ポケモン不思議のダンジョン昼*夜の探検隊 亜璃歌♪ ◆P2rg3ouW6M/作


Memory2 ギルドの丘   ~04~



「ねえ、ぺラップ。初仕事ってどういうのなの? もしかして、もう探検とかするのかな!」

ミニリュウが期待と興奮で瞳をキラキラさせて言った。期待するのはいいけれど、もしハズレだったらショックが大きいからなー。多分、初仕事だから探検なんてやらせてくれないだろう。私はあまりハードな仕事でないことを願おう。

ぺラップは、ミニリュウの質問には答えずに地下二階から地下一階へ上がった。
そして、二つの掲示板のうち、やたらと字が多い紙は張ってある掲示板の前に来る。掲示板には、いくつもの紙が張ってあった。依頼書のようだ。

「うーんと、新米のおまえたちにはこれがいいかな。ほれ、見てみ」

掲示板から一枚の紙をはがすと、ぺラップは私たちに差し出した。ミニリュウが、その紙を興味津々に受け取る。紙には、ナゾノクサからのお願いが書いてあった。

《こんにちは。私、ナゾノクサです。ある日、私が森を散歩していたら、大事な大事なオレンの実を風にさらわれてしまったのです。病気がちな妹に食べさせてあげようと思っていたオレンの実。どうしても探し出したいのですが、森のどこにあるかわかりません。しかも、その森の奥は不思議のダンジョン。怖いポケモンや森の主もいるって噂だし、そんな所へは探しに行けません! どうか探検隊のみなさん、オレンの実を取って来て下さい。その森は、剣のような冷たい風が吹くことから、“剣風の森”と呼ばれています。よろしくお願いします》

読み終えると、私はほっと胸をなでおろした。いきなりハードな依頼だったらどうしようかと思っていたが、大丈夫そうだ。私はポケモンになったばかりだから、技の出し方とかよくわからないから、なおさらよかったと思う。

しかし、ミニリュウは依頼を読み終えると、不満そうに顔を上げる。やっぱり期待していた分、ショックが大きいらしい。

「これって、ただ落し物を拾ってくるだけじゃないの! もっと探検隊らしい事がしたいよ」

「おだまり!」

ぺラップが声を張り上げた。ミニリュウが「ひっ」と声をあげる。

「いいかい、よく聞くんだよ。新米のおまえたちには、大事な財宝がかかっている探検なんてさせられるわけがない。地道に努力して、探検が出来るくらい上達するんだな」

そして、コホンと場の空気を切り替えるように咳をすると、話を変えた。

「で、オレンの実をナゾノクサが落としたという森は“剣風の森”と呼ばれている、不思議のダンジョンだ」

「不思議のダンジョン?」

あまりに変な名前が出てきたので、私は問い返した。
すると、ミニリュウが説明する。

「うん。不思議のダンジョンっていうのは、もともとはちゃんとした森や川だったものが、昼と夜が狂い始めてきた影響で迷路のようになった場所を言うんだ。しかも不思議のダンジョンは、入るたびに地形も変わるし、そこで倒れると道具も半分くらい減少して、入り口に戻されるっていうとっても不思議な場所。おまけに、暴走したポケモンが襲ってくるしね。だけど、そういう不思議な場所だから、お宝みたいな新しい発見が見つかるんだよ」

「なんだ、よくわかっているじゃないか♪」

ぺラップは、自分の説明する手間がはぶけて喜んでいる。けれど、不意に脅かすような顔で言った。

「でも、剣風の森には恐ろしい森の主がいるって噂だ。新米のおまえたちには厳しい。だから、ヘイガニをいっしょに連れて行かせるからな。心配はいらない」

やっぱりこういう展開になるんだ、と思った。しかも、ヘイガニって……あの「ヘイヘイヘーイ!」とか言ってるやつの事? 頼りないな。
私がうんざりしていても、ミニリュウははりきる。

「わかったよ。私たち、ちゃんと行ってくるからね! キセキーズ出動だよ、ミーシャ!」

そう言うと、ミニリュウはバッジを高く掲げた。

~Memory2終了~