ポケモン不思議のダンジョン昼*夜の探検隊 亜璃歌♪ ◆P2rg3ouW6M/作


Memory5 初の探検と仲たがい ~02~



「自然に身を任せて集中したら、少し思い出したんだって!? すごいよ、ミーシャ! ね、それって、自然の記憶じゃないの?」

 ミニリュウが、瞳を輝かせて言った。
 私は問い返す。

「自然の記憶?」

「うん。だって、ミーシャが人間だった頃、どこに住んでいたのかなんてわからないけれど、自然はずっとつながっているじゃない。たとえ、ずーっと離れたところだとしても、空はつながっているし、大地だって木々の根だって……。だから、その自然に身を任せたことによって、自然に刻まれている記憶をミーシャが呼び出したんじゃないかな」

 自然はつながっている……。そっか、大自然にずっと刻まれてきた記憶の中から、私が自分に関係のある記憶を呼んだんだ。でも、それは、私が海岸で倒れていた前の日が嵐だったということに関係があるのかもしれない。もし、今日が同じ嵐じゃなかったら、思い出せなかったかも。
 相変わらず、外は雨がどしゃぶりで風が暴れている。私は、そんな嵐に感謝の思いを向けた。

 それにしても、私の話を聞いただけでそんな事を思いつくなんて、ミニリュウってすごい才能の持ち主だ。その知恵を探検に生かせれば……。

「でもさ、ミーシャ。そのミーシャの過去の記憶の中に、相手の名前だけが思い出せなかったって、変だよね」

 ミニリュウが難しい顔をした。
 私も確かに思う。どうして相手の名前だけが思い出せないんだろう。

「うん。どうしても相手の名前だけが思い出せないんだよね……。何か理由があるのかも。それに、“本当の生活へ帰れる”って言うのも気になるよね」

「本当の生活……か。うーん、よくわからないよ。まあ、いつまでも考え込んでいても仕方がないし、話を戻そう。ミーシャがポケモンになった事が、未来を見る力と関係があるって話」

 ミニリュウが話を戻した。
 私もいったん深呼吸をしてから、ミニリュウと向き合う。
 すると、はっとしたようにミニリュウが私を見た。

「私っ、今思ったんだけど、ミーシャが人間になった事って、昼と夜が狂い始めてきた事とも絶対に関係があるような気がするっ」

「あ、その狂い始めてきたっていう話、剣風の森に行く前に聞いた気がする」

 私の頭の中に、ミニリュウが“不思議のダンジョン”について話している場面が浮かんだ。

 ―――「うん。不思議のダンジョンっていうのは、もともとはちゃんとした森や川だったものが、昼と夜が狂い始めてきた影響で迷路のようになった場所を言うんだ。しかも不思議のダンジョンは、入るたびに地形も変わるし、そこで倒れると道具も半分くらい減少して、入り口に戻されるっていうとっても不思議な場所。おまけに、暴走したポケモンが襲ってくるしね。だけど、そういう不思議な場所だから、お宝みたいな新しい発見が見つかるんだよ」

「そうそう、不思議のダンジョンが昼と夜が狂い始めてきた影響で出来たって話。狂い始めてきたって、どういうこと?」

 私が聞くと、ミニリュウが何か思いつめるように下を見た。そして、しばらく沈黙が続いたが、やっとミニリュウは口を開いた。

~つづく~
☆なんだか、Memory5のタイトルが初の探検なのに、いまだにテントの中で話をしているという……。Memory5も長くなりそうですが、マイペースに進めていきます^^