「知る・触れる」編 ~知るきっかけづくり~

【第5回】 『国歌』を、知っていますか?

国歌の詞は、はるか昔、万葉集の詠み人知らずの歌から採られたものです。

君が代の『君』は、『自分が愛する人』であり、大切に想う人へ向けて『長生きしてね』と思いやる歌です。
生まれながらの人が持つ、最初の純粋な美しい気持ちですね。

自分が生まれた土地の良さ、傍の大切な人を愛すること。
これが出来てはじめて、自分が生まれていない土地や関わらない人への尊敬も生まれます。逆はありません。

無事大人に成長したり長生きできるのは、自分一人きりの力では成しえません。
この国で生まれ育った人は皆、この国の誰かの血税の恩恵にあずかって教育を受け、治療を受け、眠り、平和的に食べ物を確保できているということは、まぎれもない事実です。税金だけではありません。
真面目に「誰の力にも頼ってなんかない!」と思うなら、ただの何も知らないだけの『厨二』です。

国家、日の丸と軍国主義とがむやみに結びつけられることもありますが、文献で少し調べればそこに源たるルーツなど無いことがすぐに分かります。調べたうえでの立場ならいざしらず、流言や雰囲気だけで流されることのないように……。
自分が根を下ろすべき場所についてきちんと調べてから決めることは、悔いなく生きていくためにとても大事な手順です。

国歌とは、一人一人が大事に想ったもの、小さな小さな存在の私たちの『愛情』を拾ったものの、集約・反映です。
自分が生きることさえ難しかった古代日本で、誰かの命を慈しむ心がすでにありました。
詠み人知らずの歌の心が、今日まで千年以上も引き継がれてきたであろうことを、すなおに誇ってよいと思います。

国歌斉唱とは、今その場に立てるのは決して一人だけの力ではないという『絆』を感じる大事な瞬間です。
自分たちの心の歴史の象徴の歌なのですから、これからも堂々と斉唱して、大切にしていきたいですね。

1.西川貴教(T.M.Revolution) 日本国国歌 - 君が代

2.松崎しげる 国歌独唱

3.君が代 秋川雅史

4.素晴らしい歌声 君が代 独唱

同じ国歌のメロディーでも、歌う人によってこんなにも世界が変わります。
どれが良くてどれが悪いというようなものではないことが分かります。
どれも良い、ということだって現実には結構よくあることなのです。
たった5フレーズのとても短い歌なのに、不思議な感じがしますね。

珍妙に歌い方を変えようとするのではなくて「自分らしい心で歌おう」という気持ちのあらわれが、それぞれの歌に違いを生み、美しい輝きを与えるのでしょう。真心こもった歌声だからこそ聴く人の心に自然と沁みていくのですね。

不思議なもので、心がこもってるかそうでないかは、音楽オンチでもわかっちゃったりするんです。
歌い終わった後の笑顔だけは偽ることができません。表現を終えたときの彼らの清々しい表情を、聴衆も見たいのです。

もとは『声』であった言葉や文字にも、全く同じ法則があてはまります。
伝わらないときは、もしかしたら、真心をこめて文字を書いていないのかもしれません……ね。