二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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東方崩壊譚
日時: 2018/06/27 23:03
名前: 彩都 (ID: J1W6A8bP)

 少年は博霊神社で目覚め、何を思い、幻想卿を崩壊させるか──

 始めましての方は始めまして、何度も彩都の作品を読んでいる方は有難う御座います。
 彩都(サイト)と申します。
 もう九作目ですよ、九作目! まぁ、一ヶ月一回更新が多いですねぇ……
 まぁ、今回は『東方PROJECT』という原作者『ZUN』さんの三次創作となっております。
 何故二次創作じゃないかって? それは秘密です☆
 そんな話は置いといて、今回の物語は『幻想入りした少年が幻想卿諸共破壊する迄のお話』で御座います。
 基本的に口調や喋り方は原作通りですが、間違っている部分があれば普通にコメントで説明してくれれば幸いです。
 自分も原作(体験版のみですが)は少しだけ経験していますが、それでも新発見は多いです。
 とまぁ、ここら辺でお話は止めまして、それでは、本編どうぞ!

 目次

『東方崩壊譚』第一章 第一話
本編
>>1-15
後書
>>16

『東方崩壊譚』第二章 第二話
本編
>>16-46
後書
>>47

『東方崩壊譚』第三章 第三話
本編
>>48-62
後書
>>63

『東方崩壊譚』第四章 第四話
本編
>>64-78
後書
>>79

『東方崩壊譚』第五章 第五話
本編
>>80-94
後書
>>95

『東方崩壊譚』第六章 第六話
本編
>>96-110
後書
>>111

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Re: 東方崩壊譚 ( No.124 )
日時: 2018/09/19 22:43
名前: 彩都 (ID: ???)  

「本当、不思議ですよねぇ……」
 妖夢はそう言って、ペラペラと、次のページを捲る、だが、華扇という人物の情報はこれっぽっちで、その後、妖夢は書物を閉じた。
「……情報はこれで終了、さて、次の物を探しましょう」
「あ、あぁ……で、でも! こ、これで少しは進んだんじゃないかな!? 僕が生前の幽々子と同じ時代を生きている、つまり僕はそれ程迄、今も生きていたって事になる!」
「……ですが、華扇さんは『その記憶がない』んですよね? それならその考察は難しいのでは? 証拠がなけりゃあこの書物を信じるのは……」
「で、でも! 証拠は今の所、この本にしか記されていない……そ、それじゃあ、他に探して、僕に関する情報を探せば──」
「それ、今している事ですよ?」
「あっ……」
 妖夢に正論を言われ、自分はその場で無言になる、妖夢は一人静かに書物を手に取り、書物を読み続ける。
 自分はその場で『僕は、長生きだった……?』と、首を傾げた──

 それから時間が過ぎて、蔵の一階部分は大体見終わった。
「はぁ……量が多いなぁ?」
 自分がそう呟くと、妖夢が『ははは……』と、笑う。
「ですが、まだ蔵はありますし、この蔵レベルのサイズですしね……毎日一つ探索するといっても、結構大変ですしねぇ……」
「そう、なんだよなぁ……まだまだ蔵はあるんだよなぁ……」
 妖夢の発言を受けて、肩を落とす自分、すると妖夢が『それでは、二階に向かいましょうか』と、発言する。
「二階?」
「えぇ、一応重い物は一階に、軽い物や額縁、西行寺家に重要な物は二階に移動させて、保管しているんです」
「へぇ、二階ってすげぇなぁ」
「そうですねぇ? だから二階の物がなくなってしまえば、西行寺家は色々と危険に……」
 妖夢の説明を受けて、『壊さないようにしないとなぁ』と、思うが、『元に戻す』能力があるので、壊れても大丈夫なのかと、自己完結をする。
 そして先に妖夢が梯子を使って、二階に登り、自分も後から梯子を登る。
「……うわぁ、くっらいなぁ?」
 自分がそう言うと、妖夢は『一応重要な物がありますので、光に当てないようにしているんです、だから暗いんです、申し訳ありません』と、謝辞をする。
「い、いや、謝る必要はないよ、こういう重要な物を残すには、暗く、湿気がない所を選択しないといけないからね?」
「えぇ、それもそうですね」
 自分と妖夢はそう言って、二階の物を漁る。
 うーん、中々にいい物が見つからないなぁ? 自分の情報が書かれたのは、一階のあれだけだし……もしかして、本当に二階に自分が書かれた情報なんかあるのだろうか? 少しだけ疑心暗鬼になってしまうなぁ。
 自分はそう思いながら、二階を探索していると、『んっ?』と、変な声を出す妖夢、一体どうしたんだろう? 自分はそう思いながら、妖夢に『どうしたのー?』と、発言する。
「か、華扇さん……こ、これを見て下さい……」
「んー? 何なんだぁ?」
 自分がそう言って、妖夢の所に向かう。
 そして妖夢が手にしていた物を確認する。
 妖夢が手にしていた物、それは『幽々子の日記』だった。
「華扇さん……見ます?」
「妖夢は……どうなんだぁ?」
「…………見たいです」
「そうか、じゃあ、見よう」
「ですね!」
 自分は何時でも責任を逃れられるよう、適当に、曖昧な返答をする。
 そして妖夢は適当にページを捲って、読み始める。
「えー……日にちは分かりませんが、『晴れ』、と書かれていますね……それで内容は『今日もあつい日だった』と……『だから水あびをした』と……『たのしかった』で終わってます……」
「凄く短いなぁ?」
「そうですねぇ、でもまぁ、幽々子様が幼かったから、という可能性もありますよ? だって、所々平仮名ですし?」
「あぁ、そっか、それもそうか……」
 妖夢の説明を受けて、成程と、思う自分、そして妖夢に自分は言う。
「さぁ、それじゃあ、さっさと探索に戻ろうか?」
「そ、そうですね……変に時間を潰してしまった……」
 妖夢はそう言って、頬を掻きながら周りを探索する。
 ……さぁ、自分も探索をしないとなぁ? 自分はそう思いながら、近くの額縁を開いて、確認したりする──

「はぁ……二階も、ほぼ終わったよぉ?」
「こちらも……もう終わります……」
 自分と妖夢はそんな会話をしながら、溜息を吐く。
 あんまり自分の情報は手には入らなかった、手に入ったのは、一階のあれだけだった。
 はぁ、悲しいぜ? 自分はそう思いながら、溜息を吐くと、『ぎゅるるる……』と、お腹が鳴った。
「……華扇さん?」
「はい?」
「お腹、減りましたか?」
「減りました」
「……それでは、ご飯にしましょうか? 結構時間も経過した事でしょうし?」
「……確かに……時間が経過したのは事実だ、それもそうだね? よし、ご飯にしよう」
「そうですね、それでは先に出ていて下さい、後始末をするので」
「分かった」
 自分は急いで二階から一階に降りて、蔵を出る。
 それにしても、結構時間をかけて探索したなぁ? 自分はそう思いながら蔵から出て、鍵をかける妖夢を見た──さぁ、腹が減った腹が減った、そもそもご飯食べていないし、空腹が凄い……自分はそんな事を思った──

Re: 東方崩壊譚 ( No.125 )
日時: 2018/09/26 22:16
名前: 彩都 (ID: ???)  

「さて、それでは食堂に向かいましょうか」
「あぁ、そうだな? それにしても凄く腹が減ったぜ……」
「あはは、確かに結構な時間、あの蔵で調べ物していましたしね? 脳に栄養が行き過ぎて、栄養が不足しているのでしょう」
 妖夢は腕組みをし、頷く、まぁ、それもそうなんだけど、そもそも今日は何も食べていないから、空腹で胃が痛い。
 自分はそう思いながら、妖夢と共に一緒に歩いていると、幽々子が目の前に現れる。
「お楽しみでしたか?」
 幽々子がそう言うと、妖夢は顔を赤らめ、幽々子に怒鳴る。
「私と華扇さんはそんな関係ではないです! からかわないで下さい!」
「あらあら? でも、あんな密室だと、声が出ても、声が漏れる心配はないけど?」
 にやにやと笑う幽々子に対し、妖夢が大声で言う。
「だからといって、そんな関係には行っていませんので! じゃあ、幽々子様だったらどうするんですか!?」
「えっ? 私? 私ならそのまま受け入れるわ? だって、こんな可愛い子に襲われるのならねぇ?」
 そう言って、幽々子は自分を抱きしめる、いきなり抱きしめられて、自分は驚く。
「ちょっ!? 何なのさ!?」
「もう、暴れないでよぉ?」
「幽々子様!? 華扇さんが苦しんでいます!」
「あらあら? 奪われたくないからってぇ?」
「そんな事は言っていません! それ以上華扇さんと絡むと、晩御飯抜きですよぉ!」
「それは厭だわ?」
 そう言って、自分を話す幽々子。
「そうですよね! それでは、今から晩ご飯の準備をしてきます!」
 大声で怒鳴りながら妖夢は食堂の裏口へと向かう。
 そして幽々子は『反抗期かしら?』と、言いながら続けて『華扇君? さっさと食堂に向かいましょう?』と、発言する──いや、原因あんたじゃん? 自分はそう思いながら、幽々子と共に食堂へと向かった──

 そして食堂に到着し、自分と幽々子は座り、料理が完成するのを待機する、個人的な事を言えば、すぐに料理が運ばれて欲しいのだが、流石にそれは無理な相談だろう。
 ていうか、本当、腹が減った、相当減った、何でご飯を食べれなかったんだよ? 悲しい、朝も昼も食べれないって、相当悲しい、自分はそんな事を思いながら、溜息を吐いた、すると幽々子が『どーしたの?』と、首を傾げた。
「えっと……ものすごーくお腹が減りまして……動きっぱなしだったもので……だから早くご飯食べたいなぁ? と」
「へぇ……どれだけ動いたの?」
「えっと、動いたのは目ですね、視力を酷使したって感じ、ですかねぇ」
「へぇ……それで? 貴方達は一体何をしていたの? 蔵に籠もって読書会?」
「えっと……まぁ、それに近いですね、少しでも勉強しないといけないですし、えへへ……」
 自分は愛想笑いをして、その場で笑う、自分の過去を探しているとか、迂闊に漏らす事は出来ないし、普通漏らした所で、『貴方は何を言っているの?』と、訝(いぶか)しげに思われるだけだ。
 すると幽々子が『へぇ、それは凄いわねぇ』と、言葉を漏らす。
「私には読書とか、面倒であまりしたくないわぁ」
「そ、そうですか……でも、僕は文字を読む事が出来ないので、読める人は尊敬しますよ──まぁ、字もあまり書けないんだけどさぁ? ダメダメだぁ──だって、色々な書物を読む事が出来ますし? 僕も何時かは全ての文字を覚えて、色々な書物を読みたいですし?」
 自分がそう言うと、目を細める幽々子、そして幽々子が『それじゃあ、少し、覚えてみる?』と、妖艶な笑みを浮かべる。
「……えっとぉ……それはぁ、どういう意味?」
「そのまんまの意味よぉ? 私や妖夢が貴方に言葉を教える、文字を教える、意味を教える、それをすれば、少しでも勉強になるんじゃないかしら? ……まぁ、華扇君の気持ちを尊重して、数日はあげましょ──」
「是非、教えてくれ」
「……はい?」
 幽々子は自分の即答に一瞬戸惑った後、『えっ? えっ? えっ?』と、言って、目をぱちぱちさせる。
「えっ? 即答? 本当?」
「えぇ、本当ですよ、少しでも言葉を覚えられたら最高ですし? 願ってもない事ですし──もしも言葉を覚えられたら、あの古文書レベルの事でさえ、読める可能性も浮上しますし、ねぇ──」
 自分はそう言って、その場で口の端を歪ませる、まさかの自分の発言に驚く幽々子、そして幽々子は静かに『それじゃあ』と、言う。
「それじゃあ、ご飯を食べ終わったら、華扇君の部屋で勉強会をしましょうか? ご飯を食べ終わった後なら、栄養も摂取されているし、大丈夫でしょう?」
「あ、あぁ、確かに……有難う幽々子、恩に着る」
「うふふ? そりゃそうじゃない? だって、貴方は紫が送り込んだ外来人ですもの? 記憶がないのなら、植え付ければ、良い……」
 扇子で口を隠し、笑う幽々子、だが、目だけは笑っていない、だが、その目を見て、自分は少し怖いなぁ、と、思った。
 そんな事を思っていると、大量の白い霊の頭にお皿を何個も乗せて、妖夢が現れる。
「はいはーい、二人共ぉ、晩ご飯ですよぉ?」
「あらやだ、やったー」
 まるで小学生男児のように喜ぶ幽々子を見て、目は完全に笑っていた。
 ……何だ、自分の勘違いかぁ、自分はそう思いながら、自分と幽々子の前に置かれるお皿を見つめた──それにしても、美味そうな料理だ──

Re: 東方崩壊譚 ( No.126 )
日時: 2018/09/26 22:16
名前: 彩都 (ID: ???)  

 自分と幽々子は目の前に置かれた料理をすぐに食べ、お代わりもし、何度も何度も晩御飯を食べた──自分にとって、これは最初のご飯なので、大量に食べてしまい、お腹を膨らませてしまい、動きが鈍くなったのは言う迄もない──

「ふぅ、食べたわぁ、御馳走様でした」
「ごち」
 幽々子と自分はそう言って、お互いお腹を擦りながら、満腹を妖夢に伝える。
「それにしても、華扇さんもよく食べましたねぇ? 流石男の娘?」
「んー? 何か語尾が変に感じたんだけど、それは僕の勘違い?」
「ただの疑問符ですよぉ? それでは片づけますね」
 妖夢は自分にそう言って、微笑みながら、自分と幽々子の前に置かれたお皿を回収していく。
 そんな妖夢を見ながら、美味しい料理を作るなぁ、と、思う自分、すると、そんな事を見抜いた幽々子が『華扇君のお嫁さんにしたい?』と、言葉を漏らす。
「なっ……!? お、お嫁さん!? そ、そんな事はない! まず、妖夢の意見も聞かないといけないし、ぼ、僕はそもそも結婚だなんて……」
 自分がそう言うと、その場で笑う幽々子。
「うふふ……発想力が可愛いわねぇ華扇君は?」
「か、可愛い? い、一応僕は男なんだけどなぁ? この見た目だけど」
 自分はそう言って、眉を顰(ひそ)めながら幽々子を睨む、すると幽々子は静かに言葉を言う。
「果たして……『そんな結婚像で、いいのかしら』ねぇ? 他に、する事はない? 夫婦として、営みとして?」
「……な、何を言っているの? 幽々子は……?」
 一瞬で空気が変わったのを境に自分は静かに言葉を幽々子に言う、すると幽々子はその場で扇子で顔を隠し、『ごめんね?』と、小さく言う。
「流石に『それ以上』は無知な華扇君にとっては残酷かもしれないわねぇ? でも、何時かは知るかもしれないし、その時迄、静かに待機しておくわ……さて、それじゃあ、先に華扇君は部屋に戻っていて? 私が教科書とノートを持ってくるから?」
「あ、あぁ……分かった……」
 不思議な雰囲気を醸し出す幽々子に対し、自分は先に自室に戻る事にする、それにしても、『それ以上』って、何なんだろう? 何だか『今の状況だと知ってはいけない』気がしたのは、無意識で思った──

 自分は先に自室に戻る、そして先に布団が敷かれているのを確認し、『行動が早いなぁ、妖夢は……』と、呆れるように息を吐いた。
 そして自分は布団の上に座り、ふわふわの布団の感触を楽しむ、そして何時の間にか、寝転がり、天井を見ていた。
「僕は……一体何者なんだろう? 体はボロボロだし、能力は右手の一部分のみ……能力って言うのは、小手先みたいな感じで一部分にしか宿らないのかなぁ?」
「それはどうかしらねぇ?」
「!?」
 自分が独り言を呟いていると、急に近くで謎の声が聞こえた、この声は幽々子だ、そう思い、起きあがる、すると自分の寝ていた頭の上で本と謎の黒い石を持った幽々子が現れる。
「あら? お楽しみ中だった?」
「……な、何の事か、分からないけど、楽しんでは、いないよなぁ?」
「まぁ、そりゃそうよねぇ? ただ寝転がっていただけだし、ねぇ?」
 自分の発言に対し、『フフフ……』と、笑う幽々子、そして幽々子は近くの台に手に持った荷物を全て置いて、その中から一冊を自分に渡す。
「はい、ノート」
「えっと……」
「あぁ、書く物が必要ね、はい、筆と硯(すずり)と、墨」
 自分は幽々子からノートを受け取った後、そのノートの上に筆と黒い石と墨を渡される。
「おっもぉ……!」
「重い? 硯かしらぁ?」
 幽々子はそう言って、自分から硯を取ると、急に軽く感じ、驚いた。
「うわっ、軽い……何だ、それだったのかぁ……霊夢の奴より重いな……ってか、それ、硯って言うんだな? 初めて知ったぜ」
 自分がそう言うと、『それじゃあ、筆と墨の使い方は?』と、問われる。
「一応全部使った事があるぜ? まぁ、霊夢はその硯の事を『黒い石』って、説明をしていたが」
「流石適当巫女」
 自分の説明を受けて、幽々子はその場で呆れる、そして幽々子は袖の中から、水が入った器を持ち、自分に言う。
「それで? 今日はどうしますか? 文字を書いて覚えるか、もしくは読む事専門にする?」
「……うーん、出来れば後者かなぁ? 別段今は書けなくても、生きていけるし、今は読める方を最優先にしたいや? 文字を読めた方が文──射命丸文の事ね──の新聞も読めるし?」
「成程ぉ、つまり華扇君は射命丸さんの事が好きって事ね?」
 幽々子がそう言うと、自分は静かに『違います』と、ツッコミを入れる。
「文の新聞は地味に気になっていたからね? 少しでも読みたいんだ」
「へぇ……殊勝な……」
 そう言って、幽々子は自分に感心する、そして続けて幽々子が言う。
「さて、それじゃあ、文字の勉強会を始めましょうかぁ?」
「あぁ、そうだね」
「さて、それじゃあ、今から本を開くから、ちゃぁんと、見ていてねぇ? 華扇くぅん?」
「はぁい、幽々子せんせー」
 自分と幽々子はそんな会話をしながら、本を読み、文字の読解を行う──それにしても、自分には読めない文字が多いなぁ? 幽々子の説明を受けて、自分はそんな事を思った──

Re: 東方崩壊譚 ( No.127 )
日時: 2018/10/03 22:51
名前: 彩都 (ID: ???)  

東方崩壊譚(とうほうほうかいたん) 第七章 第七話 幽霊、亡霊、博麗霊夢

CHAPTER 4 探索活動はまだ続く

「……ん?」
 ふと、目が醒めた、あれっ? 自分は幽々子と勉強会をしていた筈じゃあ? 自分はそう思い、重い頭を上げ、起きあがる。
 すると隣には本の中を指指しながらスヤスヤと、寝息を立てる幽々子の姿があった。
「……えっ?」
 自分の今の状況、目の前に広がる状況、そして、起きる迄記憶がないこの状況、三つの状況を瞬時に、一気に飲み込まなければならないこの状況に自分は内心発狂しそうだった。
「えっ? あれっ? 僕は幽々子と言葉の特訓をしていたよな? そして、お互い疲れて、睡眠を……? まさか? 寝落ち……?」
 自分はそう呟いて、『マジかぁ』と、思った、まさか寝落ちしてしまったとは? もしも先に寝落ちしてしまったら、幽々子に申し訳ない、自分はそう思いながら、その場で溜息を吐いた。
「……はぁ」
 マジかぁ、そんな事を思いながら、自分は幽々子が指指している本を見、本を開いてみる事にする。
「えーと、幽々子が指している所は……『ん』だな……『ん』って、もう最後の文字じゃないか? ……もう少し頑張れよ自分……」
 自分はそう呟きながら、今迄習ったであろう右側の分厚い部分を見る。
「……よく読んだなぁ」
 自分はそんな事を言い、残った左側の薄い部分を見る、この左側を見るに、相当薄くなっているのが分かる。
「……後少し、頑張れってぇ……」
 自分の不甲斐なさに少し悲しくなる自分、そして、幽々子の手元に本を戻し、欠伸をして、呟いた。
「お腹、減ったなぁ……」

「『あ』……『い』……『う』……」
 自分は幽々子が持ってきた白い無地のノートに文字を書き始める。
 そもそも書けないと思っていた、もしくは汚く書くんだろうなぁ? と、思っていたのだが、実際問題、簡単に平仮名を書いていて、驚いた。
 もしかして自分は記憶を失う前、平仮名って奴を書ける存在だったって事なのだろうか? ……まぁ、それは記憶を取り戻す迄は分からないだろう。
 そして自分は『あ行』、『か行』、『さ行』を簡単に書いて、少し驚く。
 どうしてこんなに軽快に書けるんだろうか? もしかして本当に自分はこの文字を習っていたのだろうか? だから書ける、とか? 自分はそんな事を思いながら、少し休憩する。
 案外筆の持ち方も辛いので、何回か休憩して、文字を書いた方がいいだろう。
 そんな事を思いながら、自分は息を漏らした、すると『幽々子様ぁ?』と、妖夢の声が聞こえた。
 そう言えば『あ行』、『か行』、『さ行』を書いていた間も幽々子は軽快に、すやすやと、寝ていた、だから、今も自分の近くで寝ている。
「……ん?」
 ちょっと待てよ? 『今も自分の近くで寝ている』って? ちょっと待てよ? それってもしかして、『妖夢に対し、よからぬ誤解を与えてしまう』のではないか? 自分はそう思いながら、静かに、幽々子から離れ、何事もなかったかのようにしようとしたが、『何時の間にか、幽々子が自分のズボン──袴だけど──を掴んでいて、動く事が出来なかった』のである。
 引き剥がそうとすると、強い力で掴まれ、離す事が難しくなる、かといって、優しく引き剥がそうとすると、中々剥がせないし……万事休す、背水の陣だ。
「あわわわわ……これは完全に、だめだ……」
 内心泣きそうな思いで妖夢に誤解を与えてしまう、そんな事を思いながら、段々と妖夢の声が大きくなり、そして妖夢のシルエットが自分の寝室の方に現れる。
「失礼します、華扇さん? 幽々子様を知りま──」
 戸を開けて、頭を下げながら言う妖夢、そして顔を上げて、言葉を失う。
 まぁ、自分の隣に当の本人である幽々子が居るのだから。
 そして妖夢は自分の姿を見て、『えっ?』と、驚いていた。
「華扇さん……? もしかしてその本は……?」
 えっ? そっち? 自分はそう思いながら、本を持ち上げ、表紙を見せる。
「えっと……文字の勉強……幽々子に、手伝って貰っていたんだけど、幽々子が疲れて寝て……だから一人で勉強を……」
 途切れ途切れに自分は説明する、すると妖夢は『いや、それは小さい頃、私が使用していた本……』と、少し顔を赤らめながら宣言した。
「……えっ? これ、妖夢の?」
 不思議そうに自分が言うと、『はい……』と、顔を下に下げて言う。
「へ、へぇ……そうなんだぁ……」
 自分はそう言って、本を見て驚く。
 いうて、あまり使用された感は無いのだが……あまり使用していなかったのかもしれない、自分はそう思いながら、『そ、それで話は変わるんだけどさぁ?』と、自分から話を切り出す。
「は、はい? 何でしょうか?」
 きょとんとする妖夢に対し、自分は幽々子を指指して、発言した。
「僕の袴から……幽々子を離してくれない? 厠にも行けやしないや……」
「えっ……あっ、はい!」
 妖夢は自分の言葉を聞いて、急いで幽々子の許に移動し、『幽々子様! 起きて下さい! もう朝ですよ! ご飯時ですよ!』と、叫んで揺らし、幽々子を起こす──よかった、これで自由に動ける、そう思いながら、自分は安堵した──

Re: 東方崩壊譚 ( No.128 )
日時: 2018/10/10 22:56
名前: 彩都 (ID: ???)  

「あらら……それは失礼な事をしたわ……」
 何とか妖夢のお陰で起きた幽々子は自分の説明を受けて、苦笑いをしていた。
「本当ですよ! 華扇さんが良い年してお漏らしする可能性もあったんですからね!」
「良い年って……?」
 妖夢の発言に呆れる自分、すると幽々子が首を傾げ、『どう言う事?』と、発言した。
「華扇君って、そんなに年食ってたっけ?」
「く、食っているというか……何というか……華扇さん、昨日の、幽々子様に見せても良いですか?」
「僕は良いけれど……」
「そうですか、それでは幽々子様、少々お待ち下さい」
 妖夢はそう言って、急いで立ち上がって、走って、その現場へと向かう──そんな妖夢に対し、『あらあら? 一体何なのかしらねぇ? 華扇君は何か知っているようだけどぉ……?』と、幽々子が言う、そんな幽々子に対し、『幽々子が知っているか、知らないかは分からないけど、多分凄い情報だったよ、僕個人の意見を言えば、ね?』と、返答する──

 少しして、妖夢が部屋に戻ってきて、昨日見た書物を幽々子に見せる。
「幽々子様、此処のページに、幽々子様、紫様、そして華扇さん、三人の絵が……」
「あらあら? これはとても面白いページね? ……これは生前の私だわ、でも、どうして此処に華扇君らしき存在が居るのでしょう?」
 そう言って、幽々子は頭を傾げる、すると妖夢は『思い出して下さい! 今頼れるのは幽々子様だけですので!』と、大声で言うが、『思い出せないものは思い出せないわよぉ?』と、少し冷や汗を掻く幽々子。
「ま、まぁまぁ? 妖夢も落ち着いて? まだ可能性は0じゃないんだ、何時か思い出すよ」
「人をまるで年寄りのように……いえ、亡霊を、か?」
「巫山戯ないで下さい幽々子様?」
 幽々子の発言に睨みを利かせる妖夢、『はいはい』と、呆れる幽々子。
 ふむ……それじゃあこの書物の効果は無いな、幽々子が思い出す迄、封印か、自分はそう思い、妖夢に言う。
「そ、それじゃあ、妖夢? 他の所を探そうか? 他に僕の情報があるかもしれないからね?」
「そ、それもそうですね、では幽々子様、少しばかり蔵で捜し物をしてきます」
 そう言って、妖夢が頭を下げる、すると幽々子が『私も手伝いたいなぁ?』と、言う。
「えっ? 幽々子様が、ですか? いえいえ! こう言うのは私や当人である華扇さんがする行為であって、幽々子様は関係ないというか……」
「あらそう? じゃあ、こうしましょう? 『私権限』で、『私も手伝いたい』なぁ?」
 幽々子はそう言って妖夢に威圧を与える、すると妖夢は静かに『わ、分かりました……』と、折れる。そして妖夢は自分に向かって小声で、『ごめんなさい、華扇さん!』と、謝っていた。
 うぅむ……確かに二人より三人だけど……幽々子がちゃんと仕事してくれるか、それだけが難点だなぁ? 自分はそんな事を思いながら、『い、いいよいいよ、人手は増える方がいいし?』と、返答する──

「さて、行いましょうか!」
 幽々子は着物から、動きやすい服に着替え、額に捻り鉢巻きをする。
 そんな幽々子を見て、『それでは、まずは一階から行きますので、手分けして、探しましょう!』と、妖夢が言う。
 ま、まぁ、今の状況なら、少しばかりは協力してくれるだろう? 自分はそう思いながら、咳払いをして、『さぁ、行くか』と、言葉を漏らし、少し体を捻って、動けるようにした──そして、蔵の中を自分、幽々子、妖夢の三人で探索する事にした。
 最初は幽々子も色々な書物、巻物を見て、『違うなぁ?』と、呟いていたが、段々と慣れてきて、パラパラ読むだけで判断出来るようになった。
 自分は未だその領域に踏む事さえ出来ずに、小さな汚れ一つ見つけるかのごとく、じっくり読んでいた。
「うぅん……中々見つからないなぁ? あれだけの情報でどう探せってんだぁ? ねぇ、そう思うでしょう二人共?」
「まぁ、それもそうですね……ですが、頑張って探さなければ、見つかるモノも見つかりませんしねぇ?」
「そ、それはそうなんだけど……でもさぁ? あの年代の描かれた紙を見つける事が出来たらいいんだけど、そもそもそんな事は出来ないでしょう? だって、こんなにも資料や、西行寺家の情報があるんだから? そう簡単には見つからないし……」
 自分はそう言って、その場で溜息を吐く、すると、『あら?』と、言って、幽々子が『うふふ』と、笑う、急にどうしたんだろう? そう思いながら、幽々子の方を見ると、幽々子は一冊の本を見て笑っていた。
「ど、どうしたの幽々子?」
 自分が不思議そうに幽々子に言うと、幽々子は『うふふ? あのね、結構面白いモノを見つけたのよぉ?』と、言って、自分に本を見せる。
 だが、本に書かれている文字は、とても汚く、自分の目では解読出来なかった、『遊んでないでさっさと探して下さい?』と、言葉を漏らす妖夢だが、幽々子に本を見せられ、顔を真っ赤にして、本を奪い取った。
「ゆ、幽々子様!? 今はそんな事をしている場合ではないでしょう!? 全くぅ!」
 そう言って怒鳴る妖夢、一体どうしたんだろう? 自分は顔を赤らめて、本を抱き締める妖夢を見て、首を傾げた──


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