コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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こちら藤沢家四兄妹
日時: 2014/10/27 23:29
名前: 和泉 (ID: l5ljCTqN)

初投稿です。
よろしくお願いします。


☆special thanks☆

ちゅちゅんがちゅんさま

冬の雫さま

紫桜さま

猫又様

はるたさま

八田 きいちさま

夕衣さま

波架さま

また、読んでくださっている皆様。


☆目次☆

日常編 

>>1 >>3 >>5 >>7 >>10 >>11 >>14 >>18 >>19
>>22 >>23

夏祭り編

>>26 >>27 >>28 >>31 >>32 >>33 >>34 >>37
>>45 >>47

長男過去編

>>55 >>58 >>61 >>63 >>65 >>68 >>71 >>73
>>77 >>78 >>79 >>84

双子お使い編

>>86 >>89 >>90 >>92 >>93 >>96

次女誘拐編

>>100 >>102 >>103 >>104 >>105 >>107 >>108 >>109
>>111

長女デート編

>>112 >>114 >>117 >>118 >>119 >>120

長男長女の文化祭編

>>122 >>123 >>124 >>129 >>131 >>132 >>133 >>134
>>135 >>136 >>137 >>140 >>141 >>146 >>147 >>148
>>149 >>150 >>154

佐々木杏奈の独白

>>157 >>158 >>159 >>163

同級生と藤沢家編

>>164 >>165

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Re: こちら藤沢家四兄妹 ( No.25 )
日時: 2013/08/09 22:23
名前: 和泉 (ID: tH3mbyH6)  


夕紀さん

ありがとうございます!!

夏祭りは波乱がいっぱいですよ!

Re: こちら藤沢家四兄妹 ( No.26 )
日時: 2013/08/10 09:54
名前: 和泉 (ID: ilLKTbvz)  



♯11「長男とクラスメイト」


「藤沢、夏祭り一緒にいかない?」

「ごめん、俺兄妹と行くから」

「えー、高校生で兄妹でいくとかマジであるの?
実は彼女とかいるんじゃないの?」

「いないってー」


ああ、もう。うざい。

俺は夏祭りにいこういこうとしつこいクラスの女子ににっこりと笑顔を向けた。
ああそうだよ、まじで高2になっても兄妹で夏祭りにいく家庭はあるんだよ!
すなわち藤沢家だよこのやろう!!



夏休み。
ぶっちゃけ俺、藤沢ナツの通うイチコーにはそんなものは存在しない。
夏休みにも全員必修の補修がつきまとうからである。
俺ももちろん例外なく補修である。

今日の夕方夏祭りがあるとか、
学校からしたら知ったこっちゃないのだろう。



目の前で、クラスの女子が騒ぐ。
どんだけいったって、俺はあんたらとは夏祭りに行かないから。
そんな言葉も口から出ないほど、俺は正直やつらの騒がしさに疲れていた。

そっと、目を伏せる。

その時。


どさり、という音と共に俺の前に大量のノートが置かれた。

ぽかんと口を開けた俺とクラスの女子が顔をあげると、そこには

「藤沢くん、補修のノート出してください」

うつむきながらの小さな声で、それでもきっぱりと場を遮るようにそう言い放つ、学級委員の佐々木杏奈がいた。



佐々木杏奈はうちのクラスの学級委員で、比較的目立たない生徒だ。

俺も今年初めて同じクラスになり、話したことも数えるほどしかない。


でも今この現状に佐々木が助け船を出してくれたんだと、
気づかないほど鈍感にはなれなかった。


「早くだしてください」


もう一度同じセリフが繰り返された。
女子たちは気持ちがそがれたのか、つまらなさそうに佐々木を睨み付けて去っていく。

それを見送ってようやく一息ついた俺は、補修のノートの山を半分手にした。

「ありがと、正直助かった。お礼に半分もつわ」

「ありがとうございます」


ノートをもって、教室を出た。職員室までは割りとすぐだ。

なにを話すでもなく足を進めていると、ふと佐々木が口を開いた。


「藤沢くんは、家族をとても大切にしているんですね」


それは予想外の一言だった。
さっきの話聞いてました、すみませんと繋げて、佐々木はそっと俺から目をそらした。


「私はあまり、家族には恵まれなかったので。
大事にできる家族がいるというのは羨ましいです」


そういって緩く口許をあげる。

その笑顔が何故かひっかかった。


なんでだろう。
俺はこの笑顔を、ずっと前から知っているような気がする。


「藤沢くん?」

「あ、ごめん。なんでもない」

「そうですか」


そう言って、職員室前に到着した佐々木は、すっと俺からノートを取り上げた。


「ありがとうございました。

妹さんを大事にしてあげてくださいね」



そういって、職員室に消えた佐々木。

それを見送って、ふと思った。




俺、兄妹がいるとは言っても、妹がいるなんて言った覚えはないんだけど。



佐々木に、妙な胸騒ぎを感じた瞬間だった。

Re: こちら藤沢家四兄妹 ( No.27 )
日時: 2013/08/10 11:22
名前: 和泉 (ID: AzAx2/ma)  


♯12「長女と夏祭りと藤沢家の秘密」


人が多い。

神社の境内で、あたしは自分の浴衣を見下ろしながらそっとため息をついた。

淡い水色に白とピンクの小花が散っている浴衣。
帯は綺麗な山吹色。
あたしより身長の高いはずの母さんの浴衣は、着てみると驚くほどぴったりだった。
きっと隠れて裾をあげてくれていたんだろう、ばればれだよ。


「リカ姉、リカ姉。アヤ、浴衣似合ってる?」


あたしに手を繋がれたアヤが嬉しそうに尋ねる。
今日その質問は何回目だろう。よっぽど嬉しかったんだろうな。

確かに母さんが縫った茜色の浴衣は、アヤによく似合っていた。

「すっごくかわいいよ」

そう言って笑ったところで、ヒロを連れて川原に花火を見るための場所取りに行っていたナツ兄が帰ってきた。
心なしかぐったりしている気がする。
そりゃそうか、川原なんて花火を見るための特等席みたいなものだ。
想像を絶する戦いがあったのだろう。

「よし、行くかー。
とりあえず花火があがるのが二時間後だから、今から遊び倒すとして」

気を取り直してナツ兄が笑う。その言葉の続きを引き取った。

「花火が始まる30分くらい前に出店で食べ物買って、ナツ兄がとってきてくれた場所で花火見ながらご飯にしましょうか」


そう言ってヒロとアヤをみれば、二人はきらきらと目を輝かせた。

さて、これは祭りに連れてきたかいもあったと言うものだ。


「何から遊ぶ?」

ナツ兄が元気よく双子に尋ねた。
しかし双子の回答は

『バーン!!』

もはやただの擬音語である。
ナツ兄はかなり困惑した顔で、

「バーン!?バーンてなんだ!?」

と悩んでいた。
もう、バーンと言えばひとつしかないだろう。

「そうね、射的いきましょうか」

『わーい!!』

「バーンて射的のことなの!?
よくわかるなリカお前!!」
「バーンの次は何がいい?」
『ぽいってするやつ!!』

「金魚すくいね」

「ねえなんでわかるのお姉さん!!」


わめくナツ兄を放置して、あたしはアヤの手を引いて、祭りのざわめきの中を歩き出した。



射的の出店はまだあまり人がいなかった。
これ幸いとお金を払って双子に鉄砲をもたせてやる。

しかしそこは五歳児。
よろめいて的が定まらず、一発も的中することなく終了。
涙目になった双子の代わりに、

「よし俺がいく!!」

とナツ兄が意気込んで鉄砲を手にしたが、案の定全部外れた。

「情けないわね」

ため息をついてそう言えば、ぐるんとナツ兄がこちらを振り向いた。

「うるせー!!そういうお前はまだやってねえじゃねぇか!!」

「………へぇ。
あたしがナツ兄みたく意気込んで無駄に期待させたあげく全部外したりするとでも?」


なめんじゃないわよ。

緩く口許をあげて見上げれば、一気にナツ兄の顔が青ざめた。

そんなナツ兄を放置して、あたしは200円を出店のおばちゃんに渡す。



さあ、あたしに鉄砲を持たせたことを後悔するがいいわ。

Re: こちら藤沢家四兄妹 ( No.28 )
日時: 2013/08/10 12:08
名前: 和泉 (ID: /N0hBVp7)  


♯13「長男と夏祭りと藤沢家の秘密」


後悔した。

藤沢リカに射的をやらせたことを後悔した。

俺じゃない、きっと射的のおばさんがだ。


「リカ姉すげー!!」

「リカ姉、次はあれも!!」

「黙んなさいよ、集中が切れる」


この状況を強いていうなら、女王様が降臨した。


射的の一回で使える弾は5発。
リカは今3発目をうったところ。
手元にある景品の数は六個。
おわかりだろうか。

リカは一発の弾で平均二つは景品を勝ち取っているのである。

さっきはキャラメルの箱の縁に弾をあて、跳ね返らせた弾で近くのぬいぐるみを倒すという神業を披露した。


射的のおばさんはすでに涙目である。

「ナツ兄」

「はい、なんでしょう!」

そしてリカは放った。
恐怖の一言を。

「千円あれば確実にこの店の景品全部手にはいるけど、どうする?」

「やめてあげてぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!」

双子の目が輝いた。
しかし出店のおばさんの目は死んだ。

兄ちゃんはやらせんからなそんなこと!!!!!



その後、射的でスイッチが入ったらしいリカはもう無双状態だった。
金魚すくいをすれば店の最高記録をうちだし、ストラックアウトをすれば全部的中。
一時間がたつ頃には、出店の連絡網でリカの情報が回ったらしい。
リカが行った出店の主人の顔が青ざめていた。

「水色の悪魔」の名がちらりと聞こえたから間違いないだろう。


しばらくして散々景品を勝ち取り、いい加減周りの目が痛くなってきたとき、ヒロがぴたりと足を止めた。
なんだろうと見てみると、そこにあったのは飴細工の出店だった。

ヒロがそれをすっと指差す。

「ナツ兄、あれ買いたい」

「え」

「おかーさんのお土産に、あれ買いたい」


キラキラ光る飴細工。
ヒロがそれをじっと見つめてそう言った。

ああ、いい子に育ったな。
ふとそう思って泣きそうになった。


「いいよ」

そう言って飴細工の出店に近づく。

リカが300円をだすと、出店の兄ちゃんが愛想よく笑った。

「なんの形にしますか?」

母さんのお土産。
なんの形がいいかな、と考えた瞬間。

『ム●カ!!』

双子が叫んだ。

「おいこらちょっと待て!!」
俺も続けて叫ぶ。
ちょっと待てお前ら!!
出店の兄ちゃんもびっくりしてんじゃねぇか!!
ム●カを母さんの土産にする気か!!
3分待てとかまたいう気か!!
お前らさっきの俺の感動を返せ!!


「んー、兄ちゃんちょっとムス●つくるのは厳しいかなぁ」

出店の兄ちゃんが苦笑する。
そりゃそうでしょうね。
五歳児にそんな注文受けたり普通しませんよね。

呆れがおで俺が頭を下げたとき、ぽつりとリカが呟いた。


「桜の花の形にしてください」


出店の兄ちゃんがうなずいて飴をつくりだす。

俺はそっとリカの横顔を見つめた。

リカはまだあの日のことを覚えているんだろうか。


桜が咲いていた道路。
歩道橋から身を乗り出した女の子。
叫んだ母さん。
抱き締め合う二人を眺めていた俺。
二人の代わりに、空を舞った母さんの桜色のショール。


あの日から、桜は藤沢家の象徴だ。


ぼんやりと器用に作られていく桜の飴細工を眺めていたとき、後ろから声がかかった。

「あれー、藤沢だー」


振り替えると、そこにいたのは。



数人のクラスの女子だった。

Re: こちら藤沢家四兄妹 ( No.29 )
日時: 2013/08/10 12:57
名前: ちゅちゅんがちゅん (ID: Um9v9XPS)

リカちゃん最強だああああああああああっ!!!!!!!

リッカちゃああああああああん最強過ぎるよこんちくしょおおおおおおおおおお

リカちゃん怖いです、凄すぎて怖いです、
多分何やってもさらりとやってのけちゃうんだろうなあ!!

今回も面白かったです! 更新頑張って下さい!
まった来まーす!


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