俺の兄さん シンジ /作

11話 僕の『ため息』
「・・・兄さん?」
彼は言った。
あぁ・・・また、ぼーっとしてしまった。
最近僕はほんとにおかしい。
ずっとぼーっとしている。まじめに何かをやろうとしても集中できないし、あんな夢も見る。
僕は、疲れているのかもしれない。
「はぁ・・・。」
口から出るのはため息。そればかりな気がする。
「・・・?」
そばに居た彼はこっちを向いてしかめっ面で首をかしげる。
僕はいつもの笑顔になってから言った。
「何でもないよ。」
そう言ってから彼のあたまをぐしゃぐしゃにする。
「・・・。」
彼は手ぐしで髪を整える。
僕は、ふと時計を見てから「おなかすいた?」と、彼に言った。
彼は手を止めてからうなずいた。
彼は何故か少しうつむいてから、口を開く。
「・・・兄さん・・・あのさっ・・・。」
(・・・?)
また、変な夢でも見ているのかと思った。
彼から話しかけるなんてめずらしい。
「どうしたの?」
僕は一応笑いかけながらそう言った。
彼は少しだけ黙って、遠くを見てから言った。
「・・・星を・・・見に行こうよ。」

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