俺の兄さん  シンジ /作



10話 僕の『夢』と『現』



・・・あれから数日。もうすっかり夏休みだ。

今年の夏はやけに暑くなりそう。そんな天気が、ここ数日続いている。

そして僕はあれから何度も、あんな夢を見ている。
けれど、今日のは特別――何か意味深だった。

その内容と言うのも・・・


「ねぇ。兄さん?」

いつも、なぜか、こうやって始まる。

「・・・うん?どうかしたの?」

僕は一応聞いた。

「あのさ・・・兄さんってどうして俺のこと『彼』って呼ぶの?」

・・・え?
僕には彼の言っている意味が解らない。

「ほら。今も。」

・・・え?・・・???

・・・あっ!心の中で!・・・??

僕は何がなんだか・・・つまり、混乱してきた。

・・・?


と、いうものだ。

目覚めた僕は、頭の中を整理したあと「確かになぜだろう。」と、思った。

しかしだな。

そんなこと正直分からない。

・・・彼・・・零夜・・・彼・・・零夜・・・

そう、何度も心で唱えても、なぜか?だなんて分からなかった。

そもそもその呼び方にそこまでの深い意味があるとは考えたくはなかった。

けれど、まったく意味が無い。と、いう理由を自分の中では見つけられなかった。

僕にとっての彼・・・零夜の存在はいったい何なのだろう・・・?

けれど、そんなことを自分に聴いてもいまいち・・・解らなかった。