社会問題小説・評論板
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- リストカット中毒
- 日時: 2016/02/25 08:02
- 名前: 黒紅葉 ◆uB8b1./DVc (ID: /dHAoPqW)
初めに
初めまして,もしくはお久しぶりです,黒紅葉と申す者です。
私はまだ義務教育を修了してない未熟者ですが,リストカットという問題についての小説を書いていきたいと思います。
まず……私はリストカットはあるべきだと思っています。
私の中でのリストカットは「生きるため」。死ぬのと,切り傷の一つや二つが増える事。
どちらがいい? 当然後者。
なので私の書く話はリストカット賛成の意見が多めになるかと。
ですが,リストカットを正当化しようとは一切思っておりません。
傾向としてはリストカット賛成,でもやめよう,と。
それと,前々から読んでくださっていた方はおわかりになられたかと思います。
半実話,です。最近はほとんど作っているので,四分の一実話……が最も正しいですね。
この掲示板では,そういった重たいテーマはあまり推奨されていませんが,けれどどうしても伝えたいものがあるので,書かせていただいてます。
このスレでは「リストカット」だけの問題ではなく,他の中毒者・社会問題の事も書いていきます。
麻薬,ネット,虐待,DV,性犯罪,その他もろもろ。
また,この小説は暴力・流血描写が多々あります。
お気をつけください。
中傷・晒し・宣伝禁止です。荒しは別に勝手にやっててください。
スレ潰し目的の方は理由を話してくだされば大人しくロック致します。
読んでくだされば。
*
目次
リストカット中毒
序章・人物紹介(前スレから)>>28
瑞貴の話>>73 柚月の話>>78 陽子の話※作成中※
第一章 救いの天使
01 遥か先の未来 >>1
02 見えない穴 >>2
03 中庭でお話しましょう >>3
04 その時はまた >>4
05 興味 >>5
06 ネット >>6
07 中毒 >>7
08 迷子 >>8
09 精神迷子 >>12
10 覚醒 >>19
11 後悔 >>38
12 「さよなら」 >>70
13 いない >>156
14 情報屋さん >>250
15 見つけて >>251
16 捕えられずに >>252
17 第三者の目 >>253
18 ぐらり >>257
+
迷路と絆創膏
序 >>284
01 少女 >>285
02 愛情 >>287
後書きと言う名の補足 >>288
03 人々 >>292
04 心情 >>296
伝えたい,短い話
短編まとめ1(>>53から>>279)
>>282
部活の友人へ
>>272
xxx様の実話を書き起こさせていただきました
>>166
*
お客様
前スレッド
+楓様 +マナ様
+椎羅様 +みるく様
貴重な意見,ありがとうございました。
今スレ
≫ウィンド様 ≫月姫様 ≫楓様 ≫ここあ様 ≫心愛@大福様
≫椛様 ≫真飛様 ≫ガロルダ様 ≫あゆ様 ≫a様
≫紅翠様 ≫鈴蘭様 ≫澪花様 ≫xxx様 ≫紫奔様
≫春依様 ≫れな様 ≫ポアロン様 ≫るりぃ様 ≫ささめ様
≫健一様 ≫対人恐怖症のリストカッター様 ≫杏香様 ≫じゃんの様
読んで下さり,ありがとうございます。
足跡を残して下さり,ありがとうございます。
リストカットについて,考えて下さり,
本当に心から,ありがとうございます。
*
スレッド作成*2010/3・26
- 03 「神は残酷だわ,私こんなに苦しんでる」 ( No.3 )
- 日時: 2011/03/20 22:55
- 名前: 黒紅葉 ◆uB8b1./DVc (ID: wZEf2naw)
03 中庭でお話しましょう
希美という少女と仲が良くなったのは,美早希が希美に興味を持ったからだろう。年齢にしては細目で,それでいてスリムと呼べる十分な美しさを持ってるのに対し,それを何かに生かそうともせず相手を第一に考え動き何かあったら自分が傷ついてもその誰かを守ろうとする希美に。
紹介は,希美の幼馴染であり美早希の親友である陽子。どこからか仕入れてきた情報をいつも美早希に伝え,またどこからか情報を仕入れてくる。
アホか,と言ったらうん,と笑顔で言う彼女には呆れるが,今回ばかりは感謝した。
「希美ちゃんはさ,リストカットについてどう思う?」
仲が良くなりかけの頃,まだ呼び捨てではなくちゃん付けだった頃。
美早希は昼休み,人の少ない教室で日誌を書いている希美に訊いた。
「んー,良いと思うよ。実際私も二回くらい切ったし」
ケロリと希美は言った。日誌を書くための鉛筆を動かす手を止めず,興味のない話に適当に相槌を打つように。
「…はい?」
美早希がその言葉の意味を理解し,思わず間抜けな声を出す時には希美はもう日誌を書き終わり,今日のもう一人の日直の子の机の横に日誌についている紐をかけていた。
「だから,二回くらい切ったんだって,多分ハサミで」
もう一度その言葉を言う時にはもう黒板の前に移動してて,耳障りとも安心感を覚えるとも言える音を立て黒板に書かれた文字を消していた。
「何かねー空っぽだったんだよ。んで,私に血が流れてんのかなーって思って切ったん。ちゃんと肉も見えたし血も出たよ。嬉しかったわー」
笑いながら希美は言った。いや,笑い事じゃないだろうと美早希は思ったが敢えて口には出さなかった。
食われる,と思ったから。
「興味あるんなら,やらない?」
ほら。……まぁ,確かに一度,切ったけど,ね。
美早希は,希美に興味を持っていたが,わざわざ食われに行くつもりはなかった。
「遠慮しとくわー」
そう言えば彼女は,
「そうかーでも切る時は私も誘ってよ」
と残念そうに,でもどこか嬉しそうに言った。
獣だ。心のどこかで思ったのに,それでも彼女から離れようとしなかったのは本当に興味があったからだろう。
自分とどこか似通ってると,感じたから。
何でも受け入れられるのではないかと,過信したから。
「憧れは執着へ変わり」
「執着は妬みへ変わる」
「その偽物の友情は」
「いつか絶対枯れ果てる」
03/終
- 04 「あまりにも悲しい真実に,心と喉がすごく痛い」 ( No.4 )
- 日時: 2010/03/26 20:34
- 名前: 黒紅葉 ◆uB8b1./DVc (ID: Wsgu.6PA)
04 その時はまた
美早希の姉は姉妹間差別の犠牲者だと思う。最近美早希が気がついた事だ。
美早希の姉は思春期,小学五年生の頃,美早希は年中だった。何らかの理由で美早希の姉——史恵はとてもイラついていて,そのストレスを発散するのが美早希だった。
口うるさくなる年頃で,その妹に更にストレスを感じていたのか,良く暴力をふるった。美早希も負けじと言い返し泣きわめいていたのでいつも味方がつくのは美早希。親はいつも史恵を叱った。そのせいで史恵は家出・自殺・虐め・反抗など色々な事を試み,それをいつも己の敵だと感じていた親に止められ……苦しい毎日だっただろう。
リストカットは,してなかったと思う。
美早希はいつも母に「お姉ちゃん可笑しいね,呆れるわ」と言われていた。そのせいか,姉に対し冷たい態度をとっていた。
史恵は,耐えていた。
「ごめんね,お姉ちゃん」
気付いた時は遅くて,史恵はすごく良い笑顔で笑ってる時で。その「ごめん」の意味を理解してくれなかった。悲しいと思う反面,嬉しかった。
姉妹間差別が原因で,リストカットをする人はたくさんいる。
姉であるが為に,重たいプレッシャーに圧し負けそうになり,厳しく叱られる。妹であるが為に,姉に虐められ恨まれ悲しみを多くもつ。
悲しい。
いつか史恵と美早希が過去の事を語り合う日が来たら,その時は。
「笑って話せるようにしてよね,お姉ちゃん」
「似ているが為,同じ血が流れてるが為」
「比べられてしまうのが使命なら」
「私はこのまま消えた方が」
「きっと幸せ,絶対に幸せ」
04/終
- 05 「私,自己陶酔者で道化師で傍観者だわ」 ( No.5 )
- 日時: 2011/03/20 23:08
- 名前: 黒紅葉 ◆uB8b1./DVc (ID: wZEf2naw)
05 興味
美早希と希美の距離が大分近くなり,それでも絶妙な距離をとって,「普通の友達」をやっていた頃のこと。
希美はある日,美早希をトイレへ呼び出した。「大事な話だから」。何の話は教えず,とにかく来い,と。美早希は躊躇った。
真冬という,厳しい寒さに耐えようと,多くの人が露出を控えた格好の中。希美は短パンにニーソックスといかにもファッション重視です! と主張するような服装だった。
そんな希美は,美早希がトイレに来るなり,個室に連れ込んだ。当然美早希は焦る。希美は美少女なのだ。友達・同姓ということを入れても,二人きりなら,ドキドキしてしまうものである。
真っすぐで鋭い視線が,ひとり勝手に頬を赤く染める美早希を貫いた。
人の視線に敏感な美早希は,反射的に顔を上げる。
「あんたに,私の弱さを知ってもらいたいの」
希美は,真面目な顔で,強い意志を持った瞳で,美早希にそう言い放った。
希美は,美早希が自らに焦点を合わせたのを確認し,左足のニーソックスを膝下まで下げた。
「…!?」
声が,出なかった。
そこから現れたのは,所謂切り傷で,しかし切り傷と言うには深いものだった。
白いふとももから膝下までに走る赤いそれは,生々しい。
まるで刃物で切った,というよりは裂けた傷跡から,中の肉が見え隠れする。それが尚更痛々しく,美早希は金縛りにあったように動けなくなった。
そんな美早希に,希美は呪文をかけるように耳元で囁く。
「昨日ね,切ったの。姉さんに死ね,って言われて,母さんも黙って見てて,嗚呼,生きてるのかな私って……確認の為に切ったんだ」
見えないように,と。
それはカッターの刃を食いこませ,しゅっと引き裂いたらしい。彼女いわく,「全然痛くなかった」だそう。
やっぱり裂いたのか,と美早希はまだ理性のある冷静な心で思った。
「だらだら血出てね,でもティッシュで抑えてたらとまったわ」
綺麗な笑顔で言う希美。美早希はショックで声が出なかった。
リストカットに関する知識はある。陽子に教わり,ネットで吸収した。だけど……。
だけど?
実際に周りの人がやってるとは思わなかった?
違う。
「なんで笑ってるの?」
「…え?」
「なんで自慢話みたいなの? ダメだよ,そんなの」
美早希の口からは自然と言葉が出てきた。考えてないのに,ほろほろと零れおちてく見たい。
「なんでって,美早希には全部さらけ出せると思ったから」
「違う違う,私はそんな…」
受け止められる人じゃない。
その一言は,言えなかった。
「…そんなの,ヘン」
その代わりに,彼女は一番言ってはいけない言葉を投げかけた。
そのまま個室から飛び出て,一人で教室に駆け込み,机に突っ伏した。
飛び出る直前に見えた希美の,傷つき揺らいだ瞳が,脳裏に焼き付いて離れなかった。
闇に染まる,直前。
少しだけ,興味をもってしまった。
「どうして私が悪なの」
「道化師は悪の名を買って出るわ」
「もしそれが本当ならば」
「私はサーカスの途中で首吊りしてみせる」
05/終
- 06 「鳴り響く笑い声,落ちる,紅の雫と澄んだ涙,綺麗な心」 ( No.6 )
- 日時: 2011/03/20 23:12
- 名前: 黒紅葉 ◆uB8b1./DVc (ID: wZEf2naw)
06 ネット
何であんな事言ってしまったんだろう。
美早希は今更ながらに思っていた。本当は今すぐにでも謝りたい。だけど負けた気になるのが嫌で。悔しくて。
希美はあの日を境に,離れていった。
同じ境遇に居て,初めて言葉を交わした時を思い出す。
「涙の水溜り作っちゃダメかなあぁ」
その声は,かき消された。
声が通らない教室が気まずくて,美早希は友達に早退すると伝え,希美が教室に戻ってくる前に帰った。廊下ですれ違った気がした時,きっと彼女は泣いてた。
*
家,洗面所で水で手を洗ってからランドセルを無造作に部屋に投げ捨て,小物入れを掴み,自らのパソコンの前に座る。
検索サイトをブックマークから開き,迷わず打ち込む文字。
「リストカット」
もっと知らなくちゃ。
彼女の事を,今の事を。
*
分かった事を直球にまとめると。
リストカットは自殺行為でありながら,リストカッターのほとんどが「生きるため」にリストカットをしているという事。リストカットは「切る」だけでなく,頭を壁に「打ち付ける」等も入るという事。
リストカットをしてる人を,叱ってはいけないという事。鬱病になりかけてる人がリストカッターに多い事。キチガイと自虐している人も多い事。
女性が,圧倒的に多い事。
美早希はそれなりに知識を持ってるつもりだった。ピエロだから,知識は持っておかないと生きのべない。基本中の基本である。だけど,ここまでとは思わなかった。美早希はこれを機に,「私の世界は狭いな」と苦笑しつつ思った。
「はは…私は本当は【道化師】なんかじゃなくて,【自己陶酔者】だったのかもしれないなぁ……?」
静かに響く,音。
心が意味もなく痛み,ふと目につく小物入れ。いざという時,掴んで傍に置いた小物入れ。
何を血迷ったか,何も考えてなかったのかあるいは……。
美早希はゆっくりと小物入れから小さなカッターナイフを取り出し,袖をまくしあげ二の腕に刃を向ける。腕を切るのは初めてだった。今まで増やした傷は全部【精神的痛み】だから。膝裏のその傷は,自傷だがそれとは違う意味を持つから。
浅く,刃を肉に食い込ませ,小さく引抜く。痛みは,なかった。痛みなどなくて,むしろ罪人を処罰する時の様な快感しかなくて,あまりにも楽しくて,美早希は自我を失った。
痛みで気がついた時には,二の腕は傷だらけだった。
「べたべたするけど」
「きれいであざやかだね」
「うん,わるくない」
「じゃあ,きりつけるのをばつげーむにしよう」
06/終
- 07 「駄目,貴女達の待つ居場所に私もう戻れない」 ( No.7 )
- 日時: 2010/03/26 21:03
- 名前: 黒紅葉 ◆uB8b1./DVc (ID: Wsgu.6PA)
07 中毒
ピリ,という静電気が流れるような痛みで我に返った美早希は二の腕を見て声を失う。
「何よ…これ……」
傷だらけで,深い傷もあったのか,手首まで赤い雫が流れていた。ツゥ,となぞるように流れる其れは,酷くもどかしいもので。
血まみれになったカッターナイフ。汚れた手。切り傷が痛々しい腕。…興奮。
「あはっ…ははははっ」
私,生きてる。
…そう思った。
希美は生存確認の為に切ったそうで,安心したそうだが美早希は余計に不安になった。
私,生きちゃってるよ。死んでないよ。血,流れちゃってるよ。
それが無性に楽しくて,強い痛みとそれを遥かに上回る快感を求めて手首を切る。
ざく,という音。溢れだす血液,心。傷は深い。
戻り,また失いかけた理性を掴み,美早希はカッターを無造作にゴミ箱へ捨てた。
ズタズタになった刃,真っ赤に汚れところどころに黒くなった,雑誌の切り抜き用のカッターナイフ。
それが痛々しいほど,鮮やかに目に焼き付いて,悔しかった。
逃げられないのを,直感した。
「ズタズタ」
「バラバラ」
「痛いの? 気持ちいいの?」
「どっちも違う,カナシイの」
07/終
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