メイドと追っかけと職人と巫女と
作者/マッカナポスト

第十九話・・・粗末な心境と操作不可能のエンジン
静寂に包まれる工房に、鐘の音が響く。
カランカラン______________
小柄な女性とも思しき青年が入ってくる。
「・・・・・遅れて・・・・・ごめん」そう呟いた拓夢の姿には、明らかに違和感があった。痣らしき蒼い痕、そして泣き腫らしたように赤く染まった瞳。拓夢は、優大達から投げかけられる言葉を想像してか、ただ静かに俯いている。
優大が重い口を開く。
「________怒りはしないから。・・・・言ってごらん。何があった?」
「________________」拓夢が遂に溢れ切れんばかりの雫を、ぽろぽろと溢す。
「実は、・・・・政孝に・・・・・会ってきた。」
「・・・・・・・!!!」優大と虚は、怒りと共に目を大きく見開かせた。
「というより、ばったり会っちゃったんだけどさ・・・・。」
「この傷は・・・・・?」感情を抑え切れなかったのか、虚が身を乗り出すような口調で訊く。
「実は襲われて・・・・。抵抗しようとして蹴り飛ばしたら殴られてっ・・・・・。」涙がまるで滝のように流れ落ちる。
「____________そっか、ごめんな_____」虚が自分を戒めるように溜息をつきながら、拓夢にハンカチを差し出す。
「別にっ、二人は何も悪くないよ!?____全部・・・俺が悪いんだ」ハンカチで濡れた頬を拭いながら、拓夢は大きな溜息をつく。
「俺、お前のこと守るって言ったのにな_____。約束守れないなんて最低だよな・・・・・・。」
工房が暗雲に包まれる雪の日__________________

PR
小説大会受賞作品
スポンサード リンク