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- こちら藤沢家四兄妹
- 日時: 2014/10/27 23:29
- 名前: 和泉 (ID: l5ljCTqN)
初投稿です。
よろしくお願いします。
☆special thanks☆
ちゅちゅんがちゅんさま
冬の雫さま
紫桜さま
猫又様
はるたさま
八田 きいちさま
夕衣さま
波架さま
また、読んでくださっている皆様。
☆目次☆
日常編
>>1 >>3 >>5 >>7 >>10 >>11 >>14 >>18 >>19
>>22 >>23
夏祭り編
>>26 >>27 >>28 >>31 >>32 >>33 >>34 >>37
>>45 >>47
長男過去編
>>55 >>58 >>61 >>63 >>65 >>68 >>71 >>73
>>77 >>78 >>79 >>84
双子お使い編
>>86 >>89 >>90 >>92 >>93 >>96
次女誘拐編
>>100 >>102 >>103 >>104 >>105 >>107 >>108 >>109
>>111
長女デート編
>>112 >>114 >>117 >>118 >>119 >>120
長男長女の文化祭編
>>122 >>123 >>124 >>129 >>131 >>132 >>133 >>134
>>135 >>136 >>137 >>140 >>141 >>146 >>147 >>148
>>149 >>150 >>154
佐々木杏奈の独白
>>157 >>158 >>159 >>163
同級生と藤沢家編
>>164 >>165
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- Re: こちら藤沢家四兄妹 ( No.90 )
- 日時: 2013/08/23 17:50
- 名前: 和泉 (ID: 60TA9nBF)
♯35 「長女と赤ずきんと双子」
「赤ずきん、この花畑でお花を摘んで持っていくといいよ」
「わー素敵」
「カ—————ッッットォォォ!!」
教卓から、クラスメイトの一人が叫んだ。
「藤沢さん!!なんでそんなに棒読みなの!?」
「失礼な。あたしの精一杯よ」
「嘘でしょ!?嘘っていってよお願い!!」
「あたし最初に言ったじゃない。
あたしは演技できないわよって」
「だってここまでなんて思わないよ!!」
はい、こんにちは。
藤沢リカです。
あたしはただいま秋の文化祭で演じる赤ずきんの稽古中です。
あたしが何役か?
会話を見たらわかるでしょう。
もちろん赤ずきんです。
まさかの主役です。
ちなみにオオカミをやってるのは誰かと言うと。
「そもそもあたしはこいつがオオカミと言うことが気に入らない」
「ひどいよ藤沢さん」
そう、期待を裏切らず日下部音弥である。
「ああ、私はキャストをミスしたかもしれない…」
あたしの隣でクラス委員兼劇の監督である三好ユキが頭を抱えた。
「他学年にも人気の高いイケメンの日下部と、美少女のリカを主人公に当てれば、人気投票一位かもと思ったのに!!」
打算だらけですね、お嬢さん。
はい、残念でした。
みんなに押されまくって赤ずきんにほぼ強制で決定したあたし。
でもあたしは最初に言った。
下手だよって。
あたしは演技というものが一切できない。
もはや大根役者の域を通り越しているといっても過言ではないくらいだ。
それでもいいからとおしたのはそちらである。
「藤沢さん、気持ちを込めて!!」
「あら、ありがとう」
「わー、もうどうしようかこの一本調子」
文化祭の劇の発表はコンクール形式で、投票で優勝や準優勝が決まる。
だからみんなどうにかして勝とうと必死だ。
あたしや日下部がメインキャストになったのも、票を獲得するためらしい。
だがしかし。
あたしに演技を求めるな、クラスメイトよ。
それからしばらくして、ずっと黙りこんでいた監督のユキが叫んだ。
「決めた!!あたし台本を書き直す!!」
「え」
「リカ、演技しなくていい。
あんたが素のままでやれる赤ずきんをあたしがつくればよかったのよ。
目指せ!!赤ずきんパロディ!!」
それでいいのか監督よ。
「今から台本書き直すから、その間に衣装あわせしててよ。
リカ、お兄さんに衣装借りたんでしょ」
そうだった。
ナツ兄も一昨年中学三年生の時、この中学で赤ずきんをした。
ナツ兄の役がなにか?
もちろん女装して赤ずきん役だ。
そのときの服が残っていると言うので、借りたのだ。
わかったとうなずいて席に戻る。
あの状態のユキは止められない。
ため息をついて衣装の入った紙袋をさがして、固まる。
やばい、家に忘れた。
とりに帰ろうか、どうしようか。
慌てた頭でぐるぐると思考を巡らせていると。
『リカ姉!!!!!!』
聞こえるはずのないものが、聞こえた。
振り替えると、教室のドアの戸口にいたのは。
「アヤちゃん!?ヒロくん!?」
アヤと、ヒロだった。
- Re: こちら藤沢家四兄妹 ( No.91 )
- 日時: 2013/08/23 20:05
- 名前: 夕衣 (ID: siGOcKQj)
ええっ!?そうだったんですか!?
なんだぁ、なんか安心しました。
更新したら、お教えしますね!
音弥、リカにアピってるところが好きです。
いつか結ばれたらなー…とか思ってます!
リクエストいいですか?
例にもあった「今度こそ2人きりデート!」です!
- Re: こちら藤沢家四兄妹 ( No.92 )
- 日時: 2013/08/24 23:01
- 名前: 和泉 (ID: DrxGkANi)
♯35 「同級生と長女とクラス委員」
「かわいー!!」
「何歳!!?」
「五歳です」
「うちの弟になる!?」
「あ、ほらクッキーあげる!!食べて食べて」
「ありがとう、おねーさん」
藤沢さんの忘れ物を届けに、クラスにやってきた天使(双子)に
俺、日下部音弥を含むクラス全員が悩殺された。
みんな双子の気を引こうと必死である。
そんなクラスメイトから離れて、
「へえ、そうなの。
うん、うん、わかった。
大丈夫、無事よ。今はクラスでお菓子もらってる。
大人しくしてるから、このままいさせて帰り一緒に連れて帰るわ」
教室のすみ。
校則違反のケータイで、藤沢さんはナツさんに電話をしていた。
違反じゃん、もってていいの?と以前聞いたとき、
お母さんが何かあったとき、すぐに連絡がとれるように許可をもらったと彼女はいった。
何か起きる可能性があるんだね、そう聞くことは俺にはできなかった。
ぼんやりと話す藤沢さんを眺めていると、
「音弥兄ちゃん、音弥兄ちゃん」
つんつん、と服の裾を引っ張られる。
振り向くと片手にクッキーを持ち、にこにこ笑うアヤちゃんの姿が。
「どしたのー?」
聞きながら頭をなでる。
ああ、もうかわいいなぁ。
ちっちゃい子ってどうしてこんなにかわいいんだろ。破顔しながらアヤちゃんの頭を撫でていると、アヤちゃんは一言。
「えへへ。音弥兄ちゃんにね、また会いたいなぁって思ってたの。
会えて嬉しい!!」
やばい、今ときめいたぞ。
ちまちまと歩み寄ってきたアヤちゃんは、ぎゅうっと俺の足にしがみついた。
「ふふっ」
嬉しそうに笑うアヤちゃん。
どうしよう、かわいすぎるんですがこの子。
心臓がノックアウト寸前を訴えだしたその時。
ビ————————ッッッ!!!!
けたたましい音がなった。
耳がいたくなってとっさにふさぐと、駆け寄ってきた藤沢さんが
「こら、ヒロ!!」
アヤちゃんの近くにいたヒロくんをばしっとはたいた。
何かと思ってみてみると、ヒロくんがトトロの形の防犯ブザーを鳴らしている。
藤沢さんにはたかれたヒロくんは、むっと口を尖らせて、一言。
「だってナツ兄が言ってたもん!!
変な人が怖かったらこれを鳴らせって!!」
ちょっとまて。
変な人ってなんだ変な人って。
吹き出したのは、後ろにいたクラス委員の三好ユキだ。
三好が吹き出したことで、クラスにもくすくす笑いが広がる。
俺=変な人ですかヒロくん。
「あー、ロリコンね」
後ろに立っている三好が笑いながら言う。
三好、お前五歳児の前でしれっと言うなそんな言葉!!
「だって、顔があやしかったんだもの」
そしてヒロくんはヒロくんでこんな感じ、と頬を下に引っ張って見せた。
わかってますよ、アヤちゃんにでれでれしてましたよごめんなさいね!!
もう三好やクラスメイトの爆笑は最高潮だ。
そのノリに困ったような顔をしながら、藤沢さんは双子をなでて三好に向き直った。
「ごめん、この子達ここにいさせてもいい?
大人しい子達だから、迷惑はかけないわ。
もし迷惑をかけるようなら連れて帰るし。」
そんな藤沢さんに、三好はひらひらと手を振る。
「いいよ、気ぃ使わなくて。
むしろ癒しをありがとう。
ただロリコンには気を付けてね」
三好が親指をたててぐいっとこっちを示す。
やめてくれ。
「音弥兄ちゃん、ロリコンってなーに?」
アヤちゃんもそんなキラキラした目でそんなこと聞かないで。
今にも泣きそうな俺に、藤沢さんは一言。
「日下部のことよ。気にしないでいいわ」
よし、決めた。
俺泣こう。
- Re: こちら藤沢家四兄妹 ( No.93 )
- 日時: 2013/08/24 23:03
- 名前: 和泉 (ID: 98AXyywb)
♯36 「同級生の恋心」
その後、トイレにいきたいと言った双子をつれて藤沢さんが教室を出ていった。
衣装あわせも再開される。
俺の出番じゃなかったので教室のすみに退散し、
台本を書き直している三好の、隣の席に腰かけた。
もちろん文句を言うためだ。
「やってくれたなクラス委員」
「なんのことかなロリコン野郎」
「ロリコン言うなばか」
くそっとすねて机につっぷす。
すると、三好がくすくすと笑った。
「それにしても驚いたなぁ」
「なにが」
「リカの顔だよ。
あんな優しい顔してるの、初めて見たかもしんない。
いつだって、余裕たっぷりの不適な笑みか、無表情かしかしないリカが。
ずいぶんとやさしい顔するんだな、と思って」
うん、俺もだよ。
心のなかで返事する。
初めて藤沢さんから家族の話を聞いたときに見た、
柔らかな笑みは今も忘れられない。
家族が大好きなんだな。
漠然と感じたその思いは、藤沢家の秘密を知った今じゃ少し変わった。
大事にしたいのだ、藤沢さんは。
家族の優しさも、愛も、幸せも知らなかった藤沢さん。
そんな彼女が初めて知った幸せが、きっと藤沢家なのだ。
だから執着する。
はじめての幸せを守るために藤沢家に執着する。
イチコーに受かることにこだわるのも、
きっと藤沢家を守るために彼女に必要なことなのだと今ならわかる。
「俺さ、初めて藤沢さんのあの顔を見たとき、正直悔しかったんだ」
「うん」
三好は黙って俺の話を聞く体制にはいった。
「俺の知らない顔が藤沢さんにはまだたくさんあるんだってことや、
俺にはそんな優しい顔見せてくれないんだってことが」
「わかるよ」
私も、今まさにそうだもの。
クラスで一番藤沢さんと仲がいい三好。
三好も俺と同じ思いを抱いていたようだった。
でも、でもね。
俺はね。
「だから決めたんだ。
藤沢さんにあんな顔をさせることができるくらいの男になってやるって」
藤沢さんの全部を、受け止められるくらい大きな男になってやるんだ。
俺の言葉に、三好が目を丸くする。
そして放った一言は。
「ただのロリコンじゃなかったんだね」
「泣いていいですか」
なくぞお前。
うらみがましくにらむと、三好はひらひらと手を振った。
「うそうそ、冗談。
日下部、リカのこと大好きなんだね」
その言葉に、返事はしなかった。
そんなことは本人にだけ伝わればそれでいいから。
なにも言わない俺に、三好はふっと微笑んだ。
「意外と健気なんだね。気に入った。
日下部、いいこと教えてあげる」
三好がそっと俺の耳もとに口を寄せる。
そして、小さな声でこう言った。
最近、リカはあんたといるときもすごく優しい顔をしているよ。
私が妬いちゃうくらいにね。
三好の言葉に、体温が急上昇した。
「さっさとくっつけよばか。
はやくリカを落としてこい。」
ねえ、藤沢さん。
俺、ちょっとは君に近づけたって思ってもいいのかな?
- Re: こちら藤沢家四兄妹 ( No.94 )
- 日時: 2013/08/24 23:06
- 名前: 和泉 (ID: 98AXyywb)
夕衣さん
ありがとうございます。
リクエストも、ほんとに嬉しいです。
音弥とリカ、そのうちデートさせますね!!
今流れも音弥くんに来てるので!
音弥が大きな男になれることを祈っててください。
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