二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- 東方崩壊譚
- 日時: 2018/06/27 23:03
- 名前: 彩都 (ID: J1W6A8bP)
少年は博霊神社で目覚め、何を思い、幻想卿を崩壊させるか──
始めましての方は始めまして、何度も彩都の作品を読んでいる方は有難う御座います。
彩都(サイト)と申します。
もう九作目ですよ、九作目! まぁ、一ヶ月一回更新が多いですねぇ……
まぁ、今回は『東方PROJECT』という原作者『ZUN』さんの三次創作となっております。
何故二次創作じゃないかって? それは秘密です☆
そんな話は置いといて、今回の物語は『幻想入りした少年が幻想卿諸共破壊する迄のお話』で御座います。
基本的に口調や喋り方は原作通りですが、間違っている部分があれば普通にコメントで説明してくれれば幸いです。
自分も原作(体験版のみですが)は少しだけ経験していますが、それでも新発見は多いです。
とまぁ、ここら辺でお話は止めまして、それでは、本編どうぞ!
目次
『東方崩壊譚』第一章 第一話
本編
>>1-15
後書
>>16
『東方崩壊譚』第二章 第二話
本編
>>16-46
後書
>>47
『東方崩壊譚』第三章 第三話
本編
>>48-62
後書
>>63
『東方崩壊譚』第四章 第四話
本編
>>64-78
後書
>>79
『東方崩壊譚』第五章 第五話
本編
>>80-94
後書
>>95
『東方崩壊譚』第六章 第六話
本編
>>96-110
後書
>>111
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- Re: 東方崩壊譚 ( No.4 )
- 日時: 2016/08/20 22:25
- 名前: 彩都 (ID: J85uaMhP)
「あっお早う二人共」
そう言いながら魔理沙はパチュリーからパクっ……借りたであろう魔導書を読んでいた。
「今日は早起きね、魔理沙」
少し笑いながら霊夢は魔理沙に言う。
「いやぁ、パチュリーの本が面白くてな……思わず熱中して徹夜しちまったよ」
よくよく見ると魔理沙の目の下にクマが出来ていた。
「へぇ、それはさぞかし面白いんだろうね」
そう言いながら僕は魔理沙の真正面に座る、霊夢は魔理沙の右隣に座る。
そして僕等は朝御飯を食べた、僕はいち早く食べ終わり、魔理沙の魔導書を読んでみた……はぁ? 何これ? 読めない……
すると魔理沙が僕に気づいた。
「おいおい……それは読めないだろう? それは外の世界の人間が読める言語じゃないからな……」
「へぇ……どおりで読めない筈だ……」
僕はそう言いながら魔理沙に返した。
その後僕等は紅魔館を離れ、博霊神社によく似た森林に来ていた。
「うわぁ、何か出そうだ……」
僕はそう言いながら周りを見渡す、すると魔導書を持った魔理沙が言う。
「まぁな、気を付けておけよ? ある程度は守るが、自分の肉体は自分で守れよ?」
「う、うん、分かった」
僕はそう言いながら足下に気を付ける、すると大声で霊夢が言った。
「おーい! 紫ー!? 居るんでしょー?」
いきなりの大声で木々が少し揺れる、すると一つ目の一本角の図体がでかい──これは鬼だろうか? 僕を少し見つめている──妖怪が現れた、これは記憶喪失の僕でも分かる、『これは怪物だ』、と……
怪物が登場した瞬間、霊夢は懐から御幣を取り出して怪物と戦おうとする、だがその怪物は──次元の裂け目でも言うべきか──謎の割れ目によって消えてしまった、そこから現れたのは紫色の服を着た綺麗なお姉さんだった。
するとその割れ目から『こんにちわ〜霊夢さん』と喋る、割れ目から尻尾が九本ある女性が現れた、そして可愛い幼女──尻尾が二本あるので、妖怪だろう──が現れる、まるで一つの一味の様だった。
「紫、単刀直入に言うわ、『この少年は誰かしら』?」
霊夢が僕に指を指して言った。
すると紫と言った女性は僕を見るや否や、僕の方に向かって来て、僕を抱き締めてきた、顔には柔らかい物が……
「きゃー! 生きていたんだね、かおくん! 良かった、流石博霊神社ね」
そう言う紫に問い詰める霊夢、紫は口を尖らせてから言った。
「少しは落ち着いて霊夢──この子は茨木華扇と同じ名前を持った珍しい子、華扇(かおう)君よ──物珍しいから、幻想郷に呼んだのよ、今日から華扇君はこの幻想郷に住む事になったの、だから博霊神社で宜しくね?」
紫の言葉に三人は驚いた。
「ちょっと待て紫!? 相手は男だぞ!? 霊夢は女だぞ!?」
「だから何? まさかやらしい事でも考えているの?」
「そうじゃないが!」
「魔理沙の言う通りよ! ご飯を作るだけでも切羽詰まってるというのに!」
「そこは少し援助するわ」
「分かったわ」
「霊夢!?」
魔理沙がツッコむ、僕はそのまま突っ立っているだけだった。
「あーうん……置いてけぼりだなぁ──あ、あのぅ僕の名前は華扇なんですよね? だったら僕の記憶は知っているんですか?」
そう聞くと紫のお姉さん──紫は言った。
「それは……ごめんなさいね……私は知らないわ──私は気絶していた貴方を博霊神社に移動させただけなの」
「そうなんですか……僕の名前以外何も分からない……」
僕が下を向くと、紫達が援護する。
「そっそんな事は無いわ! こうやって幻想郷で住めるのよ!? 結構楽しい場所よ!?」
「そっそうよね! やっぱり紫の言う通りだわ!」
「そうだな! のんびり記憶を戻せばいいじゃないか! 時間はまだあるんだしさ!」
紫の次に霊夢、魔理沙が援護する、確かに魔理沙の言う通りのんびり記憶を取り戻すのもありかもしれない……
そう思いながら、空を見上げた──
博霊神社──
僕は空を見上げた時に思った、『僕も霊夢みたいに巫女の力を扱える様になるのか?』と。
それを霊夢に言ってみる。
「うーん、巫女って言い方では無いにしろ、神主? でも華扇がそれを望めば教えられるけど?」
「良かった、では僕に巫女の力を教えてくれないか?」
「えぇ、教えるからには徹底的に教えるわよ? 気を付けなさいよ?」
「あぁ、分かったよ霊夢先生?」
「先生って──フフッ」
霊夢は僕の『先生発言』で笑ってしまった、僕も釣られて笑ってしまった。
そして今は夕方、巫女の力を得る特訓はまた明日、という事になり、今日は晩御飯を食べて布団を敷いて隣同士で寝る事になった、その理由は、『もしも妖怪の類(たぐい)が神社に入ってきて、華扇を襲わない様に』だそうだ、僕ってそこ迄ひ弱に見られてるのかな? そう思いながら僕は寝る事にした──って隣に女子が居るとなると、少しドキドキしてしまう──そして翌朝──ドキドキで寝れなかった、これだと完全に巫女失格だな、そう思いながら重い体を僕は動かした──今日はどんな日になるだろう?
CHAPTER 1 終了 CHAPTER 2 に続く……
- Re: 東方崩壊譚 ( No.5 )
- 日時: 2016/09/18 22:43
- 名前: 彩都 (ID: e.VqsKX6)
東方崩壊譚(とうほうほうかいたん) 第一章 第一話 謎の少年
CHAPTER 2 残骸
憎い! 憎い難いにくいニクいニクイ憎い!!!!!!
一人の少女は頭を抱える、そして彼女の力で周りの竹林は荒れていく……
少女は狂気に溢れていく──そんな空は真夜中だった──そんな彼女の瞳は赤く──紅くなっていった──
博霊神社──
「……」
僕の名前は華扇、突然博霊神社の石畳に寝ていた身だ、そんな僕は霊夢と同じ様な巫女の力を扱える様になる為に特訓の身──まぁ、僕は男だから巫女にはなれないけど──
僕は綺麗な二葉に手を取る──そしてそれを引きちぎる。
「よっと、これで良いかな……?」
そう言いながら僕は腕に篭を携え、霊夢の所に行く。
すると霊夢は焚き火をしていた、その中に木々を入れていた。
「へぇ……焚き火か……甘藷でも焼くの?」
「えぇ、そうよ、木々のゴミとか此処に入れてね──そこの篭のゴミとかね」
「あぁ、分かった」
そう言いながら僕は篭のゴミを放り込む、ゴウッと火が燃え盛る。
「綺麗だなぁ」
そう言いながら霊夢を見た、すると霊夢は笑った。
「何よ? どうせ私は薄汚い巫女ですよーだ!」
アッカンベーをして、霊夢は本殿にある甘藷を取りに行った。
すると頭にぼんぼんを二つ付けた少女が博霊神社に来た、手にはカメラと新聞があった。
「霊夢さーん! 新聞ですよー! っとあれ? 君は?」
「僕の名前は華扇だ、宜しく」
僕が自己紹介をすると少女は笑いながら言った。
「知ってますよ、華扇くん、私は射命丸文(しゃめいまる あや)と申します、因みに天狗です」
「天狗?」
「そうです、まぁ、その力を新聞に費やしているんですがね──」
そんな話をしていると篭に甘藷を入れた霊夢が現れる。
「全く……そんな新聞は要らないって言ってるのに……んで、どうしたの?」
「そうそう! それなんですよね、ちょっとこの新聞を見たら分かります」
そう言いながら僕に新聞を渡した、そして読んでみる。
「『竹林が荒れる? 恐怖の一日破壊!』? 何だろう?」
そう言った瞬間、僕の持っていた新聞は霊夢によって奪われる、そして霊夢はじっくりと読む──そして、文に向かって言った。
「文、これって何処なの?」
「えーとですねぇ……」
文は場所の説明をする、そして霊夢は僕に向かってこう言った。
「華扇、一緒に着いてきて、巫女の技を見せたりしてあげるから」
被害の竹林──
「しっかし、派手にやられてるぜ……どんな力を持った妖怪なんだ……?」
魔理沙が顎に手を当てながら土を触る……そして霊夢は言った。
「魔理沙、どう? 魔法の使い手かしら? この荒れ様は……?」
「いや、これは魔法ではない──もっと『何か』違う物だろう──その前に何でお前迄居るんだ? 文?」
「文は此処へ連れてきてくれたの」
「成程……でも華扇迄来る理由は?」
「彼も巫女の力を得たいの、少しは自分を守れる様にしないとね」
「一応男だけどな……」
「まぁ、そこは置いといて……」
そう言いながら霊夢、魔理沙の捜査は続いた──そして夕方になった。
「もう夕日が……帰って晩ご飯を取らないと……」
そう言いながら、僕はポツリと呟いた、その言葉に反応した霊夢が言う。
「確かに──華扇の言う通りだわ、魔理沙、今日はもう引き上げ──」
刹那、その瞬間、その数瞬だった、僕と魔理沙の間を横切る一つの『影』が走った──その『影』は紅い瞳を持っていた──霊夢が急いで退治の準備をする。
「貴方は誰!?」
霊夢が足早の様に口を走らせた、するとその『影』は見覚えのある影だった。
「おぅ! 誰なんだてめぇは……ってフラン……!?」
その『影』の人物はフランドール・スカーレットだった──瞳が赤く紅い、何かに操られている様だった──そんな彼女が竹林を荒らしたというのか? そう思いながら僕は彼女が喋るのを待った。
「でも何で……? アンタはそんな事をする様な存在ではない……! どうしたのフラン!」
だがそんな霊夢の言葉を聞かないフラン、そして彼女の周りの竹が壊されていく……! フラン、何て凄いんだ……!
「完全に我を失っているわね……! どうした物か……!?」
霊夢が完全に自分の中に引きこもっている、その間にも周りの被害は甚大だ。
「チッ! 仕方無い! 私が相手する!」
そう言いながら魔理沙が前に出る、果たして勝てるだろうか? 何だか勝てない様な気がしてならない。
魔理沙は箒に乗って宙に浮く、そして魔法を発動していく、だがフランは華麗に避けていく。
その瞬間だった、魔理沙の魔法の流れ弾が僕の方に向かってきた、僕は目を閉じながら顔の前で手をクロスしてしまった。
だが、何も起きていない、逆に右手の手の平から煙が出ていた、僕は咄嗟に左手を手前に、右手を左手の奥に出していた、だが結論、『右手で魔理沙の流れ弾を打ち消した』に他ならないのだ。
これはどういう事だろう? そんな事を考えている場合ではない、僕はその前に逃げないといけない、そう思いながら僕は霊夢の後ろに隠れた、霊夢はまだ考えていた。
- Re: 東方崩壊譚 ( No.6 )
- 日時: 2016/09/18 22:44
- 名前: 彩都 (ID: e.VqsKX6)
魔理沙は魔法を避けられる事に苛ついていた、だが此処で力任せに攻撃なんてしていられない、すると霊夢は苦痛の顔を浮かべる。
「魔理沙!」
一際大きい声に魔理沙と僕は驚いた、霊夢がこんな大声が出せるなんて知らなかった。
「逃げるわよ! 今は撤退しましょう!」
「んな事言ったって──」
「いいから!」
霊夢の怒声に魔理沙は溜息を吐いて渋々承諾した。
「分かったよ……」
そして僕等は急いで博霊神社に逃げる事にした──
「クソッ! 何で霊夢、お前は止めたんだ!?」
そう言いながら、魔理沙は霊夢に怒る、だがその本人の霊夢は右手で湯呑みを持って、左手で底を持って飲んでいる。
「ふぅ……やっぱり良いお茶ねぇ──」
「おい霊夢! 私の話を聞いているのかぁ!?」
すると霊夢は言った。
「フランの能力は『ありとあらゆるものを破壊する程度の能力』──簡単に言えば、『どんな物でも壊す事が出来る』──今の私達で勝てるかしら? 一般人の華扇を守りながら?」
……無言、確かにそうだ、僕はただの一般人、ましてや人間、普通の──霊夢や魔理沙みたいに力が有る訳でもない──そんな人間を守りながら戦うと言う事は、相当な負荷となる事だろう──それを『守りながら』戦う──彼女等の負担はもっと増えるだろう──そんな負担をかける為に一緒に行くのは間違いだ。
「確かにそうだね──僕は博霊神社で待っておく──」
そう言った瞬間、僕等の居る部屋の戸を開ける者が居た、それは紫だった。
「間に合った様ね──かおくん、貴方に言い忘れていた事があったわ──」
そう言いながら僕は紫について行く事にした──
場所は博霊神社の境内、そして紫は言った。
「魔理沙、かおくんに何か魔法を『使って』?」
その発言に対し、魔理沙は驚く。
「紫……それは本気か? 華扇の野郎が死んでも良いって言ってんのか?」
「あら? 『物は試し』、と言わない? さっさと使って?」
そう言いながら魔法の使用を促す紫、何をする気だ?
そして魔理沙は僕の見える範囲、十メートル程離れて、八卦炉を持って言った。
「あぁ! もうどうなっても知らねぇからな! 紫!」
そう言いながら僕に向かって、熱い『何か』を放った、此処からでも感じる熱風に僕は少し後退る、だが、紫が僕の体をロックして離さない。
「少しは耐えなさい、かおくん、男の子でしょう? 良く見て? あの熱い『何か』に手を出しなさい──」
そう言われて、紫は僕の右手を前に出した、その瞬間魔理沙の熱い『何か』は僕の手に当たる。
「!?」
そこで驚いた、『触れても熱くない』のだ、そしてそのまま熱い『何か』は放出を終わらせた。
「……何だそりゃあ……?」
魔理沙が間抜けな声を出す、その声に続き、霊夢の声がした。
「紫? 私は華扇を危険な目に遭わせまいとしたのに、何で貴女から危険な目にあわせようとするの?」
すると、紫は笑う。
「あら? かおくんにも戦わせようとした私は間違いかしら?」
「戦える? あんな『何かを消す』感じの能力でどう戦う?」
独り言の様に言った魔理沙は自分の発言に少し考え、ハッとする。
「あら、魔理沙はもう気付いたみたいね」
紫が笑いながら扇子で鼻から下を隠す。
「……どういう事なの? 華扇に対しての狙いは何?」
不審そうに霊夢は紫に聞く、だが、魔理沙が言った。
「バカ、霊夢──もしもだ、そのもしもだぞ?『コイツの能力が攻撃を消す』みたいな能力だったら?」
そう言うと、紫は言った。
「大外れ、完全に違うわよ──まぁ、消すだけは正答に近いからいいけれど──」
そして紫は言った。
「かおくんはねぇ──『元に戻す』能力なの──簡単に言えば、『最初に居た場所に戻す』が近いかな? だから『その場所に存在しない魔理沙の攻撃』は無くなったの──分かったかしら?」
すると霊夢は言った。
「待って、それってつまり『壊れた物も元に戻せる』の?」
「そうなるわね、壊れた物なら『壊れた前に戻す』事になるわね」
「そうなんだ……」
そう言いながら霊夢は頷く、まさか僕にこんな『力』があったとは……自分でも驚きだった。
そう思いながら自分の右手を見ると紫が言った。
「その『力』があればどんな攻撃も痛みも『元に戻せる』──つまり無かった事になるのよ? 怪我でもね──?」
「だったら、華扇でも戦える? 工夫さえしたら?」
霊夢が恐る恐る紫に聞いた、紫は単刀直入に言った。
「戦えるわ──工夫さえしたらね」
「そう──」
そう言うと、僕にも自信が湧いた、僕だって、霊夢達と共に妖怪を倒せる!
「では、私はこれで……ちゃんと使い方を覚えなさいよ? 分かったかおくん?」
「あぁ、ちゃんと覚えておくよ」
そう言いながら紫は歩いて消えた──僕は自分の右手を見ながら拳を作った。
すると霊夢は言った。
「戦える事が分かったなら、後は私と魔理沙で死ぬ気の特訓よ!」
「えっ? 私もかよ!?」
魔理沙は驚きながら逃げようとするが、霊夢に捕まる、こうして僕は二人からの楽しい特訓(※ただし死ぬ可能性あり)を受ける事になった──
- Re: 東方崩壊譚 ( No.7 )
- 日時: 2016/09/18 22:44
- 名前: 彩都 (ID: e.VqsKX6)
一時間後──
僕は汗だくになっていた、二人の特訓がキツくてキツくて……
「おらぁ! まだ音を上げんじゃねぇ!」
魔理沙の大声に応える僕。
「こんなんでっ! 音を上げたらぁ! まだまだ弱い!」
そう言いながら、右手を前に出す僕、この一時間で結構な右手の事が分かった。
まず、一つ目は『手で触れた物しか消せない』事、これは手の対象内に入った物しか消せない、と言う事だ、なので、離れた物は触れない限り消せないのだ。
これさえ分かれば、結構楽な物だ──そして今は魔理沙の魔法を打ち消そうとしている所だった──
「行くぜぇ! 光の魔法!」
魔理沙がそう言うと、杖の先から、光のビームが現れる、僕は右手を出して、そのビームを『元に戻す』、すると光のビームは消えた、このビームに対しての使用方法は、『元々無かった場所』に現れているので、存在している物を『元々無かった場所』に『元に戻』したのだ。
そうするビームは消える、と言う事だ。
すると突然紫が空中から現れた。
「うわっ!? 驚いた──で、どうしたんだ紫?」
僕がそう言うと、紫は言った。
「いえ──ね、かおくんがどこ迄自分の力に目覚めているか、確認しに来ただけよ──で、霊夢、魔理沙、どこ迄かおくんの能力を目覚めさせたかしら?」
「さぁな? 結構出来る様になったんじゃないのか?」
「多分、華扇は自分の力を使いこなせている、と言えるかしら」
二人からは絶賛されて少し照れる、だが紫は口を扇子で隠しながら言う。
「でも、『幻想郷で生き抜くにはもっと強くならないといけない』わね──」
「強くなる? そんなののんびりで良いと思うぜ? この博霊神社に居る限りな」
「魔理沙の言う通りね」
霊夢がそう言うと紫が言った。
「まぁ、それもそうね」
そう言いながら紫は割れ目から消えた、そして僕は特訓を再開した──
「ふぅ、疲れた……」
そう言いながら僕は胡座を掻いた、すると魔理沙が言う。
「結構大変だな、お疲れさんだ」
「そうか? 僕的にはまだまだ磨けると思うけどね」
「へぇ、そう言うか」
魔理沙にグーで頭をぐりぐりされて痛がる。
「痛たたたたたたたた!」
「ヘッ! まだまだだな」
「何という強引さ……」
「何か言ったか?」
「いえ、何でも無いです魔理沙様」
「そうか」
そんな会話をしていると、霊夢がお握りを持ってきた。
「二人共、汗を掻いたでしょう? お風呂に入ってきなさい」
「へぇ、今日は露天風呂か」
そう言いながら魔理沙は喜々とする、すると霊夢は言った。
「安心しなさい、華扇の分もあるから」
そう言うと、魔理沙は言った。
「あぁ、だから私に特訓を任せたんだな、華扇の分の風呂場を作る為に」
「へぇ、それは嬉しいね」
成程、だから霊夢は魔理沙との特訓に付き合わなかった訳か、その理由に納得して、魔理沙と僕は露天風呂がある場所に迄向かった。
「いやぁ、露天風呂でお握りを食べるなんて初めてだ」
「それを言うなら、僕もなんだけどね──」
そう言いながら、右手に持ったお握りを齧った、何とも程良い塩加減だった。
中身は何も無い只の塩お握りだった、お米もほろほろ落ちず、しっかりとした堅さのお握りだった。
そして今の状況、横を見れば、魔理沙の裸が見える──いや、ちゃんと遮る壁は有るもののその壁は少し薄くて、目を凝らしたら魔理沙は見える──まぁ、見ないけどね──そしてほっかほかに暖まった僕は湯船──と言うよりドラム缶だけれど──ってそんなにお金なんかかけられてやれるかって話なんだけど──を出る、そしてバスタオルを一枚羽織る。
「ふぅ魔理沙、僕は先に上がるからね? 自由に入ってってよ」
「そうか、分かった」
僕はそう言って、服を探す──そう言えば僕は幻想郷に来てからそもそも着替えていなかったので、服装に少し困っていた。
一体どんな服になるのだ──えぇ……? これはマジか?
「……霊夢、僕の服装は君と同じ様に腋を出さなきゃいけないのか?」
それもその筈、今僕が掴んでいるのは何時も霊夢が着用している赤と白の巫女装束だった──男の僕がこれを着なきゃいけないのか……!?
「仕方ないでしょう? 華扇の服は一張羅、では裸で過ごさせる訳にはいかない──一応神社だし、参拝客が驚くかもしれないしね──だから華扇、その服を着なさい?」
「断固拒否という手段は無いかい? 服を他の所から買うとかね?」
「華扇、それはお金がある時に言いなさいよ──今は無い!」
「うわぁ! もうダメだ! 僕に選択権は無い!」
半分涙目で魔理沙に聞いてみる。
「ねぇ! 魔理沙もそう思うよね!? 男が女の格好なんて──」
魔理沙は考えている、『うぅ〜』と唸りながら考える、影からして顎に手を当てているのだろう──
そして魔理沙は声色を下げて言う。
「華扇の女装──少し見てみたいなぁ……」
「わぉ! もう僕に拒否権等存在しない! 誰か助けてよぅ〜〜〜!」
僕は泣きながら虚空に向かって声を荒げた──泣きながら僕は霊夢の巫女装束を着る事にした──あまり他の人に見られたくないなぁ、そう思いながら僕は虚空に願った──
- Re: 東方崩壊譚 ( No.8 )
- 日時: 2016/09/18 22:45
- 名前: 彩都 (ID: e.VqsKX6)
翌日──
「ふえぇ!」
変な声を上げながら僕は目覚めた、はて此処は──?
って思い出さないと──あぁ、そうそう、僕は幻想郷と言う場所に来て、博霊神社で寝泊まりをしているんだった、つまり此処は博霊神社の中のどっか、と言う事だろう、そして自分の手に包まれる布団を折り畳んで、自分は立ち上がる──すると自分の格好が赤と白の巫女装束に気付く、そして赤面する、そうだ、僕はこんなにも『恥ずかしい格好』だったんだ──
昨日 風呂上がり後──
「似合ってるじゃないか、華扇」
「そうね──何で私より似合って……」
魔理沙の素直なコメント、霊夢の恨めしいコメントを身に受けながら
僕は自分の格好を見る──うぅ、やっぱり恥ずかしい──そう思いながら袴の裾を押さえる──流石に男だからスカートは止めて袴にしてもらったけど、流石に恥ずかしいよぅ……
「何で何で何で? 何で華扇の方が私より似合ってるの?」
霊夢は僕の胸座を掴んで、鬼気迫る顔で睨む、僕が涙目になっていると、咄嗟に魔理沙が止めに入る。
「まぁまぁ! 霊夢も落ち着けって……」
「うぅ、憎い! 外の世界の人間が憎い!」
ガルルルルとまるで猫の威嚇の様に喉を鳴らす、僕は少し汗を掻く──そしてその日は魔理沙は風呂に入った後、自宅に帰った──
そして今に至る、と言う事だ──巫女装束を着てしまった以上もう、仕方無い、諦めて、巫女になる事にした──
さて、まず何をしようか? そう思いながら部屋の戸を開ける──目に入ったのは落ち葉が散乱している事だった──僕は近くから箒を取って、落ち葉を掃く──
ざぁ、ざぁ、と落ち葉と箒が擦れる音がする、この音は少し心地よい、そう思いながら無心に境内の落ち葉を掃いて、一部分に集める。
そして場所を移動してまた箒で落ち葉を集める──すると石の階段を上る音がする──珍しい、参拝者かな? そう思いながら、石の階段の近くの石畳の落ち葉を集めて掃いていく──すると石の階段から声がした、その声は女性だった。
「あの……霊夢さん、居ます?」
その人物の格好は、青いスカートの様な袴に白を基調とした服装の緑髪の女性だった──霊夢より少し身長は高い方か?
「あのー……聞いてますか? 霊夢さんは──」
僕は彼女が言っている事を思い出す、彼女は霊夢を呼んでいる、僕は霊夢を呼びに行った──
「んー、どうしたのよ……」
頭を掻きながら霊夢が現れる、服装も乱れていて、参拝客に見せる姿ではない──すると霊夢は目を見開いた。
「あれっ? 早苗じゃない? 今日はどうしたの?」
あれっ? 霊夢の知り合いかな? まるで幼なじみと喋る感じに二人の女子は会話する。
「えぇ、神奈子様が『博霊の巫女に会いに行くのかい? だったら土産の一つでもどうだ?』って、言っていましたので、少しばかりのお土産ですけど──」
そう言いながら、早苗、と言った人物はダンボールに入った野菜やお菓子等を霊夢に渡す。
「わぁ! 有難う! これで一週間は食に困らないわ! っと──忘れていたわね、彼は華扇って言うの、宜しくね?」
左手で僕の事を紹介する霊夢、僕は自己紹介をする。
「僕は華扇って言います、一応記憶喪失で今は博霊神社で寝泊まりしています、因みにおと──」
男と言おうとした瞬間、霊夢にダンボールの中の人参を僕の口に投げられる、いきなりの事に僕は投げられた反動のまま倒れる。
「うごぉ!?」
「華扇、箱を居間に持ってってくれるかしら?」
「まぁ、華扇ちゃん、大丈夫ですか?」
あぁ、勘違いされた──そう思いながら僕は起き上がって、口の人参ごと博霊神社の居間へと運んだ──
居間に行って、三人はお茶を飲む、すると早苗が言った。
「そう言えば私の自己紹介をしていませんでしたね──私は東風谷早苗(こちや さなえ)と言います、霊夢さんと同じ巫女で、守谷神社という神社にいます、これから宜しくお願いしますね、華扇ちゃん」
深々と早苗は正座から頭を深々と下げる、見た目によっては土下座にも見えた、だが僕は言わなくてはならない事実がある──
「……早苗、一つだけ言うよ、僕はね──」
僕は息を吸い込んでから言った。
「僕は男です、正真正銘の」
その事を言った瞬間、霊夢が御幣を持って僕の頭を叩こうとする、だが僕の右手の力、『元に戻す』能力で触れて、御幣を『元の場所に戻』した、その行為をした瞬間、霊夢から舌打ちがされるが、僕は放っておく。
「……えっと、あの──男なのに何で霊夢さんの格好を?」
早苗がそう言うと、僕は答える。
「服が無かったから、代理でね?」
「そうなんですか……でも可愛いですね、似合ってますよ」
早苗に言われると少し嬉しかった、だけれど女装はあまりしたくない……そう思っていると、早苗が突拍子な事を言った、その事に僕と霊夢は驚いた。
「華扇さん、もしよければですが、守谷神社を見学しません? この博霊神社と違う、守谷神社の事も見学してみては如何でしょうか?」
「えっ? 華扇を守谷神社に!?」
「僕が他の神社に!?」
そう言いながら早苗は笑顔で言った。
「はい、そうです、どうです華扇さん、守谷神社を見学してみませんか?」
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