複雑・ファジー小説

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芸能界浄化睦軍
日時: 2015/12/29 01:57
名前: 梶原明生 (ID: DU.Bh3c8)  

芸能界浄化の宣言
一つ、芸能界は芸能人搾取があってはならない。

一つ、芸能界は情報提供に速やかに応じなければならない。

一つ、芸能界は悪質な秘密を抱えてはならない。

一つ、芸能界は正当な浄化行動に逆らってはならない。

一つ、芸能界は清浄、且つ国民の模範とならねばならない。

芸能界が不浄且つ不純な行動行為表現を行った場合、芸能界浄化陸軍は武装武力をもって浄化執行する権利を有する。
以上

Re: 芸能界浄化睦軍 ( No.134 )
日時: 2023/12/28 15:58
名前: 梶原明生 (ID: p3cEqORI)

「安寧」・・・・・・・事後報告の後、正月まで特別休暇を貰った藤高達は、約束通りもんじゃを食べに出かけた。倉持はビールが進むが浮かぬ顔。「どうした倉持。」「いやな、来年うちの息子が高校受験なんだよ。それがさ、掘超え学園に行きたいってよ。」「掘超えってあの芸能人御用達の・・・」「ああ。親として複雑だよ。芸能界を取り締まる仕事してて、子供が芸能界ってシャレにならんからな。かと言って反対するわけにもいかんしな。」「辛いな、そりゃ。」「結局俺達の仕事って何なんだろうな。芸能界や芸能人を監視して管理して検閲して、そのくせ時として芸能人の警護にあたる。」「それ言い出したらキリないぞ。だがそれでも河合薔薇さん達を救えなかった。」渡しに船なのか、お店テレビが例の件でニュースを始めた。「今日午後、河合薔薇さんの自殺が他殺であった証拠が芸能界浄化部隊により、明らかにされました。調べによりますと、河合薔薇さんが密かに調べていた芸能事務所社長の巣房竹平と茶川承太郎。並びにテレビ局に影響力のあった滝島南次郎幹事長の、枕営業をはじめとする、数々の不正を公表しようとしていたため、発覚を恐れた三名が結託して殺し屋を使い、河合薔薇さんをはじめ、関係者を殺害及び殺人未遂していた疑いが持たれています。また、殺し屋と思われる容疑者は既に逮捕され・・・」高倉が溜息混じりにつぶやく。「結局私達のことは報道されませんね。あれだけ戦ったのに。」藤高が答える。「そう。それがマスゴミの仕事さ。自分達に都合悪いことは書かない言わない映さない。何が真実の報道マンだ。」しかし倉持がお株を奪う。「しかし世間はそうでもないらしいぜ。見ろ、ネット場でのニュース。SNSで拡散されてるぜ例の新幹線の件。ばかなマスゴミだ。余計に国民から反感買ってる。このままだと、真実を明らかにするのは時間の問題だぞ。」「いいさ。別に手柄のためにやったんじゃないからな。でも、・・・いくら真実が明らかになっても、河合姉妹はもう帰ってこない。事件が明るみになり、本当は喜ばしいことなのにな。諸手を挙げて喜べない。」倉持が藤高の肩を持つ。「そう言うな。だからこそ、これからも俺達は不浄芸能界を取り締まり、戦って行くんじゃないか。無念を晴らすためにも。」「そうだな。」ビールを飲み干す藤高。数日後、不浄な芸能事務所は解体され、被害芸能人、元芸能人には損害賠償がされることとなり、外部ソースからの検閲が入ることとなった。新しい社長には芸能界浄化睦軍賛同芸能人が就任し、二度とこのような事態が起きないよう、徹底した事務所運営がなされた。無論、これを知りながら報道しなかったマスゴミ、テレビ局も叩かれて、芸能界浄化睦軍からの査察を受けるハメとなった。・・・続く。

Re: 芸能界浄化睦軍 ( No.135 )
日時: 2023/12/28 15:58
名前: 梶原明生 (ID: p3cEqORI)

・・・こうしたことから、杉咲杏梨と並川蒼太両名に危険がないと判断され、芸能界浄化睦軍本部の宿舎から大阪に戻されることとなった。無論、護送には藤高曹長と高倉伍長の二人が着く。「また、お世話になります。」「いやいや。これも任務だから。」杏梨には少し希望の表情が見て取れた。蒼太が聞く。「藤高さん。本当に芸能界には安寧の時が来るんでしょうか。」聞かれて少し躊躇するが、それでも答えた。「そうなるといいな。だからこそ、俺達芸能界浄化部隊がいる。」感極まって涙ぐむ杏梨と蒼太。日産Xトレイルは彼等を乗せて一路、大阪へと向かうのであった。 了 次回「エピローグ」に続く。

Re: 芸能界浄化睦軍 ( No.136 )
日時: 2024/01/01 12:25
名前: 梶原明生 (ID: eK41k92p)

「エピローグ」・・・・・・藤高曹長は法務部を訪れていた。眼鏡に鷲鼻の上官が渋柿を食べたような顔になる。「おいおい、私物の改造銃を持っていただと、おまけにJRからの苦情でシート2個分の弁償。お前どれだけ違法スレスレのことやってんだ。おまけに経費使わせやがって。」「申し訳ありません。状況が状況なだけにやむおえませんでした。」「そんなことは分かってる。我々法務部も、そして会計部も広報部も今回の事件で対応に追われて大変なんだ。お前らはただ戦うだけの戦闘職種だから分からんだろうが・・・」「戦うだけのボンクラで悪かったな。」そう言って法務部に入ってきたのは藤岡中佐だった。「こ、これは藤岡中佐。いらしてたんですか。」急に態度を変える鷲鼻。「当たり前だ。君達の苦労もわかる。だがな、そのおかげで罪なき清き芸能人と一般人が助かったんだ。良かったと思えんか。」「は、はぁまぁそうなんですが。・・・」「今回の件はあくまで特例措置扱いにしてもらわないと困るぞ。各部署の対応も落ち着きを取り戻している。それこそ世論は移ろいやすい。もう藤高達を呼びだして窘める必要もあるまい。どうかな立花法務官。」「あ、はぁ。検討はしてはいますが。」「警視庁がうるさいのか。放っておけ。日頃芸浄隊を日陰物扱いするやつらだ。大いにじらしとけ。」「は、は。了解しました。」藤岡中佐の助け舟のおかげで解放された藤高曹長。「ところで藤高。今晩空いてるか。」「は、はぁ。構いませんが何か。」「石神大佐が飲み会やりたいらしい。」こんな時に何でだろうと、はてなマークが付いたが従うことにした。多摩区内の某居酒屋に行く藤高。「倉持、それに高倉まで。」「何だ、お前も呼ばれた口か。」「ああ。と言うことはいつものあれか。」「あれらしいな。石神大佐特有の。」サプライズ好きは知ってたが、一体石神大佐は何を企んでいるのか。「よう、藤高曹長。来たかまぁ座れ座れ。」「お久しぶりです。」そこには結婚して間がない長谷川輝、神原美紀(現在長谷川美紀)夫婦と、その関係者。そして藤高組の十一名。氷川准尉と小脇大尉が来ている上に赤ちゃん抱っこした麻里まで。「どうしてお前まで。」「あら、聞いてなかったっけ。私今日の飲み会に参加するって。」「そうだったか。ま、体に触らなければいいけど。」高倉が察する。「え、もしかして。あ、はじめまして。藤高曹長の部下で高倉と申します。」「そう、あなたが噂の熱血隊員高倉さんなんだ。」「熱血・・」気まずくなる藤高。「まぁ武勇伝を少しな。」「そう。あ、でもね高倉さん。さっきの予想当たってる。二人目がお腹にいるの。」「それはおめでとうございます。」倉持がつい余計なことを。「そうか、二人目か。歳子とは随分お盛んなんだなあっちが。」「こーら。セクハラだぞ。」「すまんすまん、実はさっき別の店で一杯引っかけてきたもんでつい。」「ま、事実ではあるが。ハハハッ」笑いを取ったつもりが麻里に肩を叩かれる「ちょっと、変なこと言わないでよ恥ずかしい。」「すまんすまん。」・・・続く。

Re: 芸能界浄化睦軍 ( No.137 )
日時: 2024/01/04 14:45
名前: 梶原明生 (ID: eK41k92p)

・・・しかし更なる笑いになっただけだった。石神大佐が割り込む。「さて、井戸端会議はもういいか。」「あ、これは失礼しました。」「うむ、構わんが宴が始まらんからな。今日の主賓を待たせたくないもんでな。席に着いてくれ。」「了解しました。」藤高達の一斉の号令に思わず石神と藤岡が顔を見合わせて笑う。「ここは基地じゃないぞ。」ほぐれて席に座る面々。藤岡少佐が隣室の人々に声をかける。「よろしいですよ。是非お入り下さい。」一体主賓とはだれなのかと訝しげになったが、見知らぬ壮年夫婦が現れた。しかし次に現れた高校生で全てがわかった。並川蒼太と杉咲杏梨だ。と言うことは。「並川君に杉咲さん。まさかお二人は・・・」「お久しぶりです。はい、お察しの通り、河合さんのご両親です。」「お初にお目にかかります。河合薔薇と菜奈実の親であります河合条平ともうします。こちらは妻の律子。」驚く藤高達。「そうでしたか。いや、私共芸浄隊が至らぬばかりに御子息を助けることができませんでした。一兵卒ながらこの場を借りて平に謝罪いたします。申し訳ありませんでした。」「何を仰る。どうかお手をあげてください。あなた方の責任ではありません。むしろ感謝を告げたいと思い、訪れた次第です。何故なら、彼等からあなた方のことについて詳しく聞かされ、感銘を受けたわけです。確かに、私共にとって、娘二人を失うのは辛すぎます。でもそれ以上に辛いのは、私達と同じ悲しみを背負う人々を増やすことです。」涙を堪えているのがひしひしと伝わる藤高達。「ですから私達は決めました。芸能被害者の会を立ち上げることと、警察庁に芸能界浄化睦軍受け入れ組織を作ることを。」そこで若干の疑問符がついた。「あの、警察庁に・・とはどう言う事で。」「あ、またもや申し遅れました。私、大阪府警に赴任しております。そこでは副本部長として警視監を務めております。「け、警視監っ・・・」三人共つい驚いて口に出し、顔を見合わせてしまう。「いやいや、そんな硬くならずに。私共の組織にも、あなた方を快く思わない警察官は多数いましたから。言わばあまりあなた方について私も何も言えない立場です。ですから、贖罪も兼ねて、警察組織に門戸を開こうと決意した次第です。石神さんとは既にお話ししました。今後とも宜しくお願いします。」「いえ、こちらこそ。光栄に存じます。」「それと・・・」頭を下げる藤高達の後に、蒼太、杏梨を見やる。「薔薇と菜奈実は大変素敵な盟友を残してくれた。彼と彼女がいなかったら私共はどうなっていたか。」不幸中の幸いとまでは言い難いものの、その言葉と視線でもはや親子に近い絆で結ばれているのだなと、藤高は感じていた。・・・続く。

Re: 芸能界浄化睦軍 ( No.138 )
日時: 2024/01/06 13:33
名前: 梶原明生 (ID: UbaBM28B)

・・・そこへ感極まった美紀がやってくる。「皆さんのお気持ちお察しします。同じ芸能人として、薔薇さんのことは他人事には思えません。」涙ながらに訴える彼女に奥さんの律子はついに涙腺が崩壊してしまう。二人手を取り泣き晴らす。石神大佐もまた泣き顔になりながら促す。「さ、その哀悼の意も込めて、二人のお嬢さんの冥福を祈ろうではありませんか。」「はい。」席に着いて宴は進められる。後に美紀のバラードの歌声が、回りをしんみりさせながらも、新たな決意へと誘なうのであった。・・・数日後、藤高曹長、長谷川伍長達は、ミッチヘルメットにヘッドセット。Z-TAC無線機、タクティカルアーマーベストに肩アーマー、グローイングアーマー。マーパット緑迷彩服に肘パッド膝パッド、タクティカルブーツにウォーリアグローブ。そしてライト、照準光学機器付き89式小銃に、Safariホルスターに収まってるシグ226E2拳銃等を纏った芸能界浄化部隊の藤高組が集まっていた。横一列に並び敬礼する。「いいか、お前らっ、俺たちは芸能界浄化睦軍精鋭部隊、芸能界浄化部隊だっ。今日も不浄芸能界を叩くため、日夜訓練に励むぞ。国民と芸能界のために。」「おうっ」一斉に各自戦闘訓練所に走っていく。薔薇さんや菜奈実さんが、そして美優さんがこの青空のどこかで見ていてくれていると信じ、見上げる藤高だった。・・・「ムーンチーム」エピローグ了。


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