ポケモン不思議のダンジョン昼*夜の探検隊 亜璃歌♪ ◆P2rg3ouW6M/作

Memory4 光のささやき ~11~
「はい。ミーシャさんたちが助けてくれたので怪我はないです。本当に、ありがとうございました」
ルリリはペコリとお辞儀をすると、去っていく。
よかった。ルリリに怪我はなくて。それにしても危険なバトルだったと今更ながら思う。竜巻に乗るなんて、失敗したらおしまいだった。やっぱりキセキが起こったのかもしれない、と私は唇を噛んだ。
そして隣を見る。ミニリュウが疲れた顔をして座っていた。
「ミニリュウ、大丈夫?」
「うん、なんとかね。それより作戦成功してよかったね。無謀な作戦だったけど。……私、あんなにハラハラしたバトルは初めてだった」
「私もだよ。初めて」
ミニリュウは過去を思い出しているのか、目を細めて空を見つめている。私も空を見上げた。青々とした大きな天空の海。その中にさっきまで死闘を繰り広げていたことが信じられないくらい、ゆったりと雲が泳いでいる。
そういえば、今はきっと午後四時くらい。お昼を食べるのを忘れてしまった。
「はあ、私たち勝ったんだよね。ミーシャ」
「うん。あんまり実感がないけど勝ったんだよ」
私は、ミニリュウの言葉にクスリと笑った。
確かに、本当にハラハラした戦いだった。ちょっと間違っていたら、私たちのほうがやられていたかもしれない。あんなに一生懸命になったことなんて、今まであっただろうか。……きっとなかっただろう。一つの事にミニリュウと夢中になって、怖さなんて感じなかった。ただスリーパーを倒すことだけを考えていた。今思い出すと、恐ろしくもなる。
「おいっ! おまえたち!」
少し和みながら話していると、後ろから聞き覚えのある声がした。振り返るとぺラップがいる。何か怒られるんじゃないかと思って、私たちはうつむいた。勝手な行動をしたのだ、当たり前だろう。ところがぺラップはにっこり笑って口を開く。
「おまえたち、よく頑張ったな♪ 初めてにしては上出来だぞ♪ さ、私についてきな。グラエナ保安官と、ポチエナたちがお礼を言いたいそうだ」

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