コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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こちら藤沢家四兄妹
日時: 2014/10/27 23:29
名前: 和泉 (ID: l5ljCTqN)

初投稿です。
よろしくお願いします。


☆special thanks☆

ちゅちゅんがちゅんさま

冬の雫さま

紫桜さま

猫又様

はるたさま

八田 きいちさま

夕衣さま

波架さま

また、読んでくださっている皆様。


☆目次☆

日常編 

>>1 >>3 >>5 >>7 >>10 >>11 >>14 >>18 >>19
>>22 >>23

夏祭り編

>>26 >>27 >>28 >>31 >>32 >>33 >>34 >>37
>>45 >>47

長男過去編

>>55 >>58 >>61 >>63 >>65 >>68 >>71 >>73
>>77 >>78 >>79 >>84

双子お使い編

>>86 >>89 >>90 >>92 >>93 >>96

次女誘拐編

>>100 >>102 >>103 >>104 >>105 >>107 >>108 >>109
>>111

長女デート編

>>112 >>114 >>117 >>118 >>119 >>120

長男長女の文化祭編

>>122 >>123 >>124 >>129 >>131 >>132 >>133 >>134
>>135 >>136 >>137 >>140 >>141 >>146 >>147 >>148
>>149 >>150 >>154

佐々木杏奈の独白

>>157 >>158 >>159 >>163

同級生と藤沢家編

>>164 >>165

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Re: こちら藤沢家四兄妹 ( No.10 )
日時: 2013/08/08 18:13
名前: 和泉 (ID: mt9AeZa7)  


♯5「冷血長女の日常 2」

「そういえばさ、俺も聞きたいことあるんだけど、いーい?」

日下部が首をかしげてこちらを見てきた。
どうぞ、とそっけなく返して、英語のワークに目を落とす。
聞くなら聞けばいい。返事をするとは誰も言ってない。

すると、日下部はのんびりとこう尋ねた。


「なんで、志望校イチコーにしたの?」


イチコー、一ノ宮高校。
あたしの家から徒歩十分ほどにある高校で、県内有数の進学校。そして、あたしの志望校。
偏差値は口が開くほど高く、今のあたしの成績じゃ、あと少し、手が届かない。
だから毎日毎日狂ったように参考書を解く。
届け、届けと念じながら。
「家から、近いから。歩いていけるし」

「嘘だ」

あたしの返事に日下部が即答する。
やだな、なんでわかっちゃうんだろ。
困ってそっと顔をあげれば、思いの外まっすぐな目をした日下部と目があった。

「だって藤沢さん、なんかしんどそうだもん。最近。無茶、してるんじゃないの?藤沢さんは家から近いからなんて理由で高校選んで、無茶するような子じゃないしょ?」


正解だ。

本当は、家から近いからって理由でイチコーを受験したのはあたしじゃない。


ナツ兄だ。


ナツ兄は今、イチコーの二年生。
あの驚くほど偏差値の高いイチコーで、塾にもいかずトップをとり続けている。
二年前、ナツ兄はあたしの我が儘を聞くために必死に勉強してイチコーに入学した。
母さんにも父さんにもあたしは面倒をかけた。

ナツ兄は優しいのだ。バカみたいに。

イチコー楽しい?ときくと、楽しいと返してくれる。
でも彼女がいたなんて聞いたことないし、友達と遊びにいく姿もしばらく見ていない。


でも、きっとあたしがイチコーにいけば。
あたしが我が儘をした分の埋め合わせを自分ですれば。
きっと、ナツ兄は普通の高校生になれるはずなんだ。
二年もかかっちゃったけど。

「お兄ちゃんと、同じ高校にいきたいの」


小さくつぶやく。

すると、日下部は驚いたように目を開いて、そのあと柔らかく微笑んだ。


「お兄さんのこと、大好きなんだ?」


うん、大好き。

つぶやくと、日下部は「無理しないでね」とそっと私の頭をなでた。


その手が嫌じゃなかったのは、振り払わなかったのは、きっと一時の気の迷いだ。

Re: こちら藤沢家四兄妹 ( No.11 )
日時: 2013/08/08 18:19
名前: 和泉 (ID: mt9AeZa7)  


ちなみにそのときの音弥くんの心境。


「かわいいなもうかわいいな藤沢さん藤沢さん藤沢さん。
いやでもまさか一番のライバルがお兄さんだとは思わなかった。
さてどうしてくれよう。
俺にも大好きって言ってほしいんだけどくそどうしたらいいんだろうああもうかわいいなかわいいな((以下略」


音弥くんはリカちゃん大好きです。

Re: こちら藤沢家四兄妹 ( No.12 )
日時: 2013/08/08 18:36
名前: ちゅちゅんがちゅん (ID: Um9v9XPS)

ぎゃああああ音弥君変態だあああああ

っと、やっふぅ!!来たぜいえーい!!

やっぱりリカちゃんは優しいよ、うんうん。
そして音弥君、そんなに変態だったとは…。知らなかったぜ。

それでは、和泉さん更新頑張って下さい!応援してますよー!

Re: こちら藤沢家四兄妹 ( No.13 )
日時: 2013/08/08 19:25
名前: 和泉 (ID: zypMmNa5)  


ちゅちゅんがちゅんさん

がんばります!!
ありがとうございます!!




さて、ここで一回キャラ紹介。たぶん増えるので。



長男/藤沢ナツ 高2

イチコーの二年生。
頭は大分いい。
「藤沢家」を守るためならなんでもする。
へたれだけど優しいお兄ちゃん。料理上手。


長女/藤沢リカ 中3

中学三年生で、毒舌でドS。
モテているけど正直どうでもいいと思ってる。
二年前の「我が儘」を気にしていて、兄の自由を奪ったと自分を責めている。
でも後悔はしてない。
実はブラコン。


次男/藤沢ヒロ 五歳

お兄ちゃんとお姉ちゃん大好き。
二年前リカの「我が儘」に救われた。
それ以来リカをヒーローだと思っている。


次女/藤沢アヤ 五歳

お兄ちゃんとお姉ちゃん大好き。
二年前リカの「我が儘」にヒロと同じく救われた。
リカをヒーローだと思っているのも一緒。
だから自分の将来の夢はヒーロー。


母/藤沢凉子

ほのぼのしてる。いつでもふわふわ笑顔。
そして天然でドジッ娘。
あんまり体が強くない。
藤沢家の秘密を作った人。

父/藤沢要

母を愛してる。全力で愛してる。爆発すればいいのに、とリカから思われてたりする。
実は小さな会社の社長。
それなりに金持ち。
少なくとも四人大学にいかせるぐらいのお金は持ってる。


同級生/日下部音弥 中3
リカの同級生でリカに片想い中。
半分ストーカー。
リカに救われた内の一人。リカを守りたいとか思ってる。


同級生/佐々木杏奈 高2
ナツの同級生。
リカを妹みたいに大事にしてる。
藤沢家の秘密をしる一人。

Re: こちら藤沢家四兄妹 ( No.14 )
日時: 2013/08/08 20:58
名前: 和泉 (ID: VOLiE0.8)  


♯6「長男とふわふわマザー」


「ナツ兄ー。ナツ兄ー。夕飯なーにー?」

「なーにー?」


双子がわいわいと騒いでいる。
俺は卵を焼きながら、そんな二人に声をかけた。


「暑いから冷麺!!
野菜しっかり食えよー」

『わーい!!冷麺!!』


ヒロとアヤが足にまとわりついてくる。
夕飯作ってるときは来んなっていってんのに、学習しないやつらだ。

でも、今リカは塾で自習中。父さんはまだ仕事から帰ってきていない。

母さんは、きっとまだ寝ている。

寂しいんだろうなってことはわかるから、やりたいようにやらせておく。
包丁に触ろうと背伸びしたときはさすがに怒鳴ったが。


ゆでた麺の上に野菜をがっつりのせて、テーブルにセッティングしてから、母さんの様子を見に行くためエプロンをはずした。
ヒロとアヤが心配そうにこちらを見る。
それに小さく、大丈夫だよと笑って見せた。



自宅の二階の一番奥の部屋。
ノックして、母さんが起きているか確認する。

「母さん?」

いつもは大体返事なんて帰ってこない。
でも、今日は違った。

「あら〜、なっちゃん?」

ふわふわとした声が聞こえた。母さんの声だ。
そっとドアを開けてみた。

するとベッドから体を起こして、ゆったりと伸びをしている母さんと目があった。

「おはよう、なっちゃん」

ふわふわと母が笑う。
今日は随分と顔色がいい。
「もう夕方だよ、母さん」

「あらあら大変。寝坊しちゃったわね」

「寝坊とか言うレベルじゃないし、むしろお願いだから寝てて。
夕飯冷麺作ったけど食べれる?」

「あらあら大丈夫よぉ、そんな病人みたいに扱わなくても。
食べれるわ〜」

いや、あんた病人だから。
自宅療養許されただけの病人だから!!

叫ばない俺はずいぶんと大人になった。

しかし母さんはふわふわと笑いながら続ける。

「ふふ、冷麺かー。なっちゃん、きっといいお嫁さんになるわね〜」

「俺お婿さんになりたーい」
「きっといいおばあちゃんになれるわ〜」

「うん、お願いだから性別変えないで?」

「大丈夫よぉ、なっちゃんかわいいものー」

「ああなんだろうこの会話のつながらない感じ!!」



すさまじい電波っぷりである。俺涙目。


母さんは、もとから体が弱かった。
とうとう風をこじらせたのが原因で、二年前の冬、母さんは入院した。
去年の春に退院し、それから一年、ずっと自宅療養だ。

母さんの体調を気遣って、ヒロとアヤはあまり母親の部屋にはいかない。
幼いながらに気づいてるんだと思う。

母さんの、異常なまでの細さに。


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