複雑・ファジー小説

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 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

IF=全国中学生能力者選手権編= 再開してみました。
日時: 2011/11/16 21:40
名前: 狒牙 (ID: tDghPMhC)

コメディ、ライトの方で違う名前で
違うもの書いてる者です。

えーと、ざっくりと説明するとですね、
闘いまくります。
そして今ちょっとしたピンチ、詳しくはこの>>0の下の方を見て下さい。

あと、大阪編と東京編に分かれて、同時進行します。
東京編書いたら大阪編って感じで。
メイン主人公が大阪編、メインストーリーが東京編だと
思ってください。
大阪編は東京編の一年前のストーリーです。

長編予定です。

ってなわけで、東京編行きまーす。



プロローグ

今朝起きたら、父親がいつも通り、新聞を読んでいた。
「早くしないと二年生の新学期早々遅刻よ」
キッチンから母さんの声が聞こえる。
ふと時計を見ると、七時半を指している。
「あっそ、入学式は八時半からだ」
朝食を取った俺はすぐに着替え、カバンを用意し、
八時十分ぐらいになるのを待った。
するといきなり、インターホンが鳴った。
「ターカシーン!まだかーーーーーー!」
白石の呼ぶ声が聞こえる。
どうやらシンスケも一緒にいるようだ。

「来るの早いんだよ」
ブーブー言いつつも、いつも通り学校に行く支度をする。
とりあえず、俺は外に出た。
四月だから、吹く風も心地よく、日差しも柔らかく、穏やかだ。
そして、超平凡な、この俺、高木新羅(たかぎ しんら)の
超非凡な物語が始まる。




今回だけ、大阪編も一緒にします。

プロローグ


大阪のある市立中学に通っている白山 後(しろやま こう)には、
もう一つの顔があった。
それは、芸能人としてのじぶんである。
そんな華々しい自分に、少なからず誇りを持っていた。

ある日突然白山は、クラスでも浮いている男子から
声をかけられた。
「俺のいるチームで、全中に出ないか?」と。


※大阪編の主人公は浮いている男子です。
 謎や秘密は頻繁に出てきますが、ちゃんと後々
 明かしていくので、気にせず読んでください。






質問は気軽にしてください
答えますんで

そして、一つピンチです。能力が足りません。
誰か心優しい方はここを見て下さい。>>34
ついでいうとキャラクター募集、という形に変わりました。

Re: IF=全国中学生能力者選手権編= キャラと能力募集中 ( No.115 )
日時: 2011/09/18 13:46
名前: 狒牙 ◆nadZQ.XKhM (ID: PJWa8O3u)

東京編続き





「で、私はこのちっこいのと闘うんだよね?何年生かな?やっぱり一年?」

挑発に乗ってはいけない、そう何度も自分に言い聞かせて、
トーゴーは正気を保っていた。
こんなの相手に理性なしで挑んだら、簡単に敗北するに決まっている。
自分の身体の周囲に、水の塊を浮かべて文字通り上から目線でトーゴーを見下している。
いきなり襲いかかられてもOKという訳だ。
やはりそんなに簡単には隙を見せてくれないらしい。
昂ぶる気持ちを落ちつけて、突破のチャンスを見計らう。
いつもクラブ活動や試合の時に、ボールを視線で追うように、
対峙している葵の一挙手一投足に目と神経を配っている。
質問に、答えるつもりはさらさらない。
ただ、手加減せずに倒すだけ。

「ちっ、黙り込みかよ。そんな弱っちそうなのには・・・」

掌をこっちに向けて振りかざしてくる。
突然、宙に浮いている水の球体は砕気弾のように螺旋運動を始める。
その回転に合わせるようにして、形状をドリルのように変えている。
多分あれが突き刺さったらコンクリートぐらい削れるだろう。

「仕置きが必要ね」

次の瞬間、葵は甲高い叫び声を上げた。
それと同時に、タイミングをずらして次々とその水の武器は飛んでくる。
幸いそれほどのスピードを持ち合わせていないせいで
トーゴーでも容易に回避することができる。
動きは直線的で緩慢、でしたら・・・と独り言を漏らす。
そこに、撃った張本人の葵が反応した。

「言ったわね、でも、そのスピードでもあんたみたいなのには充分よ」

強がりを言っているが、別段その攻撃が変化する様子は無い。
はっきり言ってこれなら普通の人間が蹴るサッカーボールの方が速い。
タイミングがずれていることもあり、隙間を縫うようにすれば、
回避できるだろうとトーゴーは判断し、走り出す。
目の前の一撃目を回避した後に二発目に目をやる。
そして、一発目と同じ要領で、同じような速度で回避する。
しかし、一発目は余裕を持って避けられたのに、二発目の攻撃は頬を掠めた。
このことに対し、トーゴーは目を丸くする。
どういうことだ、と。
確かに彼の予想は間違っていなかった、この攻撃は確かに緩慢だ。
だが、それら一つ一つの持つスピードは違っていた。
一撃目と同じ感覚、間隔で回避しようとすれば必然的に
タイミングにひずみが生じる。

「そらそらそらそら!回避!間に合ってんの!?」

その水の供給は留まることは無い。
空気中の水蒸気から取り出している上、一度放ったものも再利用している。
その攻撃は留まるところを知らない、という表現が正しかった。
回避、確かにそれは間に合っている。
だが、間に合い過ぎている部分もある。
回避したいスペースにまだ螺旋する水分が残っていることで
思うように動き回ることができない。
でもこれだけのことで、諦めるような人間に育った覚えは無かった。
護れないなら攻めれば良いのだ。
能力を、発動する。そのストロンガーの気を拳に集める。
そして波よりも遥かに威力の高い気の塊を作りだす。
それも、一つでは無く十個程度。

「覇気弾!」

飛び交う水の攻撃を逐一撃ち落としながら突き進む。
一つ、また一つと最初に作りだした覇気弾が無くなるにつれて
トーゴー自身も次弾を補充する。

「舐めんなよ!アクア・ハンマー!」

上空から、滝のような水流が押し寄せてくる。
何トンもの水は白い飛沫を上げて地面に衝突し、トーゴーを飲み込んだ。
自分の持てる限りの最強の必殺技を叩きこみ、
少々ガス欠気味になったが、葵は勝利を確信した。
でもそれを確信するのは速すぎた。
全てを飲み込む勢いの怒涛の水流、確かにそれは凄まじい威力だった。
それが標的たる彼を飲み込もうとした瞬間、爆発が起きた。
これは一体何の仕業なのかはすぐには判断ができなかった。
その次にようやく分かった、敵対しているあの小さい男子は、相当の才能を持っていると。
気付いたこと、それはあの少年が放った技の正体だ。
覇気弾の派生形のうちの一つで、最も習得の困難なもの、爆気弾だ。

「舐めているのはどっちですか?それにこっちはそちらの要求を呑んだ覚えは・・・」

背中にかなりの威力の衝撃が走る。
気付いた時には自分は宙を舞っていた。
喰らった彼女としては一発しか喰らっていない気分だったが、
その実その背中には三発もの弾丸が食い込んでいた。
時間の差を感じさせないほどの凄まじいクイック・ドロウ。
この一対一で挑むなんてふざけた提案に、チョコとトーゴーは賛同してはいない。
勝手に泳がせておいただけだ。
三個の弾丸に突き飛ばされた葵はトーゴーの目の前まで転がって行く。

「てぇめえらっ!調子こいてんじゃ・・」
「要求を呑んだ覚えはありません!覇気弾」

手掌から特大の気弾を撃ちだす。
地面に勢い良く彼女は叩きつけられる。
呆気なく、一人目を倒すことは完了した。

「さあ、二対一よ。あなたお終いね」

拳銃状の武器を持った駿河の方を向く。
しかしその顔には全くと言っていいほど焦りは浮かんでいない。
無機質に、その銃をこっちに向けてくる。
そこに、気を充填させてトリガーを引こうとする。

「させないわよ」

それに合わせてチョコも自分のジャンパーの気を注ぎ込んで撃つ。
確かにそれはただの気弾なのだが、それでも充分だった。
狙ったのは銃を持っている手なのだから。
とりあえず銃を手放させて無力化させてトーゴーに追撃させて勝とうと言う算段だ。
その銃口が向いている範囲に自分の放った気弾は入っていなかった。

「アクア・ブレッド(水の弾丸)」

銃口から、水が流れ出てきて、チョコの気弾を呑みこんで無力化する。
これに対して目を見開く。
エレメント・ブレッドにしてはこの水量は以上だと。

「何そこのザコ倒しただけで舞いあがってんだ?死ぬかいっぺん」

駿河命、銃撃戦になった時この学校で最も強い男。




                                 続きます



________________________________________




トーゴー圧勝!ていうか葵弱いなオイ!
何にせよ二人とも良かったねぇ、神道のノルマは達成。
さて、この先はどうなるのか、次回に続きます

Re: IF=全国中学生能力者選手権編= キャラと能力募集中 ( No.116 )
日時: 2011/09/19 08:01
名前: 狒牙 ◆nadZQ.XKhM (ID: PJWa8O3u)

東京編続き





ほんの少し、ミスをしただけだ。
あまりのささいなことにどのようなミスかは忘れてしまった。
それのせいで、優勝を逃した。
二位だというのに周りははしゃいでいる。
勝てなかったのかよと嘲る奴らもいた。
はしゃぐ奴らには負けたら意味が無いと怒鳴りたいし、
嘲笑する者たちにはお前たちに何が分かると言いたくもなる。
自分がどっち側につきたいのかしら分からない。
それでも、今現在自分の感じている欲求は分かる。


———目の前の二人に勝ちたい


特に、去年のリベンジを兼ねて飛跳子には、必ず。
拳銃型のエアガンを相手に向ける。
BB弾は入っていない、入っているのは気を込めるための特別な弾丸。
自身のLV2の能力を発動、彼は気をその特殊弾に注ぎ込む。
イメージする色は透明、想像する動きは渦。
ゆっくりとそのプラスチックの引き金に込める力が強くなる。
パンという警戒で、おもちゃのような安上がりな音響が鳴る。
渦を巻いてうねり狂う横向きに直進する竜巻が発生する。
そして彼、駿河命はぽつりと言葉を残した。

「ウインド・ブレッド(風の弾丸)」

地面を抉り、空を食いちぎる勢いで対峙している
チョコとトーゴーにその竜巻は向かって行く。
彼らは特に臆することなく向かってくる。
小柄な少年は手に、因縁の相手は装飾のついた銃に気を込めて各々の気弾を錬成する。

「覇気弾!」

小東(トーゴーです)という少年がストロンガーの頑強な性質の気を
練って固めた強力な気弾を撃ちだす。
竜巻というのはあくまで外見の印象、威力は突風程度しか無い。
その二つのエネルギーは激突する。
少々硬直状態が続いた後に、風が競り勝った。
だがそこに、飛がアシストを入れる。
三発の気弾を連続で放つ。
さっき少し威力が削られたこともあり、完全に相殺される。
だが、充填はこれで充分だった。

「サンダー・ブレッド(雷撃の弾丸)」

黄色い閃光が宙空を翔けぬける。
あまりにものそのスピードは、レーザーや本物の雷のようだった。
銃口が黄色く煌めいて我が方向に向けられた瞬間にヤバいと察したトーゴーは
咄嗟に、反射的に防御のためにストロンガーを発動させた。
速水同様にその数値は大幅に上昇している。
それでも、雷の一撃には切り裂かれるような痛みが感じられた。
その一撃に膝を着く。
それを尻目に、今度はチョコに向き直る。
今度想像する色は赤、イメージする現象は消滅だ。

「ファイア・ブレッド(火の弾丸)」

燃え盛る紅い炎の弾丸がその銃口から飛び出してくる。
その大きさや威力は大体神道の火炎玉と同じだ。
回避が間に合いそうになかったので、咄嗟に手元の銃の引き金を引く。
だが、その威力に押されて、簡単にかき消される。
炎の弾に包み込まれ、そこから現れたチョコはもう闘う力は無かった。

「よし・・・まずは一人」

そこで彼は微笑を漏らした。
前年度の雪辱を晴らし、感傷に浸っている。
その隙を見逃してはいけないとトーゴーはすぐに起き上がった。
足音をできるだけ小さくし、気配を殺して後ろに回り込む。
すんでのところで気付いた駿河は、銃を向けるが、間に合わなかった。

「ストロンガー20」

そこに、容赦のない突きが入る。
避けようと後ろに下がったせいで、幸いなことに威力は軽減されたが、
それでもかなりの痛手。
すぐさま体勢を立て直そうと試みる。

「く・・・」

咄嗟に自責の念が湧きあがってくる。
済んでしまったことは仕方が無いとわりきろうとするのだが、
今のは自分の油断が招いたのだと、しつこく言及する自分もいる。

「さあ、どうしようか・・・」

もう一度、彼はトーゴーに向けて銃を構える。
一番速いサンダー・ブレッドか、一番破壊力のあるファイア・ブレッド、
そのどちらかで攻撃しようとしたその瞬間、
覇気弾をトーゴーが飛ばした。
咄嗟に対応して炎の方の弾丸で打ち消す。
衝突の際に真っ黒な煙が上がり、視界を塞ぐ。
もうもうと立ち込める黒煙が邪魔だと感じた駿河は
ウインド・ブレッドをすぐさま放ち、鬱陶しい煙を吹き飛ばした。
トーゴーはまだそこまで間合いを詰めていない上、
気の錬成の仕草も見られない。
特に攻撃しそうな様子が無く、油断していたその瞬間に気付く。
そのトーゴーの足元に穴が開いていることを。
覇気弾を撃ち込んだ?一体何のために?
別に地面に撃ちこんでも地雷になる訳でも無し・・・

「・・・・・地雷?」

そこでようやく気付く。
撃った気弾はただの覇気弾ではなく、爆気弾だということ。
地中に忍ばせて対象の真下に移動させた後、
下から一気に吹き飛ばせば・・・

「させるかよ!サンダー・ブレッド!」

すでに下に来ていたらひとたまりも無い。
とりあえず後ろに飛びのいて銃に気を装填する。
目いっぱい充填の終わった銃の引き金を引いた。

「轟爆壁!」

地面から、幾重もの爆炎が上がる。
地面に撃ちこんでいた爆気弾は一撃では無かった。
その爆炎の壁が雷の行く手を遮った。
威力に押し負け、黄色い弾丸は無力化させる。

「撃滅大豪炸!」

フィールド全体から、地下からトーゴーの気弾が爆発する。
回避できるポイントは、今トーゴーのいる地点だけ。
防ぐ手段もその全ての爆撃を打ち消す手段も駿河には無かった。


第二戦終了時途中結果、
君吉チーム三点、生徒会チーム三点



                                        続きます



_______________________________________


次回登場するのは、まああの二人です



Re: IF=全国中学生能力者選手権編= キャラと能力募集中 ( No.117 )
日時: 2011/09/19 08:54
名前: 狒牙 ◆nadZQ.XKhM (ID: PJWa8O3u)

連絡です、>>116は後ろをかなり付け足しました。
駿河が「さあ、どうしようか・・・」と言って終わってたけど
決着しましたので見ていない人はまずそちらをお願いします。





では、東京編続き




「OK、よくやった。後は俺とタカシンに任しとけ」

奮闘したチョコとトーゴーに神道が労いの言葉を掛ける。
君吉も笑って迎え入れてチョコにハイタッチするように促している。
現段階での得点は共に三点、よってこの三回戦で二人が倒されることなく
相手を二人とも倒せば君吉の出番は無くすぐに終わる。

「大将は今日は出番無し、になるといいんだけど」

自分の番が来たので、座っている高木がその腰を上げる。
表情とは裏腹に幾分か緊張しているようだ。
確かにそれも仕方ないだろう。
一応体面上は高木には攻撃能力と呼べるものは無い。
威嚇の威力を上げて気絶させるので精一杯な上、
その威嚇にもかけっるためには何かしらの条件があるようだ。
おそらくこれが条件だろうと目をつけているのがこの二つ。

1、自分が目標と認識する。
2、相手に自分が対象だと認識させる。

自己暗示の強い人間ならば、自分が狙われているのではないと思いこむだけで
その鷹眼の後かから簡単に逃げることが可能だ。
ついでにこの二つの条件の予測をどこから引っ張り出してきたかというと
一つ目は金獅子眼の発動条件、二つ目が鷹の目の威嚇能力の発動条件だ。
オリジナルの方は一つしか条件が無いのに
自分には二つの条件が必要ということに、嘆息しそうになるが、
2の発動条件だと、関係の無い人間や味方まで巻き込む可能性があるから
それよりかはこっちの方がいいかもしれない。
能力が暴走したときのように視界にいる人間を全て対象にするよりかはよっぽど良い。
第二、第三の城崎は作りたくない。

「いよっし、行くかタカシン」

神道のその呼びかけに答えるように高木はその方向に歩きだす。
これがおそらくこの予選の最後の一戦になるだろうと直感した。



フィールドは、トーゴーが壊したというのにもう元に戻っていた。
この空間内は仮想空間かと今さらながらに思い返す。
仮想空間を作り出す機械は去年初めて大阪で試運転された。
その性能がこの手の大会で使えると判断したので
今年から各地で予選はこの仮想空間を使うことになったそうだ。
確か初めて使った時はその人達は中の樹木を凍てつかせたり、
邪魔という理由でその森林を焼き払ったりとかなりの強者だったらしい。
何やら、試合会場の横で生徒会の連中と大会の役員が論争をしている。
鷹眼を使って視力を上げることで今手に持っている紙を盗み見る。
そこには、『選手交代願書』と書かれていた。
どうやら、副会長と生徒会長の順番を変えておきたいらしい。
ここで決めあぐねた彼らは対戦相手である高木達に訊いてきた。
交代してもいいか、と。
迷うことは無かった、二人の意見と発するタイミングは全く同じだった。

「どうせなら、全力のお前らを倒してやるさ」

そして言い放つ。掛け声をかけた訳でも話しあっていた訳でもない。
再び声は重なる。そして君吉たちは改めて理解する。
二人の中にある、誓いにも良く似た絆を。

「相手が誰とか関係無い。勝たなきゃ駄目なのは変わらないんだ」

その言葉は決して挑発では無い。
決意表明、そう言った方が絶対に近い。
最後の一戦になると思われるこの試合のメンバーは
見ている人間にとって今年一番の好カードだった。
頑なに能力を使おうとしなかった高木新羅、
学校最強、天才児である神道宗哉、
生徒会最強、アーティストスキルではこの学校で
神道とセットで双璧と呼ばれる紫電佑香(しでん ゆうか)、
一年間、学校の問題を力で解決してきた生徒会長、梶ヶ谷獣牙(かじがや じゅうが)。
観客の盛り上がりは最高潮に達していた。
そこで始まる戦闘も、今日一番白熱するものとなるだろう。

「第三試合、開始です」

その興奮と緊張が支配する中、歓声に負けることなく放送が入る。
流石は勝負がかかっているというところか、
一瞬であろうと隙を作ろうとしないらしい。
紫電がいきなり人差し指と中指だけをまっすぐと広げて銃のように形を作った。

「雷銃・破」

その指先から銃弾のような鋭い電撃が飛ばされる。
まばたきしているだけの間でもう胸元まで来ている。
もう後一瞬で神道に当たるといったところで
その電撃の弾丸は真っ赤な炎に飲みこまれる。
神道が身体から漏れ出させている炎で防御壁を作っていた。
目には見えないが何かを感知した瞬間にその壁はただの気から
真紅の炎に変わって全てを燃やす防御壁と化す。

「やるわね。じゃあそっちはどう?」

今度は高木に向かってその構えを取る。
撃つ前に対処する、そのために瞬時に黄金の鷹眼を発動する。
体中に鉛を乗せられているかのようにプレッシャーで押しつぶされるような感覚が、
恐怖が紫電の身体を襲い、身動きを止めざるを得なくなる。

「何・・・これ?」

初めて体験する威嚇系の能力に顔を歪める。
このまま気絶まで持っていけるかと思ったが思わぬ邪魔が入った。
邪魔をしてきたのはそもそも人間では無かった。
どこから出てきたかは知らないが、虎だった。
反射的に鷹眼の対象を紫電からその虎に移し替える。
どういうことだ・・・黄金の目の中に焦りが浮かぶ。

「タカシン、あいつだ!」

神道が生徒会長の方を指差した。
気を込めて何やら、ゲートのようなものを開いている。
それを見てハッとする。
あいつの能力は、召喚師、あらゆる場所の猛獣を呼び出せる。
ただし五分後に元いた場所に戻る。
これを見た神道は口元を上げて高木に呼び掛けた。

「これ・・・舐めてるよな、タカシンに動物って」
「そうだな、こいつは俺一人でいけるかもな」





                                  続きます


______________________________________


次回は高木VS生徒会長梶ヶ谷です
その後にアーティスト対決です

Re: IF=全国中学生能力者選手権編= キャラと能力募集中 ( No.118 )
日時: 2011/09/21 11:34
名前: 狒牙 ◆nadZQ.XKhM (ID: Jagfnb7H)

東京編続き






「誰が一人でいけそうだって?」

高木の挑発に上手い具合に乗ってくれた目の前の梶ヶ谷が怒りを露わにしている。
彼の能力は召喚師、あらゆる地球上の地点から動物を転送できるが、五分後には元いた位置に戻る。
そう、出てくるのはあくまでも動物であり高木の黄金の鷹眼の前ではほとんど無力。
現に今目の前に現れた森林の皇帝たる虎でさえも、鷹眼の前では一切の威厳を保っていない。
身体を恐怖で強張らせて、目には焦燥を浮かべている。
その状況が目に入らないのかと、さらに高木は梶ヶ谷の怒りを湧きたてる。
冷静さを欠けさせた敵の方が倒しやすいだろうという判断だ。

「見ろよ、てめえの出した奴はもうそこで震えてんじゃねえか。分からない奴だな」

さらに火に油を注ごうと、フッとほくそ笑む。
それに対して元々短気な性格なのか、額に血管を浮かび上がらせる。
今小さくぶっ殺すと聞こえたのは気のせいでは無いと感じる。
殺気全開で高木と対峙する彼はさらに能力を発動させる。
しかしその殺気は高木にとってはそう呼んでいいか分からないほど畏怖は薄かった。
ざらざらと粗い、鈍く愚鈍で巨大な、鋭さの欠片も無い稚拙なもの。
正直に、率直に言ってしまうと恐れることは無い。
事実、彼の取った行動は世界中のあらゆるところから大量の猛獣を召喚しただけだった。
ライオン、ワニ、チーター、豹、獰猛な肉食のものは魚類以外は
さまざまなものがこの場に召喚されてくる。
それらは全て命令されている訳でもないのに高木だけに向かってくる。
理由は簡単である、それぞれの本能に従って動いているからだ。
炎や雷を操る神道や紫電には近寄る事ができない。
召喚主にも襲いかかろうと思えばできるだろうが、
高木からは闘志が見受けられているのだろう。
事実まだ虎にしか向いていないが彼は鷹眼を放って恐怖をまき散らしている。
縄張り意識の強い自己中心的な野生のものが敵とみなされる者に突っ込まない訳が無い。

「図に乗るなよ」

その肉食獣たちは、一目散に高木に襲いかかろうとした。
しかし今こそ飛びかかろうとした瞬間に筋肉は動かなくなった。
動かせなくなったのだ、かつて感じたことのない恐怖を感じたせいで。
これが草食獣ならば大丈夫だっただろう。
しかし普段捕食する側に回っている彼らは初めて感じたのだ。
“狩られる”側の恐怖というものを。

「例え陸の王でも、空の王には楯突かせない」

そこで彼らの、動物たちの目つきは変わった。
高木にとってそれは初めての感覚だった。
彼らの表情からは恐怖という感情は無くなっていた。
もっと柔和な信頼感のような表情だった。
その光景を見て一人神道は納得していた。
今まで高木は能力を封印していた。
それを使い始めたのは今年度に入ってからだ。
それだというのにこの成長ぶりは著しい。
つい先日さらに高木の能力は進化を遂げていた。
威嚇対象の自己選択。
だとすればまた今日、新たなステージに踏み込んだとしても何の違和感も無い。

「負けていられないな」

彼は自分の敵となっている眼前の紫電を捉えた。
ベルトのホルダーからナイフを抜きだした。
そして、彼のポリシーを明らかにしたうえであることを宣言した。

「先言っとくぜ、このナイフ伸びるからな」

気を加えることで最大二メートルまで伸縮するナイフ。
これは昔、自分同様に炎を操っていた人間に譲り受けた。
もう俺にはこれを使いこなせる才能は、シードは無いと言っていた。

「どうでもいいわ、私の間合いは・・・」

先ほどのようにまたしても、人差指と中指だけを真っ直ぐ伸ばしたような手の形に電撃を集める。
その二本の指の間の一ミリ程度の隙間に黄色い閃光が集束していく。
それはまるで、雷撃の弾丸であり、相当な鋭さと速さを誇っている。

「数十メートルよ、雷銃・破!」

その手から針のように鋭い弾丸が放たれる。
確かにかなりのスピードだが、威力は薄い。神道の炎の衣によって防がれる。
連射してもその威力は大して変わらずに衣にただ飲みこまれるだけ。
時間の無駄だとでも言うように彼は自分からも攻撃を仕掛ける。
自分を取り巻く炎からほんの少しだけちぎり取る。
それを九退場にまとめ上げる。得意技の火炎玉だ。
雷銃を打ち消しながら巨大な真紅の火の玉は紫電に襲いかかる。
不味いと思ったのか、小手調べを止めたのかいきなり彼女は間髪入れずに本気を出す。
火炎玉を一撃で弾きとばした。
手元に電撃を全て集めることで黄色く光り輝いている。
あれに似ているなとふと神道は思った。
もしそうだとしたらこっちが窮地に立つ。
それならば、と自分自身も右手に力をまとめる。

「ライフ・クリエイティング」

空気中から突然、電気でできた虎のような獣が現れる。
やはりかと、自分も空気中に絵を描いた。

「ライフ・ペインティング」

こちら側からは炎でできた龍が現れた。
電気の虎と炎の龍、お互いに威嚇し合い、けん制し合っている。
二体の従属の僕はお互いに激突する。

「ちょっと私舐めてしまっていたみたいね」

今度は本気でいくと、高らかに彼女は宣言する。
それに合わせて神道も力を練っていく。
作りだした獣は獣同士で、人は人同士で闘い始める。
火花は舞い散り、雷電が迸っている。
両者の実力は大体拮抗している、どちらが勝ってもおかしくないほどに。

「焦熱地獄」

辺り一面を火の海に沈めて神道は攻撃する。
しかし、それを打ち消すように紫電も雷電を放つ。
焦熱地獄を上塗りするように、フィールドを雷が包み込んだ。

「ライトニング・サーキット(稲妻の奔る聖地)」

電気と炎はお互いがお互いを無力化し、空気中に飛び散る。
見兼ねた梶ヶ谷が横から彼女に大声で命令した。

「佑香!あれを使って片付けろ!」

えー、と嫌そうな顔つきをするが、負けたくないのかすぐに神道に向き合った。
またしても右手に電撃を集める。
また雷獣でも作りだすのかと思えば、なぜかそれで星を描いた。
そうして何やら意味深な、古典的な言葉を詠唱し始めた。

「光り輝く五傍の星よ。輝き瞬き鋭さを増せ。描かれ充足し満ち足りろ。己の中を雷で見たせ。痺れさせよ。
 焼き焦がせ。大天に背いた不届きを塵となって思い知らせるがいい。炸裂せよ・・・・・」

段々と、輪郭だけが描かれていた星の中に中身が詰まっていく。
そしてその内部が全て黄金の雷撃に包まれた瞬間、一気にそれは炸裂した。

「サンダーバズーカ」




                                 続きます




_________________________________________



あれ?この技どこかで見覚えが・・・

Re: IF=全国中学生能力者選手権編= キャラと能力募集中 ( No.119 )
日時: 2011/09/23 15:39
名前: 狒牙 ◆nadZQ.XKhM (ID: /tWbIoNn)
参照: 書き方変えます

東京編続き






 何が侮っていた、だよ。明らかに俺の方が不味いじゃねえか。この威力、こんなの来るとか冗談じゃねえぞ。調子こいてたのはこっち側だったってことかよ。
 そう考えながら神道は雷撃の超威力のレーザーを受け止めていた。この威力は、バズーカと付けるだけの威力がある。それにしてもこれは少し腑に落ちないな、とも神道は思っていた。本当にこいつが作ったものかどうかが怪しいのだ、この技は。
 本当にこいつのオリジナルの技だというなら、それなりにこいつの強さの株も上がっているはずで、それなりに知名度が上がっているだろう。なのに、こいつの強さは聞いた事が無い。
 というよりまず、そもそも紫電佑香という生徒を聞いた覚えが無い。正確には、サンダーアーティストの紫電佑香という人間の名前をだ。自分の知っている紫電佑香の能力は、イエローガントレットだった気がする。
 もしかしたら、今闘っている紫電佑香は偽の存在、そのような気がしてならない。元々本物の彼女が生徒会の仲間に自分の能力を詳しく言っていなかったらイエローガントレットもサンダーアーティストもほとんど変わりないだろう。第一今、女性と闘っているような感覚がしない。
 男の能力者が作りだしている操り人形と闘わされているかのよう。背後にはもっと強い能力が控えているようでならない。


 神道の予想は当たっていた。実際、今闘っているのは紫電本人ではなく、とある人物によって動かされている紫電と同じ容姿をしている雷分身だった。操っている人間、それは・・・

「さて、そろそろあいつらに、第一の門を開けてもらおうか」

 観客席の中から一人の能力者がLV2状態でその試合の流れを見ていた。彼こそがあの中に自分の分身を送りこんだ張本人。普段は眠たげな眼をしているのだが、LV2、雷獣憑依Verアルティメットの発動下にある今の状況下では目は吊りあがり多少好戦的な雰囲気も漂っていた。
 彼の名前は、源薪代介と言った——。



「シンスケ!大丈夫か!?」

 驚いたような表情で高木は神道に問いかけた。今まで生きてきてこのような状況は初めてだった。親友が押されている姿を見かけるのなんて、この十四年弱で初めての出来事。
 威嚇したはずの動物たちに感じた違和感よりもその現実の方が驚く要素が多い。ナイフから体中の気を全て炎に変える勢いで放出して防御膜を展開しているが、破られるのも時間の問題かもしれない。
 心配して声をかけたのだが返事は返ってこなかった。彼は自分の心の中で考え事をしていたのだから。それが口に出ていたのは本人も知らない。

「くそが・・・何が神童だ・・・この程度防げなくて笑わせるじゃねえかよ、そのあだ名。ほんっと下らねえ。
 でも、このままじゃ本当に不味いな。あくまでも・・・「このまま」だったらな・・・」

 何か別の意味を含めたように、フッと彼、神道宗哉はポツリと呟いた。生まれて初めてこのようなことを感じたかもしれない。今まで自分は努力ということをしてきた覚えはほとんど無い。親友を護るために力を付けた事以外は。
 叶わない力に遭遇したのは初めてだった。だからこそ、こんな感情になったのも初めてだった。
 それが、全ての条件を満たした。次の瞬間に、現在自分の心の奥底から浮かんでくる感情が何かを呼び込んでいると分かった彼からはふとした笑みが漏れた。
 それを高木は視界の隅で捉えた。神道の感じる感情はこれまでの人生で何度か高木は感じていた。



———力に対する、恋焦がれるまでの渇望———



 二人は全く同じことを感じていた。強くなりたいと、切実に、強く強く感じた。その感情こそが全ての門を開く『鍵』。


「・・べる・・ー」

 高木の口元がほんの少しだけ動いた。それに対してよく聞きとれなかった梶ヶ谷は何やら不気味な感覚がした。何やら、歴史的な現場に立ち会っているような、窮地に立っているはずなのに感じる高揚感。
 今の自分で思ったことに対して、引っかかるものがあった。窮地と、確かに自分はそう言った。今、梶ヶ谷と高木は拮抗状態にあるというのに、確かに今窮地に、ピンチに立っていると思い込んでしまった。
 そして、またしても神道と高木の声が重なる。

「LV2・・・」

 会場全体の人間が、目を丸くし、見開いた。この言葉を聞きつけたのだ。それでも、唯一反応していない人間がいた。胸の内では良し、と頷いていたがそれを外には出していなかった。
 この状況を作り出した源薪代介というその人は、そこまで見てその場を後にした。まるで、もう見る必要は無い。結果など興味が無いとでもいうように。それとも察しているのだろうか、闘いの結末を。

「炎人化!!」
「猛獣王!!」

 瞬間的に、二人のSOEは爆発した。雷撃のレーザーは弾け飛んだ。周囲の動物たちは高木の命令なら何であろうとも聞こうとも思えるような態度を取り始める。高木には自分の能力がどういったものか、もう理解できていた。
 一方、観客のどよめきは凄まじかった。神道のLV2は言うまでも無く炎人化になるのは間違いない。しかし、猛獣王という能力は世界で初めて確認されたのだ。歴史の立会人、確かにそれは間違いでは無かった。
 神道の周りから凄まじい火柱が、術者を飲み込むようにして立ち上っている。それは次第に回転し始め、炎の竜巻のようになる。会場全体が熱気に包まれる。その大迫力の炎は次第に神道に向かって集束して行く。完全に神道に密着しそうなぐらいまでたどり着くと一気にそれは押し固められ、彼の肉体の中に入り込んだ。
 中から現れたのはいつもの茶髪が真紅に染まり、目の色も真っ赤に染まっている神道の姿。その容姿に神道のファンが黄色い声を上げたのは別のお話。
 高木は自分の能力を理解したついでに一つ忠告をしておいてやった。

「おい、もう動物の類は召喚しない方が良いぞ。魚とか虫とかだったら話は別だがな」




                                 続きます


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次回、二人がLV2で大暴れです。


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