結ばれぬ2人 作者/白牙 ◆tr.t4dJfuU

0 o °〇†第23日目 メモ† ○ ゜ o 0



「それで、2人は何かしてくれるの?」

がっちりと握手を交わし、友情を確かめ合った後、美沙姫は本題に切り出した。

「もっちろん! 竜一君の事も、許婚の綺羅っていう人のこともばっちりメモしてあるんだから!」

楼は鞄から1枚のメモ用紙を取り出した。

それには、竜一の好きな食べ物やら綺羅と竜一がどこまで進んでいるかなどが完璧に記されていた。

「凄いな……。これさえあれば、竜一を私のものにするのも容易いな……」

美沙姫はフッフッフと不気味に笑った。

「え~っと……今、竜一君と綺羅はたまに会う位みたい。まだまだチャンスはあるってこと!」

「話すことも村を率いる名家同士らしく政治や歴史といったまじめなことばかりっすね」

この話に、美沙姫は目を光らせた。

「そうか……」

美沙姫はふむ、とうなずいた。

「あ! そういや竜一って女好きっていう噂があるんすよ~」

竜二はぽん、と手を叩いた。

「女好き……。まさか、私を着替えさせたのもそれから……」

美沙姫は女好き=変態のイメージでもあるのだろうか。

いきなりあわあわモードになってしまった。

「美沙姫……?」

「美沙姫ちゃん、緊張したりするとこんな行動を取ることがあるみたいだから……」



0 o °〇†第24日目 薔薇の花† ○ ゜ o 0



「それじゃ、まず計画1! プレゼント作戦っ! 奇麗な花束を渡して竜一君のハートをがっちりゲットォ!」

「花束? 何の花よ?」

美沙姫は首をかしげた。

楼の瞳が怪しげにキラリと煌く。

「もっちろん、好きな人への花束といえば薔薇でしょっ!」

「薔薇……」

美沙姫の脳裏に真っ赤な美しい薔薇の花が浮かぶ。

「薔薇かぁ……やっぱり赤だよな! じょ~う~ね~つの、あ~かいぃばぁら~、ってか!」

竜二は某アニメの登場人物の歌っていた歌を歌った。

「情熱ぅ!! なんか……燃えてきたな!!」

情熱という言葉で再び美沙姫に火がついた。

そのまま一直線に美沙姫は花屋へと向かっていった。

***

「えっと……赤い薔薇の花を……」

「50本くださいっ!!」

いきなり楼が美沙姫の言葉を遮った。

「50本!? そんなにっ?」

薔薇を50本といえば、結構な値段である。

「ケチケチしないの! とにかくアタックするのみ、よ!!」

「おや、誰かに告白でもするのかい? それなら、おまけするよ! 10本プラスで50本と同じ値段! しかも包装つき! どうだい?」

そういうと、花屋の女性はもう10本、薔薇を薄いピンク色の包装紙に包んでくれた。

「わぁ! おばさん、ありがとっ!」

「ありがとうございます!」

なぜか美沙姫よりも楼が先にお礼を言ったのは気にせず、3人は薔薇の代金を払って竜一の家へと向かった。