複雑・ファジー小説
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- 芸能界浄化睦軍
- 日時: 2015/12/29 01:57
- 名前: 梶原明生 (ID: DU.Bh3c8)
芸能界浄化の宣言
一つ、芸能界は芸能人搾取があってはならない。
一つ、芸能界は情報提供に速やかに応じなければならない。
一つ、芸能界は悪質な秘密を抱えてはならない。
一つ、芸能界は正当な浄化行動に逆らってはならない。
一つ、芸能界は清浄、且つ国民の模範とならねばならない。
芸能界が不浄且つ不純な行動行為表現を行った場合、芸能界浄化陸軍は武装武力をもって浄化執行する権利を有する。
以上
- Re: 芸能界浄化睦軍 ( No.114 )
- 日時: 2023/11/20 13:46
- 名前: 梶原明生 (ID: 16oSxNwZ)
「後悔」・・・・・・・菜奈実は心配になり、姉の寮を訪ねた。竹の子チョコをあてがって炭酸ソーダが出されている。薔薇は窮地の中でも妹思いな気遣いに悲しくなるほどだ。「お姉ちゃん、もう屋上なんか行かないで。私が間に合わなかったら、飛び降りてたでしょ。」急に顔を手で覆い、泣き出す薔薇。「お姉ちゃんの姫姿キレイだったよ。演技にしたって誰にも負けてなかった。なのにあいつら酷すぎ。あたし訴えてやる。」「やめて。・・・いい、明日コレを持って家に帰って。もし私に何かあったら、芸能界浄化陸軍に渡して。」小さな封筒を手渡す薔薇。「お姉ちゃん。」「いいから。さぁ、安心して。今日はもう寝よ。お姉ちゃんはもう大丈夫だから。」「う、うん。」マットレスに川の字に寝る姉妹。時刻は夜中の二時を回っていた。寝室を出た薔薇は、眠れずにリビングのパソコンに向かってネットを見ていた。すると玄関ドアが開く音がし。・・・翌日、ニュースでは一際目立つ形である女優の自殺記事が飛び交っていた。「あの大演劇集団、ルベウス劇団のムーンチームの姫君、河合薔薇さんが昨夜、劇団寮のマンション屋上から投身自殺を図った模様です。警察によりますと、自殺の可能性が高いと判断。」そのニュースを見て、いち早く芸能界三悪人の一人、バーニー事務所会長、巣房に電話するシャーニー事務所社長の茶川。「話が違うじゃないか。レイプの証拠は隠滅、本人は殺し屋による自殺擬装により死ぬと言う二本立て契約のはず。何で一方の証拠隠滅ができてないんだ。ああ、心臓が、・・・」持病薬を慌てて飲む茶川。「まぁ落ち着きなさい茶川さん。高齢なんだから体にさわりますよ。未だ証拠が芸浄隊に渡ったわけじゃない。このために普段からその筋のプロを雇ってるんです。」「冗談じゃない。そのプロが妹を逃がしてしまったじゃないか。あれが世に出たら私はおしまいだ。」「わかってます。だから警察にも賄賂渡して、探させてるんじゃないですか。たかが小娘一人。時間の問題ですよ。」「甲黒党党首、滝島さんは何て言ってるんだ。」「大丈夫、全て私に任せなさいと言ってましたよ。あんた一人じゃないんだ。我々二人もいる。心配しなくて結構。」「だといいんだが・・・」電話を切る茶川。一方、タクティカルトレーニングに励んでいた完全武装の藤高曹長は、長谷川伍長と撃ち合いしていた。「ヒット。腕をあげたな長谷川。」「いやー、まぐれあたりっすよ。」そう談笑しているところへ、諜報部の倉持がスーツ姿で訪れた。「よう、相変わらず戦闘職種か。似合うな全く。」「倉持、珍しいな外回りばかりのお前が。」「ああ、久々俺やもやりたくて・・・嘘だよ。すぐに俺と来てくれ。諜報部が呼んでる。」「わかった。木下、後頼む。」「了解。」早速向かう藤高曹長。・・・続く。
- Re: 芸能界浄化睦軍 ( No.115 )
- 日時: 2023/11/22 20:44
- 名前: 梶原明生 (ID: Ve/IoWsn)
・・・黒革のソファに座る二人の男女。一人は小脇大尉。もう一人は・・・「来たか、藤高曹長。彼女は高倉早紀伍長。」「知ってますよ。」「そうだったな。では短刀直入に言おう。実は軍本部にあるメールが届いてね。河合薔薇の件は知ってるな。」「はい。今警察の検証にうちがケチを付けてる投身自殺した女優さんの事件ですよね。」「その通りだ。痛ましい事件だが、その妹さんの菜奈実さんからメールが来たんだ。殺し屋らしき二人組に姉の薔薇をマンションの屋上から突き落とされたのを目撃したとのことだ。その際のスマホカメラの映像も持ってるばかりか、姉から託された芸能界上層部の不正の証拠も持ってるとのこと。東京の芸能界浄化睦軍本部に保護してほしいとの依頼だ。おまけに君を御指名してきてる。」「私をですか。しかし、大阪なら関西基地があるはずでは。」「なんだが、大規模な浄化執行のせいで、寮の空きがないそうだ。そこでこちらに白羽の矢が立ったと言うわけだ。ただ、何故藤高曹長なのかはわからん。」「だとしても、それだけのソースでその菜奈実と言う女性を信じるんですか。」「100%信じるわけじゃないさ。しかし、これが本当なら事態は一刻も猶予はない。明日午前中に大阪駅まで来て欲しいとのことなので、今から1時間後に格納庫まで来れるか。」スックと立ち上がる藤高曹長。「勿論です。では早速用意をします。」「うむ、よろしく頼む。」高倉伍長も立ち上がる。「藤高曹長。私も同行します。」「うむ。だがやれるのか。通常の浄化執行や戦闘とはわけが違うぞ。持てる武器や装備も限られてる。おまけに民間人もいるから隠匿行動になるぞ。」「わかってます。」「そうか。以前のこともあるしな。頼りにしてるぞ高倉伍長。」「いえ、こちらこそ。」早速準備して格納庫に集合した彼ら3人は、諜報部御用達の日産Xトレイルに乗り込んで一路大阪を目指した。言うまでもないが、新幹線に乗り込んだらXトレイルは関西基地の隊員が後日東京まで運転して返す予定だ。車中、高速の照明を見ながら藤高は口を開いた。運転は倉持がしている。「なぁ、よくよく考えたらその河合菜奈実って子は何で新幹線を指定したんだ。普通、車の方が良くないか。」「俺も思った。しかし、本人が新幹線をゆずらなかったんだ。何故かは分からんが。」
- Re: 芸能界浄化睦軍 ( No.116 )
- 日時: 2023/11/22 20:36
- 名前: 梶原明生 (ID: Ve/IoWsn)
・・・情報漏洩を恐れて、大阪の立体駐車場に停めて中堅ホテルに泊まった。翌朝早くに準備していた藤高。ブーツに隠しナイフを仕込み、腰裏ホルスターを装着し、シグP226E2拳銃に弾倉を差し込んでスライドを引いた。デコッキングしてから再度スライドを少し引き、金色の9ミリ弾が薬室に送られているか確認してからホルスターに納めた。カーゴコートを羽織ると、鏡に映っていた自分を見る。「行くぞ」気合い入れてバッグを持った。ホテルをチェックアウトした3人は、大阪駅新幹線乗り場にやってきた。後は彼女からのメールを待つのみ。藤高が聞く。「倉持、それが河合菜奈実さんか。」「ああ、諜報部も忙しくてな。この写真ぐらいしか詳しい情報は手に入れてない。」河合薔薇と引けを取らない可愛らしさと美しさを持つ美少女だ。現在高校一年生の16歳。そうしてる間に倉持にメールが来た。「お、彼女からメールだ。噂をすれば何とやら。10:15分の東京駅行きに乗るそうだ。後20分。」高倉が具申する。「ではこの顔写真を元にホーム中を探しましょう。」「おう、俺はこっち。お前ら二人は向こうを。」「了解。」早速手分けして探す3人。しかし、乗車5分前になっても顔写真の彼女は見つからず。電話する藤高。「倉持、いくら探してもいないぞ。それらしい年齢の女の子は15人くらいだが、どれも似ても似つかない顔。本当にこの写真あってるのか。」「バカな、そんなはずはない。たしかな情報筋から得たんだ。間違いない。やっぱりガセかな。」「だとしても、向こうがこの便を指定して来たんなら仕方ない。もうすぐ新幹線も出るから、新たにメールがない限り乗り込もう。」するとメールが来た。「まて藤高。もう乗り込んでるだと。・・・とにかく合流して乗ろう。」「おう、すぐ行く。」こうして3人は大阪発、東京駅行きの新幹線に乗車したのだ。自由席にそれとなく着く藤高達。「ガセかと言ったが倉持。俺にはそうは思えん。」「何でだ。」「言ったら悪いが勘ってやつだ。辛辣な臭いがプンプンする。」「ま、その第六感てやつが当たってたりするからな。案外間違いないかも知れん。いいだろう、お前がそう言うなら。だがもし外れてたら、今夜の飯と飲みはお前の奢りな。」「おい、俺家庭持ちなんだぞ。」「そうか、忘れてた。ハハハッ」高倉も便乗してくる。「ごちそうさまです。楽しみができました。」「おい、お前までそんなこと。わかった。ただし、大阪に因んでモンジャだぞ。」緊張感が解れ、笑いがおこる3人。・・・続く。
- Re: 芸能界浄化睦軍 ( No.117 )
- 日時: 2023/11/23 16:24
- 名前: 梶原明生 (ID: Ve/IoWsn)
・・・「すぐ後ろ7時の方向。わかるか。」「ああ、ホームにいた時から感じた。あの男。」藤高が倉持に目線を合わせず、ぼそりと話したら、倉持自身も同じ違和感に気づいた。「ただの乗客じゃないな。殺気剥き出しで誰かを探す仕草。一般人じゃ気づかないだろうが、俺たちにはわかる。」高倉が不安そうに後ろの席から話しかけてくる。「やはり、殺し屋でしょうか。」「証拠はないが間違いない。警戒マーク対象として覚えておけ。」「はい。」藤高に言われて振り向かずに手のひらに入る小さな鏡を取り出し、お化粧気もないのにチェックするフリして後ろ7時の方向を見た。身長は180前後の丹精な顔つきをした男だ。目は怖いくらいにギラギラしてる。やがて新幹線は動き出し、一路東京を目指して出発した。「次は京都、京都でございます。京都を出ますと、次は米原です。」車掌の軽快なアナウンスの後、三人は早速動いた。とは言え同時に動くと怪しまれる。時間差でそれぞれ席を立ち、座席を探すフリして菜奈実らしき人物を探した。「いいか、人は例え整形しても、目と耳と頭は整形のしようがない。今度はそこを見てよく探すんだ。」さすが諜報部の倉持と思いながら彼の言葉を刻んで、菜奈実の顔を探した。無論じろじろ見たら御法度だ。自然にたまたま目に入った程度に確認しなければならないから大変だ。しかしそれでもいない。トイレかと張ったが、出てきたのは50過ぎのおばさん。「やはりお前の勘違いだったな。モンジャごちそうさま。次いでにKIRINビールのジョッキもな。」「し、ヤツだ。」ドア付近で電話していた藤高は先の殺し屋が近づいているのを察知した。「やぁ、あんた藤高曹長だろ。短刀直入に言おう。米原駅までに河合菜奈実を探し出せ。でないと俺の隣で座る薬剤師のこのおばさんを殺すぜ。」スマホの動画には間違いなく泣きそうに後部座席の窓側に座る阿佐ヶ谷姉妹のようなメガネの女性が手錠をかけられてる。「おおっと、バカな真似はよせ。俺が無事に席に戻れなくても仲間が彼女を殺す。見殺しにはできないよな。あんたら正義の芸浄隊だもんな。勿論あんたら以外誰にも通報するな。もし騒いだら、それでも殺す。ハハハハハハッ」煮湯を飲まされる気持ちになる藤高。倉持等と合流する。「さっきの話は本当か。」「ああ、間違いない。さっきこの目で確認した。」「厄介だな。素人なら制圧できるが、相手がプロとなればすぐにでも人質を殺すだろう。」「奴の話だとハッタリじゃないだろう。この新幹線の乗客全てを殺し屋の仲間がいる可能性の高い集団とみなすしかない。」高倉が口を挟む。「すると、全員を疑いながら、居もしない人物を探しながら人質を助けなきゃいけないんですか。無茶です。」藤高が諭す。「わかってる。落ち着け高倉。だが、不幸中の幸いにも、奴らがここまでして探すと言うことは、やはり河合菜奈実がこの便に乗ってる証拠だ。先ず彼女を確保した後、人質救出を試みる。いいな。」・・・続く。
- Re: 芸能界浄化睦軍 ( No.118 )
- 日時: 2023/11/24 15:02
- 名前: 梶原明生 (ID: Ve/IoWsn)
・・・「了解。」渋々高倉も動いた。その頃、茶川は、東京某所の料亭で、残る二人と落ち合っていた。「どういうことかね巣房君。妹は自殺してるそうじゃないか。我々は幽霊を追っているのかね。」「いやぁ、そんなはずは。私も部下の報告を聞いて耳を疑いましたよ。」滝島が追い討ちをかける。「ひょっとして化けて出たのかも。」「よしてくれ。ああ、薬、薬。」ニヤけながら滝島が口を開く。「大丈夫だ茶川さん。幽霊なんているわけない。ま、恐らくは、妹になりすました誰か。と言ったところでしょうな。」「誰なんだ、一体そいつは。」「それが厄介なんですよ。妹とか血縁関係者なら洗いやすいが、彼女の味方やファンとなると、数が多すぎる。的をひとつに絞り切れん。」「何悠長なことを言ってるんだ。その間に奴は東京に。・・・」「ご心配めさるな。なぁ、SUBUSAカンパニーの巣房社長。」「その名前はやめていただきたい。いずれにしろ、雇った殺し屋達が知恵を絞って探し出すでしょう。果報は寝て待てだ。」茶を啜る巣房。その頃高倉は、年の頃を中心に的を絞っていた。「藤高曹長が見た15、18歳前後の若い女の子は15人。私が視認したのを含めると19人。」そう呟きながら徘徊していると、鼻が効く彼女はある匂いに気づいた。「この匂い。ミスディオール、ブルーミングブーケ。」女性特有の勘が働いたのか、顔ばかり見ていた自分にヒントが舞い込んできた。ミスディオールは、河合薔薇が好んで付けていた香水だった。その匂いの主たる少女は、菜奈実とは似ても似つかない顔だが、普通に可愛らしい美少女と言っても褪色ない顔つきだ。高倉に気づいたその少女は、チラチラと目線をやりながらスマホを隠す。「その動画、河合薔薇さんのよね。」声を掛ける高倉。イヤホンを外す彼女の隣に座り込む。「あの、何ですか。」隊員証を見せる。「あなたが菜奈実さん。」「芸能界浄化部隊の方ですか。」「ええ、本物よ。私も行くってメールにあったでしょ。」「はい、知ってます。でも、どうしてわかったんです。」「香水よ。この匂い、河合薔薇さんが付けてたのと同じだったから。」泣きそうになる少女。
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