俺の兄さん  シンジ /作



8話 流星群と真夏の夜の夢 中編



「携帯は?」

「持った。」

「非常食は?」

「持った。」

「よし。じゃあ行こうか。」

兄さんはそう言った。
俺はいろいろなものが入っているリュックを背負った。
すると兄さんは「持ってあげるよ。」と言って俺の背負っているリュックを引っ張った。
しかたなく俺はリュックをおろした。

「よし。行こうか。」

兄さんは俺にそう言って笑いかけてきた。

「・・・」

俺達は山へ入っていく。
夜の山では「ホウホウホウ・・・」と、おそらく鳥。が鳴いていた。
ザワザワと木々が囁き合っている。
木が黒々とつくった影で俺達を捕まえようとしてくる。
時折吹く風が妙に冷たくて鳥肌が立つ。

そんな中、兄さんは口笛や鼻歌を歌っていた。

(なんでそんなにハイなんだ・・・)と、思ったが俺も楽しみだった。

念願の・・・

ちょうど山が切り開いたところにでた。
持ってきたブルーシートを広げる。
その上に二人で座る。
俺はリュックから双眼鏡とデジカメを取り出した。
そのまま寝そべる。

(流れ星、まだかな・・・)

星が流れるのはもっと夜が深まってからだからそれが待ちどおしかった。