俺の兄さん シンジ /作

4話 僕の『朝』
「ジリリリリリリリリリ」
目覚ましが甲高くなる。
「・・・ん・・・」
僕はそっとまぶたを開いた。
朝だ。
昨日、弟をベッドで寝かしたから僕は勉強机に伏せて寝ていた。
しかしだな。
彼はいつから起きていたのかは知らないけれど僕の部屋のドアの横に座っていた。枕を抱きしめて。
「・・・」
彼は黙ったままうつむいていた。
「・・・おはよう。」
僕は彼にそう言った。
彼はうつむいたままか細い声で
「・・・おはよう・・・」
と、言った。
(あの後寝れなかったのかな・・・)
僕は今日も学校に行かない事にした。
多分彼の熱は下がっているだろうけれど、僕はいつもと違う彼の様子が気になってしまって、学校に行く気になんてさらさらなれなかった。
彼に何かをしてあげたい。そう思ったからなのかもしれない。
何をしてあげられるかなんて分からないけれど、きっと僕にも出来る事があると思ったから。
まずは出来る事から。
そう思って部屋を出ると僕は階段を下りた。
(まずは朝食の準備から。)

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