二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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東方崩壊譚
日時: 2018/06/27 23:03
名前: 彩都 (ID: J1W6A8bP)

 少年は博霊神社で目覚め、何を思い、幻想卿を崩壊させるか──

 始めましての方は始めまして、何度も彩都の作品を読んでいる方は有難う御座います。
 彩都(サイト)と申します。
 もう九作目ですよ、九作目! まぁ、一ヶ月一回更新が多いですねぇ……
 まぁ、今回は『東方PROJECT』という原作者『ZUN』さんの三次創作となっております。
 何故二次創作じゃないかって? それは秘密です☆
 そんな話は置いといて、今回の物語は『幻想入りした少年が幻想卿諸共破壊する迄のお話』で御座います。
 基本的に口調や喋り方は原作通りですが、間違っている部分があれば普通にコメントで説明してくれれば幸いです。
 自分も原作(体験版のみですが)は少しだけ経験していますが、それでも新発見は多いです。
 とまぁ、ここら辺でお話は止めまして、それでは、本編どうぞ!

 目次

『東方崩壊譚』第一章 第一話
本編
>>1-15
後書
>>16

『東方崩壊譚』第二章 第二話
本編
>>16-46
後書
>>47

『東方崩壊譚』第三章 第三話
本編
>>48-62
後書
>>63

『東方崩壊譚』第四章 第四話
本編
>>64-78
後書
>>79

『東方崩壊譚』第五章 第五話
本編
>>80-94
後書
>>95

『東方崩壊譚』第六章 第六話
本編
>>96-110
後書
>>111

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Re: 東方崩壊譚 ( No.64 )
日時: 2017/10/15 21:59
名前: 彩都 (ID: ZFLyzH3q)  

東方崩壊譚(とうほうほうかいたん) 第四章 第四話 デンジャラス・アリス・ワールド

CHAPTER 1 アリスの料理は美味しい

 アリスに案内されて、数十分が経った、魔理沙の家から結構離れているな、と思うと、急にアリスが立ち止まる。
「到着したわ、此処が私の家よ」
 そう言って、アリスは自分の家を見せる、おぉっ、結構広く見えるな、と思う。
「へぇ……綺麗だね、まるでアリスの肌のよう」
「あら? 煽(おだ)てても何も出ないわよ? それじゃあ家の中に入りましょう? 華扇ちゃんだってマスクはキツいだろうし」
「あぁ、そうだね、そうさせてもらうよ」
 自分はそう言って、案内されるがままに、アリスの家へとお邪魔する
事にし、室内へと入る。
 アリスの家の中はとても綺麗で、魔理沙、霊夢の部屋とは違い、結構広かった。
「此処が……すごく綺麗だねぇ、魔理沙より片付いている」
「そ、そりゃそうでしょ……? だって私は元人間! 魔理沙みたいにだらしなくはないわ!」
「えっ?」
 アリスの発言に自分は驚いてしまう、まさかこんなに美しいのに元人間……という事は? 『今のアリスの種族は何なんだ』……? そう思っていると、口に手を置いて、笑うアリス。
「ウフフ、女性に秘密は付き物なのよ? それじゃあ休憩がてらに紅茶でも用意するわね」
 アリスはそう言って、人形を使用し、紅茶を飲むティーカップ、ポットを机の上に置き、茶葉も用意する、自分はそんな姿を見て、アリスに言う。
「ねぇ、アリスはどうして人形を浸かって日常の動作をしているんだい? 結構面倒じゃない?」
 自分がそう言うと、アリスは頬を掻いて言う。
「まぁ、確かに面倒よ? でも、私は魔法使いになって、まだまだ新米、だからもっと魔法を扱えるようにしておかなくちゃならないからね、だから特訓しているの、『指さえ動かせたら人形を操れる』からね、小さな特訓も大きな特訓になるの」
「へぇ……」
 アリスの言葉を聞いて、今の自分では理解出来ないな、と思う、もう少し成長しなきゃ……そう思いながら自分はアリスに案内されて、椅子に座る。
「さて、紅茶を作りましょうっと……華扇ちゃん、紅茶はどうする? 甘いのにする? それともミルクでコクを作り出す? もしくは両方?」
「えっ? ……その前に紅茶を飲んだ事がないんだが?」
 自分がそう言うと、アリスは驚愕していた。
「えっ……? それは本当? 魔理沙の家でも、人里でも飲んだ事がない?」
「えっ? あぁ、そうだけど……と言うか紅茶って何? ってレベルなんだけど? 紅『茶』って言うんだから、お茶の一種だとは思うけれど……」
「あぁっ! それはゴメンなさい……紅茶というのは確かにお茶の一種ね、緑茶や普通のお茶より風味が濃くて、お砂糖やミルク──簡単に言えば牛乳ね──を入れて飲むモノよ、色は茶色や赤に近いわね」
「あっ、あぁ、あれかぁ、レミリアの時の……」
 自分はレミリアとのお茶会を思い出す、そう言えば自分は飲んでいないから分からないが、確かに霊夢の神社で飲むお茶より色が違った、多分それかもしれない。
「あら? レミリアですって? この前襲ってきたあのレミリア?」
 アリスが不思議がるので、自分は説明する。
「うん、実は幻想郷に来た時、自分は紅魔館に行ったんだ、其処でお茶会を……まぁ、自分はお茶会に参加しても、お茶を飲んでいないから……」
 自分がそう説明すると、頷いて納得するアリス。
「成程……先日のあの変化の前の出来事、って事ね、よく分かったわ……で、レミリアのあの豹変……『一体どんな事が原因であぁなった』のかしら? 博麗の巫女の格好をしている、という事は華扇ちゃんも博麗の巫女側の存在よね? それならある程度は知っているの?」
「…………」
 アリスに話してもいいのだろうか? 自分は少し考えてから、『まぁ、話しても良いか』と考えを至り、アリスに言う。
「……霊夢の考えだけど、『鈴泉・優曇華院・イナバ』という存在がレミリアのような出来事の黒幕なんじゃないかって話は出ているね、でも、僕は……」
「華扇ちゃんの考えは何なの?」
「僕は……『鈴泉・優曇華院・イナバ』じゃないと思う、だって、普通『吸血鬼相手にそんな事をするのか』って考えが……だってフランドールも変化したんだよ? 普通吸血鬼に喧嘩を売るような事をするかなぁ……ってね? 人間か妖怪か、とかは抜きにして、『吸血鬼にそんな事をするとは思えない』んだ……だから僕は違う、と思う」
 自分の話を聞いて、自分の前に紅茶を注ぐアリス、アリスは静かに発言する。
「ふぅん……? 確かに華扇ちゃんの言う通り、『吸血鬼相手にそんなことはしない』わよね……あっ、紅茶が出来たから、一回飲んでみたら? 熱いけど」
「……有り難く頂こう」
 自分は目の前に置かれた、湯気が出ている紅茶のカップを見、静かに飲む。
 ……普通のお茶より美味しいな、風味も普通のお茶より濃いし、何より、飲んでいて安心する。
「ウフフ、気に入ったかしら?」
「気に入った? 違うな、好物になった、かな? とても美味しいよ」
「そう? それは良かった、それじゃあ砂糖、ミルクを入れて、個人的に味付けしても良いかもね?」
 アリスはそう言って、自分の目の前に砂糖、ミルクを用意する、ふぅむ……どんな味付けにしようか? 自分は砂糖、ミルクを見、少し悩む──

Re: 東方崩壊譚 ( No.65 )
日時: 2017/10/15 22:00
名前: 彩都 (ID: ZFLyzH3q)  

「ふむ、それじゃあ砂糖を大さじ一杯、ミルクを一回転して入れようかな」
 自分はそう言って、砂糖とミルクを自分の紅茶の中に入れる。
 そしてフーフーと紅茶を冷やしてから飲む。
「うん、美味い……! 紅茶、何と素晴らしい飲み物か……!」
 自分はそう言って、紅茶に感動する、するとアリスが口に手を置いて笑う。
「ウフフ……華扇ちゃん、貴方やっぱり面白いわね」
「そ、そうかな……?」
 自分はそう言って不思議がる、自分はそんなに面白いのか? 自分はそう思いながら時間は刻一刻と過ぎていく──

「あら? もう夕方……? 時が経つのは早いわねぇ」
「えっ? 夕方?」
 自分はアリスの発言を聞いて、外を確認する、すると外はオレンジ色と黄色のコントラストだった。
「あぁ、確かに夕方だな……紅茶を飲んで、優雅に過ごしていたなぁ」
「確かにそうね……それじゃあ晩ご飯にでもしますか……」
 アリスはそう言って台所に移動する、自分は椅子に座って待機をしていた。
 そして数十分で料理は完成、肉料理だった。
「この料理、知ってる?」
「いえ、知りません……」
「そう?  これはビーフストロガノフって言うの、昨日暇だから作っていたの、お肉、とても柔らかいわよ」
「へぇ……それでは頂きます……」
 自分はそう言って、ビーフストロガノフとかいう料理に手をつける、肉を口に運んで一言、『柔らかい……』だった。
 何なんだこのお肉は!? 今迄に食べた事がないぞ……! 早苗の所のご飯と合わせるととても美味しいだろう、と思う、此処に早苗がいないのが悲しい。
「どう? 美味しいかしら? 初めて作ったけど……」
「美味しいですよ! アリスって料理上手なんだなぁ」
「あ、あら? お世辞が上手い子……ほら、まだまだあるし、どんどん食べても良いわよ!」
「あっそう? それなら遠慮なく……」
 自分は満足する迄ビーフストロガノフを食べる──そして付け合わせのパンも食べる、パンもそのままでも美味しいが、パンをビーフストロガノフのスープと合わせる事で、より一層美味しく感じた──

 ふぅ……結構食べたなぁ、と思い、腹部を擦る、するとアリスが驚いていた。
「うわぁ……鍋のビーフストロガノフの量が半分も……これは明日の朝から仕込まなくては……あっ、華扇ちゃん、話があるんだけど?」
「ん? 話って何?」
 自分が不思議そうに返答すると、アリスが本棚から一冊の本を取り出す。
「華扇ちゃんは人形を操りたい、と言っていたわね?」
「えっ? あぁ、そうだな、だってアリスの指捌きは美しいし、自分も美しい指捌きで人形を操りたいしね?」
「そうよね、でも人形はどうするの?」
 突然の発言で自分は不思議に思う、いや、人形はアリスから借りる方向だけど……? そう思っているとアリスが首を横に振って言う。
「一応言うけど、私の人形を使わずにね?」
「えっ? それなら僕、人形を操れない……」
「……その為の本よ?」
 アリスはそう言って自分に一冊の本を渡す、何だこの本……? そう思っているとアリスが説明する。
「今日から華扇ちゃんはこの本を読んで、人形を作りなさい? 大丈夫、材料は何時も補充しているし、切れる事はないわ、だから安心して人形を作って?」
「えっ? ちょっと待って? も、もしかしてそれって、『本だけを読んで人形を作れ』って事?」
 自分が焦り、戸惑うと、アリスは静かに頷く。
「うん、そうよ? まぁたまに教える事はするけれど……人形を操りたければ、自分で作って自分で操るのが普通でしょ? 他人の人形なんか操っても正常に操れるか不安だしね?」
「えっ? いや、確かにそうなんだけれど……」
 自分はそう言って、人形を作る難しさを聞く。
「……で、人形って初心者でも作れます?」
「……難しいわね、だから本を読んで特訓を……」
「……!? 初心者じゃ無理って……」
「誰も無理とは言っていないわ?」
「難しいって……それ、ほぼ無理って言っているようなもんじゃんか……?」
「あぁ、もう! そうやって諦めるつもり!? 作る努力もしていないのに?」
「うっ……」
 アリスが逆ギレして言う、た、確かにそうだ、自分が本を見て、作って『失敗する』とはアリスは言っていないのだ、失敗してもまだまだ材料はあるのだ、『完成する』迄挑戦するのも良いかもしれない……いや、その前に失敗しても『元に戻』せばいいのか……と考え、アリスに言う。
「……分かったよ、一応は挑戦してみるよ」
 自分は机に置かれた本を手に取り、中身を一瞥する……うっ、これも読めない……でも、魔理沙の家から読み方を習ったし、訳を書いている紙もある、時間をかければ何とか解読出来そうだ、そう思っていると、アリスが言う。
「あぁ、そうそう、華扇ちゃんの寝泊まりする場所だけど……こっちに来て?」
「えっ? あっ、はい」
 自分はアリスに案内されて、魔理沙の家で寝泊まりした部屋と同様に、何もない部屋に案内される、何もない、と言っても、ベッドはある。
「寝泊まりする場所は此処で良いかしら?」
「えっ? あぁ、いいよ、こんなに物が少なかったら、人形を作るのに集中出来そうだ」
「あら? そうかしら? それじゃあ今日はお休み、寝る時間迄本を読んでても良いわよ?」
「あぁ、そうさせて頂くよ」
 アリスはそう言って、部屋のドアを閉める、ベッドがある部屋で一人きり、自分は息を吸っては吐く。
 さぁ、まずは解読から始めないとな……自分はそう思いながらベッドに座り、訳が書いてある紙と共にアリスから借りた本を解読する──

Re: 東方崩壊譚 ( No.66 )
日時: 2017/10/15 22:00
名前: 彩都 (ID: ZFLyzH3q)  

「ふむ、ふむむ……」
 自分は本の文字を解読する為に必死に躍起になっていた。
 そして何とか一ページ目の解読に成功する、残りどれだけだろう? 自分はそう思いながら寝転がる。
「結構時間を食ってしまったな……もう少し早く解読出来るように文字に慣れなければ……」
 自分はそう呟いて、左腕を両目の上に乗せる、今日は疲れたな、もう寝よう。
 自分はそう考えて、ベッドに潜り込み、目を閉じ、寝息を立てる──明日こそ、もっと早く文字の解読が出来たら良いなぁ……そう思いながら自分は睡魔に襲われる──

 そして翌日。
「起きなさーい!」
 いきなりのアリスの大声で自分はすぐさま起きる、と言うか、アリスってあんなに大声が出せるのか……自分はそう思い、髪の毛を整えてから、部屋を出る。
 部屋を出ると、とても美味しい匂いが自分の鼻を突き抜けた、朝ご飯、どんなのだろうなぁ? と思いながら自分は机に向かって、椅子に座る。
 すると目の前に斜めに切った茶色の物体があった、更にその茶色の物体の近くには『ジャム』と書かれている。
「何だこれ……? ジャム? 初めて見たなぁ」
「あら? ジャムを知らないの? じゃあパンも?」
「あ、あぁ……朝はご飯だし……」
 アリスの言葉に返答すると、アリスが説明する。
「えーと……この斜めに切った茶色の物体はパンって言うの、とても美味しいわよ、そしてそのパンに味を付けるのがジャムという食べ物よ」
「へぇ……」
 自分はアリスの説明を聞いて、パンという物に手を付け、一口味見する

 すると口の中に小麦の味が広がった、何だこれは……? とても美味しい! 昨日食べたビーフストロガノフの様に美味しい……! そう思っていると、アリスが微笑む。
「どう? 味の感想は?」
「と、とても美味しい! 初めて食べたよ!」
「あら? それは嬉しいわね、それでは、ジャムをつけて、食べてみて?」
 アリスは自分からパンを取って、ジャムをつける、そして自分の口に突っ込む。
「わぷぅ……甘い! 美味い! 何だこれ!? 初めての感覚だ!」
 自分はジャムを付けたパンに驚愕する、こんな美味しい物がこの世にあったなんて……! 自分はそう思い、アリスに言う。
「こ、このパン……何という名前のパンなんだ?」
「それ? それは『フランスパン』という物よ──因みにジャムは手作りよ」
「へぇ、フランスパン、ねぇ……」
 自分はそう言って、フランスパンに感銘を受けた。
 アリスの家は凄いなぁ、こんなに美味しい物を食べて過ごしているなんて……何だか憧れてしまう。
 そう思っていると、アリスがニコニコしながら自分を見る。
「ど、どうしたの……? 僕の顔に何かついている?」
 自分がそう聞くと、アリスは首を横に振って返答する。
「いいや? 華扇ちゃんを見ていると食いっぷりが凄いなぁって……それ
程私の料理が美味しいかしら?」
「お、美味しいさ! 霊夢や魔理沙よりもとても美味しいさ! ……でも、早苗の料理も案外美味しいんだよなぁ……甲乙付け難い……」
 自分の言葉を聞いて、微笑むアリス、とても嬉しそうだった。
 そして自分とアリスは朝ご飯を食べて、栄養をつける──自分は一つ一つを噛みしめて、食べていく──

 そして朝ご飯を食べ終わって、自分は満腹になる。
「とても食べたわねぇ? 相当お腹膨らんでいるわね、これじゃあ妊婦さんに間違いなしね?」
「えっ? えぇ、そうだなぁ……」
 まぁだ、僕の事を『女』だと勘違いしている、いい加減性別を明かさないとなぁ……そう考えて、自分はアリスを呼ぶ。
「あ、アリス、少し話良いかな?」
「えっ? どうしたの華扇ちゃん?」
「えっと……実は僕の性別の事だ──」
 自分が言葉を発そうとした瞬間、アリスが大声で両手を叩く。
「あっ! 人里に買い出しに行かなきゃ……ごめんね華扇ちゃん? 私、買い物に行くから、部屋で魔法の特訓をしていてね?」
「えっ? あぁ、分かった……」
 アリスはそう言って、家を出て行ってしまった、あーあ、性別の事が言えなかった……自分はそう思いながら溜息を吐き、静かに寝て過ごした部屋に戻る──

 えーと、まず、此処の文字は此処の文字となるから……自分は一人静かに魔法の本に書かれている事を解読する。
 この作業が中々に大変なのである、何故なら、『似ている文字が多過ぎる』からである、少しでも見間違えないように三回は確認しないといけない。
 だからこそ、面倒なのである。この作業が面倒なので、時間を食うのである。
 昨日は寝る前に一ページ解読出来たから、少しは楽になるかもしれないが……そもそもとして、魔法の本に書かれている文字は何度見ても、覚える事が出来ないのだ。
 それ程迄に魔法の本に書かれている文字は難しいのだ。
 そして何とか二ページ目終了、はぁ……結構疲れたなぁ、一ページ目であんなに疲れたのだ、二ページ目でも相当疲れる、何で魔法の本を書いた一は普通の人間に読めるように訳した本を出さないのか? いや、普通にそう言うのが出回ったら、誰でも魔法が使えるようになってしまうのか、それを阻止する為にこんな小難しい本になった、と考えるのが妥当か、と考える。
 いや、それにしても、もっと簡単な文字にしてほしかったな、と思う。
 さぁて、こんな事に時間を費やしてはダメだ、三ページ目に目を通すか、自分はそう思いながら三ページ目に目を通す──あぁ、三ページ目も難しい──

Re: 東方崩壊譚 ( No.67 )
日時: 2017/10/15 22:01
名前: 彩都 (ID: ZFLyzH3q)  

 自分が三ページ目に目を通して、解読をしようとした瞬間だった、玄関が開く音が聞こえる、そして玄関から『ただいまぁ』とアリスの声が聞こえた。
 自分はアリスを迎え入れるべく、部屋を出る。
「あっ! お帰り……って凄い荷物だなぁ……」
 自分はそう言って、人形一体に一つの大きな袋を持たせているアリスを見る。
「あ、アハハ……華扇ちゃんがよく食べるからね? 華扇ちゃんの胃を満足させるにはこれ位買わないとねぇ?」
「な、何かすんません……」
 自分はそう言って、冷や汗を掻きながら謝る、するとアリスが両手を振って返答する。
「うぅん! 謝らなくても良いわよ! よく食べるって事は元気な証拠なんだから!」
「あ、あぁ、そうだな……」
 多分男だから女の子であるアリスよりよく食べるんだと思います、自分はそう思いながら人形から荷物を受け取る。
「少しは手伝うよ」
「えっ? いいの? 有難う!」
 そう言ってアリスは笑顔になる、うっ……案外可愛いなアリスって……自分はそう思いながらアリスの顔を見ないように荷物を運んでいく。
「……ていうか、こんな所に置いていいの? だって棚に収納するだけだなんて……」
 自分がそう言うと、アリスが魔法の森について説明する。
「えーとねぇ、此処、魔法の森ってのは、あまり太陽が入らないから、暗くて、じめじめしているの、だから湿気に気を付けてさえいれば、涼しいわ、なので、湿気を吸収する物を入れておけば棚での管理でもセーフなのよ」
「な、成程なぁ……」
 自分はそう言って、魔法の森について、また新たな情報を得た。
「それじゃあ僕は魔法の本を読むよ」
「えぇ、頑張ってね?」
 アリスはそう言って、手を振る、あぁ、頑張るよ、自分はそう思いながら部屋に向かい、本の解読を始める──

 ……ふむ、成程、自分はそう思いながら静かに魔法の本を解読していく。
 結構難しいが、分かる文字と魔法の本の文字が合うと少し嬉しい、さぁ、頑張って進めなければ……そう思っていると、窓がノックされ、自分は首を傾げる。
 一体誰だ? 窓をノックするとは? 普通は部屋のドアをノックすべきだろう、と考える自分、そして自分は窓を開放させる、だが誰もいない。
「……? 何だぁ? ルーミアの悪戯かなぁ?」
 自分がそう思い、窓を閉めようとすると、下から魔理沙が現れ、自分を驚かす。
「わぁっ!」
「うわぁっ!? な、何だ魔理沙か……いきなり驚かすなよ……」
「ふっ、悪い悪い、で、調子はどうだ?」
「調子? それはどうだろう? 今はアリスの魔法を使う為に魔法の本を解読している途中だ」
「お前……ずっと解読してばっかだな」
「あ、アハハ……」
 魔理沙の発言に自分は反論出来なかった、すると自分の部屋の戸からアリスの声が聞こえた。
「華扇ちゃぁん? どうしたのぉ?」
「えっ!?」
 まさかのアリスに自分は戸惑う、そして魔理沙は自分の部屋に侵入する。
「おぉー! アリスじゃないかぁ! 何だ、今日は部屋の中に籠もっているのかー」
「あっ! この声は魔理沙ね! 玄関から入ってきなさいって!」
 戸を境に会話する二人を見て、自分は戸を開けて、会話をスムーズにさせる。
「あっ! 何開けてんだ!?」
「こらぁ! 魔理沙ぁ! 普通に入ってきてって何度言えば……」
「ま、待て待て! 今回はそういう話をしに来た訳じゃない! 華扇の様子を見に来ただけだ! だからすぐに帰るって!」
「本当にぃ? そうなの華扇ちゃん?」
 急に話が降られ、自分は少し戸惑ってしまう。
「さ、さぁ……? 僕は魔理沙と少し会話しただけだからなぁ? まさか僕に会いに来たとは……」
「へぇ……? 魔理沙、まさか華扇ちゃんと会いに来たっていうのは大嘘……?」
「ま、待て! 華扇! それは酷いぜ! 最初に言ったぜ? 『華扇、調子はどうだ?』って!」
「果たして何の事かなぁ? 僕には分からないやぁ?」
「ふぅん……? 魔理沙、華扇ちゃんの邪魔をしにきたのね……! 流石
にそれは酷いわ……!  華扇ちゃんだって頑張っているのに……!」
 戸惑う魔理沙を見て、自分は心の中でほくそ笑む、へっへっへっ……今迄の仕返しよ、そう思いながら自分はアリスに怒られる魔理沙を見つめる。
「おい! 華扇! 助けてくれ! なぁ!?」
「何で僕が君を助けないといけないんでしょうか? 僕は魔法の本を読んでいる、というのに……特訓の邪魔だから帰ってくれないか?」
「おいおい、華扇よ、私は見損なったよ、お前がそんな薄情な奴だったなんて!」
「そんな事より華扇ちゃんの邪魔をしたって自覚は?」
 完全に板挟み状態っぽくなる魔理沙を見て、にやけが止まらない、うーん、やり返しって案外気持ちがいいね。
「ぐっ……此処は逃げるが得策! じゃあな! また来るからなぁ!」
 魔理沙はアリスの家を窓から脱出し、箒に乗って、上空に逃げる、中々に逃げ足が早い……! もう少しほくそ笑む事が出来たのに……! 自分はそう思いながらアリスに言う。
「ま、まぁ、もう帰ったんだし、さっさと窓を閉めよう? ぼ、僕の呼吸器官が死んじゃう……」
「あっ、そうね、それは忘れていたわ」
 アリスはそう言って、急いで窓を閉める、これで何とか寿命は大丈夫だな、と思う、するとアリスが言う。
「それじゃあ華扇ちゃん、頑張って魔法を修得してね? それじゃあ私は部屋を出るから」
「あぁ、分かった」
 自分はそう言って、部屋から出るアリスを見つめる──今日はどんな晩ご飯になるだろう? と少し気が早い事を考えて、自分は魔法の本の解読を再開する──さぁ、頑張らないとなぁ? そう思いながら自分は深呼吸をし、気持ちを落ち着かせる、今日は何処迄解読出来るだろうか? それは自分には分からない──

Re: 東方崩壊譚 ( No.68 )
日時: 2017/10/15 22:01
名前: 彩都 (ID: ZFLyzH3q)  

 魔法の本の解読をして、何時間が経っただろうか? 何時の間にか、解読出来たページは五ページ目に突入していた、そして窓を確認すると、少し薄暗かった──それは元々だが。
 結構進んだな、と思い、自分は欠伸をする、ふぅ……結構疲れたなぁ、そう思っていると、アリスの声が聞こえる。
 どうやらご飯のようで、自分はアリスの作る晩ご飯に少しうきうきしていた、そして自分は急いでアリスがいる机に向かう。
「ふぅ……今日はどんな料理だろう?」
「今日? 今日はねぇ、『ピッツァ』という料理と『パスタ』っていう料理よ」
「へぇ……ピッツァにパスタかぁ……どれも美味しそうだぁ……」
 自分はゴクリ、と唾を飲み込んでから、パスタを食べる、な、何だこれは……!? とても美味しい! 今迄に食べた事のない感覚に口の中が包まれる、ふあぁ……! これが……パスタ! そして次にピッツァを食べてみる。
 ……ふむ、美味しい、あれだな、霊夢の所で食べた猫まんまっぽい感じだ、とても美味しい……ん? 何だこのよく伸びる何かは? そう思っていると、アリスが説明する。
「あぁ、その黄色いの? その黄色いのは『チーズ』という食べ物よ、そういう物に掛けて頂くの」
「へぇ……アリスは何でも物知りなんだなぁ」
「い、いや……それは華扇ちゃんが知らなさ過ぎるだけよ……」
 アリスはそう言って呆れる……ってか、自分の事を話していなかったな
、自分はそう思い、アリスに言う。
「いや、知らなさ過ぎるんじゃないんだ、だって『記憶喪失』だもん、知らないのは当然さ」
「……えっ?」
 自分の発言にアリスは驚く、そして自分の頭を掴んで、近づいてから言う。
「そ、それって本当!? 本当に記憶喪失なの!?」
「えっ? あぁ、そうだよ、自分は記憶を取り戻す為に強くなろうとしているんだ」
「な、成程……だから私の家に喜んできた、という事ね?」
 アリスが座って、横目で自分を見る、アリスの発言に自分は静かに頷く。
「最初は魔理沙の魔法を修得して、自分も使えるようにしたいんだけど……まさかアリスに誘われるとは思わなくてね、でも、アリスだってその人形を操る魔法がある、だからそれも修得する為に此処に来たって訳さ、使える道具は全て使って、行動したいからね?」
 自分がそう言うと、口の端を歪ませるアリス。
「へぇ……つまり、私は華扇ちゃんの手の上で踊らされていたって事ね?」
「最悪言えばそうなるね、でも、逆に君だって『僕を君の手の平の上で踊らせた』んだろう? もしも『魔法の調子はどうだ? 戦って確認してみましょう?』とか言えば、自分の戦闘データが取れるしねぇ? たった一回でデータとか、取れる筈が無いからねぇ?」
「……何処迄洞察力が凄いのかしらね?」
 そう言うアリスに自分は微笑んで言う。
「さぁ? 何処迄だろうねぇ? でも、今はそんな談笑をしている場合ではないと思うぜ? アリスのせっかく作った料理が冷えちまう」
 自分はそう言って、ピッツァを食べていく、そしてアリスが小声で言う。
「……全く、話を逸らすのが上手いんだから……」
「うぅん、このピッツァっての、美味しいなぁ」
 自分はアリスの言葉を遮って、ピッツァの美味さに酔いしれる──

「ふぅ……食べた食べたぁ……それじゃあ部屋に籠もるね」
 自分はそう言って席を立つ、するとアリスが自分の左腕を掴んで言う。
「待って? 今日の昼、魔理沙が来た時みたいに、誰かが来たら、私を呼んでね? 魔法の森はあまり人が寄らないけれど、一応はって事で」
「……あぁ、分かった」
 自分は静かに頷いて、アリスに言う、そして自分は部屋に戻って、解読を再開する。
「えーと、此処の文字がこうなっているんだから……うーん、ご飯を食べたから、安心して、少し記憶が飛んでいる……何故そうなる……?」
 自分はそう呟いて、頭を掴む、全く、ダメダメな脳味噌だな……自分はそう思いながら、ベッドに寝転がる。
「はぁ……果たして残り二日で魔法を修得する事が出来るだろうかか……? いやいや、こんな弱気になるなんて……相当精神がやられているのかぁ……?」
 自分は一人ごちながら、溜息を吐く、全く……無理ならやらなきゃ良かった、こんなにも魔法を修得するのが難しいだなんて……誰も考えちゃい無いよ、あぁ、自分は甘い考えしかしていないんだなぁ、と思う。
 外はもう真っ暗だし……寝ようかなぁ? と考え、自分は部屋を消灯する。
 ……こんなに暗いのか、と思い、自分の部屋を見つめる、夜はこんなにも暗くなってしまうのか、何時もは消灯せずに過ごしているからな、消灯するなんて朝、昼程度だ。
 寝よう、そして明日の自分に全部投げてしまおう、自分はそう思いながらベッドにダイブし寝転がる。
 ベッドだけが気持ちいいなぁ、と思いながら目を閉じる。
 さぁ、明日はどんなご飯になるだろうか? それは分からないが、今日、昨日みたいに美味しい料理が出るだろう、自分はそう思いながら大きく息を漏らす。
「はぁ……さよなら、今日、初めまして、明日──」
 自分はそう呟いて、『明日』という見知らぬモノに思いを寄せる──さぁ、『明日』はどんな日になるだろうか? それは寝て、起きてみないと分からない──


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