ポケモン不思議のダンジョン昼*夜の探検隊 亜璃歌♪ ◆P2rg3ouW6M/作

Memory3 キセキの探検隊 ~05~
「ぷはー。いっぱい食べたね、ミーシャ!」
ミニリュウがだるそうに机に寄りかかった。あんなに食べたのだから、無理はないだろう。ミニリュウの食べっぷりには、私も驚かされた。
そして、そういう私もお腹がいっぱいで動く気になれない。あの後、りんごのみずみずしさと甘さが堪らなくてりんごばかり食べてしまった。お腹の中は、きっとりんごだらけだろう。
「はい、では夕食終了! みんな一日ごくろうだったね♪ 各自のテントでゆっくり休むように♪」
ぺラップが、大声で夕食終了を知らせた。ギルドのみんなは、お腹を抱えて食堂から出て行く。ついには、食堂に私とミニリュウ、ぺラップ、プクリンしかいなくなってしまった。
ガラーンとした食堂。さっきまで賑やかだった事を考えると、なんだか切ない。
「テントってこのギルドの丘にあった、いろんなポケモンたちの絵が描いてあるテントかな。みんなそこで寝るのかな。私たちは、どうするのかな」
質問攻めしてきたミニリュウに、私はどうしようもなくて曖昧に「うーん」と返事をする。そこへ、ぺラップが口を開いた。
「おまえたち! おまえたちのテントは、おまえたちが剣風の森へ行っていたときに、みんなで立てたんだからな。ギルドのみんなは、仕事をする時にこの親方様と私の絵の描かれたテントへ集まるんだ。そして、仕事が終わると、各自の絵の描かれたテントへ戻るってわけだ♪ わかったね。おまえたちのテントは、ミニリュウとメリープの絵が描いてやつだ。わかったら、さっさとお行き♪」
「うん、わかったよ」
私とミニリュウは、しっかりと返事をすると食堂を出た。
そして、梯子を上ってテントから外へ出る。丘にあるさまざまなポケモンたちのテントは、まだ起きていて明かりがついてあるテントもあれば、寝ていると思われて明かりがついていないテントもあった。それらのテントを含めて丘を見ると、丘全体が光を発しているかのように、空からは見えるのだろう。
「ねえ、ミニリュウ。私たちの絵が描かれたテントはどれだろうね」
暗闇で物を見るのが苦手な私は、目を凝らしながらミニリュウに言う。ミニリュウはいくつもあるテントをじっと見ると、明かりのついていない1つのテントを指差した。
「あれだよ! ミーシャと私の絵が描いてある。なんだか照れるなあ」
言いながら、自然と私たちの足がテントへと動く。そのテントは、確かに私たちの絵が描いてあった。まん丸のビー玉のようなつぶらな瞳のミニリュウ、鈴のような笑い声を上げている顔をした私。テントの前には、小さな木で出来た看板があり、「チーム キセキーズテント」とペンキのピンク色で記されてあった。
「すごいね! 中へ入ろう」
喜びの声を上げて、私たちはゆっくりと中へ入った。
真っ暗で何も見えなかったので、置かれていたランプをつける。明るくなったテントの中はやはり狭かったがなぜだかいると、心が温まる不思議な所だった。地面にはわらが敷かれていて、私たちがその上に寝れるようになっている。テント内の隅には、バスケットが置いてあって食料が入っていた。そばに置手紙がある。置手紙には、こうかかれていた。
<この食料は朝食です。毎日私が準備するんです。残さず食べて下さいね。じゃないと、次の日の朝食は用意しませんから♪ チリーン>
さらに、バスケットのそばには大きめの石があり、真ん中が深くえぐられている。そのえぐられた所のふちいっぱいまで、水が湛えられていた。この水のことは、チリーンの手紙に追記として書かれている。
<追記 石の中の水は、私が毎日チェックしてなくなっていたら入れておきます>
「すごい、すごいよ! ギルドって、とっても温かい!」
ミニリュウが感嘆の声を上げた。
私も驚きながらきちんと用意されたテント内を見る。
そして、喉がカラカラなことに気づき、石の中の水を覗き込んだ。
透明な水。ランプの光を浴びて、白く光っていた。その水を、私は手ですくって飲む……ことは、メリープの姿ではできないので、顔の口部分を水につっこんで飲んだ。驚くほどおいしい水で、体の隅々までおいしさが広がる。私の口から感嘆の声がもれた。
「おいしいっ。ミニリュウ。私、あの時ミニリュウと会ってよかった。ギルドに入ってよかった」
改めて話す私にびっくりした様子のミニリュウ。すぐに笑みを浮かべる。
「私も。……そろそろ眠たくなってきたね。今日はがんばったし、もう寝ようよ」
あくびをこらえるように言うミニリュウを見て、私も瞼が重たくなってきた。
「うん、寝よう。ランプ消すね」
私はランプの明かりを消した。とたん、テント内が闇に支配される。
「おやすみ。ミニリュウ」
「おやすみ。ミーシャ」
言い合うと、私たちはすぐに安らかな眠りについた。
~Memory3終了~

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