二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- 東方崩壊譚
- 日時: 2018/06/27 23:03
- 名前: 彩都 (ID: J1W6A8bP)
少年は博霊神社で目覚め、何を思い、幻想卿を崩壊させるか──
始めましての方は始めまして、何度も彩都の作品を読んでいる方は有難う御座います。
彩都(サイト)と申します。
もう九作目ですよ、九作目! まぁ、一ヶ月一回更新が多いですねぇ……
まぁ、今回は『東方PROJECT』という原作者『ZUN』さんの三次創作となっております。
何故二次創作じゃないかって? それは秘密です☆
そんな話は置いといて、今回の物語は『幻想入りした少年が幻想卿諸共破壊する迄のお話』で御座います。
基本的に口調や喋り方は原作通りですが、間違っている部分があれば普通にコメントで説明してくれれば幸いです。
自分も原作(体験版のみですが)は少しだけ経験していますが、それでも新発見は多いです。
とまぁ、ここら辺でお話は止めまして、それでは、本編どうぞ!
目次
『東方崩壊譚』第一章 第一話
本編
>>1-15
後書
>>16
『東方崩壊譚』第二章 第二話
本編
>>16-46
後書
>>47
『東方崩壊譚』第三章 第三話
本編
>>48-62
後書
>>63
『東方崩壊譚』第四章 第四話
本編
>>64-78
後書
>>79
『東方崩壊譚』第五章 第五話
本編
>>80-94
後書
>>95
『東方崩壊譚』第六章 第六話
本編
>>96-110
後書
>>111
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- Re: 東方崩壊譚 ( No.104 )
- 日時: 2018/05/23 21:57
- 名前: 彩都 (ID: exZtdiuL)
「な、何とか勝って、安心だ……」
自分はそう呟いて、肩を降ろす。
「あはは……確かに、でも、まさか『記憶を消す』っていう、暴挙には驚いた」
「確かに」
文、はたてが言う、確かに自分の能力で『記憶迄元に戻す』とか、やった事がないから、驚いた、本当に驚いた。
まぁ、これはこれで、良い発見だ、自分はそう思い、右手を拳にし、虚空を見つめた──
「何とか勝ったなぁ」
自分はそう呟きながら、場所を移動し、文の家で口を尖らせていた。
「確かに、それにしても、中々格好良かったですよ? まるで記事にしたい位です」
「おいおい? それは恥ずかしいよ?」
自分はそう言って、布団に寝転がって、文に言う、そして続けて文に言う。
「というか、そこ迄記事にする気? 僕には考えられないや?」
「そうですかぁ? 私達天狗はあまり記事にするようなネタがないので、毎日探しているんですよぉ? だから新聞は何時も薄い……もう少し分厚くしたいんですがねぇ? ぜぇんぜん、ネタがない」
「それはそれで大変だなぁ? でも、僕はネタを提供しないぞぉ?」
「あやややや? それは悲しいですねぇ? じゃあ、こう言う事があっても?」
文はそう言って、服のボタンを外し、下着が露わになる、スカートのホックも外してあり、下の方の下着もちらりと見えていた。
「あ、文!?」
驚く自分に文はにやにやと笑いながら、寝転がった自分に乗りかかるように四つん這いで自分を見つめる。
「あ、文、さん……?」
ドギマギしながら返答する自分、自分は服を脱いだ文から目線を外したり、見たりする、うぅっ……ドキドキしながら、『早く、この状況よ、消えろぉ!』と、思う。
「んー? どうかしたんですかぁ? 恥ずかしいんですかぁ? やっぱり男の子なんですねぇ?」
にやにやと笑う文に対し、自分は顔を赤らめながら言う。
「え、えーと……文は……僕に何がしたいの?」
自分の発言を受けて、文が『そうですねぇ?』と、顎に人差し指を当てながら、発言する。
「そうですねぇ? もしも、もしもですよ? 『私と華扇くん、その二人の赤ちゃんが出来たら』って? 人間と鴉天狗の赤ちゃんって、聞いた事がないですからねぇ?」
「……はい? えっ? ちょっ? 文、さん!?」
そう言って文が自分の懐に手を這わせる、ぞくり、ぞくぞくと虫酸が走るような感覚を覚え、自分が両手で文の手を止める。
「まぁ、待て! 色々な意味で待て!」
「あややぁ? それはどうしてですぅ? もしかして、私と華扇くんの赤ちゃんを作りたくないと?」
「作る以前の問題だ! 僕は人間だぞ!? 鴉天狗も妖怪だろ!? 人間と妖怪の子って……? 僕はそんな存在、知らないぞ!?」
大声を出して、荒げる自分に対し、文が、『確かにそれもそうですねぇ』と、発言する、だが、文が『でも、半人半妖の存在は居ますよ?』と、発言する。
「は、はぁ? だ、誰だよ? そんな奴、自分は知らないぞ?」
「そりゃそうでしょうねぇ? 多分会っていないでしょうし? 説明しても分からないでしょうねぇ?」
首を傾げる文に自分が、『それでも教えてよ?』と、言う。
「仕方ないですねぇ? まず、一人目、人里にいる『上白沢 慧音(かみしらさわ けいね)』、寺子屋の教師をしています──半人半妖ですが、彼女の場合、『後天性』ですがね──、そしてもう一人は『香霖堂』店主、『森近 霖之助(もりちか りんのすけ)』、何時か『香霖堂』に行ってみてはどうでしょう? 自身の知っているモノもあるかもしれません?」
「はぁ? どう言う事? 『香霖堂』に何がある、というのさ?」
首を傾げる自分に文は説明する。
「『香霖堂』には、『外の世界のモノが流れ着いている』場合があるんです、それらを売っていたり、扱っていたり……だから、外の世界から来た、と思われる華扇くんも、外の世界のモノに触れると、記憶を取り戻すかもしれませんよ?」
「『香霖堂』、か……」
自分はそう言って、左手で顎に手を当てて、何時かは行こう、と考える、もしも『香霖堂』に自分の記憶を取り戻す何かを見つけられるかもしれない……自分はそう思いながら、『香霖堂』か、と、心の中でメモをする。
「さて、話も終了しましたし、私と赤ちゃんを作りましょう!」
「作りません!!」
自分は涙目になりながら、元気な笑顔の文にツッコミを入れ、急いで足下の布団を手に取り、『僕はもう寝る! お休みなさい! 文さん!!』と、言って、寝る事を考える。
い、色々な意味で危ない! 僕の中の『大事な何か』が消えそうだ! 自分はそう思いながら、『何とか回避出来た……?』と、思った。
隣で文が、『ぶぅ、少し位良いじゃないですかぁ? 男日照りなんですからぁ! 少し位遊んでくれてもぉ! 君みたいな幼い少年を襲いたいですよぉ!』と、叫ぶ。
も、もしも、あの状況を受け入れていたら……中々に恐ろしい気がする……自分はそう考えながら安堵する。
そして文はそのままぶーぶー言いながら、電気を消し、寝る事にした。
こ、これで、安心だ、これで文も寝る……自分は溜息を漏らしながら、寝る事にした──さぁ、快眠を、安眠を取ろう。
- Re: 東方崩壊譚 ( No.105 )
- 日時: 2018/05/30 22:45
- 名前: 彩都 (ID: zbxAunUZ)
「起きなさい?」
そう言って、下半身に何か圧迫感を覚え、自分は静かに目が覚めた、布団を被っているので、目の前は真っ暗、だけど、声は聞こえる、一体誰だろう? そう思い、布団を、どけた。
すると自分の目の前に仁王立ちで腰に手を当てるパジャマ姿のはたてが立っていた。
はたては自分の太股を踏んで、自分を起こしていた。
「……はぁ?」
自分はそう思いながら、起き上がって、横を確認、壁に掛かっている時計を見ると、時間は夜の十一時五十分を指していた。
「……はぁ?」
二度目の発言にはたてが言う。
「何がはぁ、よ? 態々私が起こして、呼びに来たのに、何よ?」
「起こして呼びに来た……?」
理解が出来ない自分にはたてが言う。
「ほら、昨日一昨日言ったじゃない? 『貴方を借りる』って? 日付が変わる丁度に奪いに来たの」
「……何つー行動力だ」
「煩いわね? さっさと動きなさい!!」
はたては自分の太股を踏んで、起こす、あぎゃう!? と、叫ぶ、だが、はたてが黙れって! と、小声で言い、自身の口を手で塞ぐ。
「さぁ、私の家に来なさい?」
「……はい」
自分は仕方なく、溜息を吐きながら頷いて返答する、天狗って、こんなにも横暴なのか……自分はそう思いながら、布団を畳み、はたてと一緒に文の家を出て、はたての家へと向かう──
「…………」
「ん? どうしたの?」
「い、いや、あ、あの……これ、はたての家?」
唖然とした自分がそう言って、目の前の建物に指を指す、はたては『えぇ、そうよ』と、言う。
「は、はぁ……」
自分は目の前の建物に驚愕しながら、顔を上げる、目の前の建物は『豪華』だった、とても大きい。
軽く五階はありそうな雰囲気だった。
「で、でかい建物だ……」
「そう? 大天狗様はもっと大きい家よ?」
「えっ? そうなの?」
自分は思った事を口にすると、はたてが静かに返答する、へぇ、そうだったのか、自分はそう思いながら、家の中に入るはたての後ろをついて行く。
「それじゃあ、今日の所はもう寝ましょう、今から寝床に案内するから」
「あぁ、有難う、はたて」
自分はそう言って、はたての家の中に入って、周りをきょろきょろしながらはたての言葉に返答する。
うーん、それにしても広いなぁ? それにしても大きいなぁ? 自分はそう思いながら、『はぁ、凄い』と、感嘆の声を出していた。
「……そ、そんなに凄いかしら……?」
首を傾げて言うはたてに対し、自分は『あぁ、とても凄いよ! 今迄の家の中で一番!』と、返答する、すると、『あんた、色々な家に入ったって事?』と、はたてが首を傾げる。
「あ、あぁ……博麗神社、魔理沙の家、アリスの家、守谷神社の家、文の家、そして、此処の家」
「へぇ……いや、前者はあんた、博麗なんだから、普通よね……?」
「えっ? あぁ、そうか」
「ってか、それにしても、色々な家に行っているのね? 特に守谷神社に行っているとは思わなかったわ」
「そ、そう? まぁ、早苗に言い寄られて、行っただけなんだけどね?」
「へぇ? それで、どうしてそんなに色々な家に向かっているの?」
「えーと……大まかに言えば、『記憶を取り戻す』為に、だよ」
「『記憶を取り戻す』為? それはどう言う事?」
首を傾げるはたて、自分はその場で顔を赤らめながら言う。
「そ、その……色々な家に向かって、色々な刺激を受けたら、記憶も元に戻るかなぁ……と」
「はぁん? つまり、刺激を求めているって事ね?」
「そう解釈すればいいよ」
自分はそう言って、静かに頷く、するとはたては急に立ち止まって、ドアの前に立ち、ドアノブを捻って、部屋の中に入る、どうやら、目的地には着いたようで、自分も部屋の中に入る。
「おぉー! やっぱり寝室も広いなぁ?」
自分がそう言って、真っ暗闇の室内の広さに驚愕する、やっぱりはたての家は広いなぁ? そう思っていると、はたてが『それじゃあ、あんたはそこで寝てね?』と、言う。
「そこ?」
「そう、地面に」
「地面……?」
自分がそう言って、はたてが指指す方向を見る、そこには枕しかなかった、その枕でさえ、おもちゃのように見えた。
「あんたはそれぐらいが充分でしょ?」
「何処がだぁ!? 僕は人間だぞ!? こんな劣悪な環境で寝かせるなぁ!?」
自分がそう言って、はたてに抗議する、するとはたてが単と言う。
「へっ? あんた、文に誘拐された奴隷じゃないの?」
「奴隷じゃないです! お手伝いしに此処に来たんだ!」
「あら、そうなの? じゃあ、どうしよう? 私と一緒にベッドで寝る?」
「……い、いや、それはちょっと……だって、男と女、だし……?」
はたての言葉に目が泳ぐ自分、するとはたてが『煩いわねぇ? 今は夜中、貸せる部屋もないし……』と、言い、自分は万事休すか……と、思う。
「あーはいはい、分かりましたよぉ? 一緒に寝ればいいんでしょう? で、でも、離れよう!」
「それ位分かっているわよ!? それじゃあ、寝るわよ!?」
「あっ、うん」
はたてがそう言って、ベッドの中に入る、自分もベッドの端に入る、するとベッドから、はたての可憐な匂いがして、ドキドキしてしまう。
な、何も考えるな! 自分はそう思いながら、目を閉じ、深呼吸をする。
そして自分とはたては一緒のベッドで、一緒に睡眠する──そしてチチチ、と、鳥の囀る音が聞こえる、自分は目を擦りながら、ベッドの上で起床する。
そして隣のはたてを見て、『何ではたてがいるんだろう? ……寝る前にはたてを襲ったのか!?』と、少し焦ったが、ゆっくりと昨日の出来事を思い出し、『そう言えば、はたてに連れてこられたんだっけ?』と、思い出して安堵する──それにしても、もう朝か、自分はそう思いながら、背中を伸ばした──
- Re: 東方崩壊譚 ( No.106 )
- 日時: 2018/06/06 21:56
- 名前: 彩都 (ID: O7xH2wYh)
東方崩壊譚(とうほうほうかいたん) 第六章 第六話 新聞屋、華扇
CHAPTER 3 さよなら妖怪の山
「…………」
自分はベッドに座って、外を見ていた、燦々と輝く太陽を見ながら、『朝だ』と、思っていた。
すると、布団の中が動いて、『んんっ……』と、はたてが声にならない可愛い声を出す、自分はそんな声を聞いて、『はたてもそう言う声が出せるんだ』と、思う。
そして、もう一回声にならない可愛い声を出して、はたてが目を覚ます。
「……んっ」
「お早う」
「……お早う?」
不思議そうにそう言って、はたてが起きあがる、そしてベッドから出て、体を、背筋を伸ばす。
「ふあーぁ……よく寝たぁ」
「そうか、僕もよく寝れた」
「そう? まぁ、そんなんどうでもいいわ、あんたは部屋を出て、廊下で待ってて?」
いきなりの発言で自分は首を傾げて、はたてに問う。
「は、はい? そ、それはどうして……?」
自分がそう言うと、はたてが顔を赤くしながら自分に言う。
「ふ、服を着替えるからよ! 流石に下着を男であるあんたに見せたくないし! ってか、あんたが欲情する可能性も考えてねぇ!」
「……人間が妖怪に欲情するのか……」
自分は内心呆れながら、仕方なく、部屋を出る事にした。
それにしても、広い屋敷だ、今迄見た部屋の、家の中で一番広いだろう──文は抜きにして──それにしても、こんな豪華な家、一人で住んでいるんだろうか? そんな不思議さが頭の中を一杯にする。
すると、『偉い』と、言って、はたてが現れた。
「流石博麗の人間だ、ちゃんと言いつけを守っている、犬みたい」
「犬じゃない、人間だ!」
「はいはい、知ってますよーっだ」
「……コイツぅ!」
自分は眼を細め、はたてを睨む、コイツ、完全におちょくっているのか? もしくは僕を下に見ているのか? それは分からないが、無性に腹立つ。
「それで? 今からどうするの? 何をすればいい?」
自分がそう言うと、はたてが顎に手を当てて考えて、自分に言う。
「うーん、どうしましょうかねぇ? 個人的にはネタ探し、なんだけど、流石にお腹も減っているしなぁ? どうしましょう?」
「じゃあ、ご飯を食べようよ? 僕、お腹ぺこぺこだよぉ」
「あら? そうなの?」
「そうなのさ」
「じゃあ、ご飯にしましょうか」
「さんせーい」
自分はそう言って右手を上に上げる、さぁ、朝ご飯だ! 自分はそう思いながら、内心喜んだ──朝ご飯は一体どんなんだろう? わくわくしながら自分ははたての後ろをついて行く──
「さぁ、ご飯でも食べようか」
そう言って、はたてが台所に立って、冷蔵庫を見る。冷蔵庫には『NITORI製造』と、書かれていた。
「ね、ねぇ、はたて?」
「んー? 何よ?」
「この、何とか製造、何て書いてるの?」
「せ、製造? あ、あぁ、『NITORI(にとり)製造』ね」
「にとり……? にとりってあの、にとり? 河童の? 青い格好の?」
「そうそう、って、あんたよく知っているわね?」
「あ、あはは……まぁ、少し面識がありましてぇ?」
自分はそう言って、頬を掻く、そしてはたてが冷蔵庫を開けて、中身を確認する、冷蔵庫の中は『空っぽ』だった。
「…………」
「…………」
お互い無言になる。
「……そう言えば、昨日、冷蔵庫を見て、何もなかったから、食堂に向かったんだっけ……」
「そうなんだ……」
頭を垂らしながらはたてが言う、そんな裏話があったとは、自分はそんなの知らなかった。
「……はぁ、仕方ない、食堂に、向かいましょう?」
「そ、そうですか……まぁ、自分は今から食材を買って、はたての手料理が食べたいところだが、食堂に向かうのなら、手料理は食べれないなぁ?」
「はぁ? あんた、妖怪の手料理でも食べたいの? 毒でも入っていても?」
「その場合は右手を口に突っ込んで、能力を使用するさ」
「……あんたの右手、地味に便利ね……」
「えへへ? 案外便利だろぉ? これが右手の能力、『元に戻す』能力さ」
「……念写より地味に便利ね」
はたてはそう言って、シンクにお尻を乗せて、腕を組んで、自分の話を聞き、呆れる。
「さて、それじゃあ、さっさと食堂に向かいましょうか? 早く行かないと定食がなくなっちゃう」
「あー、それもそうだね、さっさと急ごう」
「えぇ」
自分とはたてはそう言って、急いで家を出て、食堂へと向かう──はたてが宙に浮く中、自分は浮けないので、はたてに自分の体を掴んでもらい、移動する、せ、背中に柔らかい物が……! 自分はそう思いながら、悶々し、顔を赤らめた──
「はい、到着っと」
そう言って、はたてが自分を地に足を着ける、久しぶりに地に足を着けて安堵する反面、『もう、背中に柔らかい物を当てられないのか』と、少ししょんぼりする。
そして食堂へ向かおうとすると、『あー!!』と、大声が聞こえた、因みに聞いた事がある声だった。
「あー!! どうして華扇くんが此処に!?」
驚く声を聞いて、自分は顔を向ける、するとそこには文が自分を指指して睨んでいた。
「……あっ」
自分はそう言って、バレたと思った、すると自分の前にはたてが立って、口の端を歪ませながら、『どうしたの?』と、文に言う。
「どうしたもこうしたもない! どうして華扇くんがはたての所に!? 今日の朝、相当捜したのにぃ!」
そう言って、地団駄を踏む文、そ、そうだったのか、と、自分は少し後悔をする、心配をかけたのは悪かったなぁ? 自分はそう思いながら、お腹を擦る──
- Re: 東方崩壊譚 ( No.107 )
- 日時: 2018/06/13 23:35
- 名前: 彩都 (ID: UIQja7kt)
「ふふふ? 今の華扇の所持者は私! 姫海棠はたて様よぉ!」
そう言って、ケータイを扇子代わりに口に近づけ、高笑いするはたてを見て、文が『ぐぬぬ……』と、喧嘩を売りそうな顔をしていた。
「…………」
自分はそんな様子を確認していた、全く、呆れたものだ、どうしてこうやって、言い合いが出来るのだろうか? いや、まぁ、一番悪いのははたてなんだろうけれど、自分はそう思いながら、腹部を擦る、すると、自分のお腹から、『ぐきゅるるる……』と、可愛い可愛い音が聞こえた。
「…………」
「…………」
「…………」
三人が無言で硬直する、何故無言なのか? それは、『誰がお腹を鳴らしたか』である、自分が言うのは恥ずかしいし、逆に、はたてか文、どちらかが鳴らしたと分かれば、煽る事が出来るからだ、だから、迂闊に口を滑らせる事は禁止なのだ。
「……あ、あんた、なぁに、お腹鳴らしているのぉ!? まぁーったく! 汚い女ねぇ!」
「なっ!? わ、私じゃないですよ! 実は貴方なんじゃないんですかぁ!?」
「そ、そうだそうだ! 文かはたて、どっちかだろぉ!? 僕は右手の能力で食欲でさえ操れるし! うん! きっとはたてか文のどっちかだな!?」
自分は自分で何を滑らせているのだろうか? そう思いながら、言い合いを続けていると、急に『ぐきゅるるる……』と、『二つの音』が聞こえた。
「…………」
「…………」
「…………」
この音は、何だろうか? 最初は自分だった、でも、『二つの音』が鳴った時は自分はお腹が鳴っていない、という事は……? 『文とはたての胃が鳴った音』という事になる、何だ、二人共お腹が減っているじゃないか! 自分はそう思いながら、二人に言う。
「……食堂、入ろうか?」
「はい」
「はい……」
自分の発言を受けて、文、はたてが頭を垂れ、先に食堂へと入る──自分も後から食堂へと入る──
「へいらっしゃい!」
元気に言う天狗のお姉さん、自分とはたて、文は適当に『A定食』を注文する。
「……はぁ、それで? どうしてはたてが華扇くんを誘拐して?」
そう言う文に対し、はたては反論する。
「はぁ!? 何よそれ!? 私が華扇を誘拐したって!?」
「そりゃそうでしょうよ? 『寝ている間に消滅』だなんて、誘拐以外の何物でもないでしょうよ? それとも何ですか? 『神隠しにあったから、はたてが助けた』とでも?」
「うぐっ……」
顔をひきつらせるはたてに、天狗のお姉さんが『『A定食』出来ましたぁ!』と、元気に言う、なので、僕達三人は『A定食』を取りに行った。
「へぇ、今日は唐揚げかぁ」
「成程成程、鳥ではなく、豚の唐揚げですか」
「そうか、鳥の唐揚げだと、共食……げふんげふん」
共食いと言おうとしたら、はたて、文が自分の事を睨んだので、急いで無かった事にする、すると天狗のお姉さんが『ちょっと待って!?』と、自分を呼び止める。
「はい、一個サービス! 君、可愛いからサービスだよ!」
「あ、有難うございます」
自分は頬を赤くして、内心喜ぶ、可愛いというのは、こう言う所で使えばいいのか、段々と自分の姿の利点が分かってきたぞ? 自分はそう思いながら、頭を下げて、唐揚げが一個多い『A定食』をはたて、文の所へと運ぶ。
「ふぅ、じゃあ、食べよう」
「そうね、食べてから話し合いでもしましょうか」
「それもそうですねぇ?」
口の端を歪ませる文、それに対し、髪を後ろに靡(なび)かせ、移動させるはたて、何だろう? はたての髪を後ろにするシーン、何だかエロく感じた、どうしてだろうか? って、食事中に何を考えているんだ自分は? 自分はそう思いながら、目の前の食事に注目する──
「はむはむ、はふはふ」
豚の唐揚げを食べている途中、文が言う。
「そーいえば、華扇くんは一体何の料理が好きなんですか?」
「えっ?」
いきなりの質問に自分は食べる手、口を止めてしまう、別段好きな料理はないんだけど……まぁ、言えるのなら、『美味しい料理』かなぁ? だから、好きな料理はないな、そう思いながら、返答しようとすると、文が言う。
「でも、流石に適当に返答されると、ぶっ殺すよ?」
「…………唐揚げです」
「唐揚げ? 何の?」
「…………鳥」
「成程、まぁ、男の子ですしね? 唐揚げは無敵ですねぇ」
「でも華扇? 鳥の唐揚げは場合によっては、私たちみたいな鴉天狗、鳥の妖怪に攻撃されるから、気をつけた方がいいわよ?」
「あぁー、それもあるなぁ」
ってか、話を振ったのは文が悪い気がする、自分はそう思いながら、謝る事にする。
そして自分は先に定食を食べ終わり、残りは二人を待つだけだった。
「…………」
無言で目を閉じ、頭の後ろに手を組んで、待機する自分に、『ふぅ、食べ終わりました』と、はたて、文が同着で言う。
「……真似しないでくださいよ?」
「それはこっちのセリフ、ですけど?」
そう言って、険悪なムードを出す二人に自分は内心呆れる。
「あぁ、もう、そう言うのは、室外でやれよ……」
と、自分の発言を聞いて、二人はお皿とおぼんを返却口に直し、先に室外へと向かう二人。
じ、自分は間違っていないよな……? 自分は内心そう思いながら、二人の後を追うように、おぼんを返却口に置いた──
- Re: 東方崩壊譚 ( No.108 )
- 日時: 2018/06/27 22:33
- 名前: 彩都 (ID: ???)
「さぁ、誘拐した華扇くんを返してもらいましょうか!?」
「だから、誘拐していないっての、ちょっと借りただけじゃない、深夜に
?」
「それは誘拐というんですよ!」
「違うわ、拝借よ?」
食堂内迄声が響く言い合いをする二人に自分は内心呆れながら、食堂を出、二人の前に立つ。
はぁ、面倒な二人だ、そう思いながら、自分は肩を落とす。
「はいはい、もう、分かったから、ねぇ、はたても良いでしょ? 少しばかり遊んだからさぁ?」
自分がそう言うと、はたてが『自分を睨んで』発言する、その時の瞳の色は『赤』かった。
「!?」
「あん? 華扇、あんたも私に指図するつもりなの?」
「なっ……!? ど、どう言う事だ!? はたて!? 君の瞳は……君の瞳はぁ!?」
自分が声を荒げると、『はぁ?』と、言いたげな表情で文もはたてを確認する、すると文は『なっ……!? 何ではたて迄も……!?』と、驚愕していた。
「ど、どうしたんだその目は? はたてらしくないぞ?」
自分は冷静を装ってはたてに発言する、するとはたてが『別に普通の目だけど?』と、普通に返答する。
へっ? じゃあ何だ? 自分が可笑しいってか? 自分はそう思いながら、右手の能力を発動させる。
「あら? どうしたの華扇? 右手の能力を使用してぇ?」
「あぁっ? これは君に能力を使用するっていう合図だよ?」
「合図? どうして? 何で合図が必要なの?」
「それは簡単な事だよ、『君を救いたい』からだ」
「私を救う? 何を言って? 『巣食う』の間違いじゃないかしら?」
「……『言う単語は一緒』かもしれないが、『漢字にすると末恐ろしい』ね……!」
自分はそう言って、鼻で息を漏らし、横目で文を見る。
「……コホン! 確かに私達天狗は新聞を作ります、その時に『文字』というのは、『『写真』で伝えるよりも幾分かは理解させられる『道具』』ですからね……はたて、貴方のその使い方、嫌いじゃないわよ?」
「あらどーも致しまして?」
はたてはそう言って、静かに口の端を歪ませた、そしてはたてはスカート、腰か分からないが、携帯を取り出し、目を細めて、呟いた。
「『これ』はどうかしら?」
はたてがそう言った瞬間、『携帯が光を放った』、自分と文は急いで片手の腕で顔を、目を覆うが、『その行為』が失敗だった、自分が片手で顔を覆った瞬間、『胴体に腕が巻かれる感覚』を覚え、そして『地に足を離す感覚』も覚えた、まさかの出来事だった、まさか『右手の能力を扱える僕自身を文から離した』のか、と、思った。『文から自分を離せば作戦会議をたてられなくする事も可能』だ! くそっ! 失策、失敗、大失敗! 自分はそう思いながら、胴体を包む腕に右手の能力を使用しようとしたが、はたては『自分の右手前腕を掴んで』おり、『貴方の能力、そう簡単には使わせないわ?』と、自分の耳元に呟いた。
「…………」
万事休す、完全に万事休すだった、これじゃあ、勝てる相手も勝てない、いや、そもそもはたてレベルの存在に自分が勝てるとでも? って、今はそんな事を考えている場合ではない! 自分はそう判断し、その場で息を吸い込んだ。
「あら? 深呼吸? でもね? 『深呼吸しても無駄』よ?」
「えっ──?」
はたての言葉を聞いて、自分はは不思議がったが、『その不思議もすぐに解消され』た。
はたては、はたては『自分を離した』のである、落下、空中落下、自分を遮るモノは『見える範囲ではない』、見えない範囲を言うなら、『空気抵抗』だけが幸いだ。
「えっ……!? えぇーっ!? ちょっ!? だ、誰か助けっ!?」
「今行きます!」
自分の叫び声に文が反応するが、文は自分の少し手前で急に立ち止まった。
「文? 『私の事を忘れた』のかしら?」
そう言って、文の目の前に仁王立ち──立ってはいないが──したはたてが現れる、そしてはたてはその場で文の手首を掴んで、ケラケラと笑う。
「うふふ? 文? 華扇を救えなくて残念かしら? でも、『私達の間に華扇って言う存在は要らない』の、私は文、貴方が跪く姿が見たいの! だからねぇ? 『人間一人死んで、絶望する貴方』を、見・せ・て?」
「──! 貴女……!!」
そう叫ぶ文、だが、降下は急に止められない、止まらない、自分はそのまま『地面に頭をぶつけて、倒れ込んでしまう』、するとゆっくりと自分の頭から赤い鮮血が現れる。
「あぁっ……頭が痛い……暖かい……」
そう呟く自分に文は『はたて!! 貴女は……!?』と、完全に怒っている。
「あら? どうしたの? 私はただ単に『華扇から手を離した』だけ、宙に浮かない華扇が悪いの? ただの人間が、『浮かない』のがねぇ!?」
「はたて! 華扇くんは『この幻想郷に来て、まだ間もない存在』ですよ!? 守谷の巫女や、紅魔館のメイドとは違うんです! 二人の、『幻想郷に滞在している時間』が違う! だから華扇くんは──!」
「はぁ? だから? じゃあ、何よ? 魔法使いや博麗の巫女はどうなるのよ? アイツ等も『人間』じゃない?」
「そ、それはそうですけど……! 博麗の巫女は能力! 魔法使いは努力です! そして、お互いを持っていないのが華扇くんです!」
「だから何? じゃあ、のほほん、と、此処で時間を潰しているより、博麗の巫女や魔法使い、守谷の巫女にでも、空中浮遊を習っておきなさいよ?」
「うっぐ!?」
はたての正論を受けて、心にぐさぐさ突き刺さるブーメラン、そして文は『た、確かに……』と、言って、白目を剥いていた──
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