二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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東方崩壊譚
日時: 2018/06/27 23:03
名前: 彩都 (ID: J1W6A8bP)

 少年は博霊神社で目覚め、何を思い、幻想卿を崩壊させるか──

 始めましての方は始めまして、何度も彩都の作品を読んでいる方は有難う御座います。
 彩都(サイト)と申します。
 もう九作目ですよ、九作目! まぁ、一ヶ月一回更新が多いですねぇ……
 まぁ、今回は『東方PROJECT』という原作者『ZUN』さんの三次創作となっております。
 何故二次創作じゃないかって? それは秘密です☆
 そんな話は置いといて、今回の物語は『幻想入りした少年が幻想卿諸共破壊する迄のお話』で御座います。
 基本的に口調や喋り方は原作通りですが、間違っている部分があれば普通にコメントで説明してくれれば幸いです。
 自分も原作(体験版のみですが)は少しだけ経験していますが、それでも新発見は多いです。
 とまぁ、ここら辺でお話は止めまして、それでは、本編どうぞ!

 目次

『東方崩壊譚』第一章 第一話
本編
>>1-15
後書
>>16

『東方崩壊譚』第二章 第二話
本編
>>16-46
後書
>>47

『東方崩壊譚』第三章 第三話
本編
>>48-62
後書
>>63

『東方崩壊譚』第四章 第四話
本編
>>64-78
後書
>>79

『東方崩壊譚』第五章 第五話
本編
>>80-94
後書
>>95

『東方崩壊譚』第六章 第六話
本編
>>96-110
後書
>>111

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Re: 東方崩壊譚 ( No.114 )
日時: 2018/07/18 22:05
名前: 彩都 (ID: ???)  

「よし! それでは、『白玉楼』に急ぎましょう!」
「えっ? 今から?」
「そうですよ! 善は急げとも言うでしょう! だから急いで『白玉楼』に向かいましょう! さぁ、幽々子様も戻りましょう!」
「えー? もう少しゆっくりしましょうよぉ? 華扇だって、久しぶりに博麗神社に戻ってきたんだから、ゆっくりしたいでしょうに?」
 そう言う幽々子に対し、自分は『いや、別に?』と、首を傾げる。
「えぇっ……それなら仕方ないわねぇ? お邪魔したわ、霊夢?」
「はいはい」
 霊夢はそう言って、湯飲みのお茶を飲み干す。
「霊夢? 戦いはまた今度だ!」
「はいはい」
 妖夢はそう言って、霊夢を見る、そして霊夢は面倒くさそうに言う。
「それでは、華扇さん、『白玉楼』へ、向かいましょー!」
「いえー」
 自分は妖夢のノリに合わせ、そう発言する、そして、自分と妖夢、幽々子は博麗神社を出、『白玉楼』へと向かった──

 そして、博麗神社の階段を下り、地面に足を触れさせる。
「ふぅ、博麗神社の階段はキツいなぁ?」
「あら妖夢? じゃあ、浮けばいいじゃない? 私達は『霊』だから、浮けるわよ?」
「いや、幽々子様? 華扇さんの事を考えて下さい、飛んでいませんし、浮いてもいません」
「まぁ、じゃあ、私が抱いて、浮かせるわよ」
 そう言って、幽々子は自分の腹部を抱き締めて、宙に浮く。
「ちょちょちょ!? 幽々子様!? か、華扇さん申し訳ありません! 幽々子様がぁ!」
 そう言って頭を下げる妖夢に対し、自分は返答する。
「だ、大丈夫だよ? 宙に浮かされる事は何回も経験しているし? 僕はこの移動方法でも良いけれど、幽々子がどう言うか……?」
 自分がそう言うと、幽々子は『華扇君が良いなら、私も良いわよぉ?』と、言う、じゃあ、このまま移動しようか、そう思い、妖夢に言う。
「お互い了承はした、だから、此処から宙に浮いて移動しようか」
「えっ? そうなんですか? 分かりました、では、移動しましょう」
 そう言って、妖夢も宙に浮く、更に右の方向へと、移動する、幽々子も妖夢が行った方向へと、宙に浮いて移動する──それにしても文より、安心する速度だ……そう思いながら、『有難う御座います』と、幽々子に言う、すると、幽々子は『これ位いいわよ? 何せ貴方は、紫から聞いた、『面白い子』らしいから?』と、言う、……紫? まさかコイツ、紫と友人なのか、自分はそう思いながら、『紫の知り合いかぁ、な、何だか怖いな……』と、思った──

 自分、妖夢、幽々子は宙に浮いて移動していた、そして妖怪の山を通り過ぎた。
「えっ? 越えるの?」
「え、えぇ、一応は、『白玉楼』は『冥界』にあるんです、冥界に向かうには、この『中有の道(ちゅううのみち)』、『三途の川』、その二つの場所を越えないと、『冥界』には到着しません」
「ほえぇ……成程なぁ」
 自分は妖夢の説明を受けて、静かに納得する、すると、幽々子が『『中有の道』は案外楽しいわよぉ? だって、色々な屋台があるからね?』と、言う。
「屋台……? 縁日的な?」
「そうよ」
「へぇ……『中有の道』、楽しみだなぁ?」
 自分はそう言って、『中有の道』を通るのが楽しみになった、すると、『もう『中有の道』です』と、妖夢が言う。
「えっ? もう?」
「はい」
「ほぉ……」
 妖夢の説明を受けて、自分はドキドキする、そして段々と周りが明るくなった。
「うぉっ……!」
 自分の目に写ったのは、『色々な存在が縁日で楽しんでいる姿』だった、とても楽しそうだった。
「面白そうぉ! ねぇ、行こうよ!」
「無理です、華扇さん、此処の奴らは全員『お金を根刮(ねこそ)ぎ奪う』輩です、だから、出来るだけ此処では遊ぶのは控えて下さい、脱がされ、遊女になりますよ? いえ、男だから、遊女じゃないかぁ」
「えぇっ? そうなの? でも、遊女って何?」
 自分が妖夢の台詞に首を傾げると、『えーと……』と、言葉が詰まる。
「大まかに言えば、男と女がいちゃいちゃするのよ、男同士のいちゃいちゃなんて、華扇君も厭でしょう?」
「あ、あぁ、そうだな……厭だな……」
「説明有難う御座います幽々子様?」
「あら? 戸惑う貴女も面白かったわよ?」
「えっ? 幽々子様……?」
 冷や汗を流す妖夢に微笑む幽々子、そして、自分は呆れながら、まだ先へと進む──そして自分達は『三途の川』に来ていた。
「此処が三途……一体何の場所なの?」
「何の場所? 簡単よ、『死者が集まる場所』よ」
「使者? 主従関係の?」
「違うわよ、『死人』の、死者よ」
「成程……って、死者!? 死人!? じゃ、じゃあ、此処って……『死んだ人が集まる場所』って事……!?」
「そうねぇ? だから華扇君も死んだら此処に来るかもねぇ?」
「えぇっ!? やだよ、こんな何もない場所! 死にたくない!」
「た、確かに周りを見れば、何もない場所に見えますが……」
 幽々子と自分の会話に入って呆れる妖夢、そして、自分達は『三途の川』をも越えて、先へと進む──次が『冥界』だな、と、思いながら、『冥界』って一体どんな所だろう? と、思いながら、ドキドキワクワクした──

Re: 東方崩壊譚 ( No.115 )
日時: 2018/07/25 23:28
名前: 彩都 (ID: ???)  

「あっ、此処が『冥界』です」
 そう言って、妖夢が指を指す、すると、そこには綺麗な花と、妖夢についている白い何かが一杯居た。
「うわぁ……綺麗な世界だぁ」
 自分が驚いていると、幽々子が『此処の花は全て妖夢が『がーでにんぐ』? しているのよ』と、言う。
「すげぇ! 妖夢! 二刀流だけじゃなく、花もいじれるのかぁ!」
「あ、あはは……有難う御座います幽々子様……」
 妖夢は頭を掻き、照れる、そして、幽々子、妖夢は地面に足を乗せた。
「ふぅ、やっと、地に足が着いた」
 自分が安堵していると、『それでは、『白玉楼』へ案内します』と、言い、妖夢が先に進む。
「行きましょう?」
「あ、あぁ」
 幽々子の発言を聞いて、自分は静かに頷いて、妖夢、幽々子の後ろについて行く──

「……それにしても、どうして、歩いて『白玉楼』に向かおうとしているの? やっぱり飛んでいた方がよかったんじゃ……?」
 歩くのに疲れてしまった自分がそう言う、すると、妖夢が『えっ? いいんですか? こんな素晴らしい景色をゆっくり見ずに?』と、言う。
 ま、まぁ、それも一理ありだな……自分はそう思い、静かに納得する。
 そして、自分達三人はのんびり歩き、静かに妖夢が立ち止まる。
 目の前には大きな門があり、門の前で、妖夢の近くに漂っている白い何かと一緒のような存在が二つあり、門の前を守っていた。
「あっ、こんにちわ、ただいま戻りました」
「…………」
「…………」
 二つの白い何かは前に動いて、頭を下げているように見える、そしてもう一人は自分にまとわりついて、自分の姿形を確認している。
「あぁ、あの人は華扇さん、一応博麗神社の身だから、安心して?」
 妖夢の発言で、自分にまとわりついている何か、妖夢の前でお辞儀している何かは頷いて、元の場所に戻り、門を開ける。
 何だ? 自分は不審者扱いされたのか? まぁ、こんな女装男子だしね? 自分はそう思いながら、門を潜(くぐ)る──此処が『白玉楼』かなぁ? そう思いながら、潜(くぐ)った──

「うわぁ……」
 何とも綺麗な景色だ、この綺麗な景色、どんな所でも勝てないだろう、自分がそう思いながら感動していると、後ろで妖夢が『此処が『白玉楼』ですよー』と、説明する。
 こ、此処が『白玉楼』……! 自分はそう思いながらドキドキする。
 遂に『白玉楼』に来たんだ……! さぁ、少しでも、この景色を目に焼き付けよう、そう思った時だった、後ろから、『誰だー?』と、言い、誰かが自分の両目を両手で覆う。
 ……この声からして幽々子かな? 自分はそう思いながら『幽々子だな?』と、言うと、『正解ー、それにしても、よく当てたわねぇ?』と、首を傾げる。
「そりゃそうだろ? 声で判断したし?」
「声で判断かぁ? くぅ、一本取られた気分ね」
「えぇっ……」
 幽々子に自分が呆れていると、『幽々子様ぁ? 華扇さぁん? 早く屋敷内に入って下さぁい!?』と、大声で妖夢の声が聞こえた。
「あっ、そういやそうだね、入ろう」
「うぅむ? 全く、遊ばせてくれないわね、妖夢は?」
 幽々子はそう言って、『全く妖夢って酷いのよ? おやつもね、『痩せる為』って言って、取り上げるしぃ?』と、ぶつぶつと呟く、自分は聞いている振りをして、妖夢の所へと向かう。
「お、お邪魔しまぁす」
 自分は『白玉楼』の建物に入って、そう言ってから、靴を脱ぎ、室内に入る。
 ふぅむ? とても綺麗な場所だ、室外ではなく、室内も綺麗とか? 凄いなぁ? そう思っていると、謎の白い塊が奥の廊下を宙に浮いて移動しているのを発見する、何か運んでいるのかな? そう思いながら、自分は妖夢の白い塊を指指しながら言う。
「ねぇ、妖夢? 幽々子? 前々から気になっていたんだけどぉ?」
「んー? 何ですかぁ?」
「何ぃ?」
 首を傾げる二人に白い塊の事を言う。
「あの……いや、妖夢にまとわりついている『白い何か』って何?」
 自分がそう言うと、幽々子はその場で口を隠し、『ふふっ』と、笑ってしまう、そして当の本人である妖夢はきょとんとした目で『これ、知らないんですか?』と、首を傾げた。
「え、えぇ、一応は? まだこの幻想郷に来て、数日だしね?」
 ここで自分は嘘を吐いた、実際は一ヶ月未満、数週間以内だ。
「まぁ、数日なら仕方ないですね……」
「そうねぇ? まだまだ知らない事も多そうねぇ?」
 妖夢、幽々子はそう言って、にこにこしながら説明する。
「えーと、これは大まかに言えば『幽霊』です」
「へぇ、『幽霊』かぁ……って、『幽霊』!? 『幽霊』って、あの『幽霊』!? 夜中に出たら恐ろしいって奴!?」
「はい、そうですそうです」
「ひえっ!?」
「あらあら? そんなに怯えなくても良いわよ? 妖夢の『幽霊』はとても優しい者だから?」
「い、いや、そうは言われましても……!?」
 驚愕する自分に対し、幽々子が淡々と言う。
「『幽霊』と言っても、害のある奴じゃないわ、みーんな、優しいわよ?」
「そ、そうなんですかぁ……?」
 恐怖する自分に頭を撫でて、安堵させる幽々子、た、確かに幽々子の言う通りだ、妖夢の『幽霊』はそもそも自分を攻撃していないのだ、その時点で幽々子の言う通りだった、安堵しなければ。
 自分はそう思いながら、『は、はぁ』と、息を漏らすように言う、
「それでは、時間も時間なので、居間に移動して、待機していて下さい、今から晩ご飯を作るので、幽々子様、華扇さんの移動、お願いしますね?」
「分かったぁ」
「あ、あぁ……」
 妖夢の発言を受けて、自分は静かに頷く。
 ふむ、それにしても幽々子と二人っきりになるのか……何だろう、寒気がするのはどうしてだろう? そう思いながら、先に進む妖夢に対し、左に曲がって、『こっちよー』と、案内する幽々子。
 あぁ、このまま妖夢の方について行きたい、自分はそう思いながら仕方なく、幽々子の方に向かう──

Re: 東方崩壊譚 ( No.116 )
日時: 2018/07/25 23:29
名前: 彩都 (ID: ???)  

「…………」
「…………」
 道中お互い無言になる、う、うーん、気まずい、何だろう? とても気まずいなぁ? 自分がそう思っていると、『ねぇ?』と、幽々子が発した。
「ひゃ、ひゃい!? 何ですか!?」
 いきなりの発言で吃驚する自分、すると、幽々子が『貴方は……』と、言う。
「貴方は……『八雲紫』を知っている?」
「…………」
 まさかの発言、まさかの質問に対し、自分は少々無言を貫いてしまった、だから、急いで、言葉を返答する。
「え、えと……知っていますよ? そりゃぁ? だって、『妖怪の賢者』なり、『幻想郷の賢者』だったり、言われているじゃないですか? そりゃ、知っていますよ、あの人は有名だからね……」
 自分がそう言うと、『紫は人間じゃないわ、だから『奴』になる』と、言う。
「あっ、そうすか……」
 訂正され、少々冷や汗を流す自分、そして幽々子が言う。
「……紫はね? 昔っからのお友達なの? そうねぇ? 簡単に言ってしまえば、『生前からのお友達』って所ね?」
「……生前?」
 急に突飛な話になり、首を傾げる自分、すると、幽々子が『そうよう?』と、言う。
「だって私、『もう死んだ身』だしね?」
「……えっ? 死んだ、身……?」
 幽々子の発言で驚愕する自分、じゃ、じゃあ、『幽霊』って事……? 自分がそう思っていると、『今思っている事とは違うわ』と、言う、心でも読んだのか?
「私は『幽霊』ではない、『亡霊』よ?」
「えぇっ……? じゃあ、『幽霊』と『亡霊』の違いは?」
「……単純に説明すれば、『亡霊』は私みたいに死んでも姿形を保つ存在の事、だけれど、『幽霊』は死んで、姿形を保てない存在の事、他にも、『幽霊』の子孫とかも存在するわね」
「成程……」
 自分が納得していると、『あっ』と、幽々子が言う。
「あっ、一応妖夢も『幽霊』に近いわよ?」
「えぇっ!? 幽々子、それは本当か!?」
 驚愕する自分に『えぇ、そうよ?』と、言う。
「妖夢は『半人半霊』という種族なの? 凄いでしょー?」
「うーん、何が凄いのかよく分からん」
「貴方達人間より長寿」
「それは凄い」
 自分はそう言って、素直に納得する、すると、何時の間にか、居間に到着していた。
「あら? もう居間に? それじゃあ、中に入って、のんびりしましょう?」
「あ、あぁ……」
 自分はそう返答し、居間に入る幽々子を追う──

「へぇ、綺麗だなぁ」
 自分はそう呟いて、居間の広さ、綺麗さに驚愕する、こんなに広くないもんなぁ、博麗神社の縁側、居間って……自分が驚愕していると、『さっさと座りましょー?』と、先に座る幽々子、じゃあ、お言葉に甘えて、自分も座る。
「はぁ……それにしても、凄いなぁ、この建物? 結構綺麗で、結構素晴らしい……というか、色々と綺麗なんだよなぁ?」
「うふふ、それもそうね? だって、妖夢達が頑張っているからね?」
「妖夢『達』? えっ? 何? 妖夢以外に動いている人もいるの?」
「んー? 違うわよぉ? ほら、今さっき言ったじゃない? 『亡霊』って? あの人達、いえ、あの霊達が頑張って掃除しているの」
「ほ、ほぅ……」
「だって、私、この『白玉楼』の主人だからね? 此処にいる『亡霊』は顎で使えるのぉ」
「へ、へぇ……」
 こいつさらっと、凄い事を言ったぞ!? 『白玉楼』の主人は分かる、でも、『此処にいる『亡霊』は顎で使える』……? それって、結構凄い事のような……? 自分はそう思い、冷や汗を流す。
「……それで、華扇君? 少し聞きたい事があるんだけど?」
 ふと、幽々子が真剣な眼差しになり、自分を見つめる、少し怖い、そう思いながら、唾液、唾を飲み込み、『な、何ですか?』と、返答する。
「貴方の事を、私はどう言えば良いかしら?」
「は、はいっ!?」
 いきなりの発言でずっこけそうになる自分、そして、自分は『えーと……』と、戸惑いながら返答する。
「そうですねぇ……霊夢や魔理沙は『華扇』呼び、射命丸文からは『華扇くん』呼び、紫の場合は『華扇君』、もしくは『かお君』……」
 自分が呼ばれている名称を次々述べていくと、『それよ!』と、扇子を自分に突くように出す。
「それよそれよ! それで行きましょう!」
「そ、それとは?」
「それって、『かお君』よ! 『う』がないだけで、言いやすい! 貴方の名前は今から『かお君』呼びに決定よ!」
「え、えぇっ……あっ、はい……」
 自分がそう言うと、『かお君! かお君!』と、キャッキャウフフしていた。
 ……まぁ、たかが名前だし、いいかぁ……自分はそう思いながら、その場で溜息を漏らす、すると、戸が開いて、お辞儀しながら、妖夢が『ご飯が出来上がりましたので、食事処に来て下さい』と、言う。
 すると、幽々子が『ねぇ、聞いて妖夢! 今から華扇の事を『かお君』呼びにしたの! 本人公認よ! 命名は紫よぉ!』と、喜々として発言していた。
 そんな幽々子に対し、『か、かお君、ですか……』と、戸惑う妖夢、そして、妖夢は『そ、それでは、晩ご飯を食べる為に移動しましょう、幽々子様、華扇さん……』と、呆れながら発言し、『はーい』と、言う幽々子の後ろをついていく自分──はぁ、何だか、色々と面倒な事に巻き込まれた気がする、名前だけで、こんなに溜息が出るとは、自分は一つたりとも思わなかった──

Re: 東方崩壊譚 ( No.117 )
日時: 2018/08/01 22:09
名前: 彩都 (ID: ???)  

東方崩壊譚(とうほうほうかいたん) 第七章 第七話 幽霊、亡霊、博麗霊夢

CHAPTER 2 捜し物、何処にある?

 自分と幽々子は妖夢に案内され、食事がある場所へと移動する。
 そして、食事がある場所に到着し、先に妖夢が戸を開けて、幽々子を先に入れる、自分も部屋に入ると、そこは『豪華絢爛な料理が大きな机に大量に乗っていた』のだ。
「すげぇ! これ、妖夢が作ったの!?」
「ま、まぁ、亡霊さん達の力も借りましたけどね?」
「へぇ、凄いなぁ、皆……!」
 驚愕する自分に対し、『それじゃあ、食べましょう?』と、言う幽々子、それもそうだな、自分もそう思いながら、妖夢が指定した席に座る。
「それでは、頂きます」
「頂きます」
 自分と幽々子がそう言って、両手を合わせ、料理を食べる、だが、妖夢は食べていなかった、どうしてだろう? そう思いながら、自分は妖夢に言った。
「んっ? あれっ? 妖夢、君は食べないのかい?」
「えっ? あぁ、私はただの庭師なので……お嬢様である幽々子様と一緒に食べてはなりません、食べていいのは、華扇さんみたいなお客様と、紫様のようなお友達方だけです……」
「ふぅん……でも、妖夢が食べていないと、何だか、食欲も、なぁ……? だって、食事って、『皆で食べるから美味しい』のに、一人食べていないと、ちっとも美味しくない……」
 そう言う自分に対し、幽々子が『華扇君? 君は少し、口の聞き方がなっていないわね?』と、言う。
「妖夢は庭師……兼私の剣術指導の指南役よ? たかが庭師、指南役が私と一緒に食べて良い訳ないわ? 更に言えば、彼女の祖父、魂魄 妖忌(こんぱく ようき)でさえ、私と一緒に──」
 自分はそう言う幽々子に対し、右手で机に鉄槌打ちを放ち、幽々子を黙らせる。
「あぁっ!? だから何だ!? 腹が減ったら、誰でも飯を食うだろ!? たかがそれだけで食事の差別をするな! 位ぃ!? だから何だ!? 位が凄いってだけで、妖夢は幽々子と一緒にご飯を食べちゃダメってかぁ!?」
 そう言って怒鳴る自分に対し、静かに幽々子は食事に箸を進ませる。
「食事中は静かにしなさい? 華扇君だって、『食事中に騒ぐな』って、霊夢や紫から習わなかった?」
「…………」
 幽々子の、言葉は……正論だった、自分は内心怒りを内に秘めて、静かにご飯を食べ始めた──ごめん、妖夢……そう思いながら、ご飯を食べる──ご飯は少し塩味がキツく感じた。

「……はぁ」
 自分はご飯を食べ終わった後、妖夢に寝室を案内された。その寝室はあまりにも広く、畳十畳、今日の昼に、妖夢が寝ていた縁側近くの部屋よりも広かった。
 そして、寝室の案内の後、トイレの場所の案内もされ、次に風呂場にも案内された、客人だから、一応一番風呂を貰ったが、何だかなぁ? と、思いながら、自分は紅白の巫女装束を剥いで、木の篭の中に入れ、タオルを持って、風呂場へと向かった。
 そして、風呂場と脱衣所を仕切る扉を引いて、風呂場を見る、此方もとても広かった、寝室より広いかもしれない。
「うわぁ……すっげぇ広い風呂だぁ……」
 今迄以上に広い風呂場を見て、自分は内心ワクワクする、そして、自分はタオルを掴んだまま、大きな湯船にダイブして、全身を浸からせる。
「あっちぃ!?」
 まさかの高温度で、自分は風呂場で思いっきりジャンプして、湯船を出る、何つー熱さだ……!? 自分はそう思いながら、右手でお湯を触り、『あっちぃ!?』と、再度叫ぶ。
「くぅ……! 仕方ない、荒技を使うか……!」
 自分はそう呟いて、右手で能力を発動し、湯船に手を突っ込む、そしてすぐさま引き抜いて、左手で湯船の温度を確認、うん、すっげぇあちぃ。
 そして再度右手を湯船に突っ込んで、また引っ込める、次に左手で湯船の温度を確認、うん、あっちぃ。
 それを何度も繰り返し、左手を湯船に突っ込んで、『うむ、良い温度だ』と、呟く。
 これで湯船に入れる、自分はそう判断し、再度湯船に体を浸からせる。
 ふぅ、良い温度だ、自分はそう思いながら、頭の上に濡らしたタオルを置いて、安堵した。
 それにしても、『元に戻す』能力を使用して、『温度を少しずつ元に戻』すという行為が出来たのは少し嬉しい、まさか、こういう使い方も出来るのか、自分の右手の能力、何か恐ろしいな? 自分はそう思いながら、頬を掻く、すると、『ガララ』と、『背後の出入り口から誰かが入ってくる』のを理解する。
 だ、誰が入ってきたんだ? そう思い、自分は『君は誰だ?』と、目を閉じて言う、すると、『私よ?』と、可愛い声で『幽々子が入室して』きた。
「……えっ!?」
 まさかの人物に対し、自分は目を開けて衝撃を受ける、まさかの幽々子!? まさかの!? 自分はそう思いながら、息を荒くする。
 も、もしかして、まだ怒っているかもしれない、だから、風呂場で僕を暗殺しに……! 自分はそう思いながら、背中の方にいる幽々子に気を張る──い、一体何しに僕が居るお風呂に来たんだ……!? 凄く、凄く怖いぞ!? 自分はそう思いながら、荒くなる呼吸を左手で押しつけ、呼吸の音を小さくする──

Re: 東方崩壊譚 ( No.118 )
日時: 2018/08/08 23:10
名前: 彩都 (ID: ???)  

「隣、失礼するわね?」
 幽々子はそう言って、だだっ広い湯船の中、まさかの『自分の隣』に座って、『ふー、気持ち良いー』と、言う。
 片目だけ開けて確認すると、幽々子はちゃんと、体にタオルを巻いており、自分は安堵した。
「……あの時はごめんなさいね? 酷い事を言って?」
 そう言う幽々子に首を傾げる自分、そして、『どう言う事?』と、言う。
「あら? もう忘れたの? 食事時の話よ? 妖夢と一緒にご飯を食べないって話」
「あぁ」
「一応ね? 『私は此処、『白玉楼』の主』なの、だから、庭師の妖夢とは一緒に食べてはならないの、これは何年も、何十年も前から決まっている事、だから、覆してはダメなの」
「…………」
 たったそれだけで、たったそれだけでご飯を共に出来ないのか……自分がそう思っていると、『でもね?』と、言う。
「町に出て、お菓子とかを一緒に食べるのはよくあるわ? だって、『ご飯』じゃないもの!」
「……言い得て妙な解釈だな?」
 自分はそう言って、幽々子の発言に呆れる、まぁ、確かにお菓子を『ご飯』とは、言った事がない。
「違う意味で発想がいいな、幽々子は」
「うふふ? 伊達に千年生きていないし?」
「伊達に千年ねぇ? ……へっ? 千年? 千年って、百年の十倍?」
「えぇ、そうよ? 私はちょっとした経歴があって、千年以上も生きてるの」
 そう言う幽々子に対し、自分は静かに言う。
「じゃ、じゃあ、レミリアやフランドールよりも約二倍も長生きって事ぉ?」
「えぇ、そうなるわねぇ?」
「…………」
 何それ? 恐ろしいなぁ? まさか自分は千年以上生きてる存在に喧嘩をふっかけたって事だよなぁ? あー、今考えるだけでも恐ろしい……自分がそう思っていると、『あっ!』と、幽々子が大声を出す、湯船なので、案外音が響いた。
「うわっ!?」
「うふふ! 驚いたぁ? まぁ、いいや? ねぇ、華扇君? 一応客人だし、背中洗ってあげるねぇ?」
「えっ? いいよ、自分でやるし……」
 そう言う自分だが、『まぁまぁ? 千年以上も生きているんだから、結構上手いわよぉ?』と、幽々子が言う。
 ……ま、まぁ、千年以上も生きている存在の背中を洗う行為等、九割の、いやほぼ十割の人間が、存在が経験する事ではないだろう、自分はそう判断して、『分かりましたよ……』と、折れる。
「やったぁ」
 幽々子はのほほんと喜び、その場で急に立ち上がる、そして、自分を案内して、椅子に座らせる。
「へいへーい、どうですかぁ? 此処、妖々幽々(ようようゆうゆう)の湯は?」
「何て言いにくい湯の名前」
「確かに」
「頷いちゃったよ」
 自分は呆れてツッコミを入れてしまう、何て奴だ、幽々子は? そう思いながら、温(ぬる)い泡、ざらざらとしたタオルが自分の背中を這う、両手で押され、上下に動くタオルに対し、自分は、『結構気持ちいいな?』と、思う、それにしても、こういう状況を妖夢が見たらどうなるだろうか? 殺されそうだなぁ? 自分はそう思いながら、少し身構えてしまう。
 すると、『どうしたのぉ?』と、ふんわり言う幽々子。
「べ、別に何でもないよ?」
「そ、そう? じゃあ、前を洗うわね?」
 そう言って、幽々子は自分に抱きついて、鎖骨、胴体、胸をタオルで洗う。
 せ、背中に何か柔らかいモノが!? 自分はそう思い、『まっ、前は自分でするから!』と、叫んで、幽々子を止めようとする、だが、『大丈夫よ! 落ち着いて!』と、言う。
 そ、そう言う意味じゃなくて! 恥ずかしいから、止めて欲しいの! 自分はそう思いながら、『ちょっと待って!?』と、言って、幽々子を止める。
「はぁはぁ……待てって……」
「うぅー、華扇君がいじめるぅ!」
「誰もいじめてねぇ!? って、そうじゃなくて……僕も男なんですよ? だから、その……前は自分でしたいというか……触られたくないと言うか……」
「えぇー? でも、華扇君は女の子っぽい見た目だし、小さいでしょ?」
「そう言う問題じゃねぇ!? さ、流石に自分で前位洗えますよ!?」
 自分はそう言って、シャワーで、体を洗い流して、全身の泡を落とす。
「うわぁん、酷いわぁ」
「酷くないですよ? じゃあ、僕が幽々子の体、前を洗おうか?」
 自分がそう言うと、幽々子が顔を少し赤らめ、『おませさん?』と、言って、体に巻いたタオルを取ろうとする。
「ばっ!? 冗談! 冗談だよ!」
 自分はそう言って、急いで、湯船に使って、息を荒くして、背後の幽々子を見る、何だコイツ? 本当におっかねぇ? 自分はそう思いながら、『洗わないのぉ?』と、脳天気に言う幽々子に、『洗いません!』と、顔を赤らめて叫んだ──

「何とか脱出したぁ」
 自分はそう言って、体を拭く。
 あの後、幽々子が体を洗っている間に、自分は幽々子の背後を縫うように、移動し、風呂場を脱出したのだ、脱出する途中で、鏡に映った幽々子の胸に二つの突起が見えたかもしれないけれど、気にしない、勘違い。
「……はぁ、本当、今日は疲れたなぁ?」
 自分はそう言って、何とか体を吹き終わった後、巫女装束を着用し、安堵する、やっぱり服を着る事は安心するな、そう思いながら、脱衣所を出ようとすると、背後で、風呂場の戸が開き、『上がったわよぉ?』と、言う幽々子、そんな幽々子に対し、自分は無言で脱衣所を出た──


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