二次創作小説(紙ほか)
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- ※文スト二次創作※ 〜紫眼に惹かれて現世を〜
- 日時: 2021/09/10 03:28
- 名前: ぴろん (ID: XL8ucf75)
初めまして。カキコ初見のぴろんと申します。
初投稿ですので何かと至らぬ点も御座いますが、生温かい目で見守って下さると助かります。
コメントや物語に関する質問などは何時でも受け付けておりますので遠慮なくコメントしていって下さい!
※注意
・この小説は作者の完全なる二次創作です。御本家様とは全く関係がありませんのでご了承下さい。
・登場人物の異能など説明不足の部分が多々あります。その場合は御本家様、文豪ストレイドッグスの漫画1〜10巻、小説1〜4巻を全て読んで頂けるとより分かりやすく楽しめると思われます。
・作者の勝手な解釈で作っておりますので、良く分からない表現や言葉等があった時はコメントで質問をして下さい。読者の皆様方が分かりやすく楽しめる小説作りをする為の参考にさせて頂きます。
・此処では二次創作小説の連載を行なっております。リクエスト等にはお答えできませんのでご理解頂けると幸いです。
2016/12/30 閲覧数100突破!本当に感謝です!
2017/01/14 閲覧数200突破!有難う御座います!
2017/02/09 閲覧数300突破!唯々感謝です!
2017/03/01 閲覧数400突破!感謝感激雨霰です!
2017/03/24 閲覧数500突破!有難う御座います!
2017/04/23 閲覧数600突破!泣くほど感謝です!
2017/05/13 閲覧数700突破!感謝しすぎで死にそうです!
2017/05/28 閲覧数800突破!本当に有難う御座います!
2017/06/21 閲覧数900突破!物凄い感謝です!
2017/07/02 閲覧数1000突破!信じられないです…有難う御座います!!
2017/07/18 閲覧数1100突破!有難う御座います!
2017/08/03 閲覧数1200突破!感謝ですっ!
2017/08/30 閲覧数1300突破!有難う御座います有難う御座います
2017/09/24 閲覧数1400突破!本っ当に有難う御座います!
2017/11/03 閲覧数1500突破!感謝しかないです!
2017/11/29 閲覧数1600突破!本当に感謝します!
2018/01/08 閲覧数1800突破!1700飛ばしてすみません!有難う御座います!
2018/01/13 閲覧数1900突破!年始効果でしょうか…有難う御座います!
2018/01/27 閲覧数2000突破!こ、これは…夢でしょうか…?!本当に、心から感謝致します!!
2018/03/07 閲覧数2100、2200突破!1つ逃してしまいました…ありがとうございます!
2018/03/28 閲覧数2300突破!ありがとうございます…!!!
2018/04/17 閲覧数2400突破!間に合わないのがとても嬉しいです…!
2018/05/13 閲覧数2500突破!いつの間に…?!有難う御座います!!
2018/05/20 閲覧数2600突破!とてもとても!感謝でございます!!
2018/05/23 閲覧数2700突破!ぺ、ペースが早い…!ありがとうこざいます!!
2018/06/02 閲覧数2800突破!間に合わなくてすみません。有難う御座います!
2018/06/29 閲覧数3000突破!え、あの、ごめんなさい!有難う御座います!なんかします!
2021/09/10 閲覧数7000突破!有難う御座います。恐らく更新はありませんが、楽しんでいただけたなら幸いです。
何時の間にか返信数も100突破です。有難う御座います!
2017/06/30 本編完結。今後とも宜しくお願い致します。
- Re: ※文スト二次創作※ 〜紫眼に惹かれて現世を〜 ( No.96 )
- 日時: 2017/06/04 15:33
- 名前: ぴろん (ID: /ReVjAdg)
63間目
路地裏に来た式部は、何時も自分が居たところに座って編み物を始める。
細い紐のような物を作り、先日納言に貰った紐に編み込んでいく。
「やぁ式部ちゃん!何してるの?」
5分もしないうちに太宰が目の前に立っていた。
「…冥土の土産作り」
「良いなぁ、私も冥土に行きたいよ。式部ちゃんは行ったことあるの?」
「無いから此処にいるんだろ」
何時もと同じような下らない会話が続く。
「此処にいて良いの?」
「2時間後までは平気」
ポケットから懐中時計を出して時刻を確認する?
「それで何の用だ」
「んー?特に用は無い…訳ではないか」
太宰は式部に近づいてしゃがみ込む。
「コレ、なぁに?」
式部の座っている床の辺りをコンコンと叩く。
他の床とは違い、其処だけが少し軽い音…まるでその下に空洞があるかのような音を響かせる。
「……」
「いっつも同じ場所に座ってるから変だと思ったんだよね。それで調べてみたらこの通り」
ニコニコとした顔でまたコンコンと床を叩く。
「ねぇ、教えてくれても良いんじゃない?」
少し威圧的な声で聞いてくる太宰を見て、式部は立ち上がる。
「…見せてやるよ」
横に避けて屈み、その床に触れる。
すると、取っ手も隙間も何もないところに亀裂が入り、先程まで座っていた床に穴が開いた。
「来い」
そう言って式部は穴の中に飛び降りる。
「えー?なんか痛そう…」
「梯子ならかかってる」
穴の中から反響した声が聞こえてくる。大分深いようだ。
「うわっ、ここ飛び降りたの?これでよく死なないね」
「慣れだよ」
梯子の下の通路を歩きながら言う。
「私まだ降りれて無いよ〜」
「さっさと来い」
律儀に立ち止まっていてくれた式部についていく。
通路の先には鉄の扉。大きさは太宰も楽々と通れる程大きなものだったが…
「取っ手無いじゃん。開けられないよ?」
「此処を作ったのは俺だ。開けられるに決まってるだろ」
扉の真ん中辺りに手をかざすと、ギギィッと音を立てて扉がスライドする。
「何時作ったの?」
「確か…500年前か」
「その割には随分とハイテクだねぇ」
「ただのカラクリだ。指紋認証は最近になってから追加した」
扉の中に入ると、真っ暗な小部屋だった。
「電気は?」
「其処にある。つけたいなら勝手にしろ」
指定されたボタンを押すと、室内が少し明るくなる。
使われている電気器具は全て最新のものだが数を減らしたりして明るさが抑えられている。
薄暗い部屋の両脇にはガラス瓶のようなものやチューブ、複雑な機械などが並べられている。
「此処は折口の研究スペース。毒とかも転がってるから気を付けろ」
足元に転がる試験管を退かしながら言う。よく見ると他にも転がっており、部屋の隅には上へ続く階段が見える。
「俺の部屋はもう1つ下」
真ん中に置かれた排水溝のような蓋を開けると、更に下へと向かう梯子があった。
式部は先程と同様にヒョイッと飛び降り、その後を追うように太宰が梯子を降りていく。
その先にあった扉も取っ手がなかった。
「ここも指紋認証?」
「いや、ここは鍵を開けて開くだけ」
壁にある鍵穴に黒い鍵を差し込んで回すと、奥の方でガチャンと鈍い音がした。
取っ手も窪みも無い扉に手を当てる。
ほぼ真っ平らな扉にバキンとヒビが入って指が食い込み、そのまま引くと厚さ10センチほどの扉がゆっくりと開いた。
「力づくって訳だね。ヒビはどうするの?」
「直す」
手を離すと、ヒビが入った時の小石や砂が逆再生の様に戻っていく。
数秒もしないうちに扉は元の形に戻った。
「証拠隠滅か。楽で良いね」
「結構体力使うんだよ。楽じゃない」
中に入るとひとりでに扉が閉まる。
その部屋には何も無かった。
見た目で何も無いというわけではなく、音は無いが静かな訳でもなく、温度も無いが寒くも暑くもない。光も光源は無いのに全体が仄暗く光っている気がする。
まるで此処だけが世界と切り離されているような感覚に陥ってしまいそうな不思議な部屋。
「随分と…殺風景だね」
「無理して感想を述べないでいい。強いて言えば何も無いだが、光の屈折をいじってるだけで実際は存在する」
式部が空中の“何か”に触れると、四角い箱が出てきた。
それに連鎖するように棚、机、本などが現れる。
「おー、マジックかな?」
「どっちかっていうと魔法だな」
太宰は現れた椅子に腰掛ける。サイズも丁度良い。
「昔から使ってる部屋だ。結構古い家具が多いな」
所々に細かいキズが付いているのを撫でながら言う。
「いやいや、多分今売ったら結構な価値のあるものだよ。アンティークだね」
「そうか。唯の傷物だが欲しいなら今度やろう」
「遠慮なく売り捌くよ」
「勝手にしろ」
そう言って壁側にある大きな金庫の南京錠を開ける。
鍵を外して軽く引くと、中には紫色の空間があった。
「それって異空間?」
「その応用。俺の血液保管室」
手を入れると、中から赤い液体の入った容器が出てくる。
「昔からこのよく分からない血液型は変わらなくてな。輸血のしようがないから自分で血液バンクを作った」
奥にある紐を引っ張ると、それにくっついて更に赤い液体の入った容器が出てくる。
「成る程、異空間では時間も温度も空気も無いから保管にはうってつけって訳か」
「そういう事だ。この部屋にあるのはこの血液と家具、それとその日記位だな」
机の上に置いてある本を指して言う。
「日記?」
手に取って表紙を撫でる。
「俺の半生が綴ってある。1つ前の時の…朧のな」
「おぼろ?」
一瞬読みと漢字が繋がらなかったが、少ししてあぁ、と納得したように頷く。
「あの正体不明の殺し屋だね。前世なんだ」
「言い方が気に入らないがそういう事だ。読みたいなら勝手に読め」
「では遠慮なく」
黒い革で綴じられた異様に分厚い日記を手に取り、太宰は静かにページをめくった。
- Re: ※文スト二次創作※ 〜紫眼に惹かれて現世を〜 ( No.97 )
- 日時: 2017/06/08 17:39
- 名前: ぴろん (ID: XL8ucf75)
64間目
慌ただしい足音が駆け回る。
外では季節外れの雪が舞い、薄暗いどんよりとした空気がまとわりつく。
「太宰、行くぞ。他の者を連れて来い」
「はいはい。呼ぶのは敦くんと谷崎君、あとは…」
「私です!行きます!」
納言がピョンピョンと跳ねて主張する。
「うーん、指名されてたっけ?」
「されていない。連れて行くのは良く無いだろう」
「でも、行ってはいけないなんて言われてないんですよね?」
「まぁそうだけどさ」
太宰は一枚の紙切れを手に取る。
差出人は文字で分かる。最近はこれに関する話題で持ちきりだ。
紙切れには何時も通り達筆な字でこう書かれていた。
〈探偵社に依頼する。探偵社が調査中である組織を壊滅させて欲しい。場所は国木田が知っている。精鋭は太宰、国木田、中島、谷崎を所望する。今日中に頼む〉
何時も通り不躾な文章で依頼文が書かれていた。
同封で多額の依頼料も受け取ってしまったが、送り返すにも住所が不定のため不可能。よって、今回もあの少女に振り回されることになってしまった。
「おにーちゃんは駄目な時は駄目って言うんです。誰かを連れてきてはいけないって書いてないなら、最低限その人数は連れて来なきゃ駄目って事ですよ」
「うーん、どうする?国木田君」
「万が一に備え、探偵社には賢治を置いて行く。与謝野先生は申し訳ないですが付いて来て貰います」
そう言って治療道具を手入れする与謝野を見る。
「妾は何時でも行けるよ。それに、納言を連れて行くなら鏡花も行くだろう?」
「うん。絶対に守る」
仕込み刀を握り締めて言う。
「了解した。賢治、お前は…」
「賢治も連れて行け」
先程まで興味無さそうに団子を弄っていた乱歩が言う。
「敵は此処まで来ない。万が一にも有り得ないよ」
「乱歩さん、ですが…」
「僕の推理が間違っているって言うの?」
鋭い瞳が国木田を見据える。
「まぁ、何かあったら連絡するからね。お財布持って行っておいて」
「財布ですか。分かりました」
首を傾げながら国木田は財布を持っていることを確認する。
「行って参ります」
「敵を見失わないようにね」
そう言って団子を口に放り込んだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
薄暗い路地を抜け、瓦礫の前に立つ。
軽く辺りを見回してから丁度良い高台に登り、無造作に座る。
脚本は化け物。出演者は唯の駒。
「さてと、どう出るか…」
小さな化け物は形を変えながら呟く。
太陽は傾き始めている。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ガガガガガッ!
盾にした瓦礫に銃弾が減り込む。
「おい太宰!外の見張りは2人だったんじゃないのか!」
「2人じゃないか。後ろの奴らは屋内から出て来たのだよ」
「どど、どうするんですか?!」
敦が焦った声で言う。
「こう言う時のための谷崎君だよ。ほら、てんで的外れな方向を撃ち始めた」
谷崎も焦った声で話す。
「さっきのは当て勘で撃ってたって事ですか?それにしては正確でしたけど…」
「あぁ、それはね」
太宰が目線を廃屋に向ける。
目線の先では、背の高い大柄の男が少年に向かって何やら怒鳴っていた。
この間ボスらしき男と一緒にいた者だ。
「温度を感知する異能力者だ。彼の指示が無いから撃つ方向が分からないのだよ」
「成る程…じゃあ、あの怒鳴られてる子には感謝ですね」
「一時的にね」
そう言って目線を戻す。
「さて、ここは正面突破と行こうか。賢治君、与謝野先生、頼みますよ」
「了解です!」
「任しときな」
賢治が敵の目の前に駆けていく。勿論谷崎の異能力で不可視済みだ。
雪の降っている此処は、谷崎の異能にとって有利な状況である。
「よーいしょっ!」
賢治が近くにあった瓦礫を持ち上げる。
「気をつけて下さーいっ!」
ガシャアン!!
派手な音と土煙を撒き散らし、敵ごと瓦礫を吹っ飛ばす。
吹き飛んだ雑魚達を与謝野が切り刻む。
「よし、行くぞ!」
国木田の声を合図に全員が走り出した。
「屋内には異能力者がいる筈だ。作戦通りやるよ、敦君!」
「了解です!」
開いた扉から二手に別れて入っていく。
屋外の者達は与謝野と賢治。二手に分かれた片方は太宰、国木田、敦の対異能力部隊。もう片方は谷崎、鏡花、納言の潜入部隊だ。
谷崎達は異能を駆使して奥へと潜入していく。
「…あれ、今の人と目が合いませんでしたか?」
「え、怖い事言わないでよ納言ちゃん…」
谷崎が引き攣った表情になる。
「納言、今の奴さっき外で見た」
「ですよね!なんか小さい人に怒鳴ってた…」
男は徐に無線機を取り出し、何かを連絡する。
と、直ぐに遠くから大量の足音が聞こえ始めた。
「これってもしかして…」
「バレてますね!」
満面の笑みで納言が言う。
「逃げるよ!」
3人が谷崎の声と共に走り出したのと同時に銃弾が飛んでくる。
「ど、どうすれば…!」
「取り敢えず隠れましょう!」
三人は慌ただしく物陰へ転がり込んだ。
「ど、どうしましょう!」
「狼狽えるな!」
国木田が目の前の痩せた男を睨む。
「唯の鎖だ。焦らず避けろ!」
「そうですけど…!ってうわぁっ!」
うねる鎖を横に飛んで避ける。
「渋といなぁ、さっさと捕まっておくれよ」
男が鎖を振るうと、意志を持った蛇のようにグネリと曲がりくねる。
「情報だけは持っていたが、鎖を操る異能者とは…」
「ほらほら国木田君!横来てるよ!」
「くそっ!」
悪態をつきながら姿勢を低くする。
「何をしているのだ太宰!貴様も来い!」
「えぇ〜?だって私じゃ避けられないし、敦君も頑張っているじゃないか。私はもう少し君達の勇姿を見ているよ」
「巫山戯るな!」
「ほら来てるよ!避けて避けて!」
鎖は正確に足元を狙って来る。
「奥の奴は無効化だから狙わないんだよね。鎖は実体だから巻けるんだけど」
「成る程、じゃあこの前私の足を縛ったのは君だったのか。いやぁ焦ったよあの時は。式部ちゃんも死んじゃうし」
「結局あの子死んだんだ。もっと強いかと思ってたのに、つまんないね」
鎖を操りながら欠伸をする。
「探偵社も思ったより手応えないや。何か面白い事無いかなぁ」
「困ったねぇ」
適当に相槌を打ちながら開けっ放しの扉を見る。外では賢治と与謝野が足止め中だ。
瓦礫が吹き飛ぶ外を見て、太宰は違和感を感じる。
さっきの怒鳴られていた少年がいない。角度的に見えていないだけ?いや、あの辺はさっき瓦礫が降ってたから潰されたのかな。他の人は全員避けてたけど…
カチャ
太宰の背後から金属の噛み合う音が聞こえた。人工的な、冷たい金属の…
反射的に振り向く。
「う、動くな!」
先程の怒鳴られていた少年が、此方に銃口を向けていた。
「太宰さん!」
「おっと、余所見は駄目だよ」
助けようとする敦の目の前を鎖が阻む。
「成る程…凄いね君。気付かなかったよ」
「て、敵に褒められても嬉しく無い」
至近距離で小刻みに震える銃口は、確実に太宰の眉間を捉えていた。
「良くやったぞ、新入り。そのままそいつの頭を吹き飛ばせ」
「…はい」
震える指が引き金にかかる。
あぁ、きっとこの少年は、始めて人を殺すのだ。辿々しい手付きがそう感じさせる。
「此処で君に殺されて死ぬのも…意外と悪く無いかもね」
誰にも聞こえないような小さな声で呟く。
その直後、鎖の音に混じって大きな銃声が響いた。
- Re: ※文スト二次創作※ 〜紫眼に惹かれて現世を〜 ( No.98 )
- 日時: 2017/06/14 07:31
- 名前: ぴろん (ID: jWLR8WQp)
65間目
「くそっ!どうなっている!」
周りの男達が次々と倒れて行く。
「こいつの異能は映像を上書きするものだろう!何故見えない!」
大男は焦りと恐怖の混じった声で叫ぶ。
数秒後、男はヒステリックに絶叫しながら床に倒れ伏した。
それを見てから3人は物陰から出る。
「いやぁ、納言ちゃん頭良いね。確かに夜叉白雪なら温度が無いから見つからないし、攻撃手段として最適だったよ」
「いえいえ、ちょっとした思いつきですから!上手くいって良かったです」
「敵は殲滅した。けど、峰打ちだから直ぐ起き上がるかも」
「有難う御座います鏡花さん!先へ急ぎましょう!」
三人は更に奥へと走って行った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
大きな銃声と共に男が倒れる。
同時に敦達を襲っていた鎖の動きが止まった。
「な、何を…!」
「やる気を出さないこいつが悪い」
男がもがきながら力尽きて倒れたのを見てから、冷めた目をした少年は残りの銃弾を床に撃ってからその場に拳銃を投げ捨てる。
「あー、もしかして君、式部ちゃん?」
「潜入方法に迷ってな。隙を作ってやったんだから感謝しろ」
普段の少女の姿に戻ってフードを被る。
「え?何が起きたんですか?」
状況を掴めない敦が困惑し、国木田が横で溜息を吐く。
「名演技だっただろ。昔を思い出す」
「来るなら先に言ってよね。式部ちゃんが来るなら私達いらないでしょ?」
「必要だから呼んだ。律儀に全員で来たな」
「納言ちゃんが言うからねぇ」
詰まらなそうに言って国木田達の方を向く。
「門番は倒したし、谷崎君達の所に行くよ。式部ちゃんは着いてこないでしょ」
「さぁな」
曖昧な返事をしてその場に座り込む。
「…何だったんですか?」
「さぁね、きっと暇潰しだよ。さ、ピンチかもしれないし早く行こ〜」
鼻唄を歌いながら階段を1つ飛ばしで駆け上がって行った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「よし、此処だよね」
「見取り図では此処だった。開けたら銃弾が飛んでくるかも」
「あ、開けますよ…」
納言が緊張した面持ちで扉のノブに手をかける。
ギギィ…と音を立てながら大きな扉は開いた。
納言の横を銃弾が掠める。
「ひゃあっ!」
「大丈夫?!」
慌てて谷崎が駆け寄る。
「だ、大丈夫です。ビックリしただけで…」
そう言いながら扉の奥を見る。
大きな椅子に如何にも高級そうな衣服を身に纏った男が座っている。その横には銃で武装した数人の男と…
「国木田さん?!」
「何で…!」
国木田が後ろ手で縛られていた。
扉の直ぐ近くには太宰と敦が機を伺っている。
「お、やっと来たね。悪いけど大ピンチだ」
太宰が此方を見て苦笑する。
「どうやら前に来た時に異能にかかってしまっていた様でね」
「異能って、水を操るっていう?」
「そう、それ。全く…迂闊に踏み込むなっていっつも言ってるのはくにきぃだ君なのにねぇ」
「ぐっ…」
太宰にニヤニヤしながら妙なイントネーションで言われるが、何も言い返せずに俯く。
「いざという時の為に気化させた水をこの部屋に充満させていたのだ。上手くかかってくれたみたいだな」
椅子に座った男が偉そうに言う。
「さて、探偵社諸君。君達が来ることは想定済みだ。異能力も把握している」
そう言って手帳を見せる。国木田のものだ。
「君達も良く調べた様だが、そんな物では私には勝てんよ。優秀な情報屋を雇っているからな」
「此方も優秀な情報屋だったけどねぇ」
「あのぅ…」
納言が扉の隙間から顔を出す。
「ん?何だこいつは。情報に無いぞ」
「わ、私も知りません」
男の横に立っていた者が慌てて首を振る。どうやら納言の情報は持っていない様だ。
扉に隠れたまま納言は続ける。
「その情報屋の名前ってもしかして“Violet”ですか?」
短い英単語を流暢に口にする。
途端、男の顔は青ざめる。
「な、何故その名前を…!」
「あー、やっぱりそうでしたか。いきなりの質問すみません」
「納言ちゃん何か知ってるの?」
敦が不思議そうにで尋ねる。
納言は、少し苦笑しながら答えた。
「おにーちゃん、紫色好きなんですよ」
そう言った瞬間、納言が隠れていた扉が大きく開く。
「うわっ!」
扉に寄りかかっていた谷崎がよろけ、同じ体制をしていた鏡花も同時によろける。
「人の個人情報を勝手にバラすな」
「おにーちゃん!」
黒色のコートに紫色のマフラー。服装は変わらないが背丈が高い。大人の姿になっているようだ。
「あれ、結局来たの」
「うるさい。元々こいつが目的だ」
男が国木田に拳銃を向けるが、無視して部屋へズカズカと入っていく。
「おい!こいつを撃つぞ!」
「勝手にしろ。俺の知った事じゃあない」
「何言って…」
男が言い終わる前に式部は国木田の腕に注射器を突き刺す。
「っ…?!」
「黙ってろ、直ぐ終わる」
少量の血液と共に黒い液体を抜き取ってから小さなガーゼを貼り、縛っていた縄を外す。
「さっさと離れてろ。汚れるぞ」
「あ、あぁ」
国木田は腕が動くのを不思議そうに確認しながら言われた通り離れる。
「な、何故…」
「何故って、抜きとりゃ良いだろ水くらい。そんなことも分からねぇのか」
そう言いながらあの大きな鎌を出す。
「納言、目ぇ瞑ってろ」
「はーい!」
納言は言われた通りに目を瞑り、手探りで扉から離れる。
「貴様何者だ!」
「情報屋の“Violet”って言えば分かるか?」
「そ、そんな見え透いた嘘を吐くな!」
「嘘じゃない。ついでにお前には罪がある」
そう言って男の首に鎌を突きつける。
周りの男達の銃口が一斉に式部に向く。
「反応が遅い。適当な捨て駒ばかり付けるからだ」
向けられた銃は縦に真っ二つに割れていた。
「なっ…!」
「用があるのはこいつだけだ。死にたくなきゃ尻尾巻いて帰れ」
式部が殺気を放つと、男達は小さく悲鳴を上げて逃げて行った。
「な、何ですか今の…」
敦も震えながら問う。
「さぁ…ただ、なんでかは知らないけど怒ってるのは確かだね」
太宰は余裕そうに笑いながら答えた。
前よりは加減してるなぁ…全く、何を仕出かすのやら。
男は式部を睨む。
「貴様みたいな奴に殺されてたまるか!」
「じゃあ逃げてみろ」
そう言うと男はニヤリと笑い、ポケットから手を出した。
- Re: ※文スト二次創作※ 〜紫眼に惹かれて現世を〜 ( No.99 )
- 日時: 2017/06/14 20:40
- 名前: ワクワクさん (ID: 80kMZFUh)
ワクワクさんです
お、面白いです!頑張って下さい、文豪は自分も目を通してるんでこうした二次創作は面白く読めます!ありがとうございますっ!気が向いたらでいいんで自分の「魔法少女リリカルなのは fateの人達が娯楽」を目を通してコメントして下さったら嬉しいです!
- Re: ※文スト二次創作※ 〜紫眼に惹かれて現世を〜 ( No.100 )
- 日時: 2017/06/15 16:25
- 名前: ぴろん (ID: HPUPQ/yK)
ワクワク様、初めまして!
ぴろんと申します。
此方こそ、御読み下さり有難う御座います!
更に加えて斯様なお言葉を頂けるなんて…
嬉しいやら何やらで身体をくねらせよじらせ捩じ切れそうです!
『fate』はゲーム作品でしたら未熟ですがやっておりますので、喜んで拝見させて頂きます。
最後になりましたが、コメントして下さり有難う御座います。
張り切って執筆致します!
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30