結ばれぬ2人 作者/白牙 ◆tr.t4dJfuU

°o+0。*6日目 修行*。0+o °
「それではこれより、修行を開始する!!」
「オスッッ!!!」
美沙姫の掛け声で、楼と竜二は同時に返事をした。
「それじゃ、まずは素振りから! 2人とも100回ずつな」
「えぇえ!? 100回もぉ!?」
楼は美沙姫に向かって文句を言った。
「……逆らうのか?」
美沙姫は、綺麗に研ぎ澄まされた風鈴丸を不気味に光らせながら言った。
「が……がんばりま~す」
それからも、2人の激しい修行は続いた。
そして――――……。
「だぁあああっっ!!」
「おりゃぁあああ!」
キィン、と音が響き美沙姫の剣が宙を舞った。
「うむ、合格だ。楼、竜二」
「わぁ!」
「やったぁあああ……」
修行の終わりに、2人は安堵の声を漏らした。
°o+0。*7日目 瀬李と怜莉*。0+o °
シャーッと、まるで刃物を研ぐような音だけが響く。
ここは村よりもかなり離れた森にある小屋。
壁にはカビやらキノコが生えており、ボロ屋というにも相応しい。
「相変わらずボロッちぃ小屋ねぇ。瀬李」
「……いいんです、怜莉。私はここが気に入ってますから」
ずっと俯き、何かを研いでいた少女――瀬李はスッと顔を上げた。
手に持っていた槍だけが、キラリと輝く。
「フン、まぁあなたにはこんなボロ小屋はお似合いだけどね。でも私には不相応だわ。こんなカビ臭くてホコリっぽくて……」
怜莉がそこまで言った時、槍が怜莉めがけて飛んできた。
槍は壁に突き刺さると、ビィンと震えた。
「……相変わらず血の気多いんだから。少しは冷静になさいな」
「私はいつも冷静です。でなければ香世様を守ることなど到底できません」
瀬李の瞳が妖しげに光った。
「憎たらしい子だこと。そういえば火駕からお返事は来たのかしら?」
怜莉は紙を取り出した。
それは、竜一に出した手紙を複写したものだった。
「まだだそうです。……あまりいい返事は期待できそうにないです」
「あら、残念。竜一君、結構私好みの子だったのにねぇ」
「男癖、直した方がいいですよ」
「なんですってぇえ!!?」
怜莉は拳を壁にたたきつけた。
「まぁ、この私の力を持ってすれば彼の心も私のモノ……」

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