結ばれぬ2人 作者/白牙 ◆tr.t4dJfuU

0 o °〇†第17日目 勝敗は?† ○ ゜ o 0



「ここ……は?」

気がつくと、美沙姫は自分の家の、数週間前に竜一を看病した時と同じ部屋に居た。

よく見ると、きちんと布団が敷かれている。

誰かが敷いてくれて、美沙姫を寝かせてくれたようだ。

「そうだ……勝負は……おい! 誰か……誰か居ないのか!!?」

いくら呼んでも返事は無い。

誰も居ないようだ。

誰も居ないことには勝負の勝敗も、誰が自分をここまで運んできてくれたのかも聞くことはできない。

「……しょうがない。竜一の家でも行くか」

あそこに行けば何かがわかるかもしれない。そう思い、美沙姫は竜一の家へと向かった。

***

いつも通り、門番におおまかな用件を言うと、案内してもらう。

そして、またいつも通りに門番が竜一が居るか、入って良いかを確認し、美沙姫は部屋に入った。

「今日は、どのような?」

「勝負はどちらが勝ったか。後、私を誰が家まで運び、治療したかを教えてくれ」

美沙姫が言うと、竜一ははぁ、と溜め息を吐いた。

「勝負は引き分けだ。お前も綺羅も同時に攻撃し、同時に気を失った……ようだ。家まで運んで治療したのは俺1人」

「!!!!??」

最後の一言を聞いて、美沙姫の顔が一気に赤くなった。

「ななな……!! お前……まさか……私を着替えさせたのかぁ!!?」

起きた時、美沙姫は胴着でなく、寝巻きを来ていた。

という事は、1人で美沙姫を家まで運び、治療した竜一に他考えられない。

「ん~、そうだ。なかなかのナイスバディ……ぶきゅっ」

「言うなぁぁぁぁああああぁぁぁぁ!!!!!」

竜一の言葉を、美沙姫の大声と鉄拳が遮った。

「もう帰るっっ!!!」

「あ、美沙姫殿~!」

美沙姫はぷいっと後ろを向き、帰ってしまった。

「あれ位で恥ずかしがるとは……なかなか可愛げがあるじゃないか……」



0 o °〇†第18日目 右腕† ○ ゜ o 0



「アイツが私を……脱がせ……て……って、うわぁぁぁあああ!!! わっ……私は何を考えてるのだぁぁっぁあ!!?」

美沙姫は自宅で1人、考え、叫んでいた。



初恋に許婚に竜一が自分を着替えさせたことなど、今の美沙姫にとっては全て悩みの種であった。

そして考えれば考えるほどに昼間のドラマのような展開や18歳未満立ち入り禁止な妄想が広がっていく……。

「私は……本当に……竜一のことが好き……なのか……」

そうポツリと言った時、右手首にどこかしら違和感を感じた。

「何だ……? 虫でも付いているのか?」

美沙姫は袖を捲し上げた。

だが、腕には何も付いていない。

「何も無いではないか……。ん? っく……あ……れ?」

突然、頭がくらっとした。

「うお!!? う……ぁ……ああああああぁぁぁぁぁああ!!!!」

いきなり美沙姫の右手首に激痛が走った。

今まで感じたこともないような、物凄い痛みが。

「まさか……これがっ……宿……命……? うわあああぁぁっっ……!!」

美沙姫の脳裏を、宿命に纏わる話が過ぎった。

そして同時に悟った。

この印が、魂を削り取っているという事を。