俺の兄さん シンジ /作

5話 僕の『ライバル』
彼はプリンが好きだ。
けれど僕にとっては『それ』は憎らしい存在だ。
ただのスイーツなのに彼を笑顔に出来る。
それが憎らしい。
そんなプリンが愛想の無いゆれ方で僕を馬鹿にする。
(・・・む~っ・・・)
むかつく。
けれどプリン相手に喧嘩なんて大人げなさすぎる。
でもむかつく。
神は不公平だ。
プリンには彼を笑顔にさせる能力を与えたというのに、こんなに努力している僕を報わない。
いっそのこと僕は、プリンになりたい。
別にお笑い目当てとかでそんな事を言っているわけではない。
真、面、目、に。そう思っている。
ずるい。ずるすぎる。
そう思いつつも、彼を元気にさせるプリンがなくなってしまうのは困る。
彼が笑わない。
でも、やっぱりずるい。
そう思いつつも僕は、彼の前にプリンを置いた。

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