*人魚姫* 作者/ひさこ ◆tON3cp20n

*2*



俺はプールへと歩く。

歩く度に俺の鼓動が速くなっていくのが分かった。

あの子まであと3メートル・・・・

その時、水たまりに足を入れてしまった。

ピシャッ―――

やっべ、気づかれたかも。

あの子の方に目をやると、俺の方には背を向けていたけどさっきとは明かに様子が違っていた。

・・・・軽く震えてる?

まぁいいや。

俺は開き直ってその子の方へと近づいた。

その子は恐る恐る俺の方を向く。

その顔は不安や、

恐ろしさや、

困ったような表情が入り交じっていた。

まるで悪い事した子供みたいだなー。

俺の方から口を開いてみる。

「ねぇ、誰?」

突然の問いかけに驚いたのか、その子の肩がビクリと震え、小さく答える。

「え・・・、終業式の時に紹介しなかったっけ・・・?」

・・・終業式?

あ、そういえば―――

俺の記憶が脳に蘇ってきた。