ポケモン不思議のダンジョン昼*夜の探検隊 亜璃歌♪ ◆P2rg3ouW6M/作


Memory2 ギルドの丘   ~01~



私たちは海岸を離れると、しばらく歩いた。ミニリュウはこの世界に住んでいるだけあって、色々とこの地域の事は詳しいらしい。ギルドに向かう途中に、色々と話してくれた。

「あ、分かれ道じゃない?」

話していたから気づかなかったが、いつも間にか広い交差点に出た。ミニリュウは看板を見て、私に説明する。

「この交差点をまっすぐ行けば、ギルドがある丘に行けるよ。右に行けば、冒険に行けるけど、それは後で説明するね。で、左に行けば“トレジャータウン”」

「トレジャータウン?」

聞いたこともない名前に私は反射的に問い返した。
ミニリュウは笑って説明する。

「ポケモンたちが色々なお店を開いている広場だよ。銀行や商店、倉庫……みたいに、色々なお店があるんだ。そして、ポケモンたちの広場でもあるの」

「へえー」

私は言いながら、人間の世界で言う市場みたいな物なのかなって思った。結構楽しそうだ。

「じゃあ、ギルドに行こう」

ミニリュウは言うと、まっすぐ進み、丘を登り始めた。私もすぐに後を追う。
人間の姿なら、こんな丘なんてラクショウだけど、足の短いメリープだから大変だ。

やっと汗を拭って上ると、木で作られた可愛らしい門があった。
いかにもポケモンが作ったことを表しているシンプルな門だ。けれど、それなりに花が飾ってあったり、「ギルド」という文字まで刻まれている。

「わあー!」

門をくぐると、私は思わず歓声を上げた。
丘は、レンゲやラベンダーなどの美しい色とりどりの花でいっぱいだ。その花々が、風に揺らされてザワザワと音を立てている。
そして、さまざまなポケモンの絵が描かれたテントがいくつもはってある。キマワリやドゴーム、ビッパにヘイガニ、チリーンにグレッグル……。
それらのポケモンの絵が描かれたテントでは、そのポケモンが生活していると考えられる。
ディグダやダグトリオが生活しているような穴まであった。

そして、一番この丘で大きく、立派なテント……。プクリンとぺラップの描かれたテントだ。テントの入り口には木にランプが吊るされ、旗まで掲げられていた。
旗には、許可証と同じプクリンの絵が描かれている。

丘の中心には、さまざまな探検隊の格好をしたポケモンたちが話に夢中になっている。

「ここは……」

私は呆然とあたりを見た。ポケモンは、自分たちでこんな物を作り上げたんだ……。すごい。

「ここは……。ギルドの広場だよ。さあ、あの一番大きいテントへ行こう」

緊張した声でミニリュウが言った。私たちは、並んで歩き出す。
周囲で話していたポケモンたちが、いっせいにこちらを向いた。

「あの子たち、可愛いですわー。キャー!」

「何しに来たんでゲスかねー」

「ヘイヘイ! 何か親方様にお願いでもしに来たんじゃねーのか」

……などと、さまざまな話し声が聞こえてくる。私は体に力を入れすぎないように慎重に歩いた。体に少しでも力を入れすぎると、電気を放ってしまうから、気をつけなければならない。

私たちはチョコチョコした足取りで、一番大きいテントの前へ立った。