結ばれぬ2人 作者/白牙 ◆tr.t4dJfuU

°o+0。*2日目 綺羅の家へ* 。0+o °



「綺羅~。居るか~?」


美沙姫は綺羅の家の玄関の扉をノックした。


――……だが、返事はない。


「……うぉ~~い!!! 返事位しろぉおおおお!!」


美沙姫は扉が壊れんばかりに叩いた。



「お……おい、今は居ないのかもしれない。また後で来よう!」


このままでは家が壊れてしまう、と思ったのか竜一は美沙姫の手を引いて引き返した。


「あ、竜一! 美沙姫!」


2人が帰ろうと思った瞬間、家の裏から綺羅がひょこっと現れた。


「ごめんね! 明日のお祭りの花火を点検してたから……」


綺羅は、明日の秋の花火大会で打ち上げる花火を点検していたらしく、いつも着ている学生服に泥が付いていた。


「大変だな~」

竜一は関心した目で言った。


「へへ、だって少しでも多くの人に楽しんでもらいたいし……。それで、何か用があったんでしょ?」



綺羅は柔らかな笑顔で言った。


「あ、ああ! それが、これ……」


竜一は例の手紙を綺羅に手渡した。




「……これは……!!」



°o+0。*3日目 綺羅の姉* 。0+o °



「綺羅? どうかしたのか?」


美沙姫は、手紙をじっと見詰めている綺羅の顔を覗き込んだ。


「これは……黒の一族の族長であり、私の姉、彗星 香世の書いた手紙です……」


「彗星……香世?」


竜一はハッ、と思い出した。


昔、1度だけその名を聞いたことがあったのだ。


「竜一は知っているでしょう。昔、私の親族を紹介した時に名前を教えたから……」


綺羅は俯いた。

「黒の一族はこの村を……国を乗っ取るつもりなんです。そのために火駕家の竜一を仲間にしようと……」


綺羅の瞳から、小粒の涙が零れ落ちた。

「だが、なぜ綺羅の姉はこの国を乗っ取ろうと?」


美沙姫は身を乗り出した。


「黒の一族は、差別を受けたりしてきた者が自由を求め、集まった集団。……お話します。姉はなぜ黒の一族を作ったのか」

そう言うと、綺羅は重い口調で話し始めた。