二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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東方崩壊譚
日時: 2018/06/27 23:03
名前: 彩都 (ID: J1W6A8bP)

 少年は博霊神社で目覚め、何を思い、幻想卿を崩壊させるか──

 始めましての方は始めまして、何度も彩都の作品を読んでいる方は有難う御座います。
 彩都(サイト)と申します。
 もう九作目ですよ、九作目! まぁ、一ヶ月一回更新が多いですねぇ……
 まぁ、今回は『東方PROJECT』という原作者『ZUN』さんの三次創作となっております。
 何故二次創作じゃないかって? それは秘密です☆
 そんな話は置いといて、今回の物語は『幻想入りした少年が幻想卿諸共破壊する迄のお話』で御座います。
 基本的に口調や喋り方は原作通りですが、間違っている部分があれば普通にコメントで説明してくれれば幸いです。
 自分も原作(体験版のみですが)は少しだけ経験していますが、それでも新発見は多いです。
 とまぁ、ここら辺でお話は止めまして、それでは、本編どうぞ!

 目次

『東方崩壊譚』第一章 第一話
本編
>>1-15
後書
>>16

『東方崩壊譚』第二章 第二話
本編
>>16-46
後書
>>47

『東方崩壊譚』第三章 第三話
本編
>>48-62
後書
>>63

『東方崩壊譚』第四章 第四話
本編
>>64-78
後書
>>79

『東方崩壊譚』第五章 第五話
本編
>>80-94
後書
>>95

『東方崩壊譚』第六章 第六話
本編
>>96-110
後書
>>111

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Re: 東方崩壊譚 ( No.39 )
日時: 2017/05/14 21:52
名前: 彩都 (ID: hxRY1n6u)  

「到着っと」
 文はそう言って、ゆっくりと僕を降ろす、僕の目の前には腐臭と血の臭いが辺りを巻き込んでいた。
「此処が現場……」
 僕はそう言って、家の中に入ろうとする、すると文が僕に言う。
「私的にはあまり入らない方がいいと思いますよ? まぁ、忠告だけはしておきますよ、忠告は」
 僕は文の言葉を聞いて、中に入ろうとする、その行動に対し、文は呆れていた。
「もう、どうなっても知りませんからね?」
 最後にそう忠告して、僕の帰りを待つ事にした文、僕は段々と家の中を土足で歩んでいく。
 すると目に飛び込んできたのは大人の男性の遺体だった、体は所々食べられており多量出血だ、囲炉裏を挟んで隣には、大人の女性の遺体が。
 女性もまた主に胸を食い千切られている、僕はそのまま奥に進んでいった。
 奥は風呂場だった、風呂場には僕よりも幼い少年が首を食べられて死んでいた、何とも可哀相に……そう思いながら自分は早めに見つけられたら右手の能力で生き返る事が出来たのに……と思う。
 あれっ? そう言えば赤ん坊は何処なんだろう? と思い、家の中を隈無く探す、だが見つからなかった。
 仕方なく、台所へ向かうと──そこには首と体が離されている赤ん坊の遺体があった、あまりにも衝撃的過ぎて吐き気を催してしまう、だが今吐いてはダメだ、もっと他の場所で吐かなくては、そう思い、台所を離れる、赤ん坊は骨だけしか残っていなかった。
 何て残酷な事件だろう、自分はそう思いながら家を出て、文の所に向かう。
 文は手頃な石を見つけて、椅子代わりにして何やら手帳を開いている、まさか次の新聞でも作っているのだろうか?
「おや、華扇くん、中の物色は出来ましたか?」
「うん、一応は──犯人は誰なんだろうね? 同じ種族の人間が食べる、なんて可能性は無いだろうし──」
「それは分かりませんよ? 人間何をするか分かりませんし、妖怪である私は食人する人間の事なんてよく分かりません」
「それは僕もだ、だけど人喰妖怪が食べた、という可能性もあるよね?」
「まぁ、記事にそう書きましたので、その可能性もありますが」
「実は一回だけ、人喰妖怪を見た事があるんだよ、そいつ、自分の事を襲ってきた時もあった、だから犯人はそいつじゃないかな? って思っているんだよ」
「成程、華扇くんはそう言う考えをお持ち、と」
「そうだね」
 文の言葉に対し、自分は頷く、だがまだその人喰妖怪が犯人、と決まった訳じゃない、まずその人喰妖怪に話を聞かないといけない。
 僕はその人喰妖怪を文と共に探す事にする──

「……中々見つからないな」
 僕はそう言って、地べたに座る、そんな僕を見る文はスカートを抑えながら地上に降りてくる。
「体力が無いですねぇ、本当、人間よりも体力が無いかもしれませんね、華扇くんは」
「煩い、こんな鬱蒼とした場所を歩くなんて思ってもいなかったんだ、だから僕は体力が切れただけだ、逆に文は空を飛んでいるんだ、僕より体力は使っていない筈だけど?」
「うっ……それとこれとは違います」
「それとこれ、なのか……」
 僕は呆れながら溜息を吐く、中々情報が掴めない、というより、情報が見つからない、本当に犯人は人間なのか、妖怪なのか、真相は闇の中だ──そう思った瞬間だ、周りの草木から、『カサカサッ』と音がする、何だ!? と僕が思った、文は僕の目の前に立って周りを確認する、だが音の正体は中々僕らの目の前に現れてはくれない。
「誰ですっ!? 正体を現しなさい!」
 文が空虚に向かって叫ぶ、すると草木の中から金髪の幼女、髪には赤い髪飾り──リボンだ──をつけている、服装は白いYシャツに黒い上着、黒いスカートを着用している、僕はこの幼女の事を知っている、そう、ルーミア、人喰妖怪だ──
「…………」
 無言のまま僕らの前に現れる、そして僕は立ち上がってルーミアに言う。
「やぁ、探していたよ、ルーミア──僕は君に聞きたい事があるんだよ」
 僕がそう言うと、ルーミアは不思議がっていた。
「何なのだ?」
「そんなの簡単さ──『君が『人里襲撃事件』の犯人』、だね? と言っても、人間の言葉で表しているからなぁ『人里襲撃事件』ってのは──そうだな、昨日、ルーミアは人里を襲った?」
「まさか華扇くん、こんな小さい存在が人里を襲った、とお思いに?」
 文が僕とルーミアの会話を割く、だが僕は文の事を無視する。
「さっさと答えたらどうなんだ、ルーミア? 黙秘は肯定と一緒だよ?」
「…………」
 無言、ルーミアは無言を続ける、当たっているのか……
「分かった、君が犯人、と言う事でいいね?」
 僕が最後にルーミアに言うと、ルーミアは笑う。
「……アハ、アハハ……アハハハハハハ! お兄さん、正解だね、よく分かったね、でも結局はお姉さんもお兄さんも食べるから犯人である私を知っていても無駄だけどね──でも聞きたいなぁ、何で『私が犯人』と断定した?」
「えっ? 『人里襲撃事件』の犯人は貴女なんですか?」
「文は今は黙ってて」
「えっ……」
 僕は文を黙らせて目の前にいる存在、ルーミアに集中し、言葉を紡ぐ。
「ルーミア、それは簡単さ、『食べた歯形がよく似ていた』からだ、前に君は僕を食べた、そしてその前に君が食べた人間を見ている、その時に僕は君の歯形を見たんだ、だからこの『人里襲撃事件』の犯人は君、と決めつけたんだ」
「へぇ……よく見ているね、でも今から私が二人を食べるから歯形を覚えていても意味がない」
 そう言ってルーミアは僕らに向かって攻撃を仕掛ける──僕はその攻撃を避ける、文もルーミアの攻撃を宙に浮いて避ける。

Re: 東方崩壊譚 ( No.40 )
日時: 2017/05/14 21:55
名前: 彩都 (ID: hxRY1n6u)  

「何で避けるかなぁ?」
「そんなの決まっているだろ、死んじゃうから、だろ? 生憎僕はまだ死にたくないんでねぇ」
「私も、幻想郷のスクープは逃したくありませんからねぇ」
 僕と文はそう言って、ルーミアに返事する、だがルーミアは宙に浮いている文を標的にせず、地上に立っている僕を標的にする。
「うーん、あのお姉さんは翼が生えている分、不味そう……だから先にお兄さんを攻撃するよ」
 そう言ってルーミアは大きく口を開けて僕に向かってくる、そんな場面を見て文は叫ぶ。
「華扇くん!」
「うわぁ、僕を先に倒す気か──だけど、あのお姉さんを先に食べた方が良かったかもしれないね──だけど、僕は負けない」
 僕はそう言って、左手で僕に向かってくるルーミアの顔面を殴った、綺麗に僕の拳はルーミアの鼻に当たる。
「うっ!!」
「どうだ、あまり力は入る事が出来ないけど、僕の前に出した拳と君が来るスピードが相まって、大きい威力になったようだよ、こんな痛い思いをしたくないなら急いで人里に行って、謝ってくるんだ、もしくは霊夢に倒されるか?」
 僕がルーミアに向かって言う、だがルーミアはそんな言葉を聞かない。
「何で? お兄さんは私に食事をするなって言っているの? 私は人を食べる妖怪、食べないと生きていけないの、だから食べる、お兄さんもお姉さんもね!!」
 もう一度僕に向かって口を開けて僕を食べようとする、全く……人の話を聞かない妖怪だこと……僕はそう思いながら溜息を吐く。
「だから僕は食べられないって──『外の世界』に戻る迄はね──僕は生き続ける、人喰妖怪なんかに食べられない!」
 僕はそう言って、右手でルーミアの左頬を殴る、手応えを感じる、ルーミアにも重い一撃が行ったかもしれない、そう思いながらルーミアを見る。
「…………」
 ルーミアは顔面に二発も殴られて無言になった、そして僕を睨む。
「お兄さん、お兄さんは酷いねぇ、か弱い女の子を二発も殴るなんて……」
「いや、それよりも君は妖怪だろ? 僕は自己防衛しただけで……」
「そんなの関係ない! 女性を殴る男性は悪いんだっ!」
 僕はそう言うが、ルーミアは聞かない、そしてルーミアは空虚を食らう、何とか避けられてセーフだ──
「ふふっ、華扇くん、幼女の妖怪に正論言われていますねぇ、傑作です」
「文は文で僕を助けてよ!?」
 空中で手帳片手に口を隠して笑う文、僕は涙目になりながら文に言う。
「何で僕はこんなに苦労しなきゃいけないんだ……」
 はぁ、と溜息を吐きながら僕はルーミアの攻撃を避けていく、その瞬間だった、不意に僕とルーミアの視線があった、その時だ、自分は『前に感じた感覚』を覚えた、何なんだ? 何なんだよ、この感覚は? 何か忘れている感覚……一体?
 その瞬間だった、脳裏に一人の少女を思い出した、あぁ、そうだ思い出した、この感覚は『操られたフランドール・スカーレットと対峙した時の感覚』だ、まさかルーミアもフランドールと同じ様に『操られている』? いや、そんな筈は……だったら何故『そんな筈は無いって思っているのにフランドールと同じ感覚を肌で感じている』!? 可笑しいじゃないか、何でそんな『感覚を感じているのだ』!? 可笑しい、何かが可笑しいぞ……前に霊夢は言っていた、『誰かに操られている』可能性がある、と──そして操られていた時は『瞳が紅かった』! もしもこの可能性が正しいなら──『ルーミアは操られている』、フランドールと同じ様に……! そう思った瞬間だった、僕の左手の手首ごとルーミアは食べた、ぐちゃり、と音を立てた後、ルーミアは引っ張る、引っ張った後、自分の左手を確認する、『左手が無くなっていた』、その場面を見て文は驚愕していた。
「!? 華扇くん! 急いで離れて下さい! 食べられます……よ?」
 文はそう言うが、僕は自分の左手を右手で触れて『元に戻』す、『元に戻』した僕を見て文は安心する。
「何だ、偽物の手でしたか、てっきり本物かと……」
「いや、本物を食べられたんだけど……」
 僕が文に向かって補足する、文は驚いて僕に言う。
「えぇっ!? 大丈夫なんですかっ!?」
「大丈夫だよ、こうやって自分の左手が戻ってきたのも自分の能力だし……」
 僕がそう言うと文は手帳に文字を書き始める。
「成程……華扇くんの能力は『失った物を取り返す程度の能力』と……」
「うーん、僕の能力は『元に戻す』能力なんだけどなぁ……後で教えるか」
 僕はそう言って、目の前に存在するルーミアを見る、彼女は操られている、そう考えた自分は深呼吸してルーミアに言う。
「君は……操られているのかい?」
「操られている? 何を言っているの?」
「……操られていない可能性もあるなぁ、中々に面倒な時間だ」
 自分はそう言って、溜息を吐く、とりあえず、犯人は分かったんだ、今はルーミアと戦わずに逃げよう、そう思いながら僕はルーミアに言う。
「ねぇ、僕は用事があるから急いで帰らないといけないんだけど……」
「そーなのか……だったら急いでお兄さんを食べたらいいんだね!」
「違うよ、また今度、時間がある時にしてくれないかい? 生憎僕は忙しいのでね」
 僕はそう言って文を呼んだ、さぁ、文を使って移動しよう、そう思って深呼吸する。
「ん? どうしたんですか? 華扇くん?」
「えっとね、文、急いで僕を守谷神社に運んでくれない?」
「まぁ、いいですよ、でもあの人喰妖怪はどうします?」
「大丈夫だよ、話をつけてきた、とりあえず数日後、此処に一人で来るよ、一人で全て片付けてくる」
「そうですか、それでは頑張って下さいね、数日後の華扇くん?」
「えぇ、頑張ります」
 僕はそう言って文に掴まって、ルーミアから離れる──数日後、決着を着けよう、ルーミア──

Re: 東方崩壊譚 ( No.41 )
日時: 2017/05/14 21:57
名前: 彩都 (ID: hxRY1n6u)  

「…………」
 僕は文に守谷神社迄運んでもらい、守谷神社の縁側で腕を組みながら考える──さぁ、どうする? どうしてルーミアを倒す? 倒す為に霊夢を呼ぶか? たかがそんな為に呼ぶのはあまりにも身勝手だろう、だけど他に方法が思い付かないのだ、どうしてルーミアを倒す? ルーミアは人喰妖怪だ、そう簡単に倒せはしないだろう、ルーミアに触れようにも、あの口が恐怖だ、肩に触れようとしたらあの口で右手を食べられてしまう、代わりに何処に触れたらいいのだろう? 触る場所は口よりも上の方がいいのだろう、それにしてもいい案が思い付かない、僕は案や作戦を考えるのが下手くそなのかもしれない──そう思っていると隣に神奈子が座った。
「……華扇、人里へ行ってどうだ?」
「人里ねぇ……簡単に言えば『人里襲撃事件』の犯人が分かった、というのが大きな収穫かな?」
「ほう、それは凄い発見だな、で、誰が犯人だったんだ?」
「犯人? 簡単だった、人喰妖怪だった、流石に死んでいたから、人里の人間は『元に戻』せなかったけど──もしも早めに発見出来ていたら『元に戻』して、話を聞く事が出来たかもしれない」
「そうか、それは酷い事件だな……」
 神奈子はそう言って僕に温かいお茶を入れた、僕は神奈子が入れたお茶を受け取って、少し飲む。
「本当に……人里を襲うなんて……酷いよ、人喰妖怪は!」
「だけど、『食べなきゃ生きる事なんか出来ない』んだ、生きる為にも仕方ないさ」
「それはそうだけど……!」
 神奈子の言葉に反論出来ない僕、なんて弱い存在なんだろう、自分は……そう思いながらお茶を一気に飲み干す。
「うっ……熱い、だけど少しは耐えないと……!」
「おいおい……お茶なんかゆっくり飲めばいいだろう?」
「そんな事は出来ないよ、僕は急いで強くならないといけないんだ、少しでも強くならないと……また人里の被害が広がってしまうかもしれない!」
 僕は神奈子にそう言うと、神奈子は『そうか』と言って、下がる。
「だけど、無理だけはするなよ? 自分の体を潰したら、それだけでもっと守れなくなる」
「んなもん分かっているよ──僕のこの右手さえあれば、『色々な人を救う事が出来る』んだ、少しでも前に僕が進まないと意味がないからね」
「フフッ、矢張りお前はお前らしいな」
 僕の言葉の後にいきなり笑い出す神奈子、何がそんなに可笑しいのだろう?
「お前は十分に強いんだよ、誰よりも、神である私よりもな……」
「えっ? 僕の何処が強いのさ? 僕は神奈子や諏訪子にも簡単に倒されるんだよ、それの何処が強いんだか──」
 僕がそう言うと、神奈子は僕の言葉を遮って言う。
「能力、それは『能力の強弱』なだけだろう? 私や諏訪子の能力が華扇より強かっただけ、だ──お前は私や諏訪子、早苗よりも強いよ、その『思いの強さ』、がな」
 神奈子がそう言うと、神奈子は僕の胸を右手の人差し指でトントンとつつく、『思いの強さ』ね──僕はそう思いながら言う。
「『思いの強さ』、そんなの僕はまだまだ弱いよ、僕はそれも弱いし、体力も無いし、力も無い、だからこそ『自分の伸びしろ』を信じるんだ、『思いの強さ』もまだまだ弱いよ、神奈子、流石に自分の事を買い被り過ぎだよ」
「……まぁ、そう思うなら勝手にしろ、自由だよ、思うのは──」
 僕の言葉に神奈子は呆れながら言う、自由、ねぇ──僕はそう思いながら大きく深呼吸をした、空気が美味いなぁ、そう思いながら僕は早苗に呼ばれる──

「御馳走様でした」
 僕はそう言って早苗が作ったご飯を完食する、早苗は僕を見て、驚く。
「毎回毎回食べる量が凄いですねぇ、華扇ちゃんは……」
 早苗はお茶碗やお皿を片付けながら僕に言う、僕は笑いながら言う。
「アハハッ! それは簡単だよ、早苗のご飯が美味しいからだよ」
「そんなにお世辞を言っても何も出ませんよ?」
「出す物なんか無いなんかは前から知っているよ」
 僕はそう言って、温かいお茶を飲む──すると諏訪子が僕に言った。
「ねぇ、華扇、ちょっとこっちに来てくれない?」
 諏訪子は急に立ち上がって部屋を出る、自分は諏訪子に着いていく、そして僕の寝床に辿り着く、そして部屋に入って先に座る。
「何なんだ、諏訪子?」
 僕がそう言うと諏訪子は咳払いをして喋る。
「うん、そうだね……華扇、あんた、今日何処行ったの?」
「……今日か、今日は普通にぶらぶら人里を歩いただけだよ」
 自分がそう言うと、諏訪子は『ふーん』と相槌を打つ。
「そうなんだ、んで、『人里襲撃事件』の犯人を捜した、と?」
 ドクン、と心臓が高鳴る、何で『人里襲撃事件』を知っているんだ!? しかも犯人を捜した、とも知っている!? 自分は驚きながら諏訪子に聞く。
「何で……その事を!?」
「何でって……神奈子から聞いたんだよ、そして面白い事を思い付いたんだよ、それを話す為に此処へ呼んだ」
「面白い事? 何なんだよ……!?」
 自分が焦っているとにやにやと笑いながら諏訪子は言う。
「その『人喰妖怪を倒したら特訓は終了』だ、早急にこの神社から博麗に帰ってもらう」
「えっ……!?」
 いきなりの事で自分は驚いてしまう、どういう事なんだ……!?
「簡単だよ、これは私の挑戦状、と思ってもいいかもね、その人喰妖怪を倒す事が出来たなら、私でさえ簡単に倒せるよ、だから私はあんたに特訓をつけない」
「成程、挑戦状ねぇ……やってやるよ、僕が勝つからね」
「そうか、矢張り華扇は華扇だなぁ……それじゃあお休み」
「あぁ、お休み」
 僕はそう言って諏訪子は部屋から出る、さぁ、僕も寝ないとなぁ、そう思いながら布団の中に潜る、布団の中は暖かいなぁ、僕はそう思いながら目を瞑る──

Re: 東方崩壊譚 ( No.42 )
日時: 2017/06/18 21:40
名前: 彩都 (ID: ???)  

東方崩壊譚(とうほうほうかいたん) 第二章 第二話 守谷神社と二柱の神

CHAPTER 6 さよなら守谷神社

 数日後、僕は森林の方に来ていた、そして目の前には人喰妖怪であるルーミアが周りをきょろきょろしながら誰か来るのを待つ。
「本当に大丈夫なんですかぁ? 幾ら貴方の能力でも、妖怪に勝つ事は難しいと思いますがねぇ」
 そう言って、僕に対し、射命丸文は手帳に文字を書いていく。
「さぁね? 僕が勝てるかは分からない、まずルーミアの動きによる──それじゃあ、呑気に上で見ておきなよ、勝てばいいんだ、この勝負、『相手に触れたら勝利』っていう勝負にね……!」
 僕はそう言って、森林の茂みの中から現れる、文は『本当に勝てますかねぇ?』と言って、上空に飛んで避難する。
「やぁ、ルーミア、お待たせ、ごめんね、お昼ご飯が大量で処理するのが大変だった──」
 茂みから現れた僕はルーミアが食べているモノに驚いた、ルーミアが食べているモノ、それは『人間の腕の骨』だったのだ──僕はその場で尻餅をついて叫んでしまう。
「うわぁぁぁぁぁぁ!? おっ、お前! だ、だっ誰を食べている!?」
 戸惑いながら僕は『人間の腕の骨』をがじがじと噛むルーミアを指差す、そんな僕に対し、ルーミアは普通に答える。
「そんなの、人間の里の人間だぞ?」
 ルーミアの言葉を聞いて、僕は『急いでルーミアを『元に戻』して、人間を救わないと!』と思う、そして僕はルーミアに対して叫ぶ。
「ふっ、ふざけるな! そんなのが許されると思っているのか!? 急いで僕が助けに行かないと……!」
「もう無理だぞ? だって『人間の残りカスが『これ』』なんだから」
 えっ? もう一回言って? 『人間の残りカスが『これ』』だって? まさかもう『その腕以外人間を食べ切った』、というのか!? 今ルーミアが食べている『人間の腕の骨』にはまだ人間の血肉が付いている、と言う事からもう他の人間の部位は食べ終わっているのだろう、実際ルーミアの口周りは赤い液体や飛沫で真っ赤になっているのだから。
「全く、素早い行動だこと……」
 僕はそう言ってルーミアに呆れる、僕と戦う前からこんなに自由だとは数分前の僕でさえ考えないだろう、そう思いながら僕は大きく深呼吸して、立ち上がる。
「よし、一応は驚いた事だし少しでも食べられた人を救う為にも、動かないとね……! さぁ、かかってこい、人喰妖怪ルーミア、お前の暴走、僕の右手で全て止めきってやる!」
 僕はそう言って、自分の右手を前に突き出す、その行動にルーミアは『食べていい?』等と呑気な事を言う、僕の右腕は食用ではなく、修復用だと思う……そう思った瞬間だった、ルーミアはその場で前にジャンプして僕の右手を食べようとする、だが、僕は瞬時に右手を後ろに引っ込めて、右手の捕食を防ぐ。
「うーん、ダメなのか……それと、この人間の手、邪魔だな」
 ルーミアはそう言って、片手で食べていた『人間の腕の骨』をその場で捨てた、まぁ持っていて邪魔になったのだろう、それにしてもその場に捨てるとは完全にゴミ扱いに見えた。
「それじゃあ、お兄さんを早く食べる為に早めに倒すか」
 そう言ってルーミアは宙に浮いて、僕の方へ向かってくる、僕は左手でルーミアを殴ろうとしたが、ルーミアは僕の目の前にすんでの所で止まって、自分の両手で猫騙しをした、急な行動に自分は目を閉じてしまった、『それがいけなかった』、次に目を開けた時には周りは真っ暗で、何も見えなかった、そう、『ルーミアに能力を使わせてしまった』のだ、周りは何も見えず、真っ暗、そんな僕は周りを確認する為に回転して突破口を探る、だが何も見えないので、周りを回転して確認しても無駄だった、少し深呼吸して、態勢を整えようとするが、そもそも見えないので、態勢を整え様にも整えられない、その時だった、足に鋭い痛みが走った、その痛みは少しずつ鈍痛に変わっていく──この痛みは知っている、ルーミアが僕を噛んだ、という痛みだ、くそっ、もう動いているのか、と考える僕、僕は何も見えない周りを狼狽しながら、ルーミアの動きを待つ──痛いな、そう思いながらその場で座って、自分の右手の力で、噛まれた所に触れて、『元に戻す』能力を発動し、痛み諸共『元に戻』す、そしてその場で立ち上がって、周りを見回す、矢張り何も変わらないか、そう思いながら、その場で落胆する、とりあえず、ルーミアを見つけて、触れられたらいいんだけど……そう思いながら大きな溜息を吐く、この暗闇の外では文はどんな感情を抱いているだろうか? 『間抜けだ』とか、『死んだのか?』とか考えているのかな? そう思いながら僕は大きな呼吸をして、周りを見やる、だが何も動きがない、どういう事だ? 何でルーミアは動いてこない? 不思議だ、何気に不思議だった、だってこの暗闇の中ではルーミアは無敵だからだ、何も見えず、誰にも悟られずにルーミアによって朽ちていく、と言う事も出来るのに、何で僕を襲わない? それがとても不思議だった。
 まさか僕を倒すのに飽きてきた? どれだけ攻撃してもダメージは疎か、欠損した部分さえ復活する、という意味不明さに恐怖したのか? それはそれで嬉しいけど……その前に僕はルーミアに触れて『元に戻』したいんだけどなぁ、僕はそう思いながら大きな溜息を吐いた──

Re: 東方崩壊譚 ( No.43 )
日時: 2017/06/18 21:41
名前: 彩都 (ID: ???)  

「それにしても反応がない、一体どういう事なんだ?」
 僕はそう呟いて、考える、流石に逃げた訳ではないだろう、それでは彼女は何処に行ったんだ? 僕を攻撃する為に力を溜めているのか? それは分からないが、とりあえず、この場で立ち止まってみる事にしよう、そう考えて僕はその場で立ち止まる、これで来ればいいけどなぁ? そう思いながらルーミアを待つ事にした、そう思った矢先だった、自分の左手に謎の痛みが走ったのだ、そして左手を確認した、すると左手には歯形が付いていた、歯形から血が少し出ている、うっわ、本当に来たよ、ルーミアは気分屋なのか? と思ってしまう、と、とりあえずは自分の右手で『元に戻』しておかないとなぁ、そう考えて、僕は右手の力を使用し、歯形を『元に戻』して、綺麗さっぱり噛まれる前に『元に戻す』、さぁ、これで痛みもないし、完全に傷もない、とりあえず、現状は万全だ、この万全の状態で少しでも動かないと……そう思い、周りを見やる、その時だった、その時不思議な考えを頭の中で持ってしまった、その不思議な考えとは、『ルーミアが作り出したこの空間ごと『元に戻す』』という考えだった、流石にそれは不可能だ、何故なら、『空間ごと『元に戻』した事はない』のだから──だが、物は試しとも言う、一回試してみる価値はありそうだった、出来るかなぁ? 僕はそう思いながら右手を前に出して、能力を発動する、すると右手の手首から指先迄オーラというか、気というか、何か具現出来ない『何か』に纏われた右手が現れる、これが能力発動時の右手か、あまり詳しくは見ていないけど、こうなっているのか、と思う、そして僕は右手に一気に力を込めて、能力を使用する。
「どうかこの空間ごと『元に戻』ってくれぇ!!」
 僕がそう言って、左手を右腕に置いて能力を発動する、すると『バチバチィッ!』と右手から静電気の様な音がする、僕の能力とルーミアの空間が戦っているのか? と思う、と、とりあえず、僕の能力よ、ルーミアに打ち勝てぇ! そう願いながら僕は更に右手に力を込めた──

「…………」
 僕は叫んだ時に目を閉じていた、そしてゆっくりと目を開ける、すると周りはルーミアの闇の空間に入る前の明るい森林だった、そして僕は能力を発動した姿勢から、直立になり、自分の右手を見る、右手は無傷だった、そして僕はその場で尻餅をついて、一言呟いた。
「で、出来ちゃった……」
 そう呟いた後、僕は上空を見上げる、上空には呆然としている文の姿がいた、僕は周りを確認してルーミアを探す、すると案外近くにいた、ていうか真隣に膝を曲げて佇んでいた──近いよ。
「な」
「な?」
 僕はルーミアが言った言葉を一言だけ復唱する。
「何で私の能力が破られたんだ!?」
「えぇっ!?」
 僕は驚いてしまった、まさか右手の力でルーミアの能力を破ってしまうとは……僕は呆然としたが、ふと我に返って、ルーミアを見る、ルーミアは僕の能力で消えた空間に対し、空間があった場所をただ呆然と見ていた。
「…………」
 僕は無言でルーミアの頭を使んで、能力を発動する、と、とりあえず、これで『元に戻』ればいいけれど……そう思いながら『元に戻』したルーミアを確認する。
「あれっ? 此処は何処だ? あれっ? お姉さんは誰なのだ?」
「……僕は男です」
 そう呟いて、自分の格好を確認する、そう言えば自分の格好は霊夢の服を着ているただの女装少年だった事を思い出した。
「ふーん……よし、遊ぶぞー!」
 ルーミアはそう言って、宙に浮き、僕の下を離れた──えーと、これでルーミアは『元に戻』ったかなぁ? 僕はそう思いながら米粒の様に小さくなるルーミアを見続ける、すると急に頭がぐわん、と揺れて、視界が二重、三重に見える、そして僕はその場で倒れてしまう、何なんだ? 突然急に……? ていうか、この感覚は一回体験している感覚だ、そう、早苗の時とよく似ている──そして僕はその場で気絶した──

「……ん?」
 僕は木の天井を見て、目が覚めた、この木の天井は見た事がある、そう、確か守谷神社──
「大丈夫でしたか!? 華扇ちゃん!?」
 隣にいた早苗はそう言って僕に強く抱きしめてくる、痛い、痛い痛い、そう思いながら僕は早苗を離す。
「ちょっと待って!」
 僕はそう言って、深呼吸をする、ていうかどうやって僕は守谷神社に戻ってきたのだろう? そう思っていると、縁側に座る射命丸文の姿が目に入った。
「あっ、起きましたか」
「えーと、起きましたね……で、僕はあの後倒れたけど、誰が運んだんだい?」
 僕は文にそう言うと、文は自分を指差す、成程、文が僕を運んだのか、僕は布団から出て、文に感謝する。
「有難う、文、感謝するよ」
「いえいえ、私はただ倒れた人を助けただけです」
「それが有難いんだよ」
 僕はそう言って文に感謝する、もしも文がいなかったら僕はもう一度ルーミアに食べられていることだろう……そう思っていると、背後から神奈子、諏訪子の声が聞こえた。
「あっ、起きた」
「おぉっ! 起きたのか!? 大丈夫なのか!?」
 二人の言葉に対し、僕は言う。
「起きたし、大丈夫だよ」
「そ、そうか……」
 僕の言葉に胸に手を置く神奈子、何気に僕を心配していたんだな、そう思いながら僕は布団に戻ってもう一度寝転がる。
「と、とりあえず、もう一度寝てから活動する事にしよう、まだ疲れが抜けきっていないんだ……」
 僕はそう言って布団の中で居眠った──そして僕が次に起きるのは、今日の夜だった──


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