奴だ!」
しかし彼女は体を捻ってかわした。やはり特殊警察だけあって運動能力もあるって訳ですよ。
時雨さんは、そのまま壁に突っ込んだ……と思いきや赤い何かを取ってから壁に突っ込む。
赤い何か、それから謎の白い煙が噴出される。
時雨さんを白い煙が包んでいき、その煙がはれた頃には、時雨さんにまとわりついていた火は無くなっていた。
時雨さんが手に持っていた物。それは……消火器だった。
「危ない危ない。燃え尽きるところだった」
と言っているが彼は腕などに少しの火傷を負っていました。服も黒焦げになってる部分がありますね。
「火麗先輩! すいません!」
と言いながら彼は持っていた消火器を彼女に投げつけました。
彼女は逃げようとしていた。だけど……時雨さんの投げたスピードがかなり速くて逃げられなかったって訳ですよ。
それを悟った彼女は火球を消火器にぶつけました。
そして次の瞬間、ちょっとした爆発が起きた。
「逃げるぞ。分が悪い」
私は爆発の反動で全く回りのことがわからなかったが時雨さんの声を聞き、黙ってついて行った。
……彼女とどんな関係なんですか?
そう時雨さんに質問してみました。
「……簡単に言ったら、俺が先輩の復讐の邪魔をした……彼女の名前は桟橋火麗。昔の事は今は話さない……でいいか?」
……別にいいですよ。人には一つや二つくらい隠し事があるものです。
「すまないな」
……………。
「……………」
私と時雨さんを、気まずい空気が包み込む。何か話し掛けづらいって訳ですよ。
ここは、いわゆる研究所の最深部。
その中で、一人の男がモニターを見ながら憤慨していた。
「クソッ! あのガキ共……そして特殊警察……許せん!」
その男がガン! と椅子を蹴る。転がって行った椅子は何個かの精密機器に衝突して止まる。
彼の容姿はある意味では異様だった。
ネズミ色の髪の毛はめちゃくちゃに伸びておりボサボサと不健康な感じを出している。
メガネに白衣の姿は研究員といった感じである。
「……やはり再開発品<リサイクル品>では所詮無能といった所か……」
そして男はブツブツと何かを呟き始めた。が、男は急にハッとなる。
モニターの、時雨と平子が既に、同じフロアに居た。しかもかなり近くにだ。
男はその部屋から出て別の部屋に行く。
行った先はいわゆる……監禁室。
この男の研究には、能力が無い黒い髪の者が必要だったのだ。
この男の能力は誘拐にはそこそこ適していたため、特殊警察に尻尾を捕まれる事は無かった。
そのため今でもまだ再開発<リサイクル>していない人が十人程度いた。彼ら彼女らはみな牢屋に監禁されている。
そして幸運な事に、男が拐ってきた中には人質として使える者もいた。
その名は風折雪歌。ある能力者の妹である。容姿は整っていて髪型は長いポニーテール。
男は雪歌の牢屋を開け中に入りの彼女のポニーテールを容赦なく引っ張った。
「来い!」
「キャッ! 痛い! 痛いです!」
男はその言葉を無視して監禁室を後にし、モニタールームに戻った。
そして床の扉を開けて雪歌に入るよう命令する。彼女には大人しく従う事しかできなかった。
彼女が入り、その扉の鍵を閉め、再びモニターを眺めようとした時だった。男はその必要が無いと悟った。
何故なら、ノックも無しにドアが蹴り開けられたからだ。
そして、登場したのは時雨……ではなく平子一人だった。
「おい平子」
はい?
急に時雨さんが話し掛けてきました。どうしたんでしょうか?
「悪いけど……この先は一人で行ってくれ」
どうしてですか。と問おうとした時だった。私と時雨さんを分けるように火柱が昇った。
「時雨! お前は逃がさん!」
「火麗先輩……もう止めましょうよ」
「黙れ! 気安く名前を呼ぶな!」
時雨さん……大丈夫ですか?
「俺は大丈夫。早く行け。そして首謀者見つけて無実を証明するんだ」
わかりました。頑張って来ます。
私の言葉を聞いた時雨さんは頷くと彼女に向き合いました。
私は、振り返らずに走りました。
少し走った辺りで、扉がありました。そこの扉は鍵が掛かっています。当然か……時雨さんならこうするんですかね。
と思いながら全力で扉を蹴った。
すると鍵が脆くなっていたのか扉がすんなりと開き、中には一人の男がいた。
白衣を羽織り、ネズミ色の不健康そうな髪をめちゃくちゃに伸ばし、眼鏡を掛けている。
貴方が、首謀者さんですか?
私の問いは、広くもなく狭くもない部屋の中に響いた。
- Re: 超能力者と絶対に殴り合う能力 ( No.19 )
- 日時: 2015/11/07 15:42
- 名前: 波坂 (ID: DJvXcT4Z)
「いかにも」
男はそう答えた。
男は眼鏡を外して白衣のポケットにしまう。そしてこう続けた。
「私の名は里見甲人。研究者だ」
里見は左手をポケットに突っ込み電子タバコを取り出し口に加えた。
「そうですか。……貴方の目的とは何でしょうか?」
「答える訳が無いだろう。と言いたいがどのみち君は消えるのだから教えよう。私の目的は能力の無い者、黒髪を再開発<リサイクル>する事だよ」
里見は電子タバコを一旦口から外して淡々と述べる。が、平子には理解できない一文があった。
「能力の無い人を……リサイクル?」
平子はその部分を繰り返す。
(リサイクル……能力……黒髪……)
頭の中で複数の単語がぐるぐると回る。
そして里見は衝撃的な事実を吐きだした。
「つまり、能の改造だ」
平子は、頭をハンマーで殴られた様な気分になった。
「脳を改造……まさか能力が無い人の脳をいじって……強制的に能力をつけ、た?」
平子はできればこの推測が当たって欲しく無いと願っていた。が、これが最もしっくりくるのもまた事実だった。
そして平子の推測は、どまん中で的中していた。
「その通り。私が行ったのは脳の書き換え。ま、改造した人間は感情を失い寿命も2年持つかどうかといったレベル。ま、所詮無能力の奴なんて文字通り無能だよ」
里見は明らかに能力の無い者を見下していた。しかし、それはある意味では当然の事かもしれない。
才能のある人間はどんどん登っていく。高い所まで。それは凡人では超が何個も付くような努力をしないとたどり着けない所まで。
スポーツでも、学問でも、才能というものがある。そして、超能力も例外では無い。
事実、日本の学生の中で能力の使える人は、5割に満たないのだ。
だから、超能力者が無能力の人を見下すのは仕方ない事かもしれない。
そんな事は平子にも分かっている。仕方ないとは分かってはいるのだ。ただ、里見の発言に対して平子は怒りの感情を覚えずにはいられなかったのだ。
親友である紡美と、先程まで一緒にいた時雨をバカにされた気分、いや、バカにされたのだから。
「……っかいしろ」
平子は小さな声で呟く。誰にも聞こえないような声で。
「ん? なんだい?」
「さっきの発言を……無能力の人が無能たって言った事を……撤回しろって言ってんですよぉ!」
平子は滅多に出さない様な怒声を吐き出した。
「……君は超能力者だろう。なぜあんな無能に同情しているんだ? 理解に苦しむ」
里見の視線は平子の雪の様な白い髪に向いている。黒以外の髪の色。それは超能力者の証でもある。
「だから撤回しろって言ってるんですよぉ! 理解に苦しむ? 貴方、いやお前に理解されるなんてこっちから願い下げですよぉ!」
平子は里見の事などどうでもいいとばかりに食いかかる。
「……やれやれ、子供は大人が大人しくしているとすぐつけ上がる」
「大人は子供が思い通りにならないとすぐに腹を立てますねぇ」
里見の言葉にいつに無く、早く鋭く切り返す平子。
里見も頭に血が上った様だった。
「いいだろう。そこまで言うからには死にたがっているんだろう。だからとっとと終わらせてやる」
電子タバコを白衣に入れ、左手をポケットから出した。
「お前もよっぽど制裁を受けたい様ですねぇ。いいですよぉ。ボコボコにしてやりますよぉ!」
戦いの火蓋が切って落とされた。
平子はずっと目を里見を見ていた。
そう、ずっとだ。
だか、里見は急に視界から消え去った。何処だとキョロキョロしながら探していると、背後から強い衝撃を感じた。
(はぁ?! どういうことですかぁ!)
なすすべ無く平子はそのまま壁に直撃……するはずだった。
壁に激突する直前、平子の前に里見が一瞬で現れた。そして平子に向かって右ストレートを放つ。
平子はそれをかわす事ができなかった。里見のパンチはそれほどまでに速かったのだ。
パンチは平子の右腹部にクリーンヒットした。そのまま平子はふっとんで行く。
壁に背中から叩き付けられた平子は空気を吐き出す。
しかし里見の攻撃は止まらない。またもや平子の目の前に出現し、今度は蹴りを平子の華奢な身体に叩き込んだ。
「ぐぅっ!」
平子はなすすべも無くろくに掃除がされていないであろう床を転がる。
だが、平子は立ち上がる。負けられないのだ。絶対にあの発言を撤回させるまでは、倒れる訳にはいかないのだ。
目の前に、また里見が現れた。
平子は必殺技を里見の顔面を狙って放つ。
そう、絶対に避ける事なんてできない距離。里見と平子の間は1mも開いていないのだから。
しかし、平子の手は空気を殴った。
「とっとと諦めれば良いものを」
背後から、またもや里見の声が聞こえる。後ろに振り向こうとした瞬間に足払いを受ける。
正直平子から見れば、里見の格闘は付け焼き刃だ。かわすこともできる。が、それができない理由がある。
それは速度だ。異常に速い。時雨まではいかないものの過程を知覚した時には既に結果になっている。足払いを受けたと思った頃には既に転んでいた。
「……まさか一回目で終わらないとは思わなかった」
何を言っているのか、床から見上げる平子には理解できなかった。
「おおっと。立つなよ」
グッ。と足が背中に乗せられる。
それは徐々に力を強めていくが……。
(あれぇ? さっきより全然力が無いですよぉ?)
「ずいぶんと強力な超能力をお持ちの様ですねぇ。宝の持ち腐れって訳ですよぉ」
するとまた踏みつける力が強くなる。流石に苦しくなってぐっ。と声を出してしまう。
「ついでだから冥土の土産に教えよう。この超能力は[音速で行動できる能力]、自分では音速一番<ガンショット>って呼んでいる」
(ガンショット……ねぇ。……待って下さいよぉ)
平子は少し血が上ったままの頭で冷静になりつつ考える。
(音速を出すなら何で今も出さないんでしょうかねぇ? 踏みつけるのも音速で行った方がいいでしょうにぃ。
……そもそも人間が常時音速で行動なんてしたらぁ……消費カロリーが尋常じゃないしぃ、筋肉に掛かる負担も大きすぎって訳ですよぉ。
それにガンショットって名前ぇ……ガン=銃でいいんですよねぇ。ショットはぁ……発砲でいいのかなぁ? じゃあ……銃を発砲って意味になるけどぉ……意味が分かんないですねぇ。
……そー言えばさっき言ってましたねぇ。『一回目で終わらないとは』ってぇ……何か引っ掛かるぅ。
そもそも銃の由来……でも銃なんて速いと火薬と弾と……弾?)
平子は里見の超能力が分かった気がした。最も予想の範囲だが。
(……もうこの作戦しか無いって訳ですよぉ)
そして、平子はまず。背中に乗せられている足を、両手で挟む様にして殴る。
一瞬、圧力が弱まった瞬間に平子はその拘束から脱出し、そのまま立ち上がる。
そして殴ろうと踏み込んだ瞬間でした。
再び、里見が音速を出して回避し、反撃に出た。
そして平子はこう言った。
「何ですかぁ? やっぱりお前は女の顔も殴れない様な奴なんですかねぇ?」
これは挑発、しかしこんな挑発に乗るとは私も考えてなどいない。
里見は黙って、平子を攻撃し続けた。
だが、平子は倒れなかった。
この際顔面を殴ってしまおうかと考えた里見だったが止めた。理由は簡単な話。平子の挑発に乗ればきっと自分が損をすると踏んでいたからだ。
だが、それは違った。
実は平子は、わざとあんな分かりやすい挑発をしたのだ。
確かに平子は顔を殴られれば平子の能力の対象となる。が、考えて見てほしい。
音速で顔面を殴られて気絶しないという確証等あるだろうか。
答えは否。
つまり平子は顔面を殴られない様に挑発したのだ。
が、里見はそんな事に気づくはずもない。
結局、里見は二回目の内に平子を倒す事ができなかった。
「ちっ。しぶといな」
「あらあら。まさか弾切れですかぁ?
肝心な時に使えない能力ですねぇ!」
この里見の能力は、一日に三回までしか使えない。だからガンショットと言う名前にしたのだ。限りある弾数の中で人を殺す銃の様にと思って。
だから、里見はその事を見抜かれて動揺した。そして、同時に挑発に乗ってしまった。
里見はとても能力に関してはプライドが高い。だからこそ、プライドを汚す発言をされて黙ってはいられなかった。
とは言うものの、三回目は非常用で逃走に使うもの。そもそも五分と言う短い時間を三回だけ音速で行動するこの能力は非常に能力が使いづらいのだ。
だから、里見は能力を使わなかった。ボコボコにした相手なら、能力などいらないと思って。
そして里見は拳を放つ。
そして、グシャ! と音を立てて拳が顔面に突き刺さった。
里見の顔面に、だ。
気がつけば、里見はカウンターで殴られていた。
そして、平子は今、肌に触れた。
パーン! と合掌する。里見には意味が分からないが、体から力が抜ける感覚に陥った。
そして、平子の唇の端が少し釣り上がった。
はいどうも波坂です。
書いているうちに長くなったのでここで切りました。
そして彩都さんのアイデア、使わせていただきました。ですが作品ではかなりの自己解釈が含まれております。そこはお見逃し頂けると助かります。
- Re: 超能力者と絶対に殴り合う能力 ( No.20 )
- 日時: 2015/11/08 15:35
- 名前: 波坂 (ID: DJvXcT4Z)
平子はその狂気的な笑みを浮かべながら里見に一歩一歩近づく。
その足はかなり遅い。が、里見は金縛りを受けた様に動けなかった。狂気的な笑みから顔を背ける事もできなかった。
ただ、里見には、平子の表情は悪魔の笑みに見えていた。
「……止めろ」
一歩、また一歩と平子が近付く。
「……来るな」
ただ声を出すことしか、里見にはできない。が、その声を平子が聞き入れるはずもなかった。
そして、平子が腕を引いた時、里見は能力を使おうとする。
しかし、能力は使えなかった。何故なら平子の能力、[相手と自分を平等にする能力]が発動しているからだ。
だが、里見は平子の能力どころか能力が使われた事さえ知らない。
バキィ!
再び、拳が里見の顔面に突き刺さる。
さっきの速度を重視した様な攻撃ではなくしっかりと力を込めた拳は強く衝撃を与えた。
里見は少しフラつきこけそうになる。
その隙を平子は見逃さない。
顎にアッパーを入れ、顔が上を向いた瞬間に股間を蹴りあげる。
里見は悶絶する暇もなく、無様に床に倒れる。
「どうですかぁ? 無能力になった気分はぁ? 無能さぁん?」
なんだと、と発声しようとした里見の声は平子の声にかきけされた。
「私の能力でお前を無能力に引きずり落としてやったんですよぉ!」
その言葉に、里見は呆然とする。
里見は、珍しくもない人種である。 能力を理由に無能力を見下している様な人間。今やこんな人間は珍しくもない。
能力の無い人間で、期待を持たれる者など現に一割程しかいないのだ。
だから、見下す事により自分の価値を勝手に決め、蔑む事により自分はこんなのと違うと格差を付ける。
そんな事をしていた人間に、いきなり無能力に引きずり落とした。と言えばどうなるだろうか。
自分は見下していた人間になった。
自分は蔑まれ、格差の違いを思い知らされる人間になった。
「うあああああああ!」
そんなこと、耐えられるはずもない。
「うるさいんですよぉ!」
平子は躊躇いもなく里見の頭を踏みつける。
「お前は見下し過ぎたんですよぉ! 黒髪の人だってぇ! 無能力の人だってぇ! 必死に生きてぇ! 誇れる自分になろうと努力してるんだぁ!」
「そんなの綺麗事だろうが! 無能はどうやっても無能だ! 0に何をかけようが0にしかならない!」
里見は怒りをあらわにして叫ぶ。
だが平子は止まらない。
「0に何をかけても0ぉ? だったら足せばいいだけでしょうがぁ! 綺麗事ですかぁ?! でも私は綺麗事すら語れない様な人間にはなりたくないってぇ!」
平子は里見の頭から足をあげ、
「訳!」
その頭を鷲掴みにし、
「です!」
その頭をモニターに、
「よぉ!」
思いきり力を込めて叩き付けた。
バギィィィン!
モニターがひび割れ、少し里見の顔が埋まり、里見は気絶した。
緊張から解放された平子ははぁはぁと息を吸う。そもそもこんな事は人生で初めてだったのだ。乾電池爆発事件の時は確かに死にかけたりしたし怪我もしたが、相手の能力の使い方もなってなかった。(電線を爆発させたらきっと大事件だ)
平子が安堵していた時、先程蹴り破ったドアから一人の人間が出てきた。
それは……服が6割以上燃えてなくなっている時雨だった。
「大丈夫かー。……本当に大丈夫か?」
平子を見て急に真剣に問う時雨。心配しているのだが、時雨だってそこそこ火傷を負っている。
「時雨さぁん……ちょっと頼み事が……」
「どうした?」
「……ちょっと眠たいから仮眠とっていいですか」
「……ま、いいだろ」
「じゃあ……手出ししないでくださいよ」
「しねぇよ!」
平子は仮眠……と言って完全に寝た。
- Re: 超能力者と絶対に殴り合う能力 ( No.21 )
- 日時: 2015/11/08 23:28
- 名前: 波坂 (ID: DJvXcT4Z)
第一章雨と音速と絶対的平等エピローグ
この雨のしとしとと降る梅雨に起こった事件は少しの間で幕を閉じました。
えー。いろいろありましたけど要点をかいつまんで説明しましょうか。
まず、あの事件は黒髪の誘拐事件と絡んでいて、実際に誘拐された人が一人を除いて見つかっているそうです。
ですが、アイツ……里見甲人は見つかっていません……現在進行形で捜索が続いています。
あ、紡美ちゃんは見つかりました。紡美ちゃん曰く『気がついたら牢屋にいた』そうです。音速で誘拐されたんでしょう。
そして、私と時雨さんについてですが(ほぼ時雨さんですが)特殊警察としては最初から誤認逮捕の件に対しては無かった事の様に取り扱っています。
お陰で私と時雨さんについては一切の報道もなく、ついでに色々な弁償とかも(鉄格子、アスファルト、スクラップにされたパトカー、置き引きした自転車)無くなりました。自転車ェ……。
逮捕されたのは、脳を改造されたあの三人(私に倒された[磁力を操る能力]の人、時雨さんがボコった時雨さん曰く[水を操る能力]の人、あと恐らく桟橋火麗さんに焼かれた人(能力については知らん)の三人)だけで、他は改造を受けてはいないらしい。ただ、三人とも寿命も短く感情を失っているため扱いには色々な意見がある様です。
と、まぁ事件についてはこれくらいですかね。
さあ事件が終わった所でこの季節がやって来ました。
要約、夏休みです。
で、私が今何をしているのか、と言うと。
「平さん、ここの地名間違ってます。あとヒマラヤ山脈のロッキー山脈が反対になってますよ。これ中学レベル……」
ああ〜! もうどうでもいいよ〜。地名なんて知った事かー!
「どうでもいいじゃ無いですよ! ほら頑張って下さい!」
緋奈子ちゃんと紡美ちゃんとで夏休みの宿題に取り組んでいた。
「あははー。やっぱり地理は苦手なんだねー」
とか言ってる紡美ちゃんは全教科で中の上もしくは上の下辺りの点数を取っている。
ふっふっふ。私なんて理科と数学なら順位は一桁だぞー! ……国語と歴史はいいけど英語がなぁ……地理? なにそれ美味しいんですか?
↑的な訳で私は紡美ちゃんの少し下辺りの順位です。
「英語も……何でbreakの意味にブレークって書いてるんですか! そのままじゃないですか!」
いいよ。あってるんだし。
それよりそこの方程式違ってるよ。
「そんなはず……あっ!」
緋奈子ちゃんは急いで計算式を解き直す。
え〜っと……ロッキーとヒマラヤが反対だっけ?
私も頑張って苦手な地理に取り組んだ。
あとがき+説明等
時雨「あー。ここでは小説内の事について説明していくからな」
平子「気になった事があったら後で質問して下さいね」
時雨「では行くが……これはまず、平子の友人の……」
平子「紡美ちゃんです」
時雨「あー。その人が誘拐される所から始まる。その後で平子が謎の地面から出てきた奴等から襲われる……んだったな」
平子「考えてみればあのとき私が狙われたのって偶然以外の何でも無いって訳ですよ」
時雨「ちなみに俺が現れたのも偶然だ。都合が良すぎるが目をつむってくれ」
平子「で、私達しかあの場に居なかったから誤認逮捕されましたね」
時雨「俺達は悪くない」
平子「そのあと時雨さんが脱獄して……」
時雨「小説内では薄い描写だったが、あれは、平子が地面から出てきた奴等に襲われる所であいつらは地面から穴を掘って出てきたんだ」
平子「あー。時雨さんはあの時の穴の中に入ったんですか」
時雨「平子は俺が手を引いて走っていたら気絶してたけどな」
平子(あんなの耐えられるか)
時雨「で、中に入って色々敵と遭遇した訳だが」
平子「そう言えばあのオレンジ色のセミロングの髪の人は」
時雨「桟橋火麗先輩な。その人については後程話すつもりだ」
平子「それまで失踪しないといいですね」
時雨「それで俺達は内部に到達したが……」
平子「えーっと。誰ですか? この……風折雪花……さん?」
時雨「そいつに至ってはネタバレになるが……今から出てくる……はずの「○○○○○○を○○○る能力を使う○○○○って奴の妹だ」
平子「伏せ字ばっかで文章になってない……」
時雨「まぁ後は特に説明することはないな」
平子「あ、能力の募集ですが1を締め切る事になりました。……自分で捻り出しましたよ……」
時雨「まあこうなると思って考えてたから良かったな」
平子「そして能力の募集に応じてくれた彩都さんありがとうございました。あの能力なかなか手強かったですよ」
時雨「一応まだ捕まってないし今後もでるかもしれないな」
平子「これから能力の募集は以下の様に変えます。
1.主人公と相性最悪の能力。
2.使い方次第で強さが変わる能力。(具体的には[距離を縮める能力]など)
3.チート。この小説のパワーバランスぶっ壊す程でも可。
4.その他。
時雨「ちなみに彩都さんの提供してくれた能力は2だ」
平子「私にとっては1なんて作者の嫌がらせにしか思えないって訳ですよ」
時雨「仕方ないだろ。お前の場合触れたらほぼ勝ちなんだから」
平子「ま、それはおいといて……次の更新は……金曜日になるかな?」
時雨「しかも金曜日に更新する確証もない。もしかしたらそれ以上かかるかもしれないな」
平子「と、言う訳ですから次回予告と言った感じでセリフをかいつまんでみます。あ、必ずこうなるとはわかりませんよ?
ネタバレがアレな人は見ない事をお勧め。
「あのガキを殺せ!さもなくば……」
「オマエを殺す事なんて、オレからすれば蟻を潰すことと同義だ」
「貴方は可哀想な人って訳ですよ……」
「貴方はそれでいいんですか!」
「兄さん!」
次回! 第二章季節外れの暴風と絶対的平等お楽しみに!
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55