二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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東方崩壊譚
日時: 2018/06/27 23:03
名前: 彩都 (ID: J1W6A8bP)

 少年は博霊神社で目覚め、何を思い、幻想卿を崩壊させるか──

 始めましての方は始めまして、何度も彩都の作品を読んでいる方は有難う御座います。
 彩都(サイト)と申します。
 もう九作目ですよ、九作目! まぁ、一ヶ月一回更新が多いですねぇ……
 まぁ、今回は『東方PROJECT』という原作者『ZUN』さんの三次創作となっております。
 何故二次創作じゃないかって? それは秘密です☆
 そんな話は置いといて、今回の物語は『幻想入りした少年が幻想卿諸共破壊する迄のお話』で御座います。
 基本的に口調や喋り方は原作通りですが、間違っている部分があれば普通にコメントで説明してくれれば幸いです。
 自分も原作(体験版のみですが)は少しだけ経験していますが、それでも新発見は多いです。
 とまぁ、ここら辺でお話は止めまして、それでは、本編どうぞ!

 目次

『東方崩壊譚』第一章 第一話
本編
>>1-15
後書
>>16

『東方崩壊譚』第二章 第二話
本編
>>16-46
後書
>>47

『東方崩壊譚』第三章 第三話
本編
>>48-62
後書
>>63

『東方崩壊譚』第四章 第四話
本編
>>64-78
後書
>>79

『東方崩壊譚』第五章 第五話
本編
>>80-94
後書
>>95

『東方崩壊譚』第六章 第六話
本編
>>96-110
後書
>>111

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Re: 東方崩壊譚 ( No.14 )
日時: 2016/10/16 21:26
名前: 彩都 (ID: w93.1umH)  

「クソッ! 中々手強いなぁ!」
 魔理沙はそう言いながら、八卦炉からフランに向かってビームの様な物を出す、その光景に僕はただ見る事しか出来なかった。
「フランも中々強いわね──私は今驚いているわ──でもね、異変解決をしなくちゃ博麗の巫女は務まらないわ!」
 そう言いながらも霊夢の攻撃は増すばかりだ、僕も早く強くなりたいなぁ、と思いながら竹林を修復していく。
 するとフランは僕の事を見ながら言う。
「アハハハハハァ! 巫女装束のお姉ちゃんも一緒に私と遊ぼうよお? 大丈夫だよ、私が綺麗に壊して上げるからぁ……」
「生憎僕は男でねぇ、巫女装束のお兄ちゃん、が嬉しいかなぁ? でも少しは遊んであげるか……」
 僕はそう言って、竹林の修復を辞めた、何時でも出来るだろう、そう思いながら僕はフランを見つめる。
「さぁ、かかってこいよ、僕だって魔理沙と特訓をした、少しは僕だって強くなっているだろう?」
 そう言いながらフランを少し挑発する、するとフランは僕の思惑通りに挑発に乗った。
「かかってこい、ですってぇ……? 面白い、行かせて頂くわ!」
 フランは僕の居る竹林に向かって急速な速度を出しながら僕に向かってくる。
「巫女装束のお姉ちゃん──じゃなかった、巫女装束のお兄ちゃん、私と遊びましょう?」
 そう言いながら自分の右手を出すフラン、また左手を毟った様に僕を破壊するつもりか? でも出来ないよ、何故なら僕は──
「余所見有難う、華扇」
「感謝するわ、華扇」
 二人の少女の声が聞こえる、そう僕は──一人で戦っているのではないからだ。
 魔理沙と霊夢、二人と一緒に戦っているからだ。
「!? しまっ──」
 もう遅い、魔理沙と霊夢の渾身の一撃がフランに襲いかかる、そして渾身の一撃でフランはどこかへ吹き飛んだ──これで退治出来たかなぁ……?

 そして少しだけ僕らは休憩をして、座り込んで話をする。
「ねぇ、二人共、フランの様子、可笑しくなかったかな? まるで目が紅くなっていた様な気がするんだけど──?」
 そう言うと魔理沙が言った。
「そうかぁ? 寝不足で目が紅くなっているんじゃないか?」
「魔理沙、それは無いわ……」
 若干霊夢が魔理沙の発言に引く、霊夢の発言で顔を真っ赤にしながら魔理沙は霊夢に言い返す。
 こういう話をしていると魔理沙も可愛いんだけどなぁ……そう思っていると、ボロボロのフランが現れた、しかも肩を押さえながら僕らの方へと向かってくる──
「アハハハハハァ、随分大きな痛手をしちゃったぁ……それでもお姉ちゃん達を壊す迄、私は止まらないわ……」
 僕は完全にボロボロのフランとは戦いたくなかった、だが霊夢が少しだけ動き出す。
「フラン、貴女一体どうしたの? 今日は何だか可笑しいわよ……?」
 すると霊夢は何かに気付いた、そして僕に向かって大声で言う。
「華扇! 貴方『壊れた人を壊れる前迄『元に戻』せる?』少し確かめたい事があるの」
 そう言うと僕は答えた。
「それは無いけれど……、少し試してみるよ」
 そう言いながら僕はフランの左肩に触れて、『右手』の能力、『元に戻す』能力を使用する──すると反抗的、暴走的、暴力的な紅目のフランから、僕が最初に出会った時の普通の綺麗な色をした目のフランに戻る、えーと、暴力的になった子でも右手で触れれば『元に戻る』のか、そう考える僕、でもちょっと待って? 何で『フランは触れられただけで『元に戻』った』んだ? 可笑しいではないか、それではまるで『フランが何者かによって操られていた』、と言う事になる、では誰がフランを操ったんだ……?
 僕が顎に手を置いて考えると、霊夢が言った。
「やっぱり華扇も気が付いた? フランが『操られていた』事に……」
「……やっぱり、そうだよねぇ霊夢──」
 すると僕と霊夢の会話に少しだけオロオロしながら困っている魔理沙を見つめる、すると霊夢が魔理沙に言う。
「魔理沙、これは簡単よ? フランは『誰かによって操られていた』、たったそれだけよ」
「へっ? つまり、洗脳に近い事になっていたのかフランは?」
「そうよ、魔理沙、誰かが『フランを洗脳した』、洗脳した相手が見つからない限り、フランはまた操られてしまうわねぇ……」
 ハァ、と溜息を吐きながら、霊夢は考える、すると僕は理解した、『洗脳されていたから、『右手』の能力が『洗脳される前迄元に戻』らせた』と言う事に──成程な、そう言う事だから『元に戻』ったのか、納得だ。
 それにしてもこの『右手』の能力は少しだけだが凄いなぁ、そう思いながら自分の右手の掌を見て、強く拳を握った──

 僕が能力でフランに触れるとフランは綺麗な目に戻ってから、気絶した、洗脳された人によくあるのかな、気絶って? そう思いながらフランが目覚めるのを待った──
 数時間が経った、フランはゆっくりと目覚める、フランが目覚めた事に気付いた霊夢は言う。
「フラン、起きたのね、早速なんだけど聞きたい事があるの」
 霊夢はそう言いながらフランに問う。
「貴方、此処に居る理由が分かる? もしくは今の今迄何をしていたか、覚えてる?」
「……此処は何処なの霊夢?」
「そうね、フラン、貴方は私に、魔理沙と共に倒される迄この竹林を襲っていたのよ、それは分かる?」
 霊夢が優しく言うとフランは頭を横に振る、本当に洗脳されている感覚がした、だが本当に洗脳されているかはまだ分からない。

Re: 東方崩壊譚 ( No.15 )
日時: 2016/10/16 21:29
名前: 彩都 (ID: z5ML5wzR)  

 するとフランは霊夢の服の裾を掴んで縋る様に言う。
「何で私は屋敷の外に出ているの!? 咲夜は!? お姉様は!?」
 フランは完全に霊夢と魔理沙と戦った記憶が無かった──僕は不思議に思いながら口を開けるしかなかった──その後霊夢と魔理沙と僕はフランを紅魔館へと送る──

「──フランが」
 そう言いながら紅魔館の主、レミリア・スカーレットは声を出す、そして霊夢は言う。
「フランは目が紅かったわ、そしてこんな事が出来るのは蓬莱人──輝夜の近くにいる兎の鈴仙・優曇華院・イナバ──ソイツしか思い付かないわ、だけれどフランが覚えていないのなら仕方ない、永遠亭を叩くしかない、そして話を聞く」
「……」
 レミリアは自分の裾を掴んでいる妹──フランドール・スカーレットを見ながら呟く──
「ねぇ、霊夢、魔理沙、咲夜、私とこの巫女装束のガキだけを残して、この部屋から出てくれない? 少しこのガキと話したいから」
「!? 何で華扇が!」
 そう言いながら霊夢は前に出る、僕も訳が分からなかった。
「いいから、じゃあ咲夜、登場人物の収束をお願いするわ」
「分かりました、お嬢様──」
 咲夜はそう言いながらフランを連れて行く、霊夢と魔理沙も僕とレミリアの居る部屋から離れる──そして部屋には僕とレミリアしかいない、そして魔理沙が部屋から出て、扉を『バタンッ!』と閉じた瞬間、僕の目の前にレミリアが現れて、僕の胸座を掴む。
「アンタ! 名前は!?」
 いきなりの事で僕は驚いてしまう、そして僕は名前を名乗る。
「僕の名前は華扇だ──それがどうし──」
 そう言うと掴んだ胸座を離す、僕はそのまま尻餅をついてしまう、そしてレミリアは言う。
「……アンタ、華扇、『その右手は何だ』!? 何でも捥がれた左手が『右手で触れた』だけで『元に戻った』!? 華扇──『貴方は何者』なの……!?」
 何で僕の左手の事を知っているのだろうか? 見ているなんて事は無い筈なのだが──そう思いながら僕は言う──
「僕は自分が何者かは分からない──だから今は記憶を探して……」
「違う! 華扇、貴方は『何かしらの理由でこの幻想郷に来た』! その理由は分からないけれど、貴方──『人喰い妖怪』には気を付けなさいよ、私もよく分からないけれど、その『右手で触れた部分が『元に戻って』いる』、それが問題なのよ!」
 そう言いながら僕の顔に指を指すレミリア、意味が分からない、何で『人喰い妖怪』に気を付けなければ──と、そこで気付いてしまう、『人喰い妖怪』、つまり『人を喰う妖怪』なのだ、そう、僕の『元に戻す』能力で『食べられた部分を『元に戻』せる』と言う事! 逆に考えてしまえば、『人肉を、人間を無限に食べる』事が出来るのだ! まさか、レミリアはこの事を──?
「そう、『人喰い妖怪』はどんな人間関係無しに食べるから、貴方の能力は重宝される──その事も考えて行動しなさいよ──」
 そう言いながらレミリアは自分が座っていた玉座に戻る──確かにこの能力は重宝されてしまう──そう思いながら自分の手に拳を作る──自分の身は自分で守らないとなぁ、そう思いながら拳を強く握った──

「華扇、どんな話をされたの?」
 紅魔館から博麗神社に帰る途中、宙に浮いている霊夢に話しかけられる。
「ん? 話? そうだなぁ、大まかに言えば僕の名前と能力の説明かなぁ?」
 そう言いながら僕は少しだけお茶を濁す、まぁ、詳しく話しても問題はないが、レミリアがそんな事を話した、と言っている気分がして僕は少し躊躇った、彼女だってプライドはあるだろう、人間相手にそんな事を話した、となれば彼女のプライドもズタズタだろう。
 ましてや彼女は吸血鬼、普通なら人間相手には慈悲もないのだ、僕みたいなひ弱な人間にそんな慈悲を見せたと言う事は──? とか思われてしまうだろう、それを阻止する為に僕はあまり語ろうとしなかった──
「……おう! 華扇ってば! 目の前に木が……」
 僕が俯きながら考えていると目の前の木に僕はぶつかった、何時の間にか道から少し外れていたようで、僕はそのまま太い幹に顔面をぶつけてしまった、その後霊夢から、『忠告したのに……』と声が聞こえる、考え過ぎるのもダメだな、少しは前と人の話を聞かないと──そう思いながら僕はぶつかった顔を優しく撫でる──
 どうせこんな痛みもすぐに治る、そう思いながら目の前をよく見て進む──これから何が起きようとも、この『右手』さえあれば生きていけるのかなぁ? それは少し分からないけれど、今はそんな事考えなくてもいいのではないか? 呑気に生きて呑気に霊夢と魔理沙の『異変解決』を手伝えればいい、そう思いながらまた前へと進む、僕の足は前に進む為だけに存在するのだから──
「……もう忠告しないわよ、華扇」
 霊夢が独り言の様に呟くと僕は霊夢の方向を向きながら首を傾げる、その格好のまま歩いていると、僕は本日二回目、またもや大木にぶつかった──ちゃんと前はよく見ましょう、それが今日の僕の格言となった──

 第一章 完

 第一話 完

 CHAPTER 3 終了

 第二章 第二話 CHAPTER 1 に続く──

Re: 東方崩壊譚 ( No.16 )
日時: 2016/10/16 21:50
名前: 彩都 (ID: YzSzOpCz)  

後書という名の駄文詰み合わせ

 はい、始めましての方は始めまして、毎日読んでいるよ、と言う方は有難う御座います、つまらん小説は書くんじゃねぇ、と言う方は後で校舎裏へ来いや、と思います、彩都(サイト)と申します。
 さぁ、この物語、主人公華扇(かおう)君の能力判明、更に博麗神社での寝泊り等も出ましたね。
 此処で少し訂正をしておきます、最初の1〜10において、『博麗神社』、『博麗霊夢』の事を、『博霊神社』、『博霊霊夢』と書いていました、正解は前者です、すいません、地味ににわかなので。
 一応11〜15では直していますが、1〜10はまだ直しておりませんので悪しからず。

 そして第二話 第二章 では、物語の幅が広がります、自分で華扇君に絡ませたいキャラも一杯出てきます、さぁ、華扇は能力で修羅場を乗り切る事が出来るのか!?
 そんな感じで後書の方は終了させて頂きます、そして次回の更新ですが、来年、2017年の一月頃を目安に考えております。
 綺麗に投稿を終わらせたい部分も有りますので、残り二ヶ月、二回の投稿は終わらないので、したくないなぁ、と考えての意向です。

 それでは、また来年、2017年 一月にお会いしましょう。

 小説の参照数を酒の肴にして、ジュースを飲む10月の冷え込んだ夜より
                                     彩都

Re: 東方崩壊譚 ( No.17 )
日時: 2017/01/15 21:26
名前: 彩都 (ID: ???)  

東方崩壊譚(とうほうほうかいたん) 第二章 第二話 守谷神社と二柱の神

CHAPTER 1 天地

「…………」
 僕こと華扇(かおう)は本格的に博麗神社の人間として巫覡を全うしようとして、御神籤に墨を浸した筆で一筆を認(したた)めていた。
 ……よし、完成だ、一枚数分で書き上がるのだが、この作業は案外体力が必要だ、何故ならこの作業は失敗してはならないし、失敗しては紙の無駄となってしまう、幻想郷では紙は貴重なので、体力と精神が問われる作業だった。
「ふぅ、結構大変な作業だな──」
 そう呟いた瞬間、霊夢が襖を開けて僕が居る部屋に入ってきた、そして僕に向かって言う。
「あら華扇、どう? 御神籤は?」
「結構完成しているよ、もう終わったけれどね──」
 そう言いながら僕は自分の席の隣を見る、隣には10枚程の紙があった、これが今日認めた御神籤の量だ、毎日10枚程度書いて置けば切れる事は無いそうだ──まぁ、あまり人も来ないし、御神籤も引かないから切れる事はないのだけれど──とかそんな事を言うと霊夢は怒ってしまうので、口は慎む。
 霊夢は僕にお茶を持ってきてくれたようだ、霊夢は何れ結婚したら良い妻になるのではないだろうか、そんな事を思ってしまう。
 ……まぁ、貰う相手が居れば、の話なんだけどね──おっと、これも口に出さず、慎んでおこう。
 そして僕はお茶を飲む、温(ぬる)い、実に飲みやすい、やはり霊夢は良い妻になりそうだ──
「そんなに褒めても何も出ないわよ?」
 霊夢がそう言うと僕は焦った、まさか口に出ていたか?
「飲みやすいだなんて……」
 ……何だ、妻の話じゃないのか、実に焦らせてもらったよ、霊夢──
僕が一安心していると霊夢は僕に運んだお茶のお盆を顔に近づけながら僕が居る部屋を去る──僕はよく分からなかったが、顔が赤く感じた──
「妻だなんて……照れるじゃない──」
 霊夢はそう言いながら走って何処かへ行った──何処に行ったかは僕は知らない──

「霊夢ー? 華扇ー? 居ないかー?」
 いきなり魔理沙の声が聞こえたので僕が出る事にした。
「どうしたんだい、魔理沙?」
「おっ、華扇か、いや、実はなぁ……」
 僕は魔理沙から話を聞いた、成程……そう言う事だったのか。
「だから一緒にパチュリーの図書館へ行こうぜ!?」
「いや、本を返さない魔理沙が悪いだろう? 自業自得さ」
 僕がそう言うと魔理沙は両手を合わせ、こう言った。
「そこを何とか! 華扇大明神!」
 流石にそこ迄言われると仕方ない、と思ってしまう、僕は空気を読んで、魔理沙と紅魔館へ行く事にした。
「大明神になった気は無いけれど──分かったよ、少しは本を返すんだよ? 良いかい?」
「へいへい……分かりましたよ」
「よし、それなら紅魔館へ向かおうか、霊夢、僕は魔理沙と一緒に紅魔館へ行くよ」
 僕がそう言うと霊夢が現れた。
「あら? 魔理沙と? 行ってらっしゃい」
「あぁ」
 そう言って僕と魔理沙は紅魔館へと向かった──

「ん? あれは……?」
 僕は紅魔館の門の前に立って寝ている女性を見つけた、一体誰だろう?
「あれは紅魔館の門番係、紅美鈴(ホン メイリン)だ、実際門番なのに寝てばっかりな奴だ」
 うつらうつら、と首をかくんかくんと縦に揺らす、するとその瞬間目を覚まして僕らの方に何かを投げてきた。
 僕は何とか避けて叢の中へ、魔理沙は箒に乗りながら美鈴の前に現れる。
「おい! 当たったらどうするんだ!?」
 すると美鈴は構えを作りながら言う。
「当てようとしたんですよ──って貴方ですか──それと隣にいる巫女は?」
 そう言われると僕は叢の中から紅魔館の門の前迄進む。
「やっぱり僕はこの格好だと女性に見られるのか……」
 そう言いながら僕は自分の性別と名前を言う。
「僕は男だ、そして僕の名前は華扇だ、宜しく、美鈴?」
「あら、礼儀正しいのね、宜しく華扇?」
 そう言うと僕と美鈴は握手をした──そして僕は説明をする。
「えーと、魔理沙がパチュリーの部屋で本が読みたいから監視役として僕が着いてきたんだけど、紅魔館の中へ入っても良いかな?」
「んー? どうしましょうかねぇ?」
 美鈴がそう言うと僕は右手を出して言う。
「だったら今から僕と戦って僕が勝ったら紅魔館の中へ入る、僕が負けたら急いで魔理沙と共に帰る、それで良いかな?」
 そう言うと美鈴の目の色が変わる、完全に獲物を狩る目をしている。
「私にそんな事を……? 良いでしょう、相手をします!」
 そう言うと構えを作る、一体この構えは何だろうか? そう思いながら僕も右手を前に出しながら僕なりの構えを作る、だが段々と美鈴の姿が上から小さくなる、僕って急に成長したっけ? そう思うと股がスースーする、何故だろう?
「今は本を読むのが先決だ、戦っている場合じゃないだろ?」
 魔理沙はそう言うと僕の襟首の裾を掴んで、箒に乗って宙に浮く、そして軽々と紅魔館の門の上を通る。
「あっ!? 上から!?」
 美鈴がそう言うと魔理沙は言った。
「またな、門番?」
 そう言いながら僕と魔理沙は紅魔館の中へと進入した──

Re: 東方崩壊譚 ( No.18 )
日時: 2017/01/15 21:28
名前: 彩都 (ID: ???)  

「って、こういう手段をするなら、門番の前に出なくてもよかったんじゃあ……?」
 僕がそう言うと魔理沙は僕に向かって言う。
「宙に浮く方法は今の状況での最後の手段だよ、華扇が『戦う』なんて言わなかったら正面突破が出来たかもしれない」
 魔理沙がそう言うと、僕は言う。
「そうか、僕が悪かったのか」
 僕が謝ると魔理沙は止めを刺した。
「そう言う事だ」
 魔理沙がそう言うと、魔理沙は下に降りて玄関前に僕を降ろして、紅魔館の玄関をノックして中に入る、僕も魔理沙の後ろに着いて行く。
 そして僕も紅魔館の館内に入った──何時見ても紅魔館の内部は広い、実に綺麗で、とても吸血鬼が住んでいる、と思えない。
 すると魔理沙が勝手に前へ前へと進む、僕も一緒のスピードで進む事にした。
 すると簡単にパチュリーの居る部屋に辿り着いた、そして勝手に侵入する魔理沙。
 僕は止めようとしたが、魔理沙が勝手に進んでいき、止める事は出来なかった。
 そこには僕がパチュリーに呼ばれた時に本を読んだ場所だった、成程、暗かったけれど、こんな所で本を読んだというのか──そう思いながら僕は周りを見渡す、すると遠くに巨大な本があった、あんなでかい本がこの世に存在するなんて──何て大きさなんだろう、そう思っていると僕と魔理沙の前に一冊の本を手に持ったパチュリーが現れる、そして僕らに向かって言う。
「ちょっと貴方達、勝手に私の本棚に入らないで、特に魔理沙?」
 眉間に皺を寄せながらパチュリーがそう言うと魔理沙は後ろに体を引き、たじろぐ。
「煩いなぁ、どうせ私が死んだら返すって言っているんだから、少しの我慢をしろよ?」
 少し汗を掻きながら魔理沙は反論する、だがパチュリーがもっと強めに言う。
「私にとっては一瞬、もしくは数瞬かもしれない、だけれど本にとっては相当な時間なの、貴方の持って行った本の中でまだ私が読んだ事が無い本があるかもしれないのに──だから早く返して欲しいの」
「まぁまぁ、少しは落ち着け、今日は借りに来た訳じゃない、ほら、霊夢の格好をした奴が私の監視役だよ」
 魔理沙が親指で僕を指しながらそう言うと僕はパチュリーの方向へと向く。
「ん? どうした魔理沙?」
 僕がそう言うと、パチュリーは僕に近づいてまじまじと見つめる、すると少し溜息を吐いてから言う。
「貴方って、まさか博麗神社に居たって言うあの少年?」
「あぁ、そうだよパチュリー」
 僕がそう言うとパチュリーは『ふむぅ……』と息を吐くと続けて僕に言う。
「それで? 何か分かった事がある? 例えば自分が何処に来たか、名前が分かったとか、能力が分かったとか──」
 その言葉を聞くと魔理沙が答えた。
「名前と能力が分かった、コイツの能力を聞いたら、きっと驚くぜ?」
 笑いながら魔理沙が言うと、僕の事を見ながらパチュリーは呟いた。
「それで? 名前と能力を教えてくれるかしら、巫女装束の少年?」
 僕はパチュリーの言葉に答えた。
「僕は華扇(かおう)、能力は『元に戻す』能力だ──」
「? 『元に戻す』? それはどういう能力なの?」
 僕が言うとパチュリーは不思議がった。
「どういうって……そのまんまなんだけどなぁ──とりあえず、『右手で触れた物』なら大体は『元に戻』せる、と言った方が分かりやすいかな?」
 そう言いながら僕は右手でグーとパーを繰り返す、するとパチュリーは僕に近づいて、僕の開いた右手に触れた。
「!?」
「……何も起きないわよ?」
 ふにふに、と僕の右手を揉んだり触ったりする、すると突然何か能力が発動してしまうのではないかと思ったが、だが何も起きなくて少ししょんぼりするパチュリー、すると魔理沙がパチュリーに助け船を出した。
「だったら何か魔法か、攻撃でも加えたらどうだ? 弾幕でも良いかもな? 何なら私の弾幕でも華扇に打って、右手の能力で『消して』もらおうか?」
 するとパチュリーは『ちょっと待って』と言う。
「可笑しくない? だってこの巫女装束の少年の言い分だと、『『元に戻』せる能力』って言い方じゃない? なのに貴女の言い分だと『攻撃、魔法、弾幕を消せる』、って言い方じゃない──」
 パチュリーがそう言うと魔理沙は言った。
「『だから』だよ、華扇には弾幕を打っても、『右手の能力で消える』んだよ、大まかに言えば、『弾幕を打っても、『打った場所には元々弾幕の弾は存在しなかった』から弾幕に右手で触れると、それごと『元に戻』して』『消せる』』んだよ」
 魔理沙が説明するとパチュリーは手に持った本を落とす、そして目を見開いて、体を振るわせながら言葉を紡いだ。
「それじゃあ……体の傷も、怪我も病気も──『右手で触れたら治る』、と言う事──?」
「そう言う事だ」
 魔理沙が頷くとパチュリーは落とした本を拾う、そして僕に向かって言う。
「何て面白い能力なの……? ねぇ、華扇とか言ったわね? だったら私に見せてくれない? 貴方の『右手』の能力、言葉だけじゃ信じれないわ、だから貴方の能力、私に見せてくれないかしら?」
 パチュリーがそう言うと魔理沙は言った。
「私は何時でも良いぜ? 後は華扇が許可するだけだ」
 魔理沙の言葉に僕も言い返す。
「僕も何時でも良いよ魔理沙、これで二人共了承を得た、さぁ、パチュリーの為に準備をしようか」
 そう言いながら僕と魔理沙は少しだけ離れる。
 さぁ、今から行われるのは僕の能力を見せる舞台だ──


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