複雑・ファジー小説
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- IF=全国中学生能力者選手権編= 再開してみました。
- 日時: 2011/11/16 21:40
- 名前: 狒牙 (ID: tDghPMhC)
コメディ、ライトの方で違う名前で
違うもの書いてる者です。
えーと、ざっくりと説明するとですね、
闘いまくります。
そして今ちょっとしたピンチ、詳しくはこの>>0の下の方を見て下さい。
あと、大阪編と東京編に分かれて、同時進行します。
東京編書いたら大阪編って感じで。
メイン主人公が大阪編、メインストーリーが東京編だと
思ってください。
大阪編は東京編の一年前のストーリーです。
長編予定です。
ってなわけで、東京編行きまーす。
プロローグ
今朝起きたら、父親がいつも通り、新聞を読んでいた。
「早くしないと二年生の新学期早々遅刻よ」
キッチンから母さんの声が聞こえる。
ふと時計を見ると、七時半を指している。
「あっそ、入学式は八時半からだ」
朝食を取った俺はすぐに着替え、カバンを用意し、
八時十分ぐらいになるのを待った。
するといきなり、インターホンが鳴った。
「ターカシーン!まだかーーーーーー!」
白石の呼ぶ声が聞こえる。
どうやらシンスケも一緒にいるようだ。
「来るの早いんだよ」
ブーブー言いつつも、いつも通り学校に行く支度をする。
とりあえず、俺は外に出た。
四月だから、吹く風も心地よく、日差しも柔らかく、穏やかだ。
そして、超平凡な、この俺、高木新羅(たかぎ しんら)の
超非凡な物語が始まる。
今回だけ、大阪編も一緒にします。
プロローグ
大阪のある市立中学に通っている白山 後(しろやま こう)には、
もう一つの顔があった。
それは、芸能人としてのじぶんである。
そんな華々しい自分に、少なからず誇りを持っていた。
ある日突然白山は、クラスでも浮いている男子から
声をかけられた。
「俺のいるチームで、全中に出ないか?」と。
※大阪編の主人公は浮いている男子です。
謎や秘密は頻繁に出てきますが、ちゃんと後々
明かしていくので、気にせず読んでください。
質問は気軽にしてください
答えますんで
そして、一つピンチです。能力が足りません。
誰か心優しい方はここを見て下さい。>>34
ついでいうとキャラクター募集、という形に変わりました。
- Re: If there are …… ( No.9 )
- 日時: 2011/05/16 17:21
- 名前: 狒牙 (ID: gzQIXahG)
- 参照: 三話連続東京編第二弾!
東京編第四話 解禁中編
「はああぁぁっ!!」
町はずれの古いビルで戦闘を繰り広げる十人の男と少女。
人数では圧倒的優位に立っている男たちは達人クラスの剣の腕前の
少女に、手も足も出ないでいた。
「なんだあの強さ?まさかあの連中にたった一人で・・・」
俺が驚きあきれている時に横から白石が水を差した。
「いや、体力がもう持たない・・・」
言われてみると、闘い始めた瞬間と比べて、
今の動きには精彩が無い。心なしか息も上がっているように見える。
だがすでにスキンヘッドのリーダー以外全員のびている。
ギィンッ!!
君吉の剣とスキンヘッドの警棒がこすれ合い、
火花が散る。
武器を接したまま、押したり引いたりと力が拮抗している。
このままではらちが明かないと踏んだのか、
思いっきりそれぞれの武器を相手の得物に押し付け、
その反動で距離を取った。
「やるなあ、お嬢ちゃん」
「あなたこそ」
武器を扱うことに関しては、君吉の方が何枚も上手だ。
警棒が軋んでいるのに対して、刀は一筋の傷もついていない。
だが、身体能力が明らかに違っていた。
これは、男と女とか、そういう次元の違いではない。
「ハイパードーピング(肉体超活性)か・・・」
君吉がポツリと誰にともなく言葉を発した。
一時的筋力増加能力、それが真の名前である。
一分間にたった3秒間の間、肉体を超活性させ、
人間をはるかに超越した身体能力を発揮する。
ただそれだけの能力。
ただ三秒とは、細切れにして使ってもよい。
たとえば、足を踏み出すその瞬間のみ活性させることで、
一分間フルに超スピードを保てたり、といった具合だ。
「なあタカシン、助太刀・・・しないか?」
「どうやって!?」
白石が無茶な注文をする。
俺にどうしろっていうんだ?
握力も、速力も、体力も、知能も全てが人並みの俺が、
一体どうやってあんなやつと・・・
「能力使えばいいだろ!」
とはいっても俺の力は・・・
—————怖いよ!
ゾクッと背中に寒気が走る。
悪しき、忌々しき記憶がよみがえる。
「もう充分耐えたろ!?城崎だってもう大丈夫じゃないか!?」
—————来ないで!!
心臓の動悸が早くなる。
緊張で、冷や汗が吹き出てくる。
「でも・・・あれは・・・」
—————バケモノ!!!
胸の奥で、縫われていた糸が、ほどけるような音が鳴り響いた
ような気がした。
心の中を黒が埋め尽くす。
俺の、最も悲しき記憶が・・・永遠に忘れてしまいたい記憶が・・・
ゆっくりと、だが確実にあふれ出てきている。
「とりあえず、俺は行くからな!」
隠れていた場所から白石が跳び出した。
その瞬間だ。白石は落ちていたガラス片を踏んでしまった。
パキッ
もちろん、あいつはこの音を聞き洩らさなかった。
白石の姿を見つけるや否や、フッとその姿を消した。
そして、白石の目の前に現れた。
「アンラッキーだったな坊主」
たった一回のジャンプで、一階から二階まで跳びあがった。
信じられないほどの跳躍力だ。
そしてまた、一階まで跳び下りた。
「人質、ゲェ〜っト」
「くそっ、汚い真似を・・・」
白石が捕まった。首根っこをつかまれ、宙ぶらりんにされている。
白石を助けなくちゃ・・・でも・・・
どうやって?
戦闘なんて俺ができるはずがない。
かと言ってあれは・・・危険すぎる。
もしかしたらまたあの惨劇が起こるかもしれない。
「くっそぉ!」
白石がじたばたと抵抗するが、その甲斐無く、
ゆらゆらと揺れるばかりだ。
どうする?
どうしたらいい?
どうするべきだ?
どうやればいい?
どうにもならないのか?
どうにかしないとっ!
考えろ!他に道はあるはずだ。
白石に恐怖を刻む訳にはいかない。
一体、何をどうしたら・・・
「俺のことは構うな!速くしろ!!」
白石は、抵抗をやめていきなり叫んだ。
向こうの二人には君吉に言っているように聞こえただろう。
しかし、実際はそうではない。
「お前ならなんとかできる!」」
・・・・・そうだったな。
「どうしたらいい?」だって?
笑わせるよな。最初から、この道しかなかった。
「考えるまでもなかったんだよな」
答えは出た。
「どうすればいいのかなんて、最初から答えは出てるじゃないか」
—————使ってやるさ、六年、いや七年ぶりに・・・
俺は立ちあがり、ゆっくりと階段を下って行った。
コツ、コツ、コツ、コツっ
静けさを取り戻した廃ビルに、足音が反響する。
階段を下りると、目の前に三人がいる形になった。
「なんだ?邪魔はもう一人いたのか?」
白石ごと、体をこっちに向けた。
俺と君吉、両方が視界に入るように立ち位置を調整する。
「嫌われるとか関係ない」
「ああ?頭おかしいのか?」
このまま見殺しにするのが、何よりも怖い。
目をぎゅっと思いっきり、力をこめてつぶった後、
冷たく敵を見据えた。
「今から、てめえは敗北する」
続く
- Re: If there are …… ( No.10 )
- 日時: 2011/05/16 18:02
- 名前: 狒牙 (ID: gzQIXahG)
- 参照: 三話連続東京編第三弾!
東京編第四話後編
「俺を倒す?ハハハハハ!!笑わせてくれるね!?」
高らかに、、騒がしく、無知なおっさんは嘲笑う。
「その発言も充分笑わせてくれるよ。何の策もなく出てくる訳がない」
俺の発言を聞くと、より高らかに、大きな声で
笑いだした。
煙草のせいで黒ずんだ歯が浮かぶ。
未成年の自分にとって、心底汚らしいと思う。
「策ってなんだ!?言ってみろよ!ここには使える物なんて
何一つ無い。てめえみたいな一般人に大したスキルがある訳も
ねーしよう!口だけは達者なようだが、てめえは話にならないザコだ
さっさと失せろ」
「じゃあ、俺の能力を見ろ」
「いいぜ、さっさと使えよ」
「おいタカシン、まじで・・・使うのか?」
「お前がそう言ったんだろ」
白石が驚いたように俺に話しかける。
未だに危険な状況にさらされているのに、よくこんなに落ちつけるな、
と言いたいぐらいだ。
「ありがとさん」
「いいから目ぇつぶってろ」
すうっと息を吸い込んだ。
そして、あのうざったいスキンヘッドを殺気をこめて睨みつけた。
「早くしろよ。それとももう始まってんのか?」
何が起きてるかも分からず、能天気にしている。
とりあえず、今思ったことは「吠え面かきやがれ」ということだけだ。
「ああ、始まっている」
すると今度は、興ざめだと言った。
「まさか気づけないほどよわっちぃとはな・・・もういい消えな」
「何言ってんだ?」
いきなり、笑いはとまり、眉間にしわが寄る。
興ざめという言葉の通り、盛り上がりはとっくに過ぎたようだ。
「人にそんなでかい口叩くんならお前、かかってこいよ」
「ああいいぜ。って、ん?なんだぁ!?」
ようやく気付いたようだ。
あいつの体は冷や汗が伝い、シャツはびしょびしょになっている。
足は震え、膝は笑い、全く身動きがとれていない。
顔はひきつり、目からは涙があふれている。
「体が・・・動かねえ!」
どうやら久しぶりの能力も衰えずにいてくれていたようだ。
完全に術中にはまっている。
「何を・・・したぁっ!!!」
言葉になっていないが、そう言いたいのであろう。
「怖いか?」
俺は嘲笑を浮かべながら言葉を発した。
「俺の能力は二つの性能がある。一つは視力を10.0まで
引き上げること。そしてもう一つが無駄に強いんだ」
最強の威嚇能力。
目を合わせたらもうアウト。
全身を恐怖が包み込み、身動きを封じる。
猛禽類のような視力と、鷹のように獰猛な、荒々しい金色の瞳。
だから俺はこの能力をこう呼んでいる。
「黄金の鷹眼ってな」
目の前のやつは、再び動こうと、必死でもがいている。
「動きは止められても、お前に俺は倒せん」
負け惜しみのような一言を俺に投げかける。
確かにあいつを倒すのは無理かもしれない。
「俺はな」
そこで、白石と俺はフッと笑った。
「やっちまいな!転校生!」
横にいる、もう一人の、怒りをたぎらせる少女に
攻撃はまかせた。
「安心して、目覚めたときには」
ウエポンブロックがハンマーに変わる。
真上に振り上げ、即座に振り下ろした。
「留置所だから!」
頭に、ハンマーは叩きつけられた。
叩きつけられる寸前に俺はスキンヘッドに一つだけ補足した。
「黄金の鷹眼はな、出力あげたら気絶させることもできんだぜ」
今日で使うのはたったの二度目だが、それだけは知っていた。
だって昔、そうなったから。
そうして静かに闘いは終結した。
「ふうっ」
ウエポンブロックがただの立方体に戻った。
そしてすぐさま、君吉は俺のところまで駆け足で来た。
「七人目、決定だ!」
嬉しそうに笑顔を浮かべてそう言った。
「えっ?なんの?」
「七人衆!」
七人衆って・・・あの七人衆だろうか?
「なんで俺が見ず知らずの人と・・」
「いいや、君は私を知っているはずだ。名前だけね」
名前だけ?確かに知ってるよ!!
朝自己紹介したばっかだろ!そんなすぐに忘れるほど脳みそゆるくないぞ!!
「あれだろ?きみよ・・」
うん?君吉ってまさか・・・
「お前、厳統の孫娘か!!」
「その通り」
「俺に断る権利ねえじゃねえか!!」
「まあね」
「急に猫かぶったような声出すな!さっきの戦闘シーンが素だろ!」
「まあまあ落ち着いて。ひとまず付いて来なさいな」
なんだか知らんが、付いていかなくてはいけないことになった。
そして、厳統については・・・また今度の機会に・・・
続く
※次回は大阪の予定
- Re: If there are …… ( No.11 )
- 日時: 2011/05/17 15:09
- 名前: 狒牙 (ID: gzQIXahG)
大阪編第四話 リスク
「どーゆー風の吹きまわしだ?てめーら」
あの一件の後、金田と春と後は鱒字に連れられ、溜まり場と
称する教室にやってきた。
もちろんのことながら、そこにはあの忌々しい睡眠中毒がいた。
「マスキタ、何があったんだ?」
「えーと、まず体育館のいつもこの三人がいる辺りに行って・・・」
鱒字がその状況を説明している間に、三人は教室内を見まわした。
なんてことのない普通の教室に七つの机が置いてあるだけ。
時計も一応置いてあるし、電気ももちろんのこと通っている。
教卓はないが先生は来ないので、別に心配することはない。
空のコップが机の上に無造作に四つ置かれ、というより倒れている。
「シードの説明は?」
「まだ。とりあえずお前がした方がいいだろ」
つい先ほど鱒字に助けられた三人は抵抗したら次は自分の身の
危険を感じ、ひとまず付いてきた。
「しゃあねえな。じゃあシードの説明すっからよく聞けよ」
そう言ってどこかからルーズリーフとシャーペンを取りだした。
「まず、なぜ能力者が存在するかというとだな」
ルーズリーフにいくつかの棒人間、それと小さい粒のようなものを
書いた。そして、粒から人間へ向かって矢印を書いた。
「大気中には無数の、力を変換させる回路が散らばっている。
これがシードだ」
そして、今度は粒を人間の中に書いた。
「そして、人間はおよそ50パーセントの確率で、生まれた瞬間に
これを体内に取り入れる。そして、それが入った瞬間に
花開いた者は先天的、遅くに開いた者は後天的と呼ばれる」
そして、欄外に一際大きい円を書いた。
「だが、ある特定の能力は親から子へと代々受け継がれていく。
代表的な瞳術を挙げると鷹の目や金獅子眼がそうだ」
そして、その大きい方の上に例外と書いた。
「次に、後天的能力者はなぜ三つしかないのか、という点だ。
シードは、開花するのが遅くなると次第にその性質を変える。
そして、最終的にファスターかストロンガーかジャンパーになる」
小さいほうのシードに変質と書いた。
「そして、例外中の例外にオリジナルシードがある」
そしてそこから、さらに面倒くさい説明が始まった。
途中、言葉が難しくて色々つまったが話は進んで行った。
〜六十分経過〜
話はついに終わった。
説明になんと、一時間もかかってしまった。
そして、最初に思ったことは・・・
「そんな話、信じられるか!」
最初に代介を怒鳴りつけたのは金田。
「だぁからお前うるさいって」
いつも通り耳を塞いでしかめっ面になる。
睡魔に襲われているのか、一回だけ大きなあくびをして、
もう一度説明を続けた。
「否定するってのか?だったらちょっと考えてみろよ」
金田を指差して、最悪の質問を代介は投げかけた。
「だったらなんで能力なんてものがこの世にあるんですか?
こうでもしないと説明つかないっしょ〜」
確かにそうだ。今の時代能力なんて当たり前、
なんでこんなものが存在するかなんて聞かれても
えっ?と言ったきり、返答に困るやつしかいないだろう。
なんで水はこの世界に存在してるの?と同じくらい
答えようのないことだ。
何も言い返せなくなった金田は壮大な話を肯定するしか無かった。
「はい、じゃあ次に君たちに質問です。
と言っても春と金田の二人か」
急に、眠そうでしまりの無かった顔に、真剣さが入りこむ。
実際、これに続く質問は相当に重かった。
「お前たちに、これまで慣れ親しんできた能力を、
捨てる覚悟はあるか?」
続く
次回は東京の予定
- Re: If there are …… ( No.12 )
- 日時: 2011/05/17 18:18
- 名前: 狒牙 (ID: .O4zlx67)
東京編第五話 七人衆
「よいしょ、ここが私達の家だ」
学校から徒歩五分、商店街のすぐ隣の団地の
やや学校よりの場所に、かなりデカイ二階建ての豪邸(?)
が建っていた。こういうの見ると厳統ってすげえって思う。
瓦張りの屋根で見た目としては純和風。
でも中は普通と君吉は言った。
「お前・・・七人衆なんてマジで作る気か?」
七人衆、聖徳太子とも言っている学者もいるが、
文献に残っている限りではそのような集団を初めて組織したのは
かの徳川家康公だとされている。
その組織自体のリーダーをトップとした組織内最強の連中を集めた
武装集団。目的は主にリーダーの保護。
そして、プロ野球やサッカーのように会社の宣伝として
全中の大人版みたいなのに出場する。
でもその手の大会で最も人気があるのがなぜか中学生なのだ。
「実は、そのメンバーの内六人は決まってたんだけど・・・
なかなかラスト一人が決まらなくてね。
とりあえず六人が集うこの街にいる人を勧誘しようと
思った訳よ。すると頭領いわくここには鷹帝の息子がいるって
言うから探してみたのよ」
こいつ話長ぇな。
一方的にまくしたてるように、喋りっ放しの女子に対して、
高木はそう思った。
「あっそ。で、残りの五人は?」
「ちょい待ち。こんなところで立ち話もあれだし上がってきな」
そう言うと、一旦ドアの方に向きなおって、ポケットから
鍵を取り出しガチャガチャとしたあとに扉を開けた。
「ただいまー、チョコ」
ん?犬でも飼ってんのか?
家の奥まで聞こえるように大きめの声で呼びかけた。
「七人目決まったぞー」
その一言を聞くと、飛ぶようにしてやってきた。
「お帰り。ってその七人目もう連れてきたのかよ!」
現れたのはまだ帰ったばかりであろう制服の中学生。
俺らとは学校が違うようだ。
背は俺と同じぐらい、つまり男子の全国平均と同じぐらいと、
女子にしてはけっこう高めだ。
髪は黒く、後ろで一つに束ねている。
容姿はさすがに城崎には劣っているが、それでもまだやはり
きれいな方だ。
「もうすでに一人いたのか」
騒ぐ二人をしり目に俺はため息をついた。
「OK自己紹介行こう。私は飛跳子(とび ちょうこ)。
名前と日課でついたあだ名はチョコ。
その日課とは毎日糖分をチョコレートで摂取すること!」
「よく太らねえな・・・」
「だって頭使うもん」
あ〜、あれっすかなんとかノートの人みたいな感じっすか。
アルファベット12番目か。
「高木新羅だ。通称タカシン。能力以外は全てのパラメータが
全国平均とぴったり同じ。ついたあだ名は・・・平々凡々・・・」
「うわ、悲惨」
とか言いつつも笑いながらこっちを見てくる。
冗談で言っているんだろう。
これ、本気で言ってたら黒いのにも程がある。
「リョーちゃんこの子の能力何?」
「なんか凄い能力」
「ざっくりしすぎでしょ・・・」
なんだろうこいつら?二人セットだとうるさすぎる。
俺もう帰っていいかなぁ?
「で、結局何なんだい?そこの君」
ワ—オ、いきなり俺に振りやがったこいつ。
「黄金の鷹眼。視力の底上げと超威嚇能力」
ほうほうと頷きながら小型のパソコンに、メモする感覚で
打ち込んだ。
「で、あんたは?」
「ジャンパー」
「あっそ、ってハア!?」
えっ、ジャンパーってあの誉れ高い後天的能力最弱のあれっすか?
ジャンパー○○←数字入ります。
ジャンプする高さや距離を○○倍にすることができる。
正直闘いには不向きな能力。
唯一の攻撃手段は跳び蹴り。ただし避けられたら
近くの障害物に当たるというハイリスクなもの。
「それでよく闘おうと思ったな!?」
「私は戦略とか練る係よ。最弱の天才とか聞いたこと無い?」
聞いたこと・・・あるような無いような。
「それもそうだけど・・・チョコ・・・さん?」
「さん付けすんな」
「どうでも良くね!?」
でも本人が嫌がってるから仕方ない。
「チョコってもしかして青葉中?」
「そうだよ」
若々しい深緑の葉の刺繍の入ったきれいな制服。
それが青中と呼ばれている青葉中の制服だ。
ちなみに自分たちは白金中学だから白中です。
「ところでもういいだろ。早く四人を教えてくれ」
「分かったわ。ほとんどは知り合いのはずよ」
君吉が手帳を取り出した。
そこには全員のパラメータまでこと細かく書かれていた。
「一人目、神道宗哉。能力ファイアーアーティスト(炎の画家)」
シンスケか・・・初っ端から強いな。
「二人目、速水瞬次。能力ファスター」
だから強いって!その二人そろえたら相当だって!
「三人目、小東剛。能力ストロンガー」
ここに来てトーゴー!?言っちゃ悪いが流れに合わん。
俺より弱そうなぐらいだ。
「四人目、まだいないけど影美リサ。転校してくる予定。
能力バリアー」
えっ?ハーフ?
「以上四名と我々三人だ」
あれ?全員入ること決定事項?
俺も?ちょっとマジかあんたら、熱でもあるんじゃ。
「大丈夫うちらはいたってまとも」
「なんで考えてること分かるの?」
このチョコってやつなんかもう人として怖い。
うすら笑いが超ドSに見える。
やっぱりこいつ黒くね?
いきなり、君吉のケータイが鳴った。
メールが届いたようだ。
「よっしゃ、了解取れた」
くるっとこっちに向きなおり、ドンマイって言いたそうな顔で
耳元でこうつぶやかれた。
「頭領に言ってもらってあんたの両親に了解得たから・・・
あんたの家は今日からここだ」
脅しじゃねぇかっ!!
何?俺自宅から強制追放!?
普通の男子だったら、いや、どっちかというとこいつらが普通の
女子だったらまだ普通に喜ぶだろう。
でもね、約一名が闇と権力の塊の孫で
もう一人がエスパー並みに感のいいドSだぜ?
泣きたくなってこない?
なんにせよ、非凡の本拠地はここに決まってしまったんだ・・・・・
続きます
次は大阪編予定です
- Re: If there are …… ( No.13 )
- 日時: 2011/05/18 13:51
- 名前: 狒牙 (ID: .O4zlx67)
大阪編第五話 覚悟前編
「今の能力を・・・捨てる覚悟?」
「そうだ」
ついていた頬杖を解いて立ち上がり、
鱒字にバトンパスした。
「本来闘い向けの強力な能力はPMじゃない限り一人一つだ」
俺だって火のシードを取り入れた時、今まで持っていた
リッパ—(ナイフ戦闘術向上能力)を捨てた。
ま、俺の場合近接戦闘は性に合わんから喜んで受け取ったが。
そんなことを思い出した。当時の自分はその武器のせいで
なぜか不良だと思われていた。
「だから新たにシードを手に入れるお前たちに今まで連れてきた
自分の一部を捨てる覚悟があるか聞いている」
だからこそ、今こんなに真剣な空気が漂っている。
長い長い沈黙が続いた。時計の秒針が動く音さえ大きく感じる。
短いとも、長いとも言えぬその時間を最初に
打ち壊したのは後だった。
「絶対ヤダ!」
教室全体に響き渡る叫び声。
すぐ隣にいた春は鼓膜が破れそうな思いがした。
「はあ?話ちゃんと聞いてたのかてめーは?」
「聞いてたからこうして言ってるんやろ!」
バトンパスして場外に行ったはずの代介がまた舞い戻ってきた。
バッカじゃねーの、とでも言いたげな顔で後を睨みつけた。
「この能力があるから今の私がある。手放すなんて絶対無理!!」
「だだっこかてめえは・・・」
あきれて物も言えず溜息をつく代介。
「そっちから覚悟がどうのとか言ったくせに何や!
鼻からこっちに拒否権無いんかい!」
「だっから、お前には聞いてないだろ」
あ、余りのだるさに代介が寝ようとしてる。
目がうつろだし、首が振り子のように前後に動いている。
「そういうことやったらパスさしてもらうで」
そう言い残して後は教室から去っていった。
「おい、止めなくてええんか?」
金田が代介に詰め寄る。
だが、無視しているのか返事が無い。
「返事せぇや!」
「諦めろ。もう寝てる」
立ったまま器用に寝る男を見て、器用さに驚きつつも
あきれて何をいうことも出来ずにいた。
「にしても、なんであんなにさっきの話は噛み合ってなかったんや?」
春だけが懸命に眼前の問題を考えている。
「そうやな。私も分からんわ」
俺だけかな?あいつらの上にはてなマークがくっきりと
浮かんで見えるのは?
バカ面さらしてる二人の目の前で鱒字は幻覚のようなものを見た。
「劇団なんて捨てなくてもいいからだ」
代介が顔を上げ、再び夢の国から現実に帰ってきた。
「俺が力捨てろっつったのはてめえら二人だけだ。
マスキタが言った通り戦闘向きは基本一人一個だが
劇団みたいなんは大丈夫なんだよ」
「しっかり話聞いてるやないか。ホンマに寝てたんか?」
初めて代介と関わる人間にとっては驚くべきことだろう。
だが、感覚がマヒしている鱒字はそんなこと考えていない。
こんなこと去年からザラにあったことだ。
「先にお前たちにシードを継承しとくか。嫌ならさっさと嫌と言え。
後になっても取り返しはつかねえ」
ここまで言われると、さすがに春は心配になってきた。
確かに、ホ—ネットには今までずっと助けられてきたからだ。
意見をうかがうために横の金田の様子をちらっと見た。
「構わない。今日、力不足を感じた。後たちを護るには
もっと力が必要なんだ」
そして、金田らしくなく、頭を下げた。
「だから、シードをくれ」
「言われなくてもそのつもりだ」
お前は?といった目で春の方を見る。
少し慌てたが、もう答えは出た。
「護ってもらうだけじゃ話にならないからね。
私だって構わないよ」
「そうか」
そして、空いている席に金田と春を座らせた。
二人の頭に手を乗せ、詠唱を始めた。
「目覚めよ種子よ。解けよ封印。力目を覚ましその扉開かんと
我欲す。吹き荒れ、飛ばし、飛び、破壊するがいい」
春の頭に乗っている左手が輝いた。
眩い光は春へと段々移っていく。
「目覚めよ種子よ。解けよ封印。力目を覚ましその扉開かんと
我欲す。圧搾し、潰し、斬り裂き、叩き、流し去るがいい」
今度は右手が光り輝いた。
目も当てられぬ閃光が教室内を支配する。
「我・・・のシード持ちてここに命じる。水のシード、風のシードよ、
今こそ己が主に付き従うがいい。主と共に闇に向かい
暗きを明るく照らすこと、ただそれだけを我念ずる」
何のシードと最初に言ったのか聞きとれなかったが
今はそんなことは関係ない。
体中に力がみなぎる。ふと気を抜くと溢れ出しそうだ。
春はその高揚感に耐えられず、やった!と叫ぶと同時に
力をこめてしまった。
「てめ、バカ野郎!」
鱒字が机が飛ばないようしっかりと床に押さえつける。
大気が荒々しく、なおかつ歓迎するようにそこに渦を巻いた。
「じゃ、その能力の名前を教えなきゃな。知ってると知ってないで
えらい違いだからな」
そして、まず金田を指差した。
「ウォーターアーティスト(水の音楽家)Verアルティメット」
聞きなれない言葉が後半についたが、それが名だというなら
そう呼ぶだけの話だ。
次に、春を指差した。
「ウインドアーティスト(風の職人)Verアルティメット」
そして今ここにはいないけど、と言ってからもう一人分言った。
「白山にはコールドアーティスト(氷の彫刻家)Verアルティメット」
今度は鱒字が、自分自身を指差した。
「ファイアーアーティストVerアルティメット」
最後に、また代介が、今度はやはり自分自身を指差した。
「そしてこの俺が・・」
「ちょっと待てやあぁ!!」
ガラッと扉を思いっきり開けてもう一人入ってきた。
訂正。もう一人来たから二人だ。
「俺らもちゃんと説明しんかい!」
「だって、今日来ないと思ったんですよー。このサボりが」
ラスト六文字は聞こえないようにボソボソッと言ったつもりだろう。
でも思いっきり伝わってるよ。
誰だか知らんがその子キレてんもん。
「てめえ・・・しばくぞ」
「止めてくれよ。俺の趣味が人を保健室に連れてくことになるじゃんか」
「お前マジで・・」
「冗談だって」
否応なく口喧嘩止めやがった・・・
まだ相手は怒ってんのに慣れた手つきで無理やり
自分のターンで終了させやがった。
「だったらいいさ。俺の名前は・・」
そこで、さっき入ってきたもう一人が声を遮った。
「次回に続きます」
続きます
次は大阪編予定
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27