二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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東方崩壊譚
日時: 2018/06/27 23:03
名前: 彩都 (ID: J1W6A8bP)

 少年は博霊神社で目覚め、何を思い、幻想卿を崩壊させるか──

 始めましての方は始めまして、何度も彩都の作品を読んでいる方は有難う御座います。
 彩都(サイト)と申します。
 もう九作目ですよ、九作目! まぁ、一ヶ月一回更新が多いですねぇ……
 まぁ、今回は『東方PROJECT』という原作者『ZUN』さんの三次創作となっております。
 何故二次創作じゃないかって? それは秘密です☆
 そんな話は置いといて、今回の物語は『幻想入りした少年が幻想卿諸共破壊する迄のお話』で御座います。
 基本的に口調や喋り方は原作通りですが、間違っている部分があれば普通にコメントで説明してくれれば幸いです。
 自分も原作(体験版のみですが)は少しだけ経験していますが、それでも新発見は多いです。
 とまぁ、ここら辺でお話は止めまして、それでは、本編どうぞ!

 目次

『東方崩壊譚』第一章 第一話
本編
>>1-15
後書
>>16

『東方崩壊譚』第二章 第二話
本編
>>16-46
後書
>>47

『東方崩壊譚』第三章 第三話
本編
>>48-62
後書
>>63

『東方崩壊譚』第四章 第四話
本編
>>64-78
後書
>>79

『東方崩壊譚』第五章 第五話
本編
>>80-94
後書
>>95

『東方崩壊譚』第六章 第六話
本編
>>96-110
後書
>>111

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Re: 東方崩壊譚 ( No.69 )
日時: 2017/11/19 22:03
名前: 彩都 (ID: GbhM/jTP)  

東方崩壊譚(とうほうほうかいたん) 第四章 第四話 デンジャラス・アリス・ワールド

CHAPTER 2 暴走するアリス

「……あっ」
 自分は声を出して起床する、もう朝か、と思い、自分は起き上がる。
 すると部屋の外から何かのモノを切る音が聞こえる、あぁ、アリスがご飯を作っているのか、と思い、自分は起き上がる。
「ふぅ……何とも良い目覚め、かもしれないな、さぁ、今日も急いで魔法の解読を行わなくては……」
 と、呟いた瞬間、自分の部屋がノックされた。
「華扇ちゃぁん? 起きてるぅ?」
「あっ、はい、、起きていますよ?」
「そう? もう朝ご飯だから食べに来てぇ?」
「分かりましたぁ!」
 ふむ、珍しいな、アリスが起こしに来るとは……という事は結構な時間、自分は寝ていた、という事になる。
 まぁ、そんな事はどうでもいいや、自分はそう判断し、ベッドから出て、体を伸ばす。
 うぅーん、それにしても今日はどんなご飯なんだろうか? 少し期待しながら部屋を出る。
 目の前で香るは小麦の焼けた匂い、これは……と思っていると、エプロン姿のアリスが現れた。
「お早う、華扇ちゃん? 良い目覚めかしら?」
「えぇ、一応は……この匂いでもっと良い目覚めになりましたよ」
「あら? 嬉しい事を言うわね? 今日は質素に食パンよ」
 アリスがそう言うと、自分は首を傾げる。
「食パン……?」
「うん、食パン、知らない?」
「え、えぇ……フランスパンの下位互換?」
「ちょ、ちょっと違うわね……食パンっていうのは、四角いパンの事を指すの……まぁ、見れば分かるわ」
 そう言って、アリスは自分を食卓の前に移動させる、そして自分は食パンを視認する。
「へぇこれが食パン……アリスの料理より不味そう」
「アハハ……でも、一口食べてみて?」
 そう言って、アリスに言われるがまま、食パンを持った上海人形が自分の口へと飛んで、自分に食パンを食べさせる。
 そして一口齧る……さくり、と口の中で音がする、次に小麦の味が口の中で広がって、とても美味しい。
「こ、これは……!!」
 自分が感動していると、アリスが続けて言う。
「それが『トースト』っていう、食パンを焼いたモノよ、次にジャムを乗せて……」
 自分から齧りかけの食パンを奪い、ナイフに机の上のジャムというモノを乗せて、食パンに塗る、その塗ったモノを上海人形に渡し、上海人形は自分の口に食パンを投入する。
 な、何だこれは……!? 口の中でジャムというモノの甘さが広がって
、リンゴの風味、リンゴの甘さを感じる……! 自分がジャムを塗った食パンに感動していると、アリスが微笑む。
「それはリンゴのジャムよ? っと、リンゴは分かる?」
「えーと……霊夢の差し入れの中に入ってた大きい赤い奴でしょ?」
「えぇ、それを潰して鍋の中でお砂糖とじっくり煮込んで作るの、それがジャムよ」
「へぇ……」
 自分はジャムの作り方を知って、成程と思う。
 そしてアリスが言う。
「それじゃあ朝ご飯にしましょうか?」
「うん、そうだね……ってか、もう僕は食べているけどね?」
「そ、そうね……」
 アリスは頬を掻いて、呆れた表情をする、そして自分とアリスは朝ご飯を楽しむ──

「ふぅ……美味しかったぁ」
 自分はそう言って、腹部を擦る、腹部は少し膨らんでいた、そんな自分を見て、アリスは言う。
「華扇ちゃん、自分の部屋で休んできたら?」
「あ、あぁ、そうするよ……」
 自分はアリスの発言に賛同し、自分の部屋へと戻る、ふぅ……食パンって美味いんだな、自分はそう思いながら、地べたに座って、溜息を吐く。
 ……こんな状況で本当に『魔法』なんて覚えられるのだろうか? まず魔理沙の分もこなしていないのに……これじゃあ完全に『魔法』なんて修得出来る気なんて無いように感じる……いや、今からでも遅くはないが、実際は遅いんだよなぁ……自分はそう思いながら、溜息を吐く。
「……はぁ、溜息しか出ないなぁ……果たして僕は『魔法』なんて修得出来るのだろうか……?」
 自分はそう呟いて、ベッドに移動し、寝転がる。
 もういいや、今はそんな事を考えている場合ではない、今はお腹の事を考えなければ……自分はそう判断し、布団にくるまって、睡眠をとる──寝たらお腹の張りも消えるよね? そう思いながら目を閉じる──

「…………ん?」
 変な感覚がする、どうしてだろう? 『右腕が冷たく感じる』のだが……? 自分はそう思いながら目が醒める、そして顔を上げて右腕を確認し、驚愕する。
 それもその筈、右腕は『手錠で身動きが取れない』からだ、左手で右手を助けようにも、『左手も手錠で身動きが取れなく』なっていた。
 い、一体何が起きているんだ……? 自分はそう思い、窓を確認する
、外から見える光景は『真っ暗』だった、という事は今は夜、という事、でも、何で自分は『両手を手錠で縛られている』のだろうか? そう思い、起き上がろうとするが、起き上がれない、足を動かそうにも動かせない、不思議に思い、自分は頭を動かして左右の足を確認する、すると『両足にも手錠があり、動かせ』なかった。
 いや、足だから、『手』錠ではなく、『足』枷か? 等と巫山戯た考えをする自分。
 でも、どうして自分は両手両足を縛られているのだろうか? 顎に手を当てられないもどかしさを覚えながら、自分は『この状況になった』かを考える──僕、悪い事していないよね?

Re: 東方崩壊譚 ( No.70 )
日時: 2017/11/19 22:03
名前: 彩都 (ID: GbhM/jTP)  

 ……ダメだ、さっぱり分からない、一体どうして自分は縛られているのか、そもそも理解不明だった。
 すると部屋の中にアリスが入ってくる、部屋は真っ暗なので、蝋燭を灯して部屋に入ってくる。
「あら? お目覚め?」
「あら? お目覚め? じゃないよ! どういう事だ!? アリス!? 寝ている間に何をした!?」
「んー? 何をしたって? 普通に華扇ちゃんの手首、足首を縛っただけですが?」
「何で縛ったんだよ!? 縛られるような事はしていない!」
「うん、そりゃそうね」
 えっ……? あの、話、通じてます? 自分はそう思いながら静かに溜息を吐く。
「そりゃそうねって……じゃあ早く手錠を外して?」
「それは無理」
「即答すんなよ……」
 自分はそう言って、アリスに呆れる、するとアリスが言う。
「無理な理由はあるわ、だって、『今から私は華扇ちゃんを襲う』んだもん」
「……はい?」
 この子頭大丈夫? 自分はそう思いながら溜息を吐く。
「あ、あんた……それ、『本気で言っている』のか?」
「えぇ、本気よ? それがどうかしたの?」
「…………」
 逃げたい、はっきり言って逃げたい、でも此処は魔法の森、自分はマスクをしないと行動が出来ない、だから逃げられない、魔理沙の家に逃げようとも、今は寝ているかもしれないし──その前に夜の時間は分からないが──その前にその身近な道でも、自分はマスクをしないといけないから、逃げられない……ってか、その前に可笑しくない? 朝のアリスはあんなに優しかったのに、今では……と、自分は考えて、大きな賭けを行ってみる。
「ね、ねぇ、アリス、僕は君の綺麗な顔が見たいなぁ、だから電気を点けて、顔を近づけてくれないか?」
 もしも電気を点け、アリスの瞳を確認する事が出来たら上々、そしてアリスの瞳の色が『赤』色になっていたら、もっと上々、自分の右手で『元に戻』さなければならない対象になる……! 自分のこの賭け、アリスはどう取るだろうか? そう思っていると、アリスは静かに言う。
「えぇ、良いわよ?」
 アリスは左手で部屋の電気を点けた、よし、これでアリスの顔が確認出来る……! 自分はそう思いながらアリスの顔を覗くように見つめる──
だが、電気を照らしてもアリスの顔は陰になっており、瞳の色は確認出来なかった。
「ね、ねぇ、アリス、僕に顔を近づけてくれないか? 顔に陰が入って見えないんだが?」
「あら? そうなの? それは申し訳ないわね」
 アリスはそう言って、自分に顔を近づけて、前髪を上に上げる、よ、よし、これで何とかアリスの瞳が理解出来る! 自分はそう思い、アリスの瞳を確認する──アリスの瞳は……クロだ。
 アリスの瞳は赤かった、という事はフランドール、レミリア同様、『操られている』事が理解出来た。
 後は右手でアリスの事を触れなくては! と思い、右手を動かすが、手錠が腕にハマっていて、動かない。
「はいはい、落ち着いて華扇ちゃん? 今からとても『気持ち良く』なるんだから……」
 き、『気持ち良く』? アリスは何を言っているのだろうか? 自分は意味が分からないまま、アリスを見つめる。
「それじゃあ、電気は消しましょう」
 アリスはそう言って、指先を動かし、部屋の外から上海人形を呼び出し、部屋の電気を消した、これでアリスが何をしようとしている事が分からなくなってしまった。
 い、一体どうすればいい? とりあえず、アリスを触れられるようにしなければ……自分はそう考えて、右手を確認する、少しずつ暗闇に目が慣れ、近くのモノが視認出来るようになった、だが、現実は非常だった。
 縄は手首付近にあるのではなく、前腕部分にあり、手錠も右手の範囲では届かない場所に存在していた。
 ……万事休す、完全に詰んだ! 自分はそう思いながら、内心涙目になる。
 すると何やら服が擦れる音がした、何だろう? 自分の肌では感じる事がないので、自分の服ではない、と考え、『厭な予感』がとてもした、バリバリ感じる、まるで静電気レベルで! ま、まさか……『アリスが脱いでいる』……!? ば、バカな!? 何をバカな事を考えているんだ僕は……全く、こういう状況で慣れないのは分かるが、流石に『服が擦れただけでアリスが裸になっている』なんて考えるなんて……人間失格だな、自分はそう考えて、左手を動かす、だが左手も右手同様、動かない。
「もう、落ち着いてって言っているのに……」
 アリスはそう言って、蝋燭を灯したモノを手に持って、自分に近づく。
 蝋燭の灯りって何だか安心するな、そう思い、蝋燭の光でアリスの体を見る。
 するとアリスの体は『下着姿』だった、自分は耐えきれずに鼻血を出す、うっそだろ!? 何でこう言う時に限って『厭な予感』ってのは当たるんだ!? 自分はそう思いながらアリスに言う。
「へい、失礼、何で下着姿なんですか?」
「そんなの簡単よ、私は華扇ちゃんを愛しているからよ?」
「そうかそうか、では何で下着姿なんですか?」
「えっ? 通じていない? いや、だから私は君を愛したいの、だか肌と肌を合わせて……」
「通じていないのはこっちの台詞だぁ!? 何で愛されないといけないんだ!? しかも裸で! もっと他の方法があるでしょうよ!」
 自分がアリスにそう言うと、アリスはキョトンとする。
「もっと、他の方法……?」
 あっ、ダメだこりゃ、自分はそう思いながら頭に手を置きたい衝動に駆られる──

Re: 東方崩壊譚 ( No.71 )
日時: 2017/11/19 22:04
名前: 彩都 (ID: GbhM/jTP)  

「だ、ダメだこりゃ……この女、僕の手では負えないかもしれない……」
 自分はそう言って、内心絶望する。
 この空間を脱出したい、一体どうすればいいのか? そう思っていると、アリスが自分の腰に座ってきた。
「ウフフ……そんなに暴れなくてもいいのよ? 全部私に任せて?」
「任せたくない!! 任せたら何か厭な予感がする! 待って! アリス! 本当に待って!」
 自分がそう言うと、アリスはじーと自分を見て、呟く。
「どうして待たないといけないの?」
「えっ? そ、そりゃあ……僕とアリスが出会ってたった数日! だからこういう関係ってのは、もっと、もっと信頼されるような間柄だったり、もっと仲良くなったり、内密になった方がいいと思うというか……」
「そんなんでね」
 ふと、自分の発言の後にアリスが言う、一体何を言うつもりなのだろうか? そう思っていると、アリスが怒鳴る。
「そんなんでね、信頼されるような間柄になったりもっと仲良くなれるかっての!? 女は黙って実力行使! 『自分の体』という武器を使って相手を落とさないといけないの! 華扇ちゃんも自分の体の事を分かってる? 華扇ちゃんみたいな貧相で貧乳で、可愛い『女の子』は、私みたいに襲わないと出来るモノも出来ないのよ!?」
「…………」
 あぁ、そうか、この人、自分の事、『女』だと思っているのか……そう言えばそうだった、自分は魔理沙から『性別は言うな』とか何とか言われていた事を、それを今言うべきか? と考えて、少し思慮する、その間にアリスはまだ言葉を続ける。
「分かる華扇ちゃん!? 貴方の力はまだまだ幼いの! その見た目だと同年代の少年しか襲えないわよ!? 分かってるの!? 欲しい人がいたら、それは力ずくでも良いから手に入れないといけないのよ!? さぁ、華扇ちゃん、分かったかしら!?」
 さて、一体どうしようか? 今はもう魔理沙はいないし、もうバラしても良いかもしれない……でも、此処で『僕は男だ!』と申しても……『見た目で女でしょ?』って言われるのがオチだろう……ではどうするか? 簡単に言えば、脱いで、裸を見せたらいいかもしれない、だけれど、裸になるのって案外恥ずかしい、だから全裸にはなりたくないのだが……此処は背に腹を変えられない。
 でも、もしも全裸になっても『女の子でしょ?』と言われそうだな、『性別転換の魔法を使っているの?』とか言われてさ? 魔理沙ならやりそうだし? とか言われて……あっ、詰んでんじゃね? こりゃ意味なくね? 万事休す通り越して、背水の陣じゃん? ヤバいヤバい……これじゃあ完全に詰んでいるルートになってしまう! で、では、自分はどうするべきなのだろうか? と考える。
 性別を言っても意味がない、裸になっても意味がない、では何が意味があるのか? 必死に考える、一体どうすればいいのだろうか……と、考えて、『低音ボイスを出せばいい』のでは? と考える、もしも低音ボイスを出せば、男っぽい声になる筈、だから認められる筈! でも、そんなの、簡単に成功するだろうか? 其処が心配だった。
 う、うーん、成功率が低そうだし、次の可能性も考えなければならないかもしれない……自分は心の奥底でそんな事を考えながらアリスを見つめ、発言する。
「ねぇ、アリス」
「ん? 何、華扇ちゃん?」
「僕の事、どう思っている?」
 此処で話題を作って、性別の事を言えばいいか、と考える。
「えっ? そりゃ、可愛くて、お腹一杯料理を食べて、可愛くて、優しくて、可愛くて、勉強家で、可愛くて、愛おしい『女の子』だよね?」
「…………」
 無言状態で自分は何を言うか、頭の中で整理して、アリスに言う。
「それじゃあ最後に聞くよ、『本当に僕を女の子として見ている』かい?」
「……えっ? そりゃそうよ、こんなに可愛い『女の子』はこの世に魔理沙ぐらいしかいないし……」
「……そうか」
 自分はアリスの発言を受けて、性別を言う事にした、自分は心の中でアリスに謝る。
 今迄ごめん、騙していたよ、君の事……本当に済まない、だけれど、隠しておかないと魔理沙の攻撃が怖くて……自分は心の中で何回か謝った後、アリスに言う。
「一応言っておくね」
「? 何を?」
「いや、だから、僕の性別──僕の性別は男だ、華扇は男、それを分かって欲しい」
「……へっ?」
「そう言う反応するよねぇ? だろうねぇ? 僕だって今のアリスと同じ気持ちだよ、『こんなに可愛い女の子っぽい見た目の存在が実は男の子』だったなんてさぁ? という事だ、僕は実は男、だからアリスの料理をあんなに食べる事が出来る、男の子って基本的に大食漢だからねぇ?」
「えっ……えぇっ!? 嘘でしょ!? 本当に男の子!?」
「う、うん、本当に男の子だよぉ? 体を触れば分かるけど、結構筋肉あるんだぜ? アリスみたいに柔じゃないしさぁ?」
 自分がそう言うと、アリスは自分の腕や腹部の筋肉を触って、判断する。
「ほ、本当に男……? じゃ、じゃあ、華扇『ちゃん』じゃなくて、華扇『君』……? って事?」
「まぁ、そうだねぇ」
 自分がそう言うと、アリスは衝撃的な顔をして、頭を抱える。
 僕だって頭を抱えたい、でも抱える事は出来ない、それは何故か? それは『両手が拘束されている』からだ──

Re: 東方崩壊譚 ( No.72 )
日時: 2017/11/19 22:05
名前: 彩都 (ID: GbhM/jTP)  

「あ、アリス……?」
 頭を抱えて停止するアリスに対し、上海人形も心配の色を出す。
 い、一体どうしたのだろうか……? 自分がそう思っていると、アリスはいきなり動き出し、這うように自分に近づいて、自分を抱き締める。
「ほ、本当に男なの? じゃあ何で私の前で性別を言わなかったの?」
「え、えと……本当に言っても良いの? 怒らない?」
 不思議そうに言う自分に対し、アリスは抱き締めながら自分に言う。
「お、怒らないわよ!」
「そ、そう……? で、でも、アリス、胸が当たって……」
「それ位良いわよ、こんなに可愛いんだから!」
 そう言う問題なのか、と心の中で焦りながら自分は本題に戻る。
「えーと……実は魔理沙が『勘違いさせているのなら、ずっと勘違いさせておけ、だからバレる迄女の振りをしろ』って魔理沙が……」
 自分がそう言うと、『ふぅん、魔理沙がぁ』とアリスが呟く。
「全く……あの子ったら、本当に秘匿主義ねぇ……それじゃあ、今日から君は監禁されて過ごしてね?」
「……はぁっ!?」
 いきなりの発言に自分は驚愕してしまう、そして自分はアリスに言う。
「ば、バカ言うな! さっさと僕を脱出させてくれよ!」
「何で? 男だからダメよ、最悪君の性欲が暴走して私を襲うかもしれないし?」
「ふっ、巫山戯るな! 何で……! ってか、その前に襲ってませんよね、この数日間?」
「男はそんな日数を簡単に耐えられるのよ? 十日間を越えてからが問題よ?」
 問題なのは今の僕の状況なのですがねぇ!? 自分はそう思いながらアリスに言う。
「い、いや、仮に性欲が溜まっても、右手で処理出来るし、ねぇ……?」
 自分はそう言って、右手をグー、パーを繰り返して言う。
「えっ? 華扇『君』は自分で処理出来るの?」
「う、うん……」
 そりゃそうだ、自分の右手には『右手首から下にしか宿っていない能力』である、『元に戻す』能力がある、口の中に親指さえ突っ込んで能力を使用したら、大体は大丈夫だとは思うが……その前に『欲求』に対し、能力を使用した事がないので、実際はどうか分からない。
「だから大丈夫だから外してよ?」
「それは無理、念の為ってのもあるし……だから私の信頼を得る迄、ずっと手錠、足枷をつけて、ベッドの上で寝転んでいてね?」
「えぇっ……」
 自分はそう言って、嘆息する──嘘でしょ? 早く手錠、足枷を外して欲しいんだけど……? 自分はそう思いながら自分の部屋を出ようとする下着姿のアリスを目で追いかけたが、アリスは自分の視線に気づかずに自分の部屋を出た──矢張り解放してもらえないのか、と自分は思い、寝る事を考える──

 そして翌朝。
「……ん? 此処は……?」
 自分はそう言って目が醒める、すると急に寒気がした。
 あぁそうか、自分は布団を被らずに寝たのか、と思いだし、嘆息する。
「はぁ……肌寒いなぁ」
 自分はそんな事を言いながら、腕の事を考える、このまま血が上に上がらない気がするが、寝ているので、多分水平上になっているのだろう、と考えて、自分はもう一度嘆息する。
「あーもう、寒いし、寝ても、暖かくないし、腕、足は拘束されているし……本の解読さえも出来ない……」
 そんな事を言っても、この状況が改善される訳でもないし、これから一体どうすればいいのだろうか? と考える。
 すると急に股間に刺激が走った。
「あっ……あぁっ!」
 自分は叫んで、この『状況』を理解した、男で女でも、『尿意、便意』は耐えきる事は出来ないだろう。
 そう、今の自分は『トイレに行きたい』状況に陥ったのである! ヤバい、この状況、完全にヤバい! こんな年──年齢が分からないから、何歳かは分からないが──になって『お漏らし』ぃ? ……もしも魔理沙にバレたら、笑われる、というか、霊夢にもバレたらヤバいだろうなぁ……と考えて、自分は一つの可能性を思いついた。
 それは『紫』の存在である。
 紫さえ言えば、自分はこの状況、脱出出来るでは? と考える。
 そして自分は心の奥底で紫を呼ぼうとする。
 だが、そう簡単に現れない。
 ……これ、ヤバくね? だって、此処で我慢出来ずに出しちゃうの? ダメじゃん? それは人間としてのプライドが許さない、自分はそう思いながら、打開策を考える。
 ていうか、その前に打開策の一つとして、『アリスを呼ぶ』ってのがあるじゃないか! 自分はそう考えて、大声で叫ぶ。
「あ、アリスぅ!」
 ……返事がない、うっそだろ……? 自分はそう思いながら冷や汗を掻く。
 というか、我慢のし過ぎで、汗が……目の前が虚ろに……自分がそう思っていると、自分の部屋を空けて、アリスが現れる。
「急に叫んで……どうしたの?」
「あ、アリスぅ! 良かったぁ!」
 アリスが起きていて良かった! 自分はそう思いながらアリスに言う。
「トイレに行かせて?」
「尿瓶があるわよ?」
「…………」
 アリスはそう言って、自分の前に真っ黒に塗られた尿瓶を渡す、そして左手の手錠を外し、左手を解放させる。
 自分はアリスを部屋から出させた後、左手で頑張って尿瓶に股間を突っ込んで、排尿する。
 うぅっ……漏らすより恥ずかしい気がする……自分はそんな事を思いながら、排尿を終えて、股間を隠してから、アリスを呼ぶ。
 そしてアリスは尿瓶を回収し、また左手に手錠を施し、部屋を去る──尿瓶、相当恥ずかしいな、そう思いながら静かに溜息を吐く──

Re: 東方崩壊譚 ( No.73 )
日時: 2017/11/19 22:05
名前: 彩都 (ID: GbhM/jTP)  

「……はぁ、暇だなぁ……」
 そんな事を呟きながら、自分の口に一本丸々フランスパンを突っ込むアリス。
「美味しい?」
「うん、色々可笑しくない? 何で僕の口に一本丸々でフランスパンを突っ込むんだ? 僕は何か悪い事をしたかフランスパンに?」
「いいえ? 調理するの面倒だったから……」
「かといって、そのままを口の中に突っ込むのもどうかと思いますけどねぇ!?」
「良いじゃない、咀嚼しているんだし?」
「口に突っ込んでいるんだから、喋る為にも咀嚼しないとダメだろう!? あぁ、パンばっかで喉が渇くぜ……」
 自分がそう言うと、フランスパンを抜き取り、水を口の中に流す。
「うん、ごきゅごきゅ、そうじゃないよね? ごきゅごきゅ……美味しいけれど」
「そう? 良かったじゃない? 流石に味気ないモノばかりだし、砂糖水を用意したわ」
「蟻に襲われるじゃねぇか僕の口周り!」
 自分がそう言うとアリスは笑顔で言う。
「いいじゃない、蟻ごとき? どうせ下等生物なのに?」
「そ、そうかもしれないけれど……」
 何だろう、今のアリスと会話していると、ツッコミしないと話が進まない気がしてきた……自分はそう思いながらアリスに聞いてみる。
「ね、ねぇアリ……」
「何よ?」
 自分が喋ろうとすると、食いかけのフランスパンを口に突っ込まれる僕、自分は咀嚼しながらアリスに言う。
「待てやこら! 喋ろうとしている時に口にフランスパンを突っ込まない!」
「あっ? 今のは『ツッコミ』と『突っ込む』と掛けたの?」
「掛けてねぇよ!」
 何か会話するのにも疲れてくる……自分はそう思いながら、フランスパンを食べるか、と考え、ゆっくりとフランスパンを咀嚼する──そして、フランスパンを食べ、数分が経った、自分はもむもむと口を動かして、自分の口からフランスパンを離した時に自分は少し前、パンを口の中に突っ込まれて、言えなかった事をアリスに言う。
「ねぇ、アリス?」
「何?」
 素っ気ない態度で返される返答に対し、自分は静かにアリスに言う。
「アリスの瞳って……『赤い』ね?」
 核心を突こう、自分はそう思いながら『瞳が赤い』事を追求する。
 するとアリスは静かに返答する。
「あら? 私の瞳って『赤い』かしら?」
「赤いよ赤い、とても赤い、そうだ、前に襲った紅い吸血鬼のレミリアのように『紅い』ぜ?」
「……そう? 後で鏡で目を確認しないとね? 充血しているかもしれないわ」
 充血する訳ねぇだろ、僕は三回も見ているんだ、フランドール、ルーミア、レミリアの三回、だから違う筈がない、アリス……! 自分はもっと深く進む為に話を広げる。
「ね、ねぇアリス? 目が充血しているってのも理解出来るが……『目が紅くなる前に誰かと会わなかった』……?」
 自分の言葉を聞いて、アリスはその場で腕を組んで考える──もしも此処で鈴泉・優曇華院・イナバと出会っていれば……鈴泉・優曇華院・イナバが犯人だと思う! でも、何故だろう? 本能が告げている、『鈴泉・優曇華院・イナバは犯人ではない』と……。
 可笑しいだろ? だって、『鈴泉・優曇華院・イナバが犯人だ』と霊夢が言っている! なのに本能は違う、と告げている……これは一体どういう事だろうか? 自分がそんな事を思っていると、アリスが顎に人差し指を当てて思い出す、そして苦し紛れにアリスは言う。
「う、うーん……思い出せないわ、買い物に行っている時でも、店員さん以外出会わなかったわ……」
「そ、そうか……それなら良かった、もしも目に何かかけられたのかな? と思ってね……」
 さりげなく自信のフォローを入れる、これでバレる事はないな、自分はそう考えて、フランスパンを食べ始める──そして何とか長いフランスパンを食べきった。
「ふ、ふぅ……長くて太くて、大きかった……」
「おめでとう華扇『君』、これで君もフランスパンマスターへ一歩踏み出した!」
「どんなマスターだよ!? もっと栄誉あるマスターにしてくれ!」
 そう言う自分に対し、アリスは必死に悩んで思いつく。
「あっ! じゃあパンマスター!」
「えっ? 普通じゃない?」
「うっ……確かに……」
 アリスはそう言って、頭を垂れる、そして静かに立ち上がって自分に言う。
「それじゃあ、トイレも済ませた、食事も済ませたし……私はこの部屋を去るわね」
「えっ? 何で!? 去る前にさっさと手錠、足枷を外せよ!?」
「だからそれは無理だって? だって君は『女』として、私を騙したから……!」
「だ、騙すつもりはなかったんだって! だけれど、言うタイミングが……」
 自分がしょんぼりしてそう言うと、アリスは冷酷に言う。
「『言うタイミングがない』? そんなの幾らでもあるじゃない? 此処に来る途中だとか、食事中だとか……」
 た、確かにそう言われるとそうだが……でも、魔理沙に口止めされていたって事を考えて欲しい、自分がそう思っていると、アリスは自分の部屋を出てしまう。
 あぁ、何も言えずに去ってしまった……自分はそう思いなら、深い深い溜息を吐く。
 このまま手錠、足枷のまま、自分は生きる、と考えると、何だか悲しく感じてしまうな……自分はそう思いながらもう一度大きな溜息を吐いた──誰か、助けに来て、くれないかなぁ?


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