メイドと追っかけと職人と巫女と
作者/マッカナポスト

第十二話・・・偽善者たちの舞
_____目が覚めたら、俺はソファーの上だった。
(・・・・あのまま寝ちゃったんだな・・・)
背中のきしむ音がする。もう外は朝だった。
『うわああああああっ!!!!?』
冷たい床の上で少女のように小さく丸まっているのは、紛れもなく拓夢だ。
「・・・・・んぅっ・・・・・」
「あ。ごめん」
「んぁぁっ・・・おはよぉっ・・・・」・・・やっぱかわいい////
「おいおい、寝癖ひどいぞ?」
「じゃあっ、直して?」
「っ・・・仕方ねえな・・・」そう言いながらも実は嬉しい。
工房は静まりかえり、拓夢の亜麻色の髪を優しく梳かす音だけが響く。鼓動が速くなる。髪の温もりが手に伝わる。苦しいほどの愛情が心に突き刺さる。
「優ちゃんさ、俺ね、小さい頃から好きな人に髪を梳かしてもらうのが夢だったんだ。」
「お前、そんな小さい頃から女の子みたいだったっけ?」
「優ちゃんこそそんな小さい頃から鈍感だったの?」
二人の笑い声が工房にこだます。
「そういえばお前、いつからここに居たんだ?」
「昨日の電話の後だから・・・夜の10時半頃かな」
「そんな早くから俺寝てたのか・・・!!」
「疲れてたんだよ、だから今日は休んだら?」
「そうだな、今日だけゆっくりさせてもらおっかな」
「じゃっ、俺んち来る?」
「はわふぉえ!!!?//////」
「だーかーらぁ!!俺んち、く、る!!?」
「・・・・いいの?」
「あったりまえだぁい♪」
そういえば、拓夢んちには、行った事なかった。どんな家なんだろう・・・。ついつい想像してしまう。
そして。
「お邪魔しま~す」小ぢんまりとした、普通のアパートの部屋だった。
「そんな綺麗な家じゃないけど・・・まぁ、ゆっくりしてって。」
「結構綺麗にしてんなぁ・・・」シンプルながらも、きちんと整頓されている。
「はい、お茶。・・・あ、睡眠薬入れて襲おうとしてるとか、そういう事はしないからねww」もちろん冗談だが、拓夢ならやりそうでやたら現実味がある。
「いただきまーす。」ちょっと熱めのお茶をすすりながら、整頓された部屋を見回す。
「今日は泊まって行く?」
「・・・ああ、う、うん。」
「あっ、そうだ!隣の虚ちゃん家も見たいよね」
「ああ、そっか、隣なんだよね、虚ん家。」
ピンポーーーーン・・・・インターホンの音があたりに響き渡る。
「もっしも~し?拓夢だけど。」
「・・・んあ?ああ、拓夢か。どした?」
「あのさ、優ちゃん連れてきたんだけど。」
「優大か?ああ、入っていいぞ。」
「・・・入っていいって★」
「・・・・お邪魔しまーす」
______一瞬ドキッとした。目の前にいる虚の姿が、バスローブ姿だったからだ。
「・・・勝手に入れ///」
「あれ、虚ちゃん・・・全然準備万端じゃないじゃん。あ、分かった。自分の体を見てほしかったんでしょ?」
「そっ・・・そんな訳じゃっ・・・////」
ああ、赤面発動・・・・。心臓の鼓動が止まらない。顔が火照る。・・・自分まで赤面してる・・・////
ごめんなさい。虚のことも好きだ。大好きだ。
神様・・・・こんなに最悪な俺を許してください。

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