「知る・触れる」編 ~知るきっかけづくり~
【第1回】 第二次世界大戦(日本呼称:大東亜戦争)のことを、知っていますか?
戦争中に書かれた文字は、能でいえば『お面』にあたるでしょうか。
その時代に、懸命に生きたすがたを記すこと。これが文字の役割であると思います。
その意味で、以下は役割を存分に果たせた幸せな文字かもしれません。
書き手にとって文字とは、暗号のような存在です。
文字だけつるりと読む場合は、決して分からぬようになっています。
そして、読み取るべき相手あるいは読み取ろうと努力した人が、もう一つのメッセージを受け取ることができます。
定型で明朗な、書くべき言葉や文字の後ろには、敢えて決して文字にしない「心」があります。
もちろん、必死に隠そうとしても噴き出してしまう「文字に見える」気持ちや心もあるでしょうが、大事なのは、人が書く文章には実は「見えない言葉」も「書かれてある」ということです。
1や2のような、とくにこの時代の手紙は、不特定の人目に晒されるのを前提とした、慎重に、幾重にも「暗号化」された状態だったと言えるでしょう。
4. 特攻証言集「国破れても国は滅びず」 1 2 3 4 5
6.元ゼロ戦パイロットが語る戦争の真実 - Zero Fighter pilot's testimony
7. 北部ビルマ 密林に倒れた最強部隊 菊兵団 1 2 3 4 5 6
卑下や美談でなくこうした時代の文字や言葉を、覚えておきたいですね。
その文字が書かれたのは「いさぎよし」精神を国策に使用する(せざるを得なかった)組織、運命を覚悟した多くの子供たちの時代であったこと。様々に異なる立場や事情の大人たちの生き様もあったこと。
重要な事柄なので教科書に載っています。立場は色々ありますが、教科書に書かれない部分も調べてより深く考えることは、とても有意義です。現在の歴史教科書の定型・簡潔な文面構成にも、敢えて文字にされない日本人のメッセージが非常に苦心して潜められていることに気づけるかもしれません。
動画6では、原田さんの言葉が深く響きます。言葉から分かる戦争経験者だとか反戦だという部分よりむしろ、この声を出すまでの苦しんできた50年分の気持ちが伝わってくるからです。
動画4-4の、四田さんはじめ登場する多くの方々の言葉も深く響きます。本当に愛しい子供だった、という自分の見た真実をどうにか伝えようとする真心があります。
動画5のように、戦争を思い出にできるはずもない現実に、仲間を想い、ずっと苦んでいる方々もおられます。
言葉と心をシンクロさせること、これは表現するときの最も重要な覚悟です。
決して聞いた人全員に分かるものでも、等しく同じように伝わるものでもないけれど、発信者の生半可でない気持ちを受信者が受けとるということは、きっとあります。『悩みぬいた本気の言葉は、きっと伝わる』と信じることで、言葉や文字にする恐怖を克服するのかもしれません。だから、人はどんなに苦しんでも、命が尽きる前に文字や言葉にしようと試みるのでしょう。
歴史は、声高で美麗な言葉の集まりです。その奥に自分が『見た』ものを、苦悩しながら少しずつでも人に想いを伝え、共感する人々は受け継ぎ伝えていく。これは言葉だからこそ出来る、心のリレーですね。
靖国神社、戦犯裁判、沖縄基地、自衛隊、憲法9条、日米同盟などなど……、現在テレビや新聞やネットで日々報道される外交・政治関連ニュースの多くが、この第二次世界大戦前後を中心とした歴史認識の問題へと繋がっています。政治家によっても各認識、主張はかなり異なっています。
何も知らずに、ただ政治不信を唱えるのではあまりにもったいないです。徴兵なく過ごせる日々になってまだ60年。
図書館に行けば関連書籍はものすごくたくさんあり、様々な検証、立場も知ることができまます。
ぜひ各自で調べて『見て』、自分なりの歴史認識を深めるとよいかと思います。