結ばれぬ2人 作者/白牙 ◆tr.t4dJfuU

0 o °〇†第27話 竜一の覚悟† ○ ゜ o 0



「やめろ! 綺羅あぁぁぁ!!」

「きゃあぁぁぁあ!!」

どさっ、と美沙姫の体は床に落ちた。

前を見ると、火炎結翔を構える竜一と、腕から血を流して蹲っている綺羅の姿がある。

「竜一……」

美沙姫は呆然とした。

「美沙姫殿……俺、覚悟はできました」

竜一は俯いて、言った。

「俺……火駕の印を……腕を……切ります」

「えっ……」

美沙姫は思わず声を漏らした。

竜一は、あの時美沙姫がやろうとしたことを自分もやろうとしているのだ。

「やめろ! 竜一! そんな事をしてはならない!!」

「だがアナタはやろうとした! それと同じだ!!」

竜一は美沙姫を突き飛ばした。

美沙姫の体が綺羅に重なった。

「うぅ……」

「っと……すまない! 竜一! 私はお前のおかげでアレをやめた! お前もやめるんだ!!」

美沙姫は立ち上がると、竜一に向かって言った。

だがその声も、もう竜一には届かなかった。

「すまないな……。美沙姫殿。そして……綺羅」



0 o °〇†第28日目 綺羅の訴え† ○ ゜ o 0



「竜一ぃぃ!!」

パァンッと、鋭い音が響いた。

竜一の頬に痺れる様な痛みが走る。

「な……」

前を向くと、そこには大粒の涙をボロボロと流す綺羅の姿があった。

「どうして……? どうしてそんなことするの!? そんなことしたらみんなが悲しむってわからないの!? 竜一っ!!」

「綺羅……」

竜一は綺羅をまっすぐに見つめた。

「私……嫌だよ。竜一がそんなことするのは……。印を無くせば戦わなくてすむ。だけどそんなことしちゃやだ……」

綺羅は竜一にしがみついた。

そんな綺羅の肩を竜一はそっと抱いた。

「美沙姫殿……すまぬが今日は……」

「あぁ、わかった」

美沙姫はうなずくと、竜一の部屋から出ていった。