結ばれぬ2人 作者/白牙 ◆tr.t4dJfuU

°o+0。*第2部 プロローグ* 。0+o °



平和になったと思われた日常に

   再び戦いの波が押し寄せる


   ――――我ら黒の一族也――――

彼女らは自らをそう語る


   ――黒の一族


    代々伝わる忍びの一族がなぜ美沙姫達を襲うのか?


美沙姫と竜一の友人 楼と竜二も加わり


   戦いはさらに大きな渦を巻く


      
   ――絶対に平和を取り戻してみせる――



°o+0。*1日目 月初め* 。0+o °



「ふふん、なかなか涼しくなってきたな」


いつもの様に縁側で麦茶を飲んでいた美沙姫は、フッと笑った。


今日から9月。これからだんだんと涼しくなる季節だ。




「……あれから1ヶ月……か」


美沙姫は1ヶ月前の出来事を思い出した。


火駕家の16代目、竜一への片思い、村の北にある燈霊山の頂上での告白――。


今となっては夢のような思い出だ。


「みっ……美沙姫ぃいいい!!!」


「ん……? この声は……」


玄関の方から、大声が聞こえてきた。


「おーい、竜一! 私はこっちだぞー」


声の主を竜一だと判断すると、美沙姫は自分の居る場所を伝えた。


「はぁ、そっちに居たのか……。たまには縁側じゃなくて家の中に居てくれよ……」


「ははは。でもここが一番涼しいんだ」


美沙姫の家の玄関から縁側までは、結構距離がある。

竜一がこんなことを言うのも無理はなかった。


「それで、何があったのか?」


「それが……これを……」



竜一は息を整えると、美沙姫に一枚の紙を差し出した。


「ん……何々。"前略竜一殿。私は黒の一族です。本日は、貴方にご協力を頂きたくこの手紙を送りました。それでは本題に入ります。私たち黒の一族は、この村をより良き物にするため、国中から多くの忍びの者を呼び寄せております。そこで、この村の有権者であり、腕の立つ竜一殿にご協力いただきたいのです。是非、この村の有権者として、そして1人の侍としてご協力下さい。" ……思いっきり怪しいな」


「だろう? それで……どうすればいいと思う?」


竜一は心配そうな顔で尋ねた。


「村の有権者……。そうだ、綺羅の所へ行ってみよう。綺羅の……彗星一族もこの村の有権者だろう」


「あっ……ああ!」