二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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東方崩壊譚
日時: 2018/06/27 23:03
名前: 彩都 (ID: J1W6A8bP)

 少年は博霊神社で目覚め、何を思い、幻想卿を崩壊させるか──

 始めましての方は始めまして、何度も彩都の作品を読んでいる方は有難う御座います。
 彩都(サイト)と申します。
 もう九作目ですよ、九作目! まぁ、一ヶ月一回更新が多いですねぇ……
 まぁ、今回は『東方PROJECT』という原作者『ZUN』さんの三次創作となっております。
 何故二次創作じゃないかって? それは秘密です☆
 そんな話は置いといて、今回の物語は『幻想入りした少年が幻想卿諸共破壊する迄のお話』で御座います。
 基本的に口調や喋り方は原作通りですが、間違っている部分があれば普通にコメントで説明してくれれば幸いです。
 自分も原作(体験版のみですが)は少しだけ経験していますが、それでも新発見は多いです。
 とまぁ、ここら辺でお話は止めまして、それでは、本編どうぞ!

 目次

『東方崩壊譚』第一章 第一話
本編
>>1-15
後書
>>16

『東方崩壊譚』第二章 第二話
本編
>>16-46
後書
>>47

『東方崩壊譚』第三章 第三話
本編
>>48-62
後書
>>63

『東方崩壊譚』第四章 第四話
本編
>>64-78
後書
>>79

『東方崩壊譚』第五章 第五話
本編
>>80-94
後書
>>95

『東方崩壊譚』第六章 第六話
本編
>>96-110
後書
>>111

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Re: 東方崩壊譚 ( No.79 )
日時: 2017/12/17 23:22
名前: 彩都 (ID: A4fkHVpn)  

年末、忙しかった作者の駄弁り事

 始めましての方は始めまして、お久し振りの方は、御久し振りです、今回も後書ります、彩都(サイト)です。

 皆さん、今回の第四章 第四話はどうだったでしょうか? 個人的に修羅場しかなかった気がします。
 この作品と二次創作板(紙他)で連載中の『東方奇妙譚』、今日の投稿文字数を足すと、軽く二万文字を超えます、えぇ、一週間とたった数日で書き上げるのは大変でしたよ。

 最近『パズドラ』をやっているのですが、つい先日、自分の好きなモンスター『ヨグ=ソトース』というモンスターのガチャがありました、三回しました。
 えぇ、皆さんお思いの通り、『爆死』しましたよ、完全に悲しいです。
『ヨグ=ソトース』というのは、案外強いので、欲しかったのですが、無課金で頑張るのはキツいです。
 まぁ、またガチャをする為に石を溜めて、次の『ヨグ=ソトース』ガチャを待ちましょう。

 そして最近の出来事として、『小説の執筆が難しくなった』と言うのがあります、自分も就職無いといけません、就職すれば小説を書く時間、投稿する時間も減ります。
 なので、この『東方崩壊譚』、来月以降投稿出来るかが分からないのです。
 一応第五章の設定とストーリーは作り、タイトルも完成しているのですが、投稿出来るのか? と言われたら……明後日の方向を見させていただきます。
 というか、個人的に言えば、早くカキコ引退したいんですよね、ですが、それは少し難しいようで。
 多分ですが、来年の二月、三月には居なくなる可能性が浮上しております、浮上とは、『現れる』の方ではなく、『現れない方が高い』という意味での浮上です。

 ……出来ればカキコはまだ居たい(低確率の登場ですが)のですが、時間は許してくれませんね。
 ってか、何でカキコ引退の話で半分以上を占めているのか? それは彩都にも分かりません。

 そしてもう十二月ですね、季節は冬、そんな中、自分は病院に緊急で行ったり、点滴受けたり、人生初の出来事ばっかりで驚きました。
 思えば、この一年、色々な事があったなぁ、と思います、色々な人と繋がったりして、楽しかったです。

 さて、それでは、話す事も無くなってきたので、ここら辺で後書も終了しますか。

 それでは、来月、『東方崩壊譚』を投稿出来るか分かりませんが、投稿出来たら嬉しいです。

『東方Project』のメドレーを聞きながら、麻雀を楽しむ夜
                                                       彩都

Re: 東方崩壊譚 ( No.80 )
日時: 2018/01/03 22:08
名前: 彩都 (ID: h4V7lSlN)  

東方崩壊譚(とうほうほうかいたん) 第五章 第五話 体で支払う天狗世界

CHAPTER 1 天狗と巫女と魔法使いと僕

 アリスとの激闘を繰り広げた僕は博麗神社に帰るべく、魔理沙の箒を掴みながら魔法の森を抜け、魔理沙と共に博麗神社へと向かっていた。
 何だか激動の一週間だったなぁ、と、思いながら自分は溜息を吐いていた。
「んー? どうしたんだよ華扇?」
 自分の溜息を聞き逃さなかった魔理沙が言う、自分は溜息の理由を魔理沙に話した。
「えっ? あぁ、この一週間の事を振り返るとね……無意識に溜息が出るんだよなぁ、だから溜息が出たんだと思う」
「ふぅん……それはつまり『無意識に疲れている』って事か?」
「多分そうだろうねぇ……ってか、特に疲れるのはアリスの時だった気がする……」
 自分はそう発言し、アリスの事を思い出す。
 まずは監禁からの、移動制限、更に自分はアリスにセクハラされ……うーん、やっぱり原因はアリスかもしれない、そんな事を思っていると、魔理沙が自分に言う。
「おっ、華扇! もうすぐ博麗神社に到着するぞ! 喜べ!」
「えっ? もうなの? 案外早いなぁ」
 自分は魔理沙の発言に少々驚き、下を確認する、結構高い所で浮いているが、確かにこの道は博麗神社に通ずる道だった。
 そして自分と魔理沙は博麗神社の鳥居前に辿り着いて、地に足をつけた。
「ふぅ、やっと到着だ」
「有難う魔理沙……って、あれは何だぁ?」
 自分が魔理沙に感謝して、横目で博麗神社の境内を確認すると、其処には博麗霊夢と射命丸文が口論をしていた。
 射命丸文の声は自分達が居る境内外迄聞こえていた。
「だーかーらー! 華扇くんは何処にいるんですかって! 言っているじゃないですか! ってか、何処に隠したんですぅ!?」
「あぁっ? その前に華扇は知らないっての、勝手に出て行ったんだから、私の知る限りではないわね……ってか、記憶を取り戻して、紫の所に行って、元の世界に戻ったんじゃないの? 私はこの可能性を押すわ」
「流石にそれはないですよ! まずは貴方に連絡や情報を流す筈ですし!」
「だから、私は知らないわよ……って、華扇じゃない、どうだった? 魔理沙の所は?」
 二人に近づく自分に霊夢は気付いて声をかけた、すると射命丸文が振り向いて、自分を抱き締めた。
「いやぁ、探しましたよ、探しましたよぉ!! もう、私の華扇くん! 勝手に出て行ってぇ! ささっ、さっさと妖怪の山に向かいましょう!」
「えっ? えっ? 何? いきなり過ぎて情報が飲み込めな──」
 強く抱き締める文に対し、自分は少しドキドキしながら文を押して、離れる。
「はぁはぁ……い、いきなり何なんだよ!? 急に抱き締めて来やがって!? ……柔らかかったけど」
 自分がそう言うと、文は自分の事を睨みながら発言する。
「そうですよそうですよ! そりゃ怒る理由も出来ますって! 貴方、この前約束した内容、軽く一週間は遅れているんですよ! だからさっさと妖怪の山に来て下さい!!」
 文はそう言って、自分の右手を掴んで、宙に浮く、自分も序でに宙に浮いた。
「じゃっ、そう言う事で華扇くんを借りますねぇ?」
「ちょっ!? 待てよ文! 華扇は色々と疲れているんだよ! だから明日にしねぇかぁ?」
「魔理沙さん、それは無理な相談です、何故なら天狗は規律正しいですからね! ルールを破るなんて言語道断なんですからね!」
「た、確かにそうなんだが……だが、今の華扇は使えないぞ! だって、女性恐怖症を発症しているからなぁ!!」
 魔理沙の咄嗟の発言に自分は焦ってしまう、いや、そんな事はないのだが……だが、ここで魔理沙の発言を鵜呑みにして、女性恐怖症の真似をするってのも、良いかもしれない……自分は内心魔理沙に感謝して発言する。
「そ、そうなんだよ文ぁ? 僕、今絶賛女性恐怖症を発症していて、医者にも言われたんだよねぇ? だから、女性が多い場所に移動すると、頭がクラクラして……」
 自分がそう言うと、鋭い目つきで自分を見る文。
「それは本当ですか華扇くん? もしも嘘を吐いていたら、地獄に送りますよ? でも、此処で本当の事を言ったら、地獄には送りません」
「えっ? 地獄?」
 自分はそう言って、文の言った事に恐怖する、まさか『幻想郷』に地獄があるとは……自分はそう思いながら、視線を逸らしながら『嘘です……』と言う。
「結局嘘ですか……で、疲れているってのも嘘ですかぁ?」
「……それは違う!」
 自分は文にそう言って、真実を話す。
「じ、実はアリスという魔法使いと魔理沙に魔法の特訓を受けていたんだ、だから疲れているのは本当……だから、連れて行っても、今日は何も出来ない、出来るのは明日からだよ」
「…………」
 自分の発言を聞いて、文はその場で少し考えて、溜息を吐いた。
「はぁ……分かりましたよ、ですが、今日は私達天狗の本拠地、妖怪の山に連れて行きますからね? それでもいいですか?」
「あ、あぁ、いいよ……それなら」
 自分はそう言って、静かに頷く、すると魔理沙は『えぇー』と言いたげな表情をする。
「そう言う事で華扇くんを借りますね、霊夢さん?」
「あーもう、分かったわよ……勝手に連れて行って頂戴?」
「霊夢の僕に対する評価が下がっている気がしてならない……」
「それは霊夢さんが華扇くんを信用しているからですよぉ? それでは、妖怪の山に向かいましょう!」
 文はそう言って、自分を背後から抱き締めて、高速移動する──せ、背中に何だか柔らかいモノが当たっている……自分はその場で顔を赤らめながら、天狗の本拠地、妖怪の山へと向かう──

Re: 東方崩壊譚 ( No.81 )
日時: 2018/01/10 21:50
名前: 彩都 (ID: Btri0/Fl)  

 自分は背中に二つの柔らかいモノにドキドキしながら周りを確認すると、其処は『守谷神社の近く』だった、そして『守谷神社から人里への道』も確認出来た。
「えっと……もしかして『妖怪の山』って『守谷神社』の事?」
 自分がそう言うと、文は首を横に振って説明する。
「いいえ、『この山そのものが妖怪の山』なんです、守谷神社は『妖怪の山』に勝手に建てられた神社なんですよ」
 文の説明を受け、自分は静かに言う。
「えっと……それはつまり不法侵入、不法建設、不法住居って事?」
「えぇ……華扇くんの脳味噌で言えばそうなります……」
 ……守谷神社、完全に悪の巣窟だった、自分はそう思いながら『そうだったのか……』と頭を垂れる──そして自分と文は『妖怪の山』に入った瞬間、『何か』を投擲され、文は自分ごと避ける、自分は文の背後に飛ぶ、投擲されたモノ──それは刀だった──を横目で確認し、不思議がる。
 何故刀が飛んできたのだろう? 自分がそう思っていると、文と自分の目の前に一人の存在が宙に浮きながら現れた。
「おい、此処は人里の人間は入ってはいけない筈だぞ、何故入ろうとする?」
「あややー、バレちまいましたかー」
 軽く言う文に対し、自分は目の前の存在に言う。
「えっと……僕はこの妖怪の山に入っても良い、という話を早苗から聞いていないのか?」
 自分がそう言うと、腕を組んで目の前の存在が言う。
「さぁ? 私はその話を聞いていないが?」
「えぇっ……」
 まさか話が通っていない事に驚きを隠せない……ってか、早苗の奴、山に話を通していなかったのか!? もしくは情報が広く伝わらなかったかのどちらかじゃないか! 自分はそう思いながら、落胆する、すると文が自分の名前を切り出して、質問してきた。
「そ、それじゃあ、『華扇』という人間は通しても良い、と言う話も聞かなかったのですか?」
「勿論だ、『華扇』と言う名前の存在を通しても良い、と私は聞いていないからな?」
 そう言う存在に自分と文は絶句するしかなかった、そして文は目の前の存在に言う。
「……貴方ねぇ、哨戒(しょうかい)するのは良い事かもしれないけれど、敵味方の区別はして欲しかったわね……」
「ふんっ、貴方に言われる筋合いはない、私はただ単に仕事をしているだけだ、だが、そのガキが妖怪の森に入れる理由は今の所ないだろう? 何故なら、そのガキは『敵味方の区別がつかない』からな?」
 目の前の存在はそう言って、腰に提げてあるもう一本の刀を前に出して、宣言する。
「だから忠告する、『そのガキを人里に置け』、いいな? 有無は言わせんぞ?」
「……中々に困った相手とぶつかりましたねぇ」
 文はそう言って、静かに溜息を吐き、自分に言う。
「華扇くん、今から超高速で移動します、だから『決して眼を開けないで下さい』ね? 開けると失明し、眼が無くなります」
 そう言う文に対し、自分は鼻で笑って言う。
「おいおい? 文よ、僕の事を少し下に見過ぎていない? 僕の右手の『能力』を何だと思っている? 僕の右手の能力を使えば、視力だって『元に戻る』んだぜ?」
 自分がそう言うと、文はその場で少し微笑んだ。
「アハハ……確かにそう言えばそうでしたね……それでは、とりあえず、眼を閉じていて下さい、良いですか?」
「あいあーい、分かりましたーっと」
 自分は文に言われるがままに眼を閉じる、そして目の前の存在が言う。
「巫山戯るなよお互い? 私は白狼天狗(はくろうてんぐ)だぞ? そう簡単に逃げられな──」
 目の前の存在──基、白狼天狗(はくろうてんぐ)がそう言った瞬間、『文は目の前の白狼天狗(はくろうてんぐ)の背後数メートルの付近を浮遊して』いた、そして白狼天狗(はくろうてんぐ)が首を横に振って、周りを確認すると、白狼天狗(はくろうてんぐ)の後ろから文が言う。
「こっちですよ、白狼天狗(はくろうてんぐ)さん?」
 白狼天狗(はくろうてんぐ)が振り向いて自分と文を確認し、白狼天狗(はくろうてんぐ)が叫ぶ。
「お、おい……? 今さっき『何をした』んだ……? 教えてくれよ……!?」
 そう言う白狼天狗(はくろうてんぐ)に対し、文が口の端を歪ませて笑う。
「アハハ……そんなの簡単ですよぉ? これは『私の能力で移動しただけ』ですからぁ」
「は、はぁ……? 貴様の能力だと? 一体どんな能力と言うんだ!?」
 白狼天狗(はくろうてんぐ)が叫び、文が『おやおや』と呟く、そして文は続けて言う。
「もしかして私の事を知らないんですかぁ? 私は『文々。新聞』の制作者であり、烏天狗の『射命丸 文(しゃめいまる あや)』と申します、そして能力は『風を操る程度の能力』です、だから白狼天狗(はくろうてんぐ)の貴方より地位が高く、貴方より優れています」
「なっ……! 貴方様があの烏天狗……! そして『文々。新聞』制作者の……! 射命丸文殿だったとは! 数々のご無礼、お許し下さい!」
「いやいや、いいんですよぉ、分かって下さればぁ……それで、『この少年を妖怪の山に入れても良いです』よねぇ?」
「そ、それは別問題で御座いま──」
「へぇ、烏天狗の命令が聞けないとでも? あーあー、大天狗様に報告かなぁ?」
 文がそう言うと目の前の白狼天狗(はくろうてんぐ)がとんでもなく焦る。
「だっ、大天狗様に!? そっそれだけはご勘弁を! 分かりました! 文様、人里の少年も通って良いですから!」
「あら? それは有難いわね……でも、この子は人里の少年じゃなく、博麗神社の人間よ、そして名前は先述言った通り、華扇よ」
 文がそう言うと、目の前の白狼天狗(はくろうてんぐ)が『分かりました!』と叫ぶ、そして文が続けて言う。
「分かれば宜しい、それでは、私と華扇くんは妖怪の山に進みますね」
 文はそう言って、前に進む、ふぅ、これで一難去ったなぁ、自分はそう思いながら他の一難が来ない事を切に願う──

Re: 東方崩壊譚 ( No.82 )
日時: 2018/01/24 22:18
名前: 彩都 (ID: ???)  

 自分と文は目の前に現れた白狼天狗(はくろうてんぐ)から何とか逃げて、『妖怪の山』の奥に来ていた。
「はぁ、何とか、白狼天狗(はくろうてんぐ)以外何にもなかった……漸く一安心だなぁ」
 自分がそう言うと、文が静かに否定する。
「いいえ、実際まだまだ一安心は出来ませんよぉ? この先に一悶着、出来事、異常があるかもしれません」
 文がそう言うと、自分は項垂れる、嘘だろぉ……? 自分はそう思いながら溜息を吐いた。
 すると近くに水が流れる音がする、一体何があるのだろう? そう思っていると、文が言った。
「どうかしたんですか?」
「えっと、実は水が流れる音がするなぁ、と思って……何があるんだろう? と思ってね」
「あぁ、何だ、その事ですか、実は近くに滝がありましてね? その音でしょう」
 滝? 滝なんか『妖怪の山』にあったのか……早苗と一緒にいる時は全然気付かなかったなぁ、と、思いながら『成程』と思う。
 すると文が急に言い出した。
「どうです? 滝、見に行きます?」
「ん? いいのか? いいのなら見に行きたいなぁ」
 自分の発言を受け、文が『分かりました!』と叫ぶ。
「それでは滝に行きましょうか! それではしゅっぱぁーつ!」
 文はそう言って、スピードを上げて、滝がある場所へと向かう──文、早い……冷たい……うぅっ……──

「はい、到着しました!」
 文はそう言って、水飛沫がかかる程、滝の近くに移動し、自分は全身に水飛沫がかかった。
「文……水飛沫が冷たい……」
「おっと、これは失礼」
 文はそう言って、滝から離れ、滝壺の近くに移動し、浅瀬に移動した。
「ふむ、此処でいいでしょう? ここいらで少し休憩しませんか?」
「あ、あぁ、そうだね……白浪天狗とかが現れたしねぇ」
 自分はそう言って、靴を脱いで、浅瀬に足を乗せる、左から右へと流れる清らかで冷たい水に自分は少しゾクッとした。
 すると近くに何本かのキュウリが網に入って、水で冷やされていた、自分は『何なんだろう?』と思い、網の中に入ったキュウリに手をやろうとすると──
「華扇くん! 待って下さい!」
 文の大声に自分はビクッとして、姿勢を元に戻す。
「な、何さ!?」
 文の大声に驚いた自分は文に問う、すると文は人差し指を立てて、説明する。
「あれは『河童』のご飯ですよ!」
「か、『河童』ぁ!? 何だそれぇ!?」
 自分が大声でそう言って、驚愕する、か、河童……聞いた事もない名前だな、そう思っていると、文が腕を組んで説明する。
「『河童』とは、水がある場所で生活する妖怪です、『尻子玉』というものを食べて生活しています、ですが、紆余曲折があって、好物のキュウリを食べて生活しています……どうです、分かりました?」
 文がそう言うと、自分は『尻子玉』について問う。
「あ、あのさぁ、『尻子玉』って何?」
「『尻子玉』ですか? そうですねぇ……人間の肉体にあるという玉ですね、私も実際見た事がないので分かりませんが……」
「へぇ、そうなんだぁ……」
 自分はそう言って、成程、と思う、すると後ろの茂みから、『キュウリは冷えてるかなぁ?』と呟きながら、青い帽子の少女が現れる。
「うぉっ、冷えてる冷えてるぅ……って、人間!? 何しにきた!?」
 青い帽子の少女がそう言って、キュウリが入った網目の袋を上に上げる、確かキュウリが好きって言うのが河童って言ったから……まさかこいつが河童ぁ?
「ってぇ、後ろには天狗ぅ!? もしかして天狗さんは人間を誘拐したのかい……?」
 驚く青い帽子の少女に対し、文が訂正を入れる。
「い、いえ、流石に誘拐はしてません! 合意の上です!」
「そ、そうだったのか……! まぁ、それにしても、人間、お前は大変だなぁ」
「あぁっ? どう言う事だよ 河童ぁ?」
 自分がそう言うと、頭を抱えて、しゃがんでから、発言する。
「ひゅ、ひゅいっ!? い、いきなり驚かすなよっ!」
「脅かしていないけど!?」
 自分がそう言うと、文が説明する。
「華扇くん、河童という存在は案外臆病なのです、なので、あまり大声で喋らない方がいいと思います、後喋り方も普通に敬語の方がいいです」
「あっ、そうなの? それは知らなかった」
 自分がそう言って、再度河童に言う。
「で、どう言う事、河童さん?」
「え、えぇっと……大まかに言えば、天狗って『小さい子を攫う』妖怪なんだよ、そして攫った後は──」
「あー! それ以上はダメです! 華扇くんの教育上良くないですからね!!」
 大声で止める文に少し驚く自分、一体どう言う事なのだろうか? 自分がそう思っていると、河童が近づいて、自分の事を見つめながら発言する。
「そういやお前、華扇くん華扇くんって呼ばれてるけど、お前が博麗神社に来たって言う外来人か?」
「え、えと、そうです……名前は華扇、僕は記憶喪失で、記憶を取り戻す為に、色々な所に行って、色々な刺激を受けているんだ」
「成程なぁ、私は河童の河城 にとり(かわしろ ──)ってんだ、機械の事ならお任せだよっ!」
「そ、そうか……宜しくにとり」
 自分はそう言って、右手を前に出す、すると河童──基、河城にとり──が言う。
「うわぅ!? 吃驚したぁ、いきなり刺されると思ったぁ……」
「…………」
「だからあれ程気をつけろ、と言ったのに……」
 文がそう言って、その場で溜息を吐く──僕とにとりの相性は最悪なのかなぁ? と思った──

Re: 東方崩壊譚 ( No.83 )
日時: 2018/01/24 22:19
名前: 彩都 (ID: ???)  

「おい、人間」
 そう言って、自分の隣に座るにとり、にとりは網目の袋から、てかてかと光るキュウリを取り出し、自分に見せて言う。
「腹減ってるか? 腹減ってるならキュウリ食うか?」
「い、いや、いいよ、ご飯はもう食べたし」
「そっか」
 にとりはそう言って、てかてかと光るキュウリを歯で噛んで、『パキッ』と華麗に割って、食べ始める、……何だろう、何故か自分は股間を押さえてしまった。
「ん、どうしたんだ人間?」
「い、いえ、何でもないです……」
「そっか」
 にとりはそう言って、『パキッ、パキッ、パキッ、パキッ』とキュウリを食べていく、自分は得も言われぬ感覚を覚えた。
「本当にどうかしたんですか華扇くん?」
 口の端を歪ませて、口を手で隠す文、完全におちょくろうとしているなぁ、と判断する。
「な、何でもないです……!」
「へぇ、じゃぁ、何で股間を押さえているのでしょうねぇ?」
「!? お、押さえる訳ないじゃないか! なぁにを言っているんだい!?」
「さぁ? 何を言っているのでしょうねぇ?」
 完全におちょくりモードに入っている文に対し、にとりはずっと自分の事を見つめる。
「……人間、本当に大丈夫かぁ?」
「だ、大丈──」
 自分が言うよりも先に文がにとりの隣に移動し、小声で言う。
「河童さぁん? このキュウリをー──」
「うわっ!? いきなり何すん──」
「…………」
 まぁた、何か、良からぬ事を考えているなぁ……? 文の姿を見て、自分はそう察する、するとにとりは少し顔を赤らめながら、網目の袋から、反りに反ったキュウリを手にし、『うぅっ……』と呟きながら反ったキュウリを持って、キュウリの先を舌先で舐めた。
「ペロ……ペロ……」
「!?」
 自分は急いで、振り向いて、にとりを見ないようにする、すると文が言う。
「んー? どうしたんですかぁ華扇くぅーん? いきなり振り向いてぇ?」
「な、何でもないです!」
「それなら、こっちに向きなよぉ?」
 振り向いた自分に文が言う、み、見れる訳ないじゃないか! だ、だって……キュウリを舐める河童とか、頭が可笑しくて見てられないし!! 自分がそう思っていると、つんつん、とにとりが突っついた。
「こ、これならどうだ?」
 にとりはそう言って、反ったキュウリを下から上へ、舌先で舐める、その妖艶さに少しだけ鼻血が出てしまった。
「おやおやぁ? どうしたんですかぁ華扇くぅーん? 鼻血なんか出してぇ?」
「ほ、本当に効果があった……!?」
 文の発言に対し、にとりが驚愕したような声で言う、うぅっ……もうダメだ……自分は鼻血を出して、その場で倒れる──そして倒れる前に文とにとりの悲鳴が聞こえたのは事実かもしれない──

「……ん? 此処は?」
 自分はそう言って、周りを確認する、するとエプロン姿のにとりと文が存在していた。
「あっ、起きたな? おーい、天狗ー華扇が起きたぞー!」
 にとりの声に反応し、自分の目の前にいきなり現れる文、そして文は自分の事を抱き締めた。
「すっ、すみません! まさかそんなに耐性がないとは思っていませんでしたぁっ!」
 文はそう言って、強く強く抱き締める、うぅっ……首が締まる……自分がそう思っていると、にとりが止める。
「待て待て待て待て! 天狗、待って!? 華扇がまた寝込むぞ!?」
「おっと、これは失礼……いやぁ、生きててよかったですよぉ!」
「いやぁ、キュウリ舐めるからこうなったんですぅ! 少しは自重して下さぁい!」
「た、確かにそれはそうですけど……!」
 自分の発言を受けて、文はその場で頭を垂れる。
「は、はぁ……全くもう……」
 自分はその場で溜息を吐いて、文とにとりに問う。
「えっと……大分此処涼しいけど、一体此処は何処だい?」
「此処ですか? 此処は滝の裏ですよ、滝の裏は少しだけ空洞があって、河童達の住処となっているんです」
「へぇ……んで、何で二人は前掛けなんかを?」
「へぇっ!? まさか華扇くんがエプロンに目をやるとは……これが女子力!?」
「いえ、完全に違います……」
 文の発言にツッコミを入れると、にとりが説明する。
「んー、どう説明すればいいだろう? 天狗が『この格好の方が華扇くんは興奮しますー!』と言ってだなぁ……」
「ちょー!? 河童ぁ!? 何漏らしているんですかぁ!?」
 指先を突っついて、顔を赤らめて言うにとりに対し、完全に顔を赤らめた文がにとりを押し倒す、そしてにとりと文がほっぺたを抓ったりして、言い合いと喧嘩をする。
 …………はぁ、何で今日はこんなにも気苦労が起きるのだろうか……? 自分はそう思いながら、二人の戦いが終わるのを静かに鑑賞する──

「いい加減にしなさいこの河童ぁ!」
「それはお前の方だ天狗ぅ!」
「はぁ、飽きないの……」
 軽く十分が経っても喧嘩は終わらない、なので、自分が動く事にした。
「あーはいはい、喧嘩は終了、終了! さっさと仲直りして!」
「か、華扇くん……」
「人間……」
 自分の発言を受けて、文とにとりは口を尖らせて、そっぽを向く、ま、まぁ、喧嘩は終わったし、これでいいか……自分はそう思い、文に言う。
「それで? 文の住処は何時になったら着くの?」
「あっ」
 自分が文にそう言うと、文は『あっ』と言って、顔から大量の汗を流す。
「か、完全に忘れてました……! と、とりあえず、華扇くんも起きている事ですし、それでは向かいましょうか!」
 文はそう言って、いきなり立ち上がる、そして自分の体を抱き締めてにとりに言う。
「そ、それでは、お暇しましたぁ!」
「も、もう行くのかぁ!?」
「う、うん!」
 にとりの発言に自分は大声で返事をして、にとりから離れる──ふむ、河城にとりという河童と出会った、だから今後仲良くなれればいいなぁ、と自分は思った──


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