結ばれぬ2人 作者/白牙 ◆tr.t4dJfuU

0 o °〇†第21日目 呼び捨て?† ○ ゜ o 0



「美沙姫ーーーーーーーーっっ!!」

ドスッ、と音がした。

「……あれ?」

2人共、ゆっくりと目を開けた。

風鈴丸は美沙姫の肩ではなく、畳に突き刺さっている。

「竜一! なぜ止めた! 私はぁっ……!」

美沙姫は竜一の襟首を掴むと、言った。

「嫌だから……だ。美沙姫殿が……自分で自分を傷つけるのが……」

竜一は美沙姫の手を、包むようにして握った。

「竜一……」

「だから、やめてくれ。絶対に」

そう言った竜一の身体は震えていた。

「すまない。もう遅いぞ。家へ帰れ」

美沙姫は竜一の瞳を真っ直ぐに見ながら言った。

「あぁ、わかった」

竜一は立ち上がると、玄関へ向かう。

「お、そうだ。さっき、美沙姫と呼んでくれたな」

「……さっきはな。それじゃ、さよなら。美沙姫殿」

竜一は殿をやけに強調して言った。

「……嬉しいな。何か」

美沙姫は竜一に聞こえないよう、小さな声で言った。



0 o °〇†第22日目 恋のキューピッド参上!?† ○ ゜ o 0



それから数日後。

美沙姫は竜一に会うことは無くなっていた。

これも、またあのようなことをしないためだった。

「美沙姫ぃ~~!!!」

美沙姫が、いつものように縁側で涼んでいると、元気の良い声が聞こえてきた。

「あ、楼! 竜二!」

「美沙姫ちゃん! あれから進展はあった?」

路地裏の方から、楼と竜二が現れた。

「進展……ってなぁ。う~ん……」

本当は告白までしたのだが、この2人に何か言うと、竜一にバラされかねない。

ここはあえて隠し通すことにした。

「何だ~。特に無いの? それじゃ、私達の役目は大ありね!」

「だな!」

楼と竜二は同時に頷いた。

「私達は美沙姫の恋のキューピッド!」

「美沙姫ちゃんの恋をサポートするぜ!!」

2人は満面の笑みを浮かべて言った。

「……マジ? 協力してくれるの??」

美沙姫は目を丸くした。

まさか自分の恋を手伝ってくれるような人が居るとは思ってもみなかった。

「あったりまえじゃない! 親友の初恋! 手伝わずにいられようかっ」

「それに、竜一の事なら俺がばっちり知ってるしな! 俺と楼ちゃんが味方につけば無敵だぜぇ!!」

竜二はブイサインを美沙姫に向けた。

「……楼……竜二……。ありがとぉぉおぉおぉ!!!」

がっちりと握手を交わすと、美沙姫は思わず涙を流した。

「友達っていいねぇぇぇえええぇぇ!!!!」