コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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こちら藤沢家四兄妹
日時: 2014/10/27 23:29
名前: 和泉 (ID: l5ljCTqN)

初投稿です。
よろしくお願いします。


☆special thanks☆

ちゅちゅんがちゅんさま

冬の雫さま

紫桜さま

猫又様

はるたさま

八田 きいちさま

夕衣さま

波架さま

また、読んでくださっている皆様。


☆目次☆

日常編 

>>1 >>3 >>5 >>7 >>10 >>11 >>14 >>18 >>19
>>22 >>23

夏祭り編

>>26 >>27 >>28 >>31 >>32 >>33 >>34 >>37
>>45 >>47

長男過去編

>>55 >>58 >>61 >>63 >>65 >>68 >>71 >>73
>>77 >>78 >>79 >>84

双子お使い編

>>86 >>89 >>90 >>92 >>93 >>96

次女誘拐編

>>100 >>102 >>103 >>104 >>105 >>107 >>108 >>109
>>111

長女デート編

>>112 >>114 >>117 >>118 >>119 >>120

長男長女の文化祭編

>>122 >>123 >>124 >>129 >>131 >>132 >>133 >>134
>>135 >>136 >>137 >>140 >>141 >>146 >>147 >>148
>>149 >>150 >>154

佐々木杏奈の独白

>>157 >>158 >>159 >>163

同級生と藤沢家編

>>164 >>165

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Re: こちら藤沢家四兄妹 ( No.55 )
日時: 2013/08/15 20:51
名前: 和泉 (ID: tqRRDXqi)  


♯21 「このからだは、あとどれくらい」


ゆっくりと目を開けた。

もう夕方らしい。
夏は日が落ちるのが遅いから、明るくてわかんなかったよ。

だるくてうまく動かない体をどうにか動かせば、
扉がかすかに動いたのがわかった。


「だぁれ?」


尋ねると、大好きな人が顔を出した。

「起きていて大丈夫?涼子さん」

かなめくんだった。
私の大好きな人、かなめくん。


かなめくんは私の部屋に入ってきて、ベッドの端に腰かけた。


「これ、あの子達から。
昨日の夏祭りのお土産だって。
ほんとはヒロとアヤが渡したがってたみたいなんだけど、
お母さんを疲れさせたくないからお父さんから渡してって預かった。」


そういって、手にのせられたのは小さなメモが四枚。それから、桜の花を型どった、綺麗な飴細工。


『しっかり寝て、大人しくして早く治してくれ』

これはナツくん。

『浴衣、裾直してくれてありがとう。丁度だったよ』

これはリカちゃん。

『みすいろのあくも』

これはヒロくんだな。
なんて書きたかったんだろう。
水色の悪魔かな?
いったいなんなんだ、それ。

『だいむき』

これはリカだね。
だいすきって書こうとしてくれたんだな。
だいむきになってるけど。

くすくすと笑いながらメモを見たあと、飴細工に手を伸ばした。
夕日にきらきらと反射して光る。
綺麗だなぁ、と見いってしまった。


『神様なんて、いないよ』

『帰る場所なんてない!!』

『ふたりぼっちはもうやだよ』

『ただいまって、いってもいいの…?』


小さなあの子達の声。

全部、桜の木の下から始まった。

ああ、あのこたちは大きくなったんだなぁ。
大きくなって、優しくなった。
そして、強くなった。

それが、どうしようもなく嬉しくて、はらりと涙がこぼれた。


「涼子さん…………」

かなめくんが、私の頭を撫でてくれる。
私は泣きながら笑った。

「変なの。嬉しくて、寂しい」

「涼子さん」

「私、あとどのくらいかな」

「涼子さん!!」


体が小さくなった。
それなのに重くなった。
痛くて、だるくて、目を開けていられない。

自宅療養は、きっと次の検診で強制的に終わる。

来年はきっと、浴衣を縫ってあげられない。


私はあのこたちのそばにはいてあげられない。


わかりきってた、答えだ。


「今年も桜、みたいね」

「見ようよ、お花見しよう」

「来年は、ヒロとアヤも小学生だし。
入学式、いかなくちゃ。
リカの卒業式もいかなくちゃね」

「そうだね」

「それから、来年の夏は私がヒロとアヤを祭りにつれていってあげるの」

「うん」

「叶えたいこと、いっぱいだ……」


涙が止まらない。
悔しいのか、寂しいのか嬉しいのかわかんないけど、とまらなかった。



私はきっと、みんなよりもはやくさよならを言わなくちゃいけない。

そのときができるだけ先になるように。



お願い、もう少しだけ待っていて。

Re: こちら藤沢家四兄妹 ( No.56 )
日時: 2013/08/15 20:58
名前: 紫桜 (ID: 4mXaqJWJ)

すごい、胸をしめつけられるような切なさがあって、しばらく呆然としていました。

涼子さん、ふわふわしてるだけじゃなかったんですね・・・!

Re: こちら藤沢家四兄妹 ( No.57 )
日時: 2013/08/16 14:20
名前: 和泉 (ID: e.d4MXfK)  


紫桜さん

そうなんですよ。
ふわふわしてるだけじゃないのですよ、涼子さんは。

その内、涼子さんのいろいろも書いていきたいと思ってます。

Re: こちら藤沢家四兄妹 ( No.58 )
日時: 2013/08/16 14:21
名前: 和泉 (ID: e.d4MXfK)  


♯22 「同級生と長女とデート(らしきもの)」


「ねえ、日下部くん。
今度の土曜日、時間ある?」

塾で、藤沢さんが俺に尋ねた。

………それはいったいどういう意味ですか、藤沢さん。

一瞬硬直した俺に、藤沢さんは動じることなくこう言い放った。

「買い物に付き合ってほしいの。
ほんとは一人で選んだ方がいいんだろうけど、
男の子が欲しがるものとかわかんないし。
だめならいいんだけど」

それはデートですか!?
デートのお誘いだと思ってもいいんですか!?

一気に跳ね上がった思考回路に、
ふとちょっと待てとストップがかかった。

今なんて言った、藤沢さん。


男の子が欲しがるものとかわかんないし。


男の子にプレゼントするんですか藤沢さん!!!

ほぼパニックになり、ぐるぐると頭を回していると、

「落ち着きなさいよストーカー。
ナツ兄の誕生日プレゼントよ、人の話を聞け。」

ばしこん、と頭をはたかれた。
ナツ兄、と言えばナツさん。
柔らかい笑顔で背も高くてかっこいい、藤沢さんのお兄さんだ。

そんなお兄さんは、こないだの夏祭りで俺をナンパだと思い込み、
飛び膝蹴りを喰らわすと言う暴挙に出た。
あんな細いからだから、
なんでこんな力が出るんだと突っ込みたくなるくらい、かなりの威力だった。

痛かった。

藤沢さんの前じゃなかったら号泣してたくらい痛かった。


もちろんそのあと、ナツさんから平謝りされたが、一通り謝罪されたあと。


『あ、でもね。
中途半端な気持ちでうちの妹に手ぇだしたら、飛び膝蹴りじゃすまないからね』

にっこり笑顔でそういわれた。
俺、ほんとに泣こうかと思った。



それ以来、ナツさんは俺の中の要注意人物だ。

そんな人の誕生日プレゼント。
……だめだ、下手なもん選んだら殺られる!!


「来週の日曜日、8月の11日ね。
ナツ兄の誕生日なの。
だから前日にプレゼント買いたくて」

「いいよ」


なんでもいいですよ、この際。
俺は一も二もなくうなずいた。

藤沢さんを好きになって、一年ちょっと。
ようやく頼ってもらえるようになった。
ようやく一緒に出掛けてもらえるようになったんだ。

簡単にはチャンスは手放せない。


………うん、とりあえずお兄さまが喜びそうなものをリサーチしておこう。
うん。

Re: こちら藤沢家四兄妹 ( No.59 )
日時: 2013/08/16 14:37
名前: 猫又 (ID: GXbeschk)

やぁやぁ、和泉様。調子はどうだい?あ、ごめんなさい調子に乗りました許して!
もーーーーーーーー!
なんなんだよオトヤ君かっけえよ!
すげえよ!!
涼子さん切なすぎるよ!
さよなら、しようかなんて、さみしいこと言わないで往かないで!涼子さあああああああん!!((てめぇこそしね。
あ、ホントごめんなさい、怒らないで。
更新期待して居ますよ!!
オトヤ君を不憫にぃ……フフフフ…


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