二次創作小説(紙ほか)
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- ※文スト二次創作※ 〜紫眼に惹かれて現世を〜
- 日時: 2021/09/10 03:28
- 名前: ぴろん (ID: XL8ucf75)
初めまして。カキコ初見のぴろんと申します。
初投稿ですので何かと至らぬ点も御座いますが、生温かい目で見守って下さると助かります。
コメントや物語に関する質問などは何時でも受け付けておりますので遠慮なくコメントしていって下さい!
※注意
・この小説は作者の完全なる二次創作です。御本家様とは全く関係がありませんのでご了承下さい。
・登場人物の異能など説明不足の部分が多々あります。その場合は御本家様、文豪ストレイドッグスの漫画1〜10巻、小説1〜4巻を全て読んで頂けるとより分かりやすく楽しめると思われます。
・作者の勝手な解釈で作っておりますので、良く分からない表現や言葉等があった時はコメントで質問をして下さい。読者の皆様方が分かりやすく楽しめる小説作りをする為の参考にさせて頂きます。
・此処では二次創作小説の連載を行なっております。リクエスト等にはお答えできませんのでご理解頂けると幸いです。
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2018/01/27 閲覧数2000突破!こ、これは…夢でしょうか…?!本当に、心から感謝致します!!
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2018/03/28 閲覧数2300突破!ありがとうございます…!!!
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2018/06/02 閲覧数2800突破!間に合わなくてすみません。有難う御座います!
2018/06/29 閲覧数3000突破!え、あの、ごめんなさい!有難う御座います!なんかします!
2021/09/10 閲覧数7000突破!有難う御座います。恐らく更新はありませんが、楽しんでいただけたなら幸いです。
何時の間にか返信数も100突破です。有難う御座います!
2017/06/30 本編完結。今後とも宜しくお願い致します。
- Re: ※文スト二次創作※ 〜紫眼に惹かれて現世を〜 ( No.71 )
- 日時: 2017/04/16 13:43
- 名前: ぴろん (ID: XL8ucf75)
42間目
照明も窓も一切無く、あるのは階段と悪臭のみ。靴音と服の擦れる音が妙に大きく聞こえた。
階段が終わって小さな部屋に出る。
そこは、両脇に鉄格子が嵌められた監禁場所だった。
「此処には銃痕が無いな。誰も入らなかったのか」
特に何も置いていないこの部屋を一応調べる。
と、1つだけ切られている鉄格子があった。
切断口はどれ程の斬れ味を持つ刃物でも不可能だと思われるほど綺麗だった。
出る時には恐怖があり、戻った時には記憶が無い…式部にとってはそんな場所だった。
他の鉄格子の奥には、遥か昔に放置されたと思われる白骨死体が転がっている。
暫く調べてから階段をのぼり、部屋を出る。
「…随分前に壊滅したみたいだが手掛かりがないという事は、生き残りがいるという事か。厄介な依頼だ」
深く溜息を吐く。
「私に協力出来る事があったら何でもお申し付け下さい」
「あぁ、頼む」
国木田は何か考え事をしながら返事をする。
視界が霞み、足元がふらつく。もう限界か。
「国木田さん、お忘れ物はありませんか?」
精一杯優しい声で言う。
「あぁ、特に無い」
式部は小さく深呼吸をし、そのままの声で微笑みながら言う。
「今日は私の暇潰しにお付き合い頂き有難う御座いました。懐中電灯は返却しないで結構です。またお会いしましょう、国木田さん」
そう言い切った瞬間、国木田が消える。
車の前まで移動させたのだ。
それに続いて式部も特務科に移動する。
ガシャンッ!
疲労の所為か目測を誤ってパイプ椅子の上に落ちる。
「うぎゃあっ!」
謎の悲鳴がした方を見ると、着替え途中の辻村が立っていた。
「い、いきなり入って来ないで下さい!ビックリしたぁ…」
溜息を吐きながら着替える。
一方パイプ椅子の背もたれにみぞおちを強打した式部は、貧血も合わさってそのままの体勢で動けないでいた。
端から見れば確実に死体である。
「だ、大丈夫…ですか?」
着替え終わった辻村がそーっと覗き込む。
式部はピクリとも動かない。
暫く観察していると咳き込みながら体勢を起こしてその場に座り込み、子供の姿に戻る。
「ゲホッ…」
注射器を取り出し、首筋に突き刺す。
「うぇえ?!い、痛く無いんですか?!」
辻村が自分の首を押さえながら言う。
「うるさい」
ジロリと辻村を見る。
「はぁ…暇潰しのつもりが…」
解けて床に落ちたハンカチを拾ってたたむ。
緩くなった包帯の端を引っ張って何時もの姿に戻った。
コンコン
「辻村君、もう終わりましたか」
「あ、はい!」
急いで扉を開ける。
「全く、君が着替えたいと言うから出ていてあげたのですよ?着替え終わったらさっさと開けて…」
式部を見て説教が止まる。
「ちゃんと着替えて下さい。それと少し話す事があるので終わったら僕の部屋に」
早口で言って部屋を出る。
式部は何も話さずに座り込んでいる。
「着替え取ってきましょうか?」
「洗濯中」
「あ、そうですか…」
いつの間にか出てきたタッパーからラズベリーを1つ取って食べる。
「いるか?」
「あ、じゃあ頂きます」
辻村も1つつまんで食べる。
「こんな時間にオヤツですか?」
「夕飯」
タッパーが消える。
式部が立ち上がると、直ぐ近くにコートとマフラーが出てくる。
取り敢えずそれだけ羽織ってマフラーを巻き、部屋を出る。
「…あの、今度ご飯作りましょうか?」
辻村が心配そうに言う。
「小食なんだ。気にするな」
安吾の部屋の扉を開け、式部だけが入る。
安吾は式部の格好を見て露骨に嫌そうな顔をする。
「またその格好ですか」
「洗濯中」
パイプ椅子に座りながら言う。
「…太宰、幼稚な遊びはやめろ」
式部がそう言うと、安吾の後ろからはーいと声が聞こえる。
「完璧に隠れてた筈なんだけどなぁ」
「今度やる時は気配を殺せ」
「難しい要求されるね」
ヘラヘラと笑いながら言う。
「これは返した方が良いか?」
懐からアンテナのついた黒い物を取り出して言う。
「おや、気付いてたのかい」
「当たり前だろ。別に聞かれて困るような事は言ってないし」
「そうだねぇ、国木田君をいじるネタが増えただけだ。君は全くボロを出さないし」
まぁ良いけど。と言いながらつけていたイヤホンのコードをくるくると指に巻く。
太宰はそのまま近くの壁に寄りかかって立つ。
「で、話は?」
安吾を見ながら言う。
「君の役割についてです。このままのペースで仕事をやられると僕の身が持たないので変更します」
机の上から1枚の書類を取り、式部に渡す。す
「ここで正式に働いてもらいます。仕事は1番面倒なのを回すので安心して下さい」
渡された書類には仕事の手伝いとして此処に居座る事、職員の願いを出来るだけ聞く事、他の者の迷惑にならないようにする事などが書かれていた。
「…規則は嫌いなんだが」
「守って下さい」
安吾は冷たい笑みを浮かべて言う。
「それと太宰君に聞いたのですが、料理得意なんですか?」
「人並みに」
興味無さそうに答える。
「では給仕係もお願いします。残念な事に此処には料理の得意な人はいないんです。外食かコンビニ弁当しか食べないので」
「私出来ますよ!」
扉の外から辻村の声が聞こえる。
「…野菜炒めは料理の範疇に入りません」
溜息混じりの声で答える。
「取り敢えず今日から頼みますね。丁度お腹が減ってる人が多いので」
そう言って安吾は仕事に戻る。
「辻村君、給仕室の案内をお願いします」
「わ、私ですか?でもあそこは…」
「お願いします」
式部が外に出ると辻村が立っていた。
「こちらです」
何故か緊張した足取りで進み、給仕室を開けた。
- Re: ※文スト二次創作※ 〜紫眼に惹かれて現世を〜 ( No.72 )
- 日時: 2017/04/21 20:07
- 名前: ぴろん (ID: XL8ucf75)
43間目
「こんな感じなんですけど…」
開け放った扉の先は、全くと言っていい程掃除の行き届いていない埃だらけの薄暗い部屋だった。
ガスコンロや調理台、シンクに至るまで使われた痕跡は無く、ただ埃を被っている。
置いてある調理器具も包丁が2つと鍋とフライパンが1つずつ。菜箸とボウルと無駄に多い食器類。
冷蔵庫の中身はほとんど入っておらず、冷凍庫にも賞味期限間近の冷凍うどんが入っているだけだ。
「…此処で作れと?」
「ごめんなさい、本当にごめんなさい」
呪文のように謝り続ける。
式部は小さく溜息を吐く。
「路地裏の方で作ってくる。食材は貰うぞ」
そう言って姿を消す。
辻村はそーっと部屋を出て安吾の部屋に入る。
「路地裏で作ってくるそうです…」
「まぁそうなりますよね」
書類を整理する手を止めずに言う。
「次から食材費は経費で落とします。今回は止むを得ませんので太宰君も食べていって結構ですよ」
「助かるなぁ」
うふふと笑いながら言う。
この人、完全にご飯目当てで残ってたな…
辻村は心の中でそう思いつつも口には出さない。ただ冷ややかな視線を送るだけだ。
それに慣れている太宰は笑顔で受け流す。
「見てないで手伝ってくれませんか?」
「応援なら出来るよ!」
「いりません」
たまにそんな会話をしながら仕事をする。
「そういえば他の職員さんは先にご飯食べちゃったりしないの?」
「全員にお伝え済みです。それでも用事があった方は帰っていますが」
辻村が得意気に言う。
「食事関係の事ではミスはしませんから」
安吾がボソリと付け足す。
「な、なんですか!まるで私が食い意地を張っているみたいな…」
「えぇその通りです」
その言葉がグサリと胸に刺さる。
と、式部が戻ってきた。既に大人の姿に戻っており、髪を後ろで1つにまとめている。
「おかえり〜」
太宰がニコニコ顔で言う。
「どこに置けばいい」
「そこの机でお願いします」
目の前の机を指差す。
「冷蔵庫の中身使ったから簡単な鍋うどんになったけど、文句言うなよ」
3人分のうどんが現れる。
「あと食器も勝手に使った。俺のとこには1人分しかないからな」
そう言って幾つかのうどんを持って部屋を出て行く。他の職員に届けに行ったのだろう。
太宰は既にうどんの前に座っていた。
「いただきまーす」
箸を持って麺をツルツルとすする。
辻村も椅子に座り、箸を持つ。
「いただきます!」
上に乗っていた揚げをパクリと食べる。
「美味しいっ!何これ…!」
2人の様子を見て安吾は書類を置き、うどんの前に座る。
「いただきます」
無言で食べていく。
「ねぇ安吾」
「何です」
「あの吊り目の子と大きい人はどこ?」
「式部さんがいるので護衛は少なくても平気です。今は休暇届を出して出掛けています」
食べる手を止めずに言う。
「坂口先輩、式部さんってどれ位危険なんですか?」
「特1級危険異能者だと言ったでしょう」
ムッとした顔で言う。
「あ、いえ。そうではなくて…」
少し焦り気味に訂正する。
「今まで見た限りは瞬間移動と映像投下、あと年齢の操作位しか分からないのですが」
その言葉に安吾は溜息を吐く。
「式部さんの異能は偶に暴走します。それが危険なんです」
「えーと…どれ位でしょうか?」
辻村の問いに太宰が答える。
「島1つ消し飛ばす位。もっと言えばこの街の人を1人残らず殺せるね」
「えぇ?!」
うどんの汁をこぼしそうになる。
「…4年前、この辺りで大きな山火事があったでしょう?」
「何十人という人が亡くなってしまったっていうあの山火事ですか?」
安吾は小さく頷く。
「火を放ったのは私達、特務課です」
「えぇ?!」
椅子がガタンと音を鳴らす。
「あの時は式部さんが山の頂上で暴走しました。ほんの数分だったので被害はまだ少なかったですが、あと少し伸びていたら危なかったですね」
「何それ私も知らない」
モグモグと口を動かしながら言う。
「あの時は知っている顔、まぁ私が見えたから一瞬だけ自我が戻ったそうで、その瞬間に咄嗟に自分の腹部を掻き切って気絶したそうです」
「うわー、凄いことするねぇ」
「それで事態の露見防ぐ為に山に火を…?」
辻村は信じられないといった顔だ。
「えぇ、勿論息のあるものは連れ帰りましたよ。その後に事情聴取を行ったのですが、誰にやられたかと聞くと全員が口を揃えていうんです」
「“死神”に殺された」
扉の方から声がする。
「そうだろ?」
式部が戻って来ていた。
「あの時は確か知り合いが死んだすぐ後だったから良い場所が思いつかなくてな。悪い事をした」
思い出すように遠くを見る。
「あの時は僕と式部さんの2年振りの再会でしたね。あの頃は2年おきの暴走でしたし気づきませんでした」
「ズルい!そんな面白そうな事があったなら教えてくれれば良かったのにぃ」
器を傾けて汁を飲む。
「あの時太宰君は隠れていましたから」
「ちぇっ」
空になった器を置く。
「あ、ごちそうさま」
太宰が式部に向かって笑いながら言う。
空の器が消え、代わりにお茶が置かれる。
「便利ですね」
「使い方によっては人も殺す。刃物みたいな物だ」
そう言って懐から小さなナイフを取り出す。
「君みたいな人がいるから特務科の警備はザルだと言われるんですよ。さっさと処分したいくらいです」
「すれば良いじゃねぇか。出来るならな」
式部の手には拳銃。辻村の物だ。
「な、何で…!」
「返す」
ポイッと投げて渡す。
「異能を使えば何でもできる。俺の異能は空間を操る能力だ。空間があるならそこは俺の自由に出来る縄張りになる」
手の上に林檎が乗る。
式部は持っていたナイフでその皮をシュルシュルと剥いていく。剥いた皮は見えない空間に消えていった。
皮の剥かれた林檎は手の上でスパンと切れ、何時の間にか出てきていた器に入る。
特に何も言わずに机の上に置くと、太宰がパクリと食べた。
「で、一応聞くけど…辻村、酒強いか?」
「え?私ですか?」
少し考えてから答える。
「あまり得意では無いです」
「考えないでも分かるでしょう」
安吾がズバッと言う。
「参ったな…じゃあ飲み比べは出来ないか」
「え、何?お酒?」
太宰が目を輝かせて言う。
「貢物だ。大分溜まってるから消費する」
机の上にズラリと酒瓶が並ぶ。
「おぉ〜!ね、これ全部タダ?」
「当たり前だろ」
「じゃあ私飲む!」
飲みかけのお茶を横にどかす。
「何杯飲める?」
「日本酒8杯なら余裕かな」
「太宰君そんなにお酒強かったんですか?」
「そこそこだよ」
ニヤリと笑いながら言う。
確実にタダ酒を狙う目だ。
「思ったより少ないな…」
「式部ちゃんは何杯?」
「腹が膨れるまで」
「何それ怖い」
そう言った太宰の前に日本酒の酒瓶が8本と、大き目のグラスが置かれた。
「へ?私8杯って…」
「8杯だろ」
式部は違う所から日本酒を1瓶取り出して自分のグラスに注ぐ。
「何だ?もう少し飲めるか」
ゴトゴトという音と共に3本追加される。
「…あのさ、式部ちゃんの1杯ってこれ?」
苦笑いを浮かべながら酒瓶を持ち上げる。
「当たり前だろ。一升瓶一杯」
水のように酒を飲み干す式部を見て3人は冷や汗をかく。
物の数分で1瓶を飲み干し、小さめのボトルを出す。
「あ、私そっちのサイズのが良いなぁ」
「良いけど少しキツイぞ」
嫌な予感。
太宰は受け取ってラベルを見る。
〈アルコール度数47℃〉
「苦手だったか?」
「…あの、私そんなにお酒強くなかったや。あはは」
棒読みで言って酒瓶をそーっと返す。
「2本だけ貰ってくね」
ちゃっかりタダ酒を貰うのも忘れない。
「そうか。安吾は強く無いしな…」
チラリと見られた安吾はピクリと肩を揺らしてそーっと視線を逸らしながら言う。
「ごちそうさまでした」
うどんの入っていた器を置き、仕事に戻る。
「私もごちそうさまでした」
辻村が手を合わせて言う。
式部はそれを見ながらお酒を注ぎ、子供がジュースを飲み干すかのようにゴクゴクと飲む。
端から見れば水を飲んでいるように見えるが、ラベルを見るとこれまたかなり度数が高い。
「因みに式部さん、どれ位お飲みになるんです?」
おずおずとした口調で辻村が問う。
「飲み過ぎは良くないからな。月に多くて4回。飲まない時は飲まない」
小さなボトルの酒も飲み干す。
「腹一杯まで飲むとしたら…1回に飲む量は20から30杯。一升瓶だけの時は15杯位が限度だな」
「その間の記憶が無かったり目眩がしたり呂律が回らなくなったりとかは…」
「何だその病気。医者に診て貰った方が良いな」
「…二日酔いってなります?」
「迷信だろ」
その言葉を聞いた3人の心は一致した。
化け物だ。
「今度与謝野先生と飲み比べしてみてよ!きっと良い勝負になるよ?」
「呑む機会が無いな」
「作るからさ!ね?」
太宰がニコニコ顔で言う。
その笑顔の裏に楽しそうと言う言葉を隠しているのが、辻村でもよくわかった。
- Re: ※文スト二次創作※ 〜紫眼に惹かれて現世を〜 ( No.73 )
- 日時: 2017/04/24 19:00
- 名前: 真珠を売る星 (ID: 9E/MipmP)
おっ久しぶりです!!
大人式部ちゃんがかなり登場していてとっても素敵でした、私としてはひたすらに嬉しい限りです!
相変わらずの人離れっぷり、お見事!(?)式部ちゃんVS与謝野先生かあ、面白そうですけど同時に滅茶苦茶怖そうですね。楽しそう!(はたから見ている分には) そしてもしもその場に国木田さんがいたら卒倒しそうですね!
国木田さんは本当に(本当にここでも)不憫ですね……
辻村さんとちょっと話が合いそうな……でもきっと飲んでいるうちに説教に変わっていそうな……
太宰さんやら綾辻さんやらにいいように遊ばれている者同士として、苦労話で盛り上がりそう……?
……すみません、独り言です。
国木田さんのかわいそうなその後と大人式部ちゃんと与謝野先生のガチンコ飲み比べが実現することをひそかな楽しみにしつつ、これからも応援しています!
面白いお話、今回もありがとうございました!
- Re: ※文スト二次創作※ 〜紫眼に惹かれて現世を〜 ( No.74 )
- 日時: 2017/04/24 20:51
- 名前: ぴろん (ID: XL8ucf75)
真珠様お久しぶりです!
大人式部ちゃん良いですよね…!
自分で書いていてたまに「あれ、女の人なのにイケメン過ぎた…」とか思ってます(´・ω・)
国木田さんと辻村さんは唯々不憫な感じですので同情します。
自分的には国木田さんと中也さん辺りで飲み会したら結構盛り上がると思います。
式部ちゃんは兎に角欠点が無い!というのを意識して書いているので、お酒もとてつもなく強いということになってます。
酔ったりしないので恐らく与謝野さんより強いですね。
今度飲み比べさせてみます!
裏話を致しますと、書き溜めているこの小説も下書きは最後まで書けたのです!
ここから少しずつ修正を入れつつ投稿しつつ…という感じで進めていきますが、投稿ペースは上がるんじゃないかなぁと思っております。
次回作を書き始める前に幾つか番外編を作ってみますね!
最後になりましたが、またまたまたまたコメント&優しいお言葉有難う御座いましたm(_ _)m
- Re: ※文スト二次創作※ 〜紫眼に惹かれて現世を〜 ( No.75 )
- 日時: 2017/04/28 19:17
- 名前: ぴろん (ID: XL8ucf75)
44間目
ピチャン…
地下に水音が反響する。
そして小さな靴音。
「かーごめ、かーごーめー♪」
少年の声。
「かーごのなーかのとーりぃは♪」
靴音が歌声の方に近づいて行く。
「いーつ、いーつ、でーやぁる♪」
靴音が止まる。
「後ろの正面だぁれ?♪」
カシャン
金属の鎖の音を響かせ、振り返る。
「初めましてだね。お兄さん」
跳ねるような声で言う。
「俺の方が歳下だ」
「本当?僕初めて自分より小さい子にあったよ!」
目をキラキラさせて喜ぶ。
彼の名は夢野 久作、別名Q。精神操作系の異能【ドグラ・マグラ】を使うため、ポートマフィアの地下牢に閉じ込められている。
「それにしてもどうやって来たの?森さんに開けてもらった?」
「自分で開けた。鴎外には何も言ってない」
もう1人の子供、式部はそう言って牢屋の前に座る。
「へぇ!凄いんだね!」
「別に普通」
「そうかなぁ」
Qは手錠で繋がれた手で頭を掻く。
「ところで、君は何で来たの?」
「その人形」
Qの横に置いてある人形を指差す。
継接ぎで片足しかなく、首にギプスを巻いている。如何にも呪われそうな外見だ。
「同じのを作ろうと思ってな」
「なんで?」
「暇潰し」
大き目の裁縫箱と布を取り出す。
「これからも来てくれる?」
「暇が出来たら来る」
手品のように色々な物をポンポンと出す。
「じゃあ握手しよ!」
鎖の長さ目一杯手を伸ばして言う。
式部は何も言わずに鉄格子の隙間に腕を入れ、その手を掴む。
ポタッ
鮮血が落ちる。
「あはは!」
Qの手は自分の血で赤く染まっていた。
「僕の異能は知ってる?僕を傷つけた人は身体の何処かに痣が浮かび上がる。呪いの印だよ。君は包帯だらけだから見えないけど」
Qの横の人形が狂気に満ちた声で笑い始める。
「退屈してたんだ。君はどんな狂気を見せてくれるの?」
その声と共に、人形は自分の身体を引きちぎった。
暫く沈黙が続く。
式部の目から赤い液体がどろりと滴る。
それは首筋に落ち、包帯を赤く染めていく。
「…へぇ、凄い景色だな」
何事も無かったかのように裁縫の準備を続ける。
「な、なんで…なんで何も起きないの…?」
驚いて目を見開く。
「その人形を作りたいって言っただろ。勝手に壊すな」
人形が消える。
式部の目から落ちていた赤い液体は消え、元通りになった人形がQの横に出てくる。
「この呪いを解くなんて…そんな事太宰さんしか出来ないのに…!」
「だからその太宰を使ったんだよ」
人形がいつの間にか式部の横に置かれる。
「あいつは今酒飲んで寝てるからな。アレの手に人形を当てれば良いんだろ?そんなの目を瞑っても出来る」
「でもどうやって…」
「それが俺の異能だ」
自分の頬に残った赤い液体を拭う。
「因みにお前の異能が効かなかったのはそれが俺の日常だから。何時もの景色がより鮮明になったってだけだから特に問題はない」
そう言って布を縫い始める。
カチャンッ!
金属の音が鳴り、鎖が落ちる。
「まぁなんだ、俺となら安心して遊べる。出て良いぞ」
Qを拘束していた手錠が外れ、鉄格子が開いた。
「本当に…?本当に君と遊べるの?」
「普通の子供の遊び方は知らん。俺が出来るのは裁縫と料理と手品くらいだ」
目を合わせずに言う。
「手品?どんなの?」
慎重に鉄格子から出て式部の前に座る。
「…こんなの」
式部は何も持っていない手を見せる。
その手を軽く握り、もう一度開く。
一輪の赤い薔薇が乗っていた。
「わぁっ!」
パアッと明るい顔で薔薇を受け取って横に置く。
「もっとやって!」
式部の手に自分の手を重ね、無理矢理握らせる。
「…開かないの?」
「やってみろ」
そーっと開くと、また同じように赤い薔薇が出てきた。
「凄い!今度は握らないで出してよ!」
式部は手を軽く振る。
すると、赤い薔薇の花束が現れる。
「綺麗!…あれ?コレは…」
Qは受け取った花束から一輪の薔薇を取る。
その一輪だけは他の深紅の薔薇とは違い、青色をしていた。
「この子だけ独りぼっちだよ」
「そうだな」
縫う手を止めずに言う。
「可哀想じゃないの?」
「あぁ、可哀想だ」
一輪の青い薔薇を手に取り、Qの髪に刺す。
「可哀想なら、大事にしろよ」
自分の耳の上にある薔薇を暫く触ってから、Qの顔は笑顔になった。
「うん!」
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