メイドと追っかけと職人と巫女と

作者/マッカナポスト

二十話 ☆番外編1


             *
とあるコンビニ

「田丸・・・、明日シフト代わってくれないか」某コンビニ内に、上司の低い声が響く。
「え、明日はちょっと______」困惑したように拓夢は床に目を落とす。
「明日何かあるのか?」
「明日は小学校の同窓会があるんで_____」
「嘘だろ?俺も明日小学校の同窓会なんだ」笑い混じりの低い声はうっとりするほど美しいもので、拓夢がここのコンビニでバイトをしているのも実はそれが真の理由だ。

「どこ小学校?」色気のある、天使のような笑顔で拓夢に尋ねる。
「成城小です」思わずドキドキしながら答えると、店長は内緒話を我慢できなかった子供のような無邪気な笑顔で拓夢に笑いかける。
「成城小!?俺も成城小。偶然だな・・・なんか俺、めちゃくちゃ嬉しいな」
__この人が喜んでいると、自分まで微笑ましい気持ちになる。拓夢はふとそう思った。

「そういえば俺の下の名前言ってなかったな、変な名前だけど俺の名前は虚。藤堂虚って言うんだ。お前の下の名前は?」
「拓夢です、田丸拓夢。そういえば高野先輩と同じクラスでしたよね、藤堂店長。」
「よく知ってんな!あ、じゃあお前、菅野優大と一緒にいつも居た奴だろ」
「ああ、懐かしいな・・・・。その通りですよ店長!」
「なんか同じ小学校で1年違いなだけで随分親近感沸くな」
「そうですね、仕事はかどっちゃいますよw」

この笑顔をずっと見ていたいと、拓夢は切に願った。

「・・・で、どっちが同窓会行く?」
「う~ん、そうだ、夜9時からの吉岡に代わってもらいましょうよ」
「吉岡か・・・。あいつヲタク臭いけど大丈夫か?」
「人を見かけで判断しないで下さい、藤堂店長。俺、こう見えても女顔だから路上でメイドさんに『メイドになりませんか?』って言われたことあるんですから!」言葉の意味が通っていないが、虚はスルーする事にした。
「そうか、俺も実は霊媒師なんだ。代々そういう家系で。まあ、今はじいちゃん・・・じゃなかった、祖父が一家の大黒柱になってまだまだ現役だから、俺は殆ど何もやってないんだけどな」

_______“じいちゃん”って呼んでるんだ、可愛いな。

「えっ!そうなんですか!?確かにコンビニ店長で髪の毛長い人あんま見たこと無いっすよねww」
「お前、俺の事なめてんのか・・・・」明らかに端正な顔が強張っている。
「すっ、すいません!!そういうつもりで言ったんじゃ・・・」
刹那、虚の顔がいつもの穏やかな顔に戻る。
「分かってるって、怖かった?・・・ははっ、ごめんごめん。俺、お前みたいな奴結構好きだぜ?」
当時からホモに近い感じだった拓夢は、一瞬心臓が止まるかと思った。
「・・・・あ、本当ですか!そう言われると照れますねぇ」
そう言いつつも、心の中は色とりどりの花が咲き誇る花畑のようだった。
「あ、言うけど。______俺、ホモだから」



________________え。




二十話 ☆番外編2


「あ、言うけど。______俺、ホモだから。」


何の予兆も無く店長から発せられた言葉は、まさに衝撃発言だった。
_____とはいえども、「実は僕も・・・・。」なんていう不謹慎な言葉など言えるはずも無く。

「え?あ、えっ、そうなん・・・・ですか」曖昧な言葉。きっと藤堂店長の機嫌を損ねてしまったに違いない、拓夢はそう悟った。




               が。




「な~んだ、お前も俺と似た雰囲気醸し出してると思って言ったのに。気のせいか・・・。_____なんかめっちゃくちゃ恥ずい///」


_______霊媒師ってそんなことまで分かるのか・・・? 



「・・・気のせいじゃないと思いますよ、店長。」
・・・・後悔。自分が発した言葉だが、その言葉を発した後に気づいてしまった。

だが、その後に彼から出た言葉は想定外としか言い様の無いものだった。
「ははっ、面白い奴だな、本当に。ますます気に入った♪」




______そういって、虚は拓夢のか細い体を優しく抱きしめた。






「こーいうことっ・・・だ・・・・・けどっ?/////」
「_____________//////」
「お前って・・・・鈍感なの?」顔を赤らめながら、必死でその赤さを強がった口調で誤魔化そうとしている。


________可愛い・・・なぁ・・・・・。



だから、わざと言ってやるんだ。
「てんちょ、______顔・・・・・・真っ赤ですよ?」












_____________そんな僕って罪ですか?