*人魚姫* 作者/ひさこ ◆tON3cp20n

*3*
そうだった。
俺は終業式の日、学校に来たはいいが調子が悪くなって保健室にいたんだった。
終業式が終わって帰るときに、ダチが転校生来たとか言ってて
変な時期に来るやつもいるんだなぁとか思っただけだった。
「・・・ってことなんだよ。だから俺君のこと知らないんだ。」
それまでの事情を話した。
その子は
「え、大丈夫?!風邪だったの?ほんとに大丈夫?」
と本当に心配してる顔で俺に尋ねる。
「いや、大丈夫だったら部活きてないし・・・・それより終業式からもう一週間たってるし・・・・」
「あっ、そっかぁ・・・・」
この子、天然か?
恥ずかしくなってうつむいたその顔がとても可愛かった。
「で、名前なんていうの?」
俺が聞いてみる。
「あ、島津美波です。水泳部に入ることになりました!水泳は小学生の頃からやってたからわりと速い方だと思います。迷惑かけると思いますが、これからよろしくお願いします!!」
美波・・・というその子は一気に喋り、喋り終わった後にふぅっと大きな息をついた。
「ねぇ、もしかしてその自己紹介、練習してきた?」
まさかとは思っていたけど、俺は聞く。
美波は笑顔で
「はいっ!」
と元気よく答えた。
そこ、そんな元気に答えるとこじゃないよー。
俺は美波にどんどん引き込まれていった。
やっばい、本当この子可愛い。

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