複雑・ファジー小説
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- IF=全国中学生能力者選手権編= 再開してみました。
- 日時: 2011/11/16 21:40
- 名前: 狒牙 (ID: tDghPMhC)
コメディ、ライトの方で違う名前で
違うもの書いてる者です。
えーと、ざっくりと説明するとですね、
闘いまくります。
そして今ちょっとしたピンチ、詳しくはこの>>0の下の方を見て下さい。
あと、大阪編と東京編に分かれて、同時進行します。
東京編書いたら大阪編って感じで。
メイン主人公が大阪編、メインストーリーが東京編だと
思ってください。
大阪編は東京編の一年前のストーリーです。
長編予定です。
ってなわけで、東京編行きまーす。
プロローグ
今朝起きたら、父親がいつも通り、新聞を読んでいた。
「早くしないと二年生の新学期早々遅刻よ」
キッチンから母さんの声が聞こえる。
ふと時計を見ると、七時半を指している。
「あっそ、入学式は八時半からだ」
朝食を取った俺はすぐに着替え、カバンを用意し、
八時十分ぐらいになるのを待った。
するといきなり、インターホンが鳴った。
「ターカシーン!まだかーーーーーー!」
白石の呼ぶ声が聞こえる。
どうやらシンスケも一緒にいるようだ。
「来るの早いんだよ」
ブーブー言いつつも、いつも通り学校に行く支度をする。
とりあえず、俺は外に出た。
四月だから、吹く風も心地よく、日差しも柔らかく、穏やかだ。
そして、超平凡な、この俺、高木新羅(たかぎ しんら)の
超非凡な物語が始まる。
今回だけ、大阪編も一緒にします。
プロローグ
大阪のある市立中学に通っている白山 後(しろやま こう)には、
もう一つの顔があった。
それは、芸能人としてのじぶんである。
そんな華々しい自分に、少なからず誇りを持っていた。
ある日突然白山は、クラスでも浮いている男子から
声をかけられた。
「俺のいるチームで、全中に出ないか?」と。
※大阪編の主人公は浮いている男子です。
謎や秘密は頻繁に出てきますが、ちゃんと後々
明かしていくので、気にせず読んでください。
質問は気軽にしてください
答えますんで
そして、一つピンチです。能力が足りません。
誰か心優しい方はここを見て下さい。>>34
ついでいうとキャラクター募集、という形に変わりました。
- Re: If there are …… ( No.34 )
- 日時: 2011/07/27 16:09
- 名前: 狒牙 ◆nadZQ.XKhM (ID: /LylQYeE)
- 参照: 目に止まった方どうか助けて
ヤバいです
一応溜めていた能力のストックが切れそうです。
元々発想力が豊かじゃないんでマジで思いつきません。
なのでこれを見た心優しい方は
アイディアを提供していただけませんでしょうか?
人物名:(外人でもいいけど出来れば日本人)
能力名:
効果:
使い道、闘い方:
その他、容姿、性格等:
下はジャンパーの説明兼例です。
人物名:飛跳子
能力名(無くても良いです):ジャンパー
効果:脚力を上昇し、跳躍力を向上させる
使い道、闘い方:跳び蹴りをぶっ放す
その他、容姿、性格等:お好きにどうぞ
以上、ご協力お願いします。
後・・・その・・・
言っちゃ悪いんですけどオタク色の強いものは
俺の力量じゃ無理です。
性格は怒りやすい、とか腹黒い、とか
友人に優しい、とか残酷、みたいな感じでできればお願いしたいのですが・・・
- Re: If there are …… 〜誰か能力提供してください〜 ( No.35 )
- 日時: 2011/07/08 17:25
- 名前: 狒牙 ◆nadZQ.XKhM (ID: 8TfzicNZ)
- 参照: 東京編が続きます
東京編続き
その日の調度二週間後、四月二十三日に
最後に仲間になる予定の影美リサが転校してきた。
学年は俺たちと同じ第二学年、クラスは俺たちと同じ。
よくもまあこんなにも都合よくみんな同じクラスだな、と
君吉にそれとなく言ったら、
「当然よ。おじいちゃんが手を回してんだから」
とあっさり返ってきた。
なるほど、それなら確かに納得がいく。
この程度の事は、あの人物にとっては造作もない事だろう。
そうして、ホームルームが始まるとすぐに担任の佐藤先生が
君吉の時と同じように一人の転校生を連れてきた。
それが、影美リサだった。
容姿は、ハーフと聞いていたが、正直ほとんど
イギリス人に近かった。
地毛であろうと思われる金髪、
青い色の瞳、日本人と比べて高い位置にある腰。
顔も、ALTとかでやってくる外国の先生と似ていた。
当然のごとく耳に孔が開き、ピアスを付けている。
ただ、その日本の中においては派手ななりをしているのに、
何か、無口と言うか、静かそうで陰気な空気を放っている。
顔は笑っているが、目は笑っていなくて、暗く重く淀んでいる。
「転校生の影美リサさんだ。みんな、仲良くしろよ」
「初めまして、マイネームは影美リサ。カントリー(故郷)はイギリス。
育ちもイギリスです。目の色とかは地です。
みんなと仲良くしていきたいと思ってます」
流暢で、綺麗な日本語の割には
喋り方は独特で、ところどころに英語が混じっている。
姉は、容姿も中身も日本よりだとチョコから聞いているので、
多分その人から教わったのだろう。
誰がどうと言うともなく、クラス中の男子は見とれていた。
普段、中々目にしないというのもあるのか、
はたまた普通にその容姿が優れているからだろうか、
男子の注目の的になっていた。
ただ、自分とシンスケを除いて。
言ってしまうと、シンスケには好きな人がいるし、
俺は、数少ない他人との相違点である、色恋沙汰に興味なし
という、結構珍しい性格なので別に見とれることは無かった。
でも、そんな風に反応が良いことが分かっているのかは
分からないが、未だに暗い目をしている。
まるで、何か深い悲しみを負っているような・・・
「席は速水の横でいいだろ。そこ開いてるから」
それ以上は、一切喋ろうともせずに、ただ指定された座席に行った。
君吉のときのように質問などは起こらなかった。
なんだか、誰も立ち入ってはいけないような気がしたから。
「よろしくな」
速水が、笑いながら明るくそう声をかけたが
見見に入らなかったかのように、何の反応も示さずに、
鞄の中から勉強の道具を取りだした。
「何だ?」
速水はなぜ、このような態度を取られたか分からなかった。
それは、クラス中のみんなも同じだった。
だって、まだこの時はリサのことを何も分かってはいなかったのだから。
ホームルームが終わり、一時間目を待つだけの
短い休み時間、その時に君吉と神道と速水はリサを、
最後の一人を自分たちのチームに引き入れに行った。
高木はというと、とりあえずまずは白石と新聞部用の
記事の打ち合わせをしていた。
そんなときのことだ。
女子の方から、何やら物騒な妬みの声が上がったのは。
いきなり現れ出た転入生に対し、敵意を隠すことをしていなかった。
「ちょっと何あの子?せっかく速水君が話しかけたのに」
「無視って何様って感じよね」
「ちょっと可愛いからって思いあがってるのよ」
「しかも神道君にも話しかけられてるし」
「内心ほくそ笑んでるわよ、きっと」
そんな訳無い、すぐに高木はそう分かった。
瞳術系のスキルを、黄金の鷹眼を持っている高木は
目の色をうかがうと、多少は感情が伝わってくる。
相も変わらず濁った目には楽しさも、嬉しさも、
誇らしさも、何も浮かんでいない。
さっき発していた悲しみさえも、今は姿を隠している。
何も感じようとせず、何も考えず、
冷めきった目で現実をただ眺めている傍観者。
感情を封印しているように見える今、
その容姿も考慮に入れると、
生きている人間なんかじゃなくて、
人形なのではないかと思えてくる。
そんなことも分からずに、好き勝手ばかり言うから、
シンスケに相手にされないんだっつの。
そう思いながら、ばれないように連中を睨みつけていた。
その中で、その日もっとも物騒な言葉が聞こえた。
「調子乗ったらどうなるか、教えてあげましょう」
そう誰かが言った時、あまりの自分勝手さに
我慢できないほどの苛立ちを感じた時、高木の能力
黄金の鷹眼は勝手に発動した。
瞬間、教室中の空気が変わる。
ヤバいと思った高木は誰よりも早くそれに反応し、
自分の感情を一旦落ち着かせて鎮めた。
「何・・・今の・・・?」
教室内がザワザワとざわめいている。
今の緊迫した空気に少しでも違和感を感じた者は
教室内をせわしなく見回していた。
「あっぶねぇなあ」
高木はスッと頭に手をやった。
未だに扱いきれず、暴走が絶えない。
やはり、たった15日やそこらじゃ、
対して使ってないこの能力を押さえこむのは無理か。
「ゆっくり慣らしてくしかないのか・・・」
でも、そんな悠長なことは言っていられない。
一ヶ月後にはもう、校内予選が始まるのだから。
髪をくしゃくしゃと、八つ当たり代わりにいじくり回す。
ざわめきももう収まっている。
そして、さっきの続きがまた始まった。
「じゃ、今日校門前で待ち伏せね」
高木はその言葉を聞き洩らさなかった。
そんなこんなで説得中。
「何・・・今の?」
いきなり発動された黄金の鷹眼に
リサは過敏に反応していた。
他の者たちは、あーあ、って感じである一点を見ていたが。
「話しの続き行くぜ。要するにあれだ、俺らのチームに入れ」
「・・・・・」
「オイ、せめて答えろよ」
「シンスケ、言い方強すぎ」
当初の用件を最初に思い出したはいいが、
言葉の強すぎる神道を君吉は抑制した。
「ちっ、悪かったな」
「反省してないよね?」
ダメだこりゃという諦めの表情を浮かべて、
リサの方に向き直った。
「で、入ってくれる?」
「・・・・・」
「YES、NOだけでもいいわ」
「・・・・・・・入らない・・・・・・だって・・・・・・」
「だって?」
「私、足手まといにしかならないし・・・・・・」
「そんなのやんないと分からないって!」
「そうに決まってる、私なんて・・・・・ゴミみたいなものよ」
あれ?今この人なんて言いました?
そんなこんなで次回に続きます。
続く
- Re: If there are …… 〜誰か能力提供してください〜 ( No.36 )
- 日時: 2011/07/08 18:13
- 名前: 狒牙 ◆nadZQ.XKhM (ID: 8TfzicNZ)
東京編続き
この日は、委員会があるので、
部活は活動停止、それによりみんなは
帰宅部とか関係なしに一斉に下校していた。
ただし、高木だけを除いて。
全員で帰ろうと言ったのだが、
図書委員だと言って、図書室にこもってしまったので、
みんなは先に返っていた。
「どうせならタカシン、図書室にいるなら、勧誘していてくれないかな」
君吉は、図書室でリサが勉強しているとどこかで
聞きつけたので、あわよくばそのついでにタカシンに
少しぐらい勧誘して欲しいと思ったが、
あの正確でやるとは思えないので、独り言程度に呟いた。
神道は、朝の時のことを思いだしていた。
思い出すだけでも尋常ではないほどにイラついてくる。
「何自分で自分をゴミとか言ってんだ、あのボケは」
自分のことを一番に信じなければいけないのは
他の誰でも無い自分、それを信条として
生活している神道にとって、自分はゴミですよ宣言をした
転校生は、ただのボケナスとしか認識されていない。
「しかも無視するし、黙りこくるし・・・」
奴について思ったことはいくらでもある、
そうとでも言うように神道の怒りは一刻ごとに高まっていった。
「そうカッカすんなって、何か事情があるかも・・」
「無視られたのはてめえだぞ!んな悠長なこと言ってる場合か!」
何を言っても聞き従わないように、
触れた者全てに当たり散らしているので、
全員は神道をなだめるのを止めにした。
「でも、みっしゅんの言う通りです。事情でも無い限りあんなことには・・」
トーゴーの言うことももっともで、
無理やり引き入れるよりも、まずは素性を知ることから
始めるべきだと、君吉は考えている。
でも、君吉が心配しているのはやや別のこと。
「今日、何か女子に不穏な気配漂ってたけど何だったのかしら?」
「あれですよ、リサが気に喰わないそうです」
「なんでそれを黙ってんだてめえは!」
神道がトーゴーに対して罵声を浴びせる。
それに対してトーゴーは、何のせいで起こられてるか分かっていない。
そんなことに気が付いたのならさっさとみんなで助けたら
良かったものを・・・・・
「どうする?戻る?」
「今日じゃないのを信じようぜ」
心配した君吉はそう提案したが、神道は面倒くさいと思って
聞き入れず、帰ることにした。
実際は、今日行われるというのに。
「あー、だりー」
結局、図書委員は下校時刻ギリギリの五時半まで
活動していて、帰ろうとしたときには、
驚くほど紅い太陽が、西の空に沈もうとしていた。
地平線も、燃え盛るように真っ赤に染まっている。
「さっさと帰ってメシ作らねえと」
なんと高木は面倒くさがる五人に代わり、
家事という家事をほとんど一人でこなしている。
炊事は基本、風呂掃除や、トイレ掃除、リビングの片付けまでする。
正直、君吉とチョコには自分の服、制服、靴下はいいが、
下着ぐらい洗って欲しい。
前にそうチョコに言うと。
「タカシン色気に興味無いっしょ?信託してるから、任せた!」
とだけ言い捨てて、まともに取り繕ってくれなかった。
「いつかストライキ起こしてやる」
そう愚痴をこぼして靴箱にたどり着いた。
そこには、今日クラスに入って来たあの人物がいた。
「よう、影美」
いきなり名前を呼ばれ、リサは反応出来なかった。
反応した後でも、あんた誰?ってな顔つきになった。
「ごめんごめん、自己紹介まだだったな。
高木新羅。お前と同じクラスだ」
「ああ、そう・・・・・」
にしても反応が薄いな。
とりあえず、横から目の色をうかがって見る。
すると、感じている気持ちは、面倒くささだった。
「お前、本当にクラスのみんなと仲良くしたいなんて思ってんのか?」
「・・・・!」
短い沈黙の後、痛いところを疲れて、
顔に驚きが生まれる。
やはり、図星のようだ。
「そんなんで友達出来るとでも?」
「・・・・・」
相変わらず反応せずに黙りこくっている。
こんなことを高木から言われているのに、
感じ取れる心情は、焦りや恐怖の類であり、怒りでは無い。
「ユーも・・・勧誘?」
「うーん、しても良いけど今は別用件だ。
俺は新聞部に入ってんだけど、上からの命令でさ、
転校生来たらインタビューしろって言われててさ。
それで、意気込みとかを・・」
「明日文章にしてくるわ」
そう小さく言って帰ろうとする。
それに対して、高木はついて行く。
「OK、じゃあ次だ。誕生日と血液型これを聞いたら俺は帰る」
「バースデーは十二月二十五、血はO型」
「サンキュー、じゃ、気を付けて帰れよ。不穏な連中がいるからな」
忠告に一切耳を傾けず、
ただ黙って帰って行こうとしている。
「後、俺は別に構わねーけど、クラスの他の連中は無視すんなよ」
それでもまだ黙りこくっている。
そうして、門を出ようとした瞬間だ。
その、『不穏な連中』が現れたのは。
「ハロー、生意気な金髪ちゃん」
「舐めてる態度取ってたら・・」
「キープ アウト オブ マイ ウェイ(退いてよ)」
「どういう意味か分かんないな、日本語で言ってよ」
喋っているのを遮られたことに関しては、
全く以て意に介さず、執拗に絡み続ける。
助っ人として、どこかから知り合いを連れてきたのか、
不良みたいな数人の女子高生が現れた。
「で、こいつか?」
「そうです。やっちゃってください」
予想以上の酷い空気が漂っている。
これは・・・止めないと不味いかな?
高木がどうしようか決めあぐねている時、
さらにリサは自分の立場を悪化させた。
「どいてよ。そこのケバい人」
確かに相手の化粧は相当に濃いが、
この状況でそんなこと言ったらダメだろ。
君吉が最後に入れようとしている奴は、
どんだけ空気読まないんだよ。
高木は、頭が痛くなった。
冗談じゃない、これほっといたら大惨事だ。
そうして、多対一が始まろうとした時、
とりあえず高木はやる気になった。
その空間を取り巻く雰囲気が変わる。
プレッシャーが圧し掛かる、緊迫した空気。
「何だ、この感覚!?」
「ハイハイ、みなさん落ち着いて」
鞄を持ったまま、高木は階段を駆け降りた。
今の鷹眼で、伝わったはずだと思いながら。
「ああ、うちのクラスの高木です。気にしないでください」
「神道君にひっついてる金魚のフンです」
「酷いなぁ、それでもあんたらよりかは強いと思うな」
だって能力に差がありすぎるからね。
そんなこんなで高木も喧嘩を売ってしまったのであった。
続く
- Re: If there are …… 〜誰か能力提供してください〜 ( No.37 )
- 日時: 2011/07/09 20:44
- 名前: 狒牙 ◆nadZQ.XKhM (ID: Z807Ua8T)
東京編続き
「誰が誰より弱いって?」
助っ人として、女子が引き連れて来た
不良みたいな奴の顔つきが変わる。
さっきまで舐めている感じだったが今は、リサと俺の
挑発に乗ってしまい、我を失っていた。
「うーん、あなたが、金魚のフンより弱いって言ったんだよね」
ニヤニヤと、高木は相手を馬鹿にするように笑う。
それを見ると、昂ぶる怒りは留まるところを知らなくなる。
にしてもこの作品の敵ブチぎれる不良が多いこと多いこと・・・
「何ですって、試してほしいの?」
「試すまでも無いと言っているんだ」
「あ゛ぁ?そろそろ調子のんのも大概にしろよ」
その女の人は、手元に気を収束させて球型の
破壊力を持ったエネルギー体を作った。
覇気弾だ。
覇気弾、ストロンガーのみが使うことのできる技。
強固で、高威力を発揮するストロンガーの気を押し固めて出来た
普通のものよりも破壊力が一回りも二回りも大きい気弾。
これにより、ストロンガーは遠距離攻撃が可能となり、
その威力も駆け出しのアーティストスキル能力者に引けを取らない。
この技にはいくつかのアレンジを加えた派生形があり、
威力とスピードの上がる剛気弾、
威力だけが凄まじく上がる砕気弾、
爆発し、炎上する爆気弾、(代介が使ってましたね)
散弾のように何発も同時発射する散気弾、
表面が岩石のように硬くなる岩気弾などがある。
とはいえ、相当才ある者以外は、覇気弾しか使えない訳だが・・・
「これでも喰ら・・」
「撃てないよ」
「あん?」
——————もう、かかっちゃったから
「何が可笑しいってんだよ、覇気弾!」
そうして、撃とうとしたのだが、
すんでのところで空気中に掻き消えてしまった。
奴は、何が起きて、どうなったのか分かっていない。
どれ、ちょっとレベルを上げてみるか。
「黄金の鷹眼」
今朝、教室中の空気を取り囲んだように、
この場の雰囲気を変える。
荒々しく吹き抜けるプレッシャーは、抵抗する意識も
指先を動かす意思さえも奪っていく。
まだ、目を直に見ていない連中はマシだが、
ど真ん前で鷹眼を直視してしまっている、
高校からの戦闘要員の人達は、身動きすら取れないほどに
麻酔がかかってしまっていた。
「何だよ!これ!」
さっきまでの余裕も怒りも全て心の奥に引っ込むどころか
完全に消えてしまったようだ。
すると、完全にかかっていない、端の方にいる
女子が、リサに向かって動き出した。
「高木は金魚のフンじゃ無かった訳だ。
そこは謝るよ。だからもう手出ししないで。
私たちが用があるのは・・・」
そうして、ようやく気付いた。
目に見えにくい、透明に近い色をしている気弾が
精製されているのに。
「風丸!(ふうがん)」
視認しにくい、透明な空気の弾丸が放たれる。
それは、猛スピードで、リサに襲撃しようと突き進む。
「あぶなっ・・」
「・・・・・バリアー」
あの、感情のこもらない方の表情で、
冷静に、リサは能力を発動した。
突如、球形の蒼い障壁がリサ自身の体を完全に包み込む。
風の弾丸は、その障壁に喰らいつくように食い込もうとする。
だが、その壁の表面にうっすらと気の流れが巻き起こす
波紋を残しただけで、あとは、障害物にぶつかった
水の塊のように、辺りに弾け飛んでしまった。
「うっそ・・・」
渾身の一撃をあっさりと防がれて、
余りのレベルの差に愕然とする。
そんな中、ふと気を緩めてしまった俺の方に、
さっきまで動きを封じられていた女が動き出した。
「今度こそ喰らえ、覇気弾!」
反応する間も無く、覇気弾は放たれる。
その一撃は、さっきの風丸よりも強いと見ただけで分かる。
だけど、この時点で、あいつらの負けはほとんど確定していた。
だから、高木は自分の身の心配をする必要など無かった。
「じゃ、もう俺の出番はおしまいっと」
「!?」
この余裕の一言に、相手は疑問を感じる。
その理由は、聞くまでもなくすぐに分かることとなる。
練り固められた気の一撃が高木に今こそ
当たろうとした時、一つの強大な気が現れた。
「到着だな」
最初に威嚇に使った鷹眼の真の意図は、知らせるためのもの。
あいつを呼ぶために。
「火炎玉!」
刹那、上空から巨大な火の玉が隕石のように
覇気弾に衝突する。
あっさりとそのちんけな気弾を焼き尽くし、
なおも勢いを失わないその巨大な炎の塊は
アスファルトの地面を大きな音を上げて、易々と焦がした。
「お疲れ〜」
高木がようやく登場した男子に声をかける。
到着したのはシンスケ。
「あ、あんたは・・・」
「てめぇか、タカシンに手ぇ上げようとしたのは?」
円陣を書くように、炎はシンスケの足元を取り囲む。
ジリジリと、大気が焦げつくような音がする。
その圧倒的な存在感に大きな畏怖を刻み込まれた連中はたじろいだ。
「そこの金髪に何しても今は文句は言わない。
でも、タカシンに、白石に、俺の親友に手を上げてみろ。
てめぇらの命はそこで尽きたと思えよ」
ここに来て、さらにシンスケはSOEを上昇させる。
元から高い状態を維持していたというのに、
そこからさらに放散する気の量が跳ね上がったのだ。
ビビらない奴はそうそう見つからない。
すぐに、尻尾を巻いて帰っていった。
「んじゃ、帰るぞタカシン。
オラ、そこの転校生もボサっとすんな!
下校時刻回ってんだぞ!」
教師の様なセリフを残して、
その場にリサを置いて二人はさっさと帰っていった。
「なんで、そんな簡単に人を救えるの?
なんで、自分のことじゃないのにそんなに怒れるの?」
ふと、忌々しい思い出が、リサの頭の中をフラッシュバックした。
—————・・・・・ごめんなさい!・・・・・ごめんなさい!
ぐっと下唇を噛んで目を固くつむって
首を振ってその光景をかき消した。
目には、うっすらと涙が溜まっている。
「・・・・・あんな友達だったらほしいな」
誰もいないところで、独り言のように
独り言としては大きい声でただ、紅さがピークを迎えた
夕日だけが聞いている空間に、その声は飲み込まれていった。
続く
______________________________________
まだまだ東京編が続きます。
- Re: If there are …… 〜誰か能力提供してください〜 ( No.38 )
- 日時: 2011/07/10 20:51
- 名前: 狒牙 ◆nadZQ.XKhM (ID: Z807Ua8T)
東京編続き
「こーひがしくーん、ちょっといいかなー」
帰って早々に、シンスケが笑いながらも怒りを携えて
トーゴーを呼びつけた。
隠されたその刺々しい心情に気圧されたのか、
おずおずとビビりながら出てきた。
「えーと、何ですか?」
「何だはねえだろ、しばき回されたいのか?」
トーゴーが、いきなりシンスケの発した殺気に反応し、
今にも尻尾を巻いてリビングの方に逃げかえろうとしたとき、
がっと右手を前に出して両頬を片手で掴んだ。
「ほっほ、はひふぇふぁんふぁんふぇふは!?」
(ちょっとマジで何なんですか!?)
すっとぼけているのかマジで気づいてないのか
そんおようなことを口走る。
これは、どっちみちさらにシンスケの怒りをたぎらせることとなった。
「てめーがあの澄ました金髪が転校初日にして女子から反感
買ったこと黙ってたからこんなだるいことになってたんだろうが!」
「ひゅいふぁへんでふぃふぁっ!」
(すいませんでしたっ!)
「何言ってるか分かんねーよ」
笑いながらトーゴーの顔から手を離す。
相当な握力で掴んでいたのか、しきりにその頬を押さえている。
のた打ち回るその景色を見て、端の方でチョコが笑っている。
分かった、あいつドSだ。
そんな中、トーゴーはと言うと、
誰が喋らせなかったんだよ、と泣きながらぼやいていた。
そんなこんなで面倒くさくなった俺は台所の方に向かった。
そこには、尋常ではない景色があった。
その中心にいたのは君吉で、今もその活動を続けている。
「うーん、何がしたいのかな?」
「おっ、タカシン帰ったの?バトンタッチ!」
そうして、突進するように俺の手に自分の手を
思いっきりぶつけてこようとする君吉に対し、慌てず騒がず
高木は回避し、ダメ押しに足を引っ掛けた。
さっきのトーゴーのように華麗なまでのこけっぷりを披露する。
もっとも、こっちは反射的に受け身を取ったようで
外傷は一切負わなかったが。
「何すんだよー」
唯一ちょっとだけダメージを受けてしまった膝を押さえる。
何をしているのかはこっちが聞きたいぐらいだ。
「だったら一個聞いていいか?どうしたらあんなマンガで
ありふれたような光景を作れるんだ?」
台所を含む、リビングの周囲一帯を指差す。
シンクには大量の空炊きしたように真っ黒な鍋が
大量に置かれていて、
その床にはガラスの割れた破片や刃物が飛び散っている。
しかもテーブルクロスはテーブルの上ではなく下にある。
これが現実でないと願うばかりだ。
「えーと、晩御飯作ろうとして・・・」
「ついこないだようやくカップ麺の作り方知ったくせに?」
「水入れる前に間違えて火を入れて・・・」
「馬鹿なの?すぐ気付けよ」
「そのまま食器棚を開けたら手を引っ掛けて一個コップ割って・・・」
「それはまだいいよ。日常で起こらないとは言えないし」
「気付いた時には黒煙が立ち込めて・・・」
「どこぞで爆発が起きたんだ?おい、言ってみろよ」
「とりあえず鍋を水で冷やそうと思って・・・」
「直で掴んで持っていったのか?大した手の皮だな」
「箸で引っ掛けて流しに持って行って・・・」
「そこの知恵は回るのか」
「一気に水をかけたらいきなり今度は白い煙が出て・・・」
「そりゃそうだろう、湯気だ湯気」
「それにびっくりした拍子にテーブルクロスが・・・」
「ビックリしてどこまで行くんだよ。あっこまで十メートルはあるだろうが」
「そうしてヤバいなーと思ってたらタカシン帰ってきた!やった・・」
「何がやったぜ!なんだ?言ってみるか?」
気づいていないのかただ無視しているのか知らないが
高木の怒りに一切反応せず、いい訳をダラダラと続けている。
そこまで言ったらようやく君吉はその苛立ちに気付いた。
「あれ?・・・もしかして・・・タカシン怒ってる?」
「もしかしなくてもなあっ!!」
「すいませんっしたー」
土下座した君吉を全く以て気に掛けずに
ただただ片づけをして夕食を作る高木なのであった。
そうして、一通りの説教が終わった後に、
とりあえずの明日の予定を話し合ってその日は
就寝となったのであった。
続く
______________________________________
今回は話の進展0ですね。
無駄に高木、君吉の会話文多いですね。
文章力とか論外ですね。
そんなの元々俺には無いですね。
ところでみんな覚えていたかな?
トーゴーの名字は『小東』ですよ。
どうでもいいですねー
次回は勧誘再開予定、つまりは今度は東京編が長続きしますね。
メインストーリーだから勘弁して下さい。
おそらく最終的に東京の方が圧倒的に多くなります。
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27