複雑・ファジー小説

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IF=全国中学生能力者選手権編= 再開してみました。
日時: 2011/11/16 21:40
名前: 狒牙 (ID: tDghPMhC)

コメディ、ライトの方で違う名前で
違うもの書いてる者です。

えーと、ざっくりと説明するとですね、
闘いまくります。
そして今ちょっとしたピンチ、詳しくはこの>>0の下の方を見て下さい。

あと、大阪編と東京編に分かれて、同時進行します。
東京編書いたら大阪編って感じで。
メイン主人公が大阪編、メインストーリーが東京編だと
思ってください。
大阪編は東京編の一年前のストーリーです。

長編予定です。

ってなわけで、東京編行きまーす。



プロローグ

今朝起きたら、父親がいつも通り、新聞を読んでいた。
「早くしないと二年生の新学期早々遅刻よ」
キッチンから母さんの声が聞こえる。
ふと時計を見ると、七時半を指している。
「あっそ、入学式は八時半からだ」
朝食を取った俺はすぐに着替え、カバンを用意し、
八時十分ぐらいになるのを待った。
するといきなり、インターホンが鳴った。
「ターカシーン!まだかーーーーーー!」
白石の呼ぶ声が聞こえる。
どうやらシンスケも一緒にいるようだ。

「来るの早いんだよ」
ブーブー言いつつも、いつも通り学校に行く支度をする。
とりあえず、俺は外に出た。
四月だから、吹く風も心地よく、日差しも柔らかく、穏やかだ。
そして、超平凡な、この俺、高木新羅(たかぎ しんら)の
超非凡な物語が始まる。




今回だけ、大阪編も一緒にします。

プロローグ


大阪のある市立中学に通っている白山 後(しろやま こう)には、
もう一つの顔があった。
それは、芸能人としてのじぶんである。
そんな華々しい自分に、少なからず誇りを持っていた。

ある日突然白山は、クラスでも浮いている男子から
声をかけられた。
「俺のいるチームで、全中に出ないか?」と。


※大阪編の主人公は浮いている男子です。
 謎や秘密は頻繁に出てきますが、ちゃんと後々
 明かしていくので、気にせず読んでください。






質問は気軽にしてください
答えますんで

そして、一つピンチです。能力が足りません。
誰か心優しい方はここを見て下さい。>>34
ついでいうとキャラクター募集、という形に変わりました。

Re: IF=全国中学生能力者選手権編= 能力とかキャラ募集してます ( No.100 )
日時: 2011/08/30 20:34
名前: 狒牙 ◆nadZQ.XKhM (ID: lxH2OECm)

大阪編続き






「LV2、紫衣纏いし魔人極版!」

新城がLV2を発動する。
新城のLV2、紫衣纏いし魔人極版(しえまといしまのひときわみばん)は、
外見的には髪の毛と衣以外に変化は一切見られない。
今着ている服の上にさらに薄く錬成された毒の着ものを羽織っている。
髪の毛は紫色に染まり、全体的に毒々しいオーラを放つ。

「それがどうしたっていうの?」

手首を軸として風を斬って薙刀を回転させる。
舞を思わせるその捌き方は芸術の領域だとみんなが一目置くほどだ。
ただ、大概これはとあることを意味する。
本気で闘う、ということを。
そのスタートの合図であるこの鼓舞が終わった瞬間、
さきほどから張られていた緊張の糸が、千切れる寸前まで張られる。
気迫だけで大気が震えているように感じる。
並大抵のものではこの空間では息をすることすら重苦しく感じられるだろう。

「そうか・・・まだ本気は見せたことなかったな。俺達のLV2は・・・」

空中に、紫色のボールがいくつもいくつも出来上がる。
重力に逆らい、球体を保つ毒の砲弾。
たった一秒の間におおよそ十個ほど生産される。
新城が指で如月を指してゴーサインを出す。
それと同時に、毒の砲弾は撃ちだされた。
初速も相当なものだったが、それがさらに距離を稼ぐごとに
さらにその上を目指すように加速していく。

「一味違うぞ」

三発の弾丸を全て回避する。
それぞれの間に少しずつ隙間が開いており、簡単に避けれた。
しかし、その隙間は意図的に開けられたものだった。
目を再び新城の方に向けると、そこにはもう一つの砲弾が来ていた。

「誘導されたか・・・」

わざとルートを作りだしてそこを通した上での狙撃。
最初からこの四発目がメインで、あとは囮だったのだ。
回避が間に合わないと判断した奏衛は薙刀を横から振るった。
空気を巻き込むほどのスピードで斬りつけたが、少々凹む程度で
刃が全くと言っていいほど通らなかった。
ゴムのような弾力性が薙刀を通して腕に伝わってくる。
おそらく、粘度を上げることでそう容易く切断されないようにしたのだろう。
切断できないなら、宙に放り投げるだけだと直感に伝えられるままに
刃先の描く軌道が放物線になるようにゆっくりと上に向けていく。
垂直まで持ってきた瞬間に、上空高くへと打ち上げた。

「オイ、いいのか?」

何かを含みながらそう、新城は注意する。
何が起こるかと思っていたら、目の前でいきなり太陽光に当てられた
何か透明なものが反射した。

「なっ・・・!」
「それは、普通に液体を押しとどめてるだけだぞ」

咄嗟に、腕を盾にしてガードする。
液体がそこで弾ける感覚がする。
透明・・・ということはこれは酸。
急いでそれを振り払うべく、薙刀を回転させて突風を起こす。
それでも、腕の辺りの布は綺麗に溶けてしまった。
幸いなのは溶けたのが腕の辺りだということ、
そしてもう一つは肉体に影響が無かったこと・・・だ。

「残念だったなぁ、結構強くなるもんだろ?」
「雑談で注意を逸らそうとしなさんなって」

新城のこめかみがほんの少し反応する。
天に向かって柄を回転させる。
狙うは、さっき上空に弾きとばした毒の塊。

「ナイトスパークリング!」

何も無いところに向かって突きを放つ。
目に見えぬ斬撃は伸び、今度はさっき斬れなかった砲弾を貫いた。

「残念だったな、毒が漏れだすぜ」
「これは紫の毒よ。外傷が無かったら体内に侵入しない」
「コートしているのは、な」

何か反応して言葉を出そうとした瞬間に、外側のゴム膜が弾ける。
そして、落ちてきたのは・・・青と黄色の液体。
麻痺毒と睡眠毒・・・・・・
咄嗟にそう判断できたが身体は動かなかった。
そのままその毒を被弾してしまう。
さっきの色の具合から見るに、濃度は高い。
急速に薄れゆく意識が、それを裏付けていた。

「冗談抜きで褒めるぜ、今まで闘ってきた一般人では一番強かった」

うつぶせに倒れようとするその身体を、灰を吸わないよう仰向けにする。
遠くで、黒炎と白雷が紅炎と衝突するのが見える。
おそらく鱒字の奴だろう。
一試合終わった新城は、観戦に回ることにした。








「雷電奔る火矢の雨」

純白の稲妻が真っ黒な炎をコートして、大量に宙で待機している。
その数、普通に百は超えているだろう。
しかし、鱒字は一切焦りの表情は浮かべていなかった。

「終わりだ!」

一つ、また一つと矢は鱒字に襲いかかる。
だが、それでも慌てることなく攻撃に転じた。

「メテオシャワー(流星群)」

突如、何千もの豪火球が出現する。
威力、規模共に藤ヶ谷の攻撃を完全に圧倒しており、
その轟々たる威力は天すらを焼き尽くすほど。
それら全てが一堂に、天に向かって直進する。
佐祐のちんけな攻撃など全て消し去り、そのまま上空一帯を焼き尽くす。
空中に浮遊する炎の海に佐祐は飲みこまれる。
結果は見るまでもなく明白だった。

「ったく、驕るのはいいがうざいんだよ」






                                 続きます





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さてと、残るは剣対誰かの一騎打ち!
ごめんね、如月は弱くないんだ。新城が強いんだ。

Re: IF=全国中学生能力者選手権編= 能力とかキャラ募集してます ( No.101 )
日時: 2011/09/01 21:08
名前: 狒牙 ◆nadZQ.XKhM (ID: lxH2OECm)

大阪編続き






「剣、あとお前一人だぞ」

いつの間にか歩いて戻って来ていた代介が剣に声をかける。
新城が久々にLV2まで使ったのを見て笑みを浮かべていた剣は振り向いた。

「でもね・・・残っているのがあれだと、気乗りしなくてさ」

屈託の無い笑みが、徐々に苦笑いに変わる。
剣がため息を吐きそうになるのも代介にも納得できる。
最後の一人、愛衣恋香(あい れんか)は、本当に鬱陶しい性格だからだ。
騒々しい声が耳に入る。男組三人は揃って眉間に皺を寄せた。

「さあーて!残っているのは後八人、そして内七人が同一の敵チーム!」

これだけで分かったと思うが、超とドを付けても足りないほどのハイテンション。
ただテンションが高いのならいいが、実況するようにして
周りの人間を巻き込むからかなり鬱陶しい。
髪型は、黒い髪ということ以外は全く如月と同じ。
違う点は二つ。薙刀を持っていないこと、そして・・・

「果たしてこの私、愛衣恋香は勝利できるのか!」

異様なまでに身長が低い。
世界は広いというから似たような奴がいるかもしれないが、
大体身長は130程度しかない。
補足を入れると、トーゴーよりも小さいです。

「無理だろ、まず代介とマスキタの二連戦ができる気がしない」

剣がダメ出しをすると同時にぼやいている。
まあ、四人の実力は大体似通っているのだから無理なのか、と
白山はふと頭に浮かんだ。
だが・・・その予想が見当違いだということに気づくのは
かなり後のことだった。

「俺は代介とだけは闘いたくない」

元来“護る”以外に闘わない鱒字がそう言った。
基本的に“楽しむ”を目的にして鱒字は闘わないから
それは当然だろう、とも思った。

「無駄話はもういらぁーんっ!さっさと始めるぞ!先鋒は誰だ!」

何だよ、エクスクラメーションマーク使いたい症候群かこいつは?
渋い顔をして端革が戦場の舞台に上がる。
腕には、透き通るように蒼い宝石が装備されている。
メタルアームド究の型、それが剣の能力。
金属だけでなく宝石をも装備することができる。
基本的に金属は護り用、宝石は攻めこむ用だ。
数種類だけ、攻防一体の金属がある。
金、白金(プラチナ)、金剛石(ダイヤモンド)、そして・・・

「剣か、行くぞーっ!」

調子乗んなよ、代介はそう言いたくなる。
どこが調子に乗っているのか、ポイントを上げると切りが無いが、
一番の理由は・・・

「貫け、・・・」

その能力で自分に勝てると思っているのが代介は
腹立たしくてならないのだ。
その能力で勝てる人間は、この世にいないというのに。

「サンダーアーティスト!!」

言うまでも無く、こいつは雷獣憑依も余裕で使える。
それでもだ、Verアルティメットの属性支配能力は
常軌を逸している、という表現が最も正しい。
通常の雷獣憑依のおおよそ五倍の電量がVerアルティメットでは必要になる。
ようするに、雷獣憑依が六人以上一斉に襲いかからないと
ダメージすら喰らわないという訳だ。

「サファイア・・・そして、MIXアームド(混合装備)」

両腕を覆っていたサファイアの装甲が右腕だけ崩れ落ちる。
その代わりに、真っ赤な宝石がその腕を包み込む。

「ルビー・・・喰らえ」

剣にも、苦手なタイプの人間がいる。
敵だったら真っ先にぶっ潰してると豪語するほど、
剣は恋香が大っ嫌いだ。
両腕の宝玉それぞれが、紅と蒼の光を放つ。
力は、一点に集束していく。
それが二つ、しかもかなりの濃度だ。

「百火繚乱!」

舞い散る火の粉は、激しい突風を巻き上げて突き進む。
その様子は、まるで真紅の花弁が舞い散る様は、百花繚乱そのものだ。
瞬間、恋香は足に電気を通し、人体にセーブをかけるリミッターを解除、
生身の人間には到底出せないようなスピードで回避し、突っ込んでくる。
しかしまだ、左腕にはまだ氷の、サファイアの力が残っている。

「殲滅の氷剣、サウザンド・サーベル(千本の刃の葬列)」

冷気は、大気中の水分に形を与える。
名前こそ、千本の刃の葬列だが、その数おおよそ千五百本。
それら全てが恋香一人をめがけて襲いかかる。
死角は・・・無い。回避不能、防御か破壊かその二択だ。
しかし、全てを破壊する程の技術は代介すら無い。
一瞬にして貯め込んだ電圧を全て放出させて
硬度マックスの防御壁を展開するぐらいしか無い。

「甘いわね!さっき自分の出した百火繚乱覚えてる?」

そう、そこにはまだ火の粉の嵐が残っている。
回避の真っ最中だから、まだまだ周りには炎が残っている。
何もしなくても全て溶ける。だが、その考えは・・・

「つくづく甘い」

凄まじい温度の炎と、冷気がぶつかった瞬間に起きる現象を知っているだろうか?
答えは一つ、大爆発。急激な温度差が引き起こす莫大なエネルギーは
一瞬にして炸裂する。

「はあああああああ・・・」

完膚なきまでに叩きつぶす・・・というかこれしきで
倒れる敵で無いので気を練る。
次こそ、とどめの、勝利を決める一撃。
メタルアームド・・・

「オリハルコン!塵と化せ!」

ダイヤモンド、金をもしのぐ本来神話上にのみ存在する最強の金属、オリハルコン。
色は黄金に近い琥珀色。
艶めかしくも、神々しく、怪しげな光を放っている。
手甲状にその手を取り囲んだ金属は輝きを上げる・・・

「剛神の滅砕劇!」

放射状の、全てを破壊しつくすほどの威力の光線が放たれる。
地を抉り、天を齧り、大気を貪る黄金のレーザー。
咄嗟に張られた脆弱な雷の結界を吹き飛ばし、
勝利をその手に掴んだ。

「ちっ・・・三回も技使っちまったか」

ちょっと、性格おもいっきり変わってますけど・・・
冷や汗を浮かべた次の瞬間にはもう元に戻っていた。



                                 続きます




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大阪校内予選編完結!次は東京編校内予選&直前騒動編

Re: IF=全国中学生能力者選手権編= 大阪校内予選終了! ( No.102 )
日時: 2011/09/02 20:34
名前: 狒牙 ◆nadZQ.XKhM (ID: lv59jgSm)
参照: さあ、大人気のシンスケの登場です

東京編第九話 予選開幕・・・の前に






「で、リサはどうする?こっちに・・・入ってくれる?」

君吉が、廃屋と化したその建物から出てすぐに、そう訊いた。
質問されると分かっていたのか、すぐに返答は返ってきた。
初めて見たときからの様子では察することができないほど
快活で、明るい表情で笑いながら答えた。

「入ります」

公義の顔が蒸気する。歓喜で顔が紅潮し、身を震えさせている。
その次の瞬間、弾けるように身体を解放し、喜びを完全に露わにした。
よっしゃあ、と簡易な叫びだったが、深夜の街にはその声は
かなり五月蠅い方だと思う。
周りの事も考えろと神道が鋭い目で睨む。
委縮し、流石に自重した君吉は、小さく縮こまって黙り込んだ。
リサの姉も、嬉しそうに顔をほころばせている。
無理も無い、これまで、彼女が自分の意思で動いたことなど
全くと言っていいほど無かったからだ。

「それでなんだけど・・・お姉さん、リサが住むのは私達と一緒になってもいいですか?」
「訊くまでも無く良いわよ」

チョコが君吉に代わって一礼する。
そうして、一つ次の為に重要なことを思い出す。

「今度の校内予選って・・・どういうルールだ?」

ふと、思い出したように速水がそう呟いた。
これについては、神道と高木が代わる代わる説明した。

「くじ運良かったら大分楽だな」
「勝ち抜きのバトルなんだけど、くじをまず引いて、その順番通り闘う」
「最初に闘うのは一番と二番、その勝者と三番、次にその勝者と・・・という風に」
「次々と闘って行って一番最後に立っていたチームの勝利。なお・・・」
「毎回闘い終わった後に教頭の能力で回復できる」
「だから闘う回数が少ないだけで正直あんまり変わらねぇな」
「一番とか引いた方が経験積めていいかもしれないし」

そこまで言うと、二人は喋るのを一旦止めた。
というか、大体の説明が終わったのだ。
そして、五人が一番がいいか、ラストがいいか
話しあっている時に、高木は違うことを考えていた。



・・・・・あの白山って奴・・・なぜ無理やりに虚空達を・・・



そこが、気になって仕方が無い。
虚空達は仮にも善悪では絶対に悪に分類されるグループだ。
それを潰すように言われた、ということは九分九厘
依頼者、そしてあいつ自身善側に位置する者のはずだ。
にしては、やり方がかなり暴力的、なおかつ強制的だった。
冷酷に、ただ簡単に引きずるように連れていっただけ。
それに、裏七人衆という名も、どこかで聞いた覚えがある。
確か・・・



—————ねえねえ、お父さん。裏七人衆って分かる?




そうだ、母さんの口から出た言葉だ。
詳しいところは聞かなかった。いや、聞きたくなかった。
そう思った当時の自分は聞かぬふりをして家から出たのだ。
そういう風に、落ちつき払っていたからかもしれない、
突然、眉間にしわをリサの姉が寄せた。
何事かと思ったが、すぐに元通りになったので追求せずに黙ることにした。
そう——思った瞬間だった。

「すいません!そこ、通してください!」

息も絶え絶えに、必死で逃げている感覚で少年が走って来る。
見れば、両手で何か押し車のようなものを押している。
暗がりでは分かりづらかったが、そばを通る瞬間に分かった。
それは、二つか三つ歳が上であるであろう少女を乗せた車椅子だった。
撥ねられたくないそこの八人はすぐに両脇に避けた。
というより、まずそもそもこの人は何から必死に逃げているのであろうか?
車椅子も乱暴に扱っていて、なりふり構わないといった具合だが・・・
その理由はすぐに分かった。
一人の女性がその二人を追っていたのだ。

「逃がさないわよ、そこのクソガキ」

走ってきたその女性の姿は至ってシンプルで、白と黒のみで
全てが彩られていた。いや、彩られるとは言えないかもしれない。
だが、そういう服装の方が着ていてしっくりくると
高木はいつも感じている。
普通の制服とカッターシャツ、それがどれだけ普段から落ちつくことか。
これは、見ようと思った訳ではないのだが、
黒目の部分が小さく、いわゆる三白眼だった。
そのタイミングで、脚がフラフラだった彼はその場に倒れ込んだ。
咄嗟にトーゴーが止めようとする。
実際には、避けるタイミングをミスり、激突しそうになっただけだが。
それを見て、神道が反応する。
この真夜中に、少年少女を追いまわす大人が正義であるはずがない。
すぐさま、熱量が豊富な気を練る。
球形の形を与え、すぐさま発射する。
月明かりも陰ってきたその暗闇を、真紅の砲弾が真っ赤に照らした。
反応できるかできないかぐらいのスピードで襲いかかる。
間一髪それに反応した彼女は、急いで能力を使った。

「交錯せよ、チェンジリング!」

フッと、その女と神道の姿が消える。
そう思った次の瞬間、さっきとは、二人の位置取りが正反対になっていた。
神道のいたところにその女が、女のいたところに神道が現れた。
火炎玉を真正面から神道は喰らう。
しかし、アーティストスキル。自分の技で自滅することはまずない。

「てめえ・・・っ!」

その場にいた、一人を除く二人が襲いかかろうとする。
だが、高木は確かに、その能力を知っていた。
だからこそ、止めないといけないとすぐに分かった。
誰か仲間が袋叩きに会う前に。

「LV1、黄金の鷹眼」

刹那、その身に重く重圧がのしかかる。
仲間には使いたくなかったが、やむを得ない。
得体のしれぬその女性を含め、高木以外の全員の動きが止まる。
脊髄に鉛を流し込まれたかのように
上手く神経に指示が伝わらないかのように指先すら動かない。
相手が感じる物は、言うまでも無く恐怖・・・

「さっさとここから消えろ」

まともに闘いあってはいけない、そう判断した高木は
その人間に引くように命じた。

「ちっ、仕方無いわね。おい巳友の二人!これで終わりと思うなよ!」

その場から立ち去ろうとする。
機嫌の悪い怒声で、神道が叫ぶ。

「てめえは誰だ!答えろ!」
「宮沢忍」

短く答え、迅速にバックステップを取る。
そのまま、夜の闇へと消えていった。
もうすぐ、予選が始まるというのにまた事件は訪れる。






                                 続きます




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今回活躍したのは地味に人気の出そうな高木君。
大阪ラッシュの後は東京ラッシュ!という訳で
しばらく代介に出番は無いです

Re: IF=全国中学生能力者選手権編= 東京編再開! ( No.103 )
日時: 2011/09/03 14:41
名前: 狒牙 ◆nadZQ.XKhM (ID: lv59jgSm)

東京編続き






「何だったんだ・・・今の奴?」

怪訝そうな面持ちで、ぽつりと言葉が口から出た。
チェンジリング、自分の位置と対象の人間の位置を入れ替える能力。
咄嗟に高木が鷹眼を使っていなかったら不味かった。
それに続けるように神道は二人に問うた。

「あんたら、一体何があってこうなったんだ?」

さきほどのように、不可解なことに対する念を打ち消して、
その鋭い目つきで睨みつけて問いただした。
必要とあらば、攻撃さえためらわない雰囲気も放っている。
臆することなく車椅子の彼女はこう答えた。
彼女の答えはその場の八人を震撼させた。

「あいつは・・・あいつらは・・・お父さんとお母さんの仇・・・」

その言葉に全員が目を見開いた。
あまりの衝撃的な言葉にかける言葉が見つからない。
唇を強く噛みしめ、椅子の上で蒼いワンピースを握りしめている。
頬を輝く液体が伝う。怒りからか、悲しみからか顔が歪んでいる。
ポトポトと、涙は顎から服に垂れて水玉に染めていく。
それを引き継ぐようにして弟が話しだした。

「僕の名前は巳友拓斗(みゆう たくと)と言います。こっちが姉の花楓(かえで)です」

丁寧に、そう説明してくれた。
大体、小学校五年生ぐらいだろうか?
トーゴーよりも小さいということはそれなりに歳は行っていないはず。
今はそんなことはどうでもいい、なぜ両親を殺された揚句に、
この二人も命を狙われているというのか・・・

「その日は、雨が降っていました・・・」

鬱蒼と茂る熱帯雨林に降り注ぐスコールのように
その日は大層強い雨が降っていた。
踏みしめるごとに、靴の中に水が浸透してきて不快になる。
それほどだった、そんな日には似つかわしくない死因だった。
豪雨は、その後の哀しみを先に、二人の代わりに泣いていたようだった。
その家の家族はごく普通の生活を営んでいた。
ほんの少し違うとしたならば、父親の尺は会社員でなく、警官だった。
家族で団欒と、食事を取っていた時の話だ。
コツコツと玄関のドアを叩く音がした。
母親は急いで立ち上がり、ドアに駆け寄った。
しかしすぐに戻ってきた、知り合いでは無かったようだ。
次に父親も見に行ったがやはり知り合いでは無かった。
そして、引き返して相談しようとしたときだ。
確かに父親は部屋に戻ってきた、凄まじい爆発、爆炎と共に。
背中から吹っ飛ばされてきた。
真っ直ぐに壁に、強かに打ちつけられた。
うめき声も上がらなかったし、断末魔の叫びも上がらなかった。
もうすでに瀕死の重傷を負っていたから。
急いでそこに駆け寄り、吹っ飛ばされてきた方向を見る。
ドアが、無くなっていた。燃えてもいないし、砕かれてもいなかった。
ねじが外れたかのように母親は金切り声を上げた。
それを聞き、現状を見たうえで、笑いながら一人の男と一人の女が入ってきた。
その女は、宮沢忍だった・・・

「海人ー、こいつらどうする?」
「皆殺しだ」

フッと何かを母親に投げたが、良く見るとそれは玄関にあった靴だった。
意表を突かれた彼女は目を点にし、何の対処もしなかった。
それが間違いだった、靴はまるで爆弾のように炎を上げた。
次に彼らは幼い二人の方を見た。
だが・・・・・・・・

「締めあげろ!a quirk of fate (運命の悪戯)!!」

急いで反応した花楓の能力により、邪魔をされた。
急速に木製のフローリングが生きている木のように
つるを張り巡らせ二人を締めあげる。
チェンジリングが交代対象にできる人間は視界に入っている人間。
そうでもないと地球の裏側にだってひとっ飛び、
脱獄だって容易いからだろうか?
何にせよ、二人はそこから逃げ出した。
元々足の弱い花楓は弟の押す車椅子に乗って。
その数秒後、つるから炎が上がった。
ヤバいと思った二人はさらに加速した・・・・







話を聞き終えたチョコは、どこからかパソコンを取りだした。
カタカタと何かを打ちこんで、こっちに見せてくる。

「十人目の被害者現る」

そんな見出しで始まった記事はこのような感じだった。
八人もの人を爆死させたとして全国を指名手配されている
白山海人(27)が、昨晩新たに被害者を出しました・・・・

「白山海人・・・」

詳しく読むにこいつはタッチチェンジボムという能力を持っている。
白山とあるが、あの女とは関連があるのかどうか・・・
これが口に出ていたらしく、上空から声が聞こえる。

「ああ、それは後とは関係無いで」

聞いたことの無い声が上から聞こえてくる。
スッと上を向くと、ショートカットの、女子が立っていた。
一瞬宙に浮いているかと思ったが、透明な水の足場に立っていた。

「私の名前は金田島美。覚えときや」
「誰だあんた?」

速水が声をかける。
その辺りは不明瞭にして彼女は話を続けた。

「まあ、後の仲間と思ってくれたら充分や。水を操る能力者。
 今となってはそれなりに強いで。一個教えといたるわ。
 白山海人たちは、虚空一行よりかは可愛い方やから安心しい」

それだけ言うと、彼女も凄いスピードで動き、消えたように見えた。
夜の闇の中、彼女はぶつぶつと呟いている。

「代介、あいつら育てた方が今はええやろ。私は今回手は出さへんぞ」












「宮沢、奴らはどうした?」
「すまない、邪魔が入った。次は邪魔ごといく」
「OK、じゃあ俺も行かないとな」

持っているせんべいの袋を投げ捨てて、
口の中のそれをかみ砕いて重い腰を上げた。
クソ暑い時期が近付いているのに青いコートを着ている。

「さて・・・そいつら、誰から爆死したいんだろうなあ?」




                                 続きます



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さあ、東京編に名が出てきたのはこれで合計三人です。
他も名前だけでも出そうと思ってます。

Re: IF=全国中学生能力者選手権編= キャラと能力募集中 ( No.104 )
日時: 2011/09/04 09:40
名前: 狒牙 ◆nadZQ.XKhM (ID: lv59jgSm)
参照: 名前を出すっていうのは大阪編組についてです

東京編続き





「しかし・・・タッチチェンジボムってどういう能力だ?」

速水が、それなりに知識の深いチョコに訊いてみる。
海人のことを調べた勢いで、タッチチェンジボムについても調べる。
ゆっくりと、チョコはそこに書いてあることを読み上げた。

タッチチェンジボム、既触物体爆弾転生能力。
触れたものを爆弾に変えて爆発させることができる。
それなりにこの能力を従えた人間のみ、生物をも爆弾にできるが、
その場合爆弾となった生物は一切の精神的、肉体的外傷を負わない。
そして、爆弾に帰る物体の質量が大きいほど威力が増す。
砂一粒を爆弾に変えるよりも、軽トラを爆弾に変えた時の方が
比べ物にならないほど強くなる。
LV2として、自身が爆弾になり、半径百メートルほど巻き込む。

「結構厄介な能力だな。でも、爆炎が敵だというなら、俺なら善戦できる」

自信満々で神道がそう言った。
もしかすると、比色に手も足も出なかったことに苛立ちを覚えているのかもしれない。
その様子を見て、巳友姉弟が訪ねてくる。

「何で、そんなことを・・・」
「コケにされたからだ。奴らただじゃおかねえ」

不良かヤクザのような口ぶりだが、確かに神道の言う通りだ。
そんな非人道的な輩を野放しにしておく訳にはいかない。
だが、ここでもう一つの問題が発生する。
もう一人の敵、宮沢忍についてだ。
あいつは能力がチェンジリングだと言っていた。
つまりだ、肉弾戦の場合一対一で闘わないと帰り討ちに逢う。
攻撃の瞬間に位置を入れ替えられたらその仲間の内の一人が袋叩きに逢う。
もしくは、アーティストスキルを持った者がやはり
一対一で闘うべきなのだがおそらく二人がバラバラに分かれることは無いだろう。
二人が揃うと、神道の予測だが、恐ろしいまでに強くなる。
一番いい作戦は不意打ちで片方を倒すことだ。
そうしたら、どっちを先に倒したとしても神道一人で後は片が付く。
でも、そう易々とこっちに時間を与える連中では無かった。

「てめえらかあ?邪魔してるっつうのはよお?」

もう初夏に入りそうだというのに、コートを着た青年が
屋根の上から話しかけてくる。
さっきの金田という奴と言い、どうして高い所にいたがるのだ。
横にはやはり、宮沢がいる。

「さあ、誰から爆死したい?五秒以内に言え」

手には、そこらへんで拾った石を持っている。

「はあ?嘗めてんのか?爆死なんて誰もしねえよ」

神道が挑発の文句を口にする。
神道なら、爆炎が上がったところでファイアーアーティストだから
ダメージを喰らうことは無い。
それを見越して自分に投げつけるように挑発したのだ。

「どうかな?まずはそこの餓鬼からだ」

石を投げつけた先に立っているのは、拓斗だった。
徐々に重力を受けて落ちるスピードが上がっていく。
いつの間にか、反応が遅れた隙に胸元までたどり着く。
全員の目が一点に集中した上で、焦りが浮かぶ。
凄まじい音を上げて、爆発が起こる。
しかしその衝撃は全くみんなのところに伝わってこなかった。
石から発せられた衝撃は全て、青い障壁に防がれていた。
これには、敵が目を丸くした。

「LV1、バリアー」

能力を使ったのはリサだった。
どうやってこれを押さえたかというと、
爆弾の周りを囲うことによって爆風等その他もろもろが
外に出るのを妨害し、皆を防御したのだ。

「おい、そこの金髪女ぁ・・・邪魔すんな」

冷酷な殺人鬼の目で、リサを睨みつける。
ほんの少し委縮したリサだったが、気を確かに持とうと意識を張り巡らす。
そんなことより、リサの姉は感じていた。
すぐそこで、かなりのSOEが暴走していることを。

「あなた・・・誰に手をかけようとしたの?」

その声は静かだったが、相当な怒りを秘めていた。
その殺人鬼にも勝る目で、二人wお睨みつけている。
それは、狙われた拓斗の姉だった。

「拓斗に手を出したら・・・殺す」

べきべきと、湾曲しながら、ねじ曲がりながら周囲の物が
壊されていく音が聞こえる。
地面のコンクリートからつるが伸びる。
それは、宮沢と海人の二人を捕えた。
そのつるの攻撃は首にかかろうとしている。
絞め殺す勢いで・・・
しかし忘れていないだろうか、強すぎる攻撃は我が身を焼くのだ。

「交錯せよ・・・」

不味い、そう感じた高木は花楓の攻撃を止めようとする。
そのためには、気乗りしないがやはり・・・

「LV1、黄金の鷹眼」

それまでに出た殺気全てを凌駕する重い恐怖が花楓に圧し掛かる。
若干つるが緩んだのを見て宮沢はチェンジリングを発動しなかった。
突如つるから弱い炎が上がる。
つるのほんの一部分だけを爆弾にして微弱な爆発を起こしたのだ。

「はぁ・・・だるっ・・・」

二対十だと言うのに、苦戦を強いられている。
ちょっともう本当に・・・大丈夫かな?
不安そうに高木はため息を吐いた。



                                  続きます




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今回のMVPはリサですね、はい。
咄嗟の機転で防御しました。
もうこれだけで募集キャラが三人出てきました。
どうしようかと思いましたが花楓の弟は
名前を勝手に付けさせてもらいました。
弟君だけで押し通すのはリサの姉だけでもう懲りました。
余談ですが、リサの姉の本名は影美カナです。
それでは次回に続きます。


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