俺の兄さん  シンジ /作



8話 僕の『叔母さん』下編



「・・・そうだ。お土産を持ってきたんだよ。」

話がひと段落ついてから、叔母さんはそう言った。

「お土産?」

僕はそう聞いた。

「うん。」

叔母さんはそう言いながら、色々な物を机の上に出す。

「これは零夜君の。」

そう言って出したのはあの熊だ。
彼はぬいぐるみが好きだから。自分でそうは言ってないけれど、見ていれば分かる

彼はそのぬいぐるみを優しく抱く。

(・・・)

そのぬいぐるみになれたら・・・

僕は軽く首を振る。

変な妄想はやめよう。

「はい。これ。」

そう言って叔母さんは僕に小さな熊のストラップを渡した。

(・・・お揃い・・・)

僕はそう思いながらそれを眺めた。


なんだかんだ言って色々な物を貰った。

『有名なものとか目に付いたものとか買ってたらこんなになっちゃって・・・』

と、叔母さんは言っていた。

『北海道はおいしいものがいっぱいあるでしょ』

とかも言っていた。

僕たちは話が終わって叔母さんを見送る。

「次はいつ来るの?」

「沖縄が気に入ったらとうぶん帰ってこないと思う。」

最後に叔母さんはにっこり笑ってそう言った。

叔母さんが帰ってからも彼はあのぬいぐるみを見つめていた。

(・・・いいよ。来なくて。)

僕はそう思ってから首を振った。