俺の兄さん  シンジ /作



15話 朝日の昇るころ、鳥は清々しく鳴く



いったい俺はどうしたんだろう。

そんな事を自分に聞いても答えは返ってこなかった。
俺はそのまま兄さんをチラッと見る。
兄さんはさっきと変わらず寝ている。

俺はベットの上で膝を抱え込んで座る。
さっきのことが頭の中でリピートされる。
何度思い出しても俺はあの時いったい何がしたかったのか分からない。

自分で自分のことが理解できないってことはよくあるけれどどうしてあんな衝動に駆られたのかなんてもっと理解できなかった。
でも、兄さんが起きていなかった事は幸いだった。

「・・・はぁ・・・」

思わずため息が出る。いや、ため息しか出ない。
そうだ俺は熱のせいで頭がいっちゃったんだ。
そう思うことにした。

そんな事を考えたり思ったり思い込もうとしたりしているうちに電気が付けっぱなしの部屋に朝日が入り込む。

鳥の鳴き声が聞こえる。

(もう朝か・・・)

そう思った時兄さんはうすらと目を開けた。

「・・・寝ちゃってたんだ・・・」

兄さんはそう言って起き上がると俺の頭をなでた。

「おはよう。」

兄さんはそう言って俺の部屋を出て行った。
誰も居ない部屋で俺は言った。

「・・・おはよう。」

雲ひとつ無い朝焼けの空。

今日はいい天気になりそうだ。