複雑・ファジー小説

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IF=全国中学生能力者選手権編= 再開してみました。
日時: 2011/11/16 21:40
名前: 狒牙 (ID: tDghPMhC)

コメディ、ライトの方で違う名前で
違うもの書いてる者です。

えーと、ざっくりと説明するとですね、
闘いまくります。
そして今ちょっとしたピンチ、詳しくはこの>>0の下の方を見て下さい。

あと、大阪編と東京編に分かれて、同時進行します。
東京編書いたら大阪編って感じで。
メイン主人公が大阪編、メインストーリーが東京編だと
思ってください。
大阪編は東京編の一年前のストーリーです。

長編予定です。

ってなわけで、東京編行きまーす。



プロローグ

今朝起きたら、父親がいつも通り、新聞を読んでいた。
「早くしないと二年生の新学期早々遅刻よ」
キッチンから母さんの声が聞こえる。
ふと時計を見ると、七時半を指している。
「あっそ、入学式は八時半からだ」
朝食を取った俺はすぐに着替え、カバンを用意し、
八時十分ぐらいになるのを待った。
するといきなり、インターホンが鳴った。
「ターカシーン!まだかーーーーーー!」
白石の呼ぶ声が聞こえる。
どうやらシンスケも一緒にいるようだ。

「来るの早いんだよ」
ブーブー言いつつも、いつも通り学校に行く支度をする。
とりあえず、俺は外に出た。
四月だから、吹く風も心地よく、日差しも柔らかく、穏やかだ。
そして、超平凡な、この俺、高木新羅(たかぎ しんら)の
超非凡な物語が始まる。




今回だけ、大阪編も一緒にします。

プロローグ


大阪のある市立中学に通っている白山 後(しろやま こう)には、
もう一つの顔があった。
それは、芸能人としてのじぶんである。
そんな華々しい自分に、少なからず誇りを持っていた。

ある日突然白山は、クラスでも浮いている男子から
声をかけられた。
「俺のいるチームで、全中に出ないか?」と。


※大阪編の主人公は浮いている男子です。
 謎や秘密は頻繁に出てきますが、ちゃんと後々
 明かしていくので、気にせず読んでください。






質問は気軽にしてください
答えますんで

そして、一つピンチです。能力が足りません。
誰か心優しい方はここを見て下さい。>>34
ついでいうとキャラクター募集、という形に変わりました。

Re: IF=全国中学生能力者選手権編= キャラと能力募集中 ( No.110 )
日時: 2011/09/08 20:16
名前: 狒牙 ◆nadZQ.XKhM (ID: ejg.//f6)

東京編続き






「試合形式は、一対一の試合を七回行って、勝ち数が多い方の勝利です。
 先に四回勝ったらその瞬間に団体の勝利は確定、打ち切りとなります。
 第一戦は水流春樹VS本堂魁二です」

本堂というのは、陸上部の一年生、要するに速水の後輩だ。
一年は異常なまでに速水の速さを尊敬しており、
このチームにその存在を取られたから神道やトーゴーを倒そうと
意気込んでいるとこの前聞いた。
一人、制服からして完全にアウェーのチョコが鞄をガソゴソと漁る。
そして中から、銃のようなものを取り出した。
若干銃とは様式が変わっているようで、子供が遊ぶような、
テレビアニメやマンガに登場しそうな装飾のついた銃だった。

「何だ?それ」

物騒な兵器に対して神道が問いかける。
おそらくこれは市販のものでは無いような気がする。

「気銃って言ってね、気を注ぎ込むことで弾を作って撃つことができる。
 ちょっと市販のものより威力の高い、リョーちゃんのお爺ちゃんの特注よ」

なんだかんだでまだ出てきていなかったが、チョコは君吉のことを
リョーちゃんと呼ぶ。
下の名前が良子だからそう言っているんだろう。
君吉の祖父というと・・・あいつか。

「厳統・・・か」

あまり周りに聞こえないように神道はそう言った。
ここにいる人間はリサ以外は厳統の存在を知っている。
知らない方がおかしい家計に生まれているのだから。
そういうのが揃っているからこそ、この学校に君吉は
仲間を集めに来たのかもしれない。
はっきり申し上げると、高木と神道は厳統を好んでいない。
むしろ大が付くほど嫌いだ。
神道に至っては、父と母すらも毛嫌いしている。
だったら、なぜ君吉の下に就いているのか。
その理由は分からない。何だか違う気がする、それだけだ。
そして、顔を強張らせて何か漏らそうとした時、リサが声をかけてきた。

「第一戦が始まるよ」

周りからドッと歓声が上がる。
いきなりのその変化に空気が震えているような感覚がする。
その理由は当然だ。
学校最強の能力者集団、生徒会が登場したのだから。
最初に入ってきたのは水流春樹。
服装は、陸上部のクラブTシャツだ。
そして、次に入ってきたのは黒い髪の毛に黒い目をした、
歓声が上がっているのとは裏腹に、地味な人。
というよりまず、水流春樹という人間を見たことが無い。
なんでだろうか?

「出たな、不登校の天才児」

神道がぼそっと言葉を漏らす。
それに速水が反応した。

「どういうことだ?」
「知らないのか。水流春樹。学業にかけては俺と同等以上。ただ・・・」
「ただ?」
「人付き合いが大の苦手で中々学校に来ない」

もう一度、目を凝らして彼を見る。
確かに地味ななりをしているが、肩下げバッグをなぜか持っているのが気になる。

「ま、集中して見とけって。先鋒はお前なんだから。どっちかと闘うんだぞ」

神道がそのまま速水に言う。
そういえばそうだ、こっちのチームの一番手は速水。
どっちが勝とうとこの闘いは見ておいた方が有利。

「そうだな・・・確か本堂の能力は・・・」
「ロックオン・アイ、そしてそのLV2エレメント・ブレッド」

ロックオン・アイ、狙撃性能向上能力。
そのまんまの意味で、狙撃するときに百発百中になる。
そのLV2であるエレメント・ブレッド(属性弾)は、
アーティスト系五種の自然能力を弾丸に付与させる能力だ。
ロックオン・アイは極めてLV2を開きやすい能力だと言われている。

『それでは、第一回戦スタートです』

放送部の人の放送が入る。
競技者の耳には入らないが、実は実況が入る。
そういえば、水流の能力は一体・・・

『あっと、試合早々本堂の狙撃だ!炎を付与した弾丸が、
 水流に襲いかかろうとしています!いきなり勝負が決するか!?』

この実況要らなくないかな?そう君吉は思ったが黙っていた。
燃え盛る弾丸は弾丸らしいスピードで水流に迫って行く。
それでも悠然と、そこに水流は構えている。
その弾丸を防御するように手掌を目の前にかざした。

「その身に帰れ・・・」

炎の弾丸が掌に衝突する。
だが、貫通もやけどもせずに弾丸は、180度方向を変えて
撃った張本人の本堂に向かって行く。

「リフレクション(反射)」

咄嗟に驚いた彼は顔を逸らす。
その弾は頬を掠める。
ピッと切れたその傷から、ゆっくりと血は滲み出る。


そこから、生徒会チームの猛攻が始まった。
陸上部チームはただ・・・為す術も無く敗れただけだった。




                                 続きます



_________________________________________



ちょっといつもより短いけど続きます
生徒会は超強いです。
これから、圧勝続きだったこの作品にもピンチという
状況が生まれてきます。
では、次回に続く。

Re: IF=全国中学生能力者選手権編= キャラと能力募集中 ( No.111 )
日時: 2011/09/09 21:00
名前: 狒牙 ◆nadZQ.XKhM (ID: ejg.//f6)
参照: 予選開始です

東京編続き





「なあ、知ってるか?」

高木が、ふとあることを思い出した。かなり重要なことだ。
それの説明を要約すると、このような感じだ。

1、最後の試合はルールが変わる
2、ルール変更とは一対一を七回ではなく、二対二を三回と
  主将との闘いで結果が決まる。
3、相手を倒した数だけポイントが入る。

つまり、二対二で相手を二人倒しても、こっちが一人倒されたら
向こうにも一点入るということだ。
不利になるかもしれないが良い点になるかもしれない。

「さて、先鋒二人は速水と・・・」
「ミー(私)」

リサがスッと手を上げる。というかルール変わって
一番助かったのはリサじゃないだろうか?
元々サバイバルのようなルールの予選を想定してのメンバーなので、
一対一だとそもそも闘いにすらならない。
スタミナがどっちが先に切れるかで決まる。
それは最早闘いとは言えない。

「んじゃ、行ってこいよ。相手はえーっと・・・さっきの水流と・・・」
「有毅西洞(ゆうき さいと)トーゴーと同じストロンガー。
 覇気弾の威力はトーゴーより低いけど砕気弾や岩気弾が使える」

流れるようにチョコが解説する。
そういえば、白石はどこに言っているのだろうかと周りを見渡していると
生徒会の連中にインタビューしていた。
今日はこれに出るので高木はクラブを休んでいる。

「そして、一番気を付けないといけないのは水流春樹ね。
 能力はさっき調べたけどリフレクションって言って、あらゆるものを跳ね返す能力。
 精神感応攻撃には効果が無いからタカシンなら圧勝の相手ね。
 みっしゅんの場合は認知されないほど速く攻撃するしか無いわ」

認知しきれないほどってどんだけですか?
顔をひきつらせて目を丸くしている。
突如、開戦を告げるブザーが鳴る。
どうやら、開幕のようだ。最終の一戦というだけあって
盛り上がりは最高潮に達している。
選手が入場する。歓声に包まれるその場は戦場という、異様な感覚。
ここで今から試合が始まるのだ。
速水が竹刀の入れ物のような袋から真剣を取り出した。
速水の剣技はかなりのもので、下手したら君吉の能力発動時より強い。
過去に一回だけ速水と神道がタッグで闘ったことがある。
あまりの速さと超人的な強さに『神速』とか言われていた。

「さあ、祭りの始まりだ。ぶちかまして来い、みっしゅん」

トンっと軽く神道が速水の背中を押した。
それに合わせて、二人は階段を上って行く。
その上にはもうすでに、敵はそこにいた。

「では、第一回戦、水流&有毅対速水&影美。スタートです!」

遂にその闘いは始まった。
その戦場の上の光景に目を集める。
もう、アナウンスの声など意識から外れていた。
アナウンスの人自体もそのことを忘れて見入っていた。
理由はいくつかある。
一つは、神道と速水の二人が揃っていること。
二つ目は、転入生二人に青葉中の人間がいること。
そして、最後の理由が・・・



———これまで何があっても決して能力を使おうとしなかった高木の力が明かされること



最後の理由が、最も人々が意識している点だ。
神道といつも一緒にいる高木新羅。しかし彼は能力を使わない。
その謎にも近いことが、今明かされようとしている。
しかも生徒会との一戦。最後の最後に一番の好カードを引き当てた感じだ。

「一気に決めるぜ」

もう夏に近付いているとはいえ、まだそこまで暑くない時期から
カッターシャツ、それも夏服の半そでで過ごしている彼はそこそこに有名だった。
暑苦しさが半端ではない性格、そして本人も暑がり。
冬でもハーフパンツ。どこかの芸能人のようだ。

「絶対勝ってやる!」

スタートだ、と言われているに関わらずに鼓舞の叫びを上げている。
何だか、攻撃できないような雰囲気が漂っている。
神道だったら容赦せずに行くが。

「西洞、面白いけど面倒だよ。もう始まってるし」
「んだよ、これはモチベーションを高める儀式ぃっ!」
「それは基本的に試合前にするものだよ」

肩に下げているバッグを床に下ろし、パチンコ玉を取り出した。
チョコの言っていた言葉を思い出す。

——速度は音速からナメクジペースまでさまざまだから

あれを、音速で放ったらどうなるか、と訊くのは
銃を撃ったらどうなるか、と言い換えて訊いているようなものである。
不味い、そう思ったがそれは杞憂に終わった。

「その身に帰れ」
「結界を張れ」

二人の声が重なる。
この声は、水流とリサだった。

「リフレクション!」
「バリアー!」

超高速でパチンコ玉は発射される。
だが、それと同瞬間に蒼い障壁が二人を囲っていた。
その障壁に阻まれて銃弾のような攻撃は止まる。
リサの能力、バリアーによって防がれたのだ。

「・・・凄いね、君」

心の底から、純粋に水流は感心している。
鞄から武器を取り出したこと、そして情報だけであそこまで簡単に
防がれるとは思っていなかったからだ。

「俺もいるぞ」

手元に気弾を錬成している。
おそらくあれは覇気弾だろう。
そう高をくくっていたのが悪かった。
その気弾が発射される。
その瞬間に、気弾が高速で螺旋運動を始めたのだ。
これはおそらく、砕気弾。
衝撃がリサのバリアーを襲う。
その威力はかなりのもので、持ちこたえるのも精いっぱい。
しかし、全力を出すことによって、ようやっとのところで辛うじて防げた。

「まだまだぁっ!」

何を思ったのか、砕気弾を水流に向かって発射する。
何をしているのか?一瞬思考と動きが止まる。
すぐに分かった、これは作戦だと。
その威力抜群の攻撃を水流はリフレクションさせた。
恐るべきスピードで、あの破壊力最大の砕気弾が迫ってくる。
バリアーも、まるで豆腐のように簡単に突き破られる。
さっきまで二人が立っていた位置で砂煙が上がる。
消えるようにバリアーは薄れていく。
呆気なく終わったかに思われたその瞬間、二人の姿が現れた。

「疾風と化せ・・・」

速水の能力ファスター、四月と比べて大幅に進歩している。
君吉主催の地獄特訓と称する気のコントロール練習を
積み重ねてファスターの数値を大幅に増加させたのだ。

「ファスター20」



                                     続きます



_________________________________________




さあ、闘いが始まりました。
二対二の理由はリサと水流をより活躍させるためです。
きっと西洞君はこの闘いで一番残念な子になります。
では、次回に続きます

Re: IF=全国中学生能力者選手権編= キャラと能力募集中 ( No.112 )
日時: 2011/09/11 17:44
名前: 狒牙 ◆nadZQ.XKhM (ID: CR4RlOv5)

東京編続き






「ファスター、か。いいね、後天的同士仲良くしようぜ」

あの暑苦しい西洞という男子が慣れ慣れしく話しかけてくる。
今から闘う、というよりももう闘っているというのにこいつは何を言っているんだ?
高木はふとそう思ったが、対峙しているのは速水だということに気付いた。
速水は良く言えば親しみやすく、悪く言えば甘ちゃん。
そんな風に話しかけられたら、否定は絶対にしない。

「いいぜ」

ほら、この通りだ。
その様子に頭を痛めて、顔をしかめたその次の瞬間に、
速水にも常識という物が存在することに安心した。

「ただ、これが終わってからにしようぜ」

持っている日本刀をきつく握りなおす。
切先を相手の方向に突きつけて威嚇するように構えをとる。
甘ちゃんと呼ぶには日本刀とは物騒ではないかと声が上がるがそうでもない。
生半可に木刀なんて使っても、一気に壊されるのがこの世界だ。
自分の身を護るなら、鋼鉄の刃が最も適している。

「それもそうだ!一戦終えた方が分かり合えるというもの!きさ・・」
「だから今はそういうの面倒だよ、西洞」

終止符を打つこと無く、ひたすら喋り続けようとする西洞を
またしても水流が抑制する。
悪い悪いと、反省の色が見えない声でそう返した。

「じゃあ、再戦といこ・・」
「遅い」

速水の声が水流の真後ろから聞こえてくる。
不味いと感じ、後ろを振り向いたその瞬間、刃はもう眼前にまで来ていた。
間一髪のところで対応する。
能力を使用し、速水ごと刀を反射させた。
後ろに真っ直ぐすっ飛んでいくがすぐに空中で反動をつけ、
身体を回転させて体勢を立て直す。
靴底が地面と出会い、摩擦が始まる。
ザァッと靴底をすり減らし、勢いを殺して完全に着地した。

「不意打ちかぁ!?随分余裕がねえなあ、おい!」
「余裕が無いのはユー(あなた達)。ファスターにとって今の動きは緩慢よ」

リサがすぐさま入れた補足に速水が首を縦に振る。
これで刀を持っていなかったらそれほど恐れないのだが、
そんな武器なんて持たれていたら速さは相性が良い。
西洞はおそらく速水には攻撃が当てられないな、とため息を吐く。

「仕方ないか・・・」

そう言って、彼は鞄から容器を取り出した。
その容器の中には水が満ちていて、中には黄色い何かが入っていた。
それを水流は水から取り出した。

「あまりこれは、使いたくない」

自分に火の粉が襲ってくることがあるからな。
そのように彼は付け足した。
慣用句的な意味でも、現実的な意味でもだ。
何を思ったのか、上空にそれを放り投げる。
するとそれは、空気中で自然発火した。

「黄リン!」

君吉のすぐ隣に座っているチョコがいきなり声を荒げた。
黄リンという物質には神道にも聞き覚えがあった。
黄リンとはマッチの先端についている赤リンの同素体。
赤リンは擦ることで発火するのに対し、黄リンは空気中に置くだけで自然と炎が上がる。
百年ほど前は黄リンがマッチに用いられていたが、
火傷をする事件が後を絶たず、いつのころからか赤リンに変わった。
リンの説明は今はどうでもいい。
何が不味いかというと、炎が起こっていることだ。
現実的には触れられなくとも、確かにそこで熾っている(おこっている)炎も
リフレクションの能力で跳ね返すことができるからだ。
空中から、火をチロチロと覗かせている固形物が落ちてくる。
横から平手で突くようにして、リフレクションを発動させた。
微弱ながらも、炎が二人を襲おうとする。
しかしだ、彼らは常日頃からもっと強い炎に接している。
この程度には恐れる必要すらない。

「五十嵐豪炎流・基式一の型百連斬」

その巧みな剣さばきで次々と宙を斬り裂く。
ぴったり百回の斬撃で、斬撃の壁を作りだす。
そこに衝突した固形物は、あっさりと刻まれて塵と化す。
そこで速水は気付いた、それは間違いだと。
元から自分が斬ったものに、実体など無かった。
飛ばされたのは、黄リンの周りで生まれていた、火のみだった。
瞬時に彼の方向を振り向いた。
もう今度こそ、黄リン本体が飛ばされる。
今度のスピードはかなりのものだ。

「なっ・・!ふぁす・・」

刀身に鈍い衝撃が走る。黄リンは刀に衝突した。
質量は軽いが、そのスピードのせいでかなりのエネルギーが生まれている。
衝撃に耐えきれず、手から柄はすっぽ抜けた。

「しまっ・・」

すぐに方向転換して取りに行こうとするが、違う力の集束を感じた。

「取らせるかよ!覇気弾!」

ストロンガーの西洞の気が球状に集まり、放たれる。
さらに遠くに刀を追いやる寸法だろう。
だが、その攻撃も蒼い障壁に防がれた。
砕気弾でさえ防がれたのだから普通の覇気弾が止められるのも至極当然のこと。
それでも、軽くイラつきを覚えた西洞は舌打ちをした。

「だりぃなあっ、てめえから片付けるぞ」

大量の覇気弾を錬成する。
十や二十では無い、もっと多い。
それでも、覇気弾には変わりない。
大して心配しなくていいと高をくくっていたのだが、
彼らのコンビネーションを忘れていた。
でもここで、ふと思いついた。
もし、水流の周りにバリアーを張ったら、
別に跳ね返されることは無いのではないか、と。

「バリアー!」

水流を、蒼い障壁が取り囲む。
今のリサの能力は、それこそ外界と水流のいるところを隔てる障壁であった。

「こんな使い方もできるのか・・・」

妙だ、たった一度の攻撃を防いだだけでかなり動揺している。
そんなにもこの攻撃は水流にとって不利なものなのだろうか?
ここで、頭の中で何かが弾けた。
簡単に倒すことのできる作戦が出たのだ。

「みっしゅん、ちょっと・・・」

リサが速水に作戦を耳打ちする。
二人は、やってやるかという面持ちで、彼らに向き直った。






                                  続きます



_________________________________________



ここまで言ったら作戦分かったかな?
地味にリサ大活躍。
若干のネタバレ。
おそらく、進度が予想通りなら
次回で一人脱落します。
では、次回に続きます。

Re: IF=全国中学生能力者選手権編= キャラと能力募集中 ( No.113 )
日時: 2011/09/12 21:41
名前: 狒牙 ◆nadZQ.XKhM (ID: yyB0SOC8)

東京編続き






「よし、行くか。ファスター20!」

能力を使い、速水は高速で移動する。
彼の主観での速度は大体秒速三メートル。
これを実際の速度で言うなら秒速六十メートル。
世界の代表選手のおおよそ十倍の速さ。
時速180キロメートル。
確かに目で追うことはできるが、反応ができるのとは大違い。
できるだけ視界から外さないように目をしっかりと開けてそこをうかがう。
何を思ったか、正面から突撃してくる。
これならいけると思い、前に掌を突き出した・・・のだが。
いきなり、速水は跳び上がった。
空中に滞在するのは隙を作るだけの行動。
咄嗟に適当な物を身動きの取れない空中で撃ちこんでやろう、
そう思ったのだが、一つ忘れていたことがあった。


———ファスターの速度は、その人の主観で決まる。


つまりはだ、ファスターの発動者は、常人よりも遥かに速いスピードで落下する。
空中に居座っても、大して隙は出来ない。
とするとこれは自分の目を逸らすためのフェイク。
自分の足元に目を戻そうとしたその瞬間、視界の端に妙な物が映った。
真っ平らな形をしている蒼い障壁が・・・

「なっ・・・バリアーを足場にしたのか」

そう、リサは空中に自分の能力を発動させた。
速水の足場にするために、作戦開始と同時にいくつも階段状に設置していたのだ。
それを駆け上がった速水は、もう後ろに回っている。
振り向こうとするが、もう遅かった。
速水は、自分の剣技の型に入っていた。
刀を逆手に握って、刀身を地面と水平にしている。
予備動作なしで、その刃を素早く一閃する。

「五十嵐豪炎流・基式三の型海割斬」

何かが斬れた音がしたが、自分の身に痛みは走らなかった。
自分の身の安全、これが水流から油断を生みだす要因となった。
刹那、何かを蹴るような鈍い音が聞こえてきた。
肩から、フッと重みが抜ける。
ここでようやく二人の狙いに気付いた。
さっき動揺を見せたのが間違いだった。
そこで気付かれたのかもしれない。
飛ばすための武器は全て鞄に入っているということを。

「しまった!」

西洞も慌てて駆け出すが、速水にとってその動きは緩慢。
宙を舞う水流の鞄を拾おうとする。
確かに拾うことはできたが、もうもはや無駄だった。

「結界を張れ・・・」

水流の周りを蒼い障壁が取り囲む。
そう、飛ばすための武器が無かったらあの能力に対して、
恐れることは何もない。

「くそがぁっ!岩気弾!」

周囲を岩のように硬い気によって固められた覇気弾を錬成する。
それを発射しようとしたのだが・・・
一瞬で速水は詰め寄る。そして、逆手に持っている剣を地に突き刺した。
垂直に突き刺した剣を、上空遥か高くに向かって振り上げた。

「五十嵐豪炎流・基式二の型大地斬!」

凄まじい威力の斬激がフィールドを抉り取った。
岩気弾を打ち砕き、西洞を吹っ飛ばす。
フィールドを転がり、体中を打ちつけた彼は、その時点で脱落となった。

「有毅西洞脱落!君吉チームに一ポイント!」

よっしゃ!、そうガッツポーズを取ろうとした時だ。
もう水流に攻撃の手段は無い。
こっちの勝ちだと思ったときに、速水は吹っ飛ばされた。
何が飛んできたかと思うと、制服だった。
水流のいる方向を見る。
上半身裸になって、水流は佇んでいた。

「速水瞬次脱落です!」

制服を、超高速で飛ばすことでバリアーを壊した上に、速水を倒した。
不味いと感じたその次の瞬間、水流は自分の履いている靴を反射させた。
靴を脱がずに飛ばしたので、引っ張られるように水流も飛んでくる。
そして、回避する間もなくリサの型に触れた。

「その身に帰れ・・・」

リサも、地面に叩きつけられて脱落、となってしまった。

「リフレクション」

くるりと踵を返した彼、水流春樹は控えのベンチに向かって歩き始めた。






「すまねえ、油断した」

悔しそうに、速水がうなだれている。
リサも同様に、頭を下げて落ち込んでいるようだ。
そこに、神道が助け舟を出す。

「構わねえ、一点入ってんだ。気にするな。オイ、トーゴー、チョコ!」

一旦、神道は話をそっちの二人に振った。
次に闘うのはその二人だからだ。

「とりあえず一人倒して来い。そしたら最悪でも二対四」
「そこまで行けば、俺とシンスケと君吉で決めてやる」

神道の言葉を高木が受け継ぐ。
君吉が一人おろおろしている。
勝手に自分にプレッシャーをかけるなとでも言いたげだ。

「つーわけだ、行ってこい」

高木のその一言でチョコとトーゴーが歩き出す。
相手は確か、ウォーターアーティストの女子一人と、
本堂同様にエレメントブレッドを扱う男子一人。

「さあ、祭りは始まったばかりだ。神輿を担げ。俺が花火を上げてやる」

二回戦が、もうすぐ始まろうとしていた。



                                  続きます



_______________________________________




さあ、速水は負けちゃいました。
水流は募集キャラ初の勝利者です。
次回は、既存の能力での戦闘です。
いつになったらこっちのみんなはLV2になるのか!
ていうか一等賞は誰だ!
まあ、本来ならここで速水をLV2にしようと思ってたけど予定変更。
では、次回に続きます。


追伸

作者的には今回の神道の花火の例えは気に入ってます

Re: IF=全国中学生能力者選手権編= キャラと能力募集中 ( No.114 )
日時: 2011/09/16 21:02
名前: 狒牙 ◆nadZQ.XKhM (ID: 5DiXAqe.)

東京編続き






「二回戦の対戦相手は誰でしたっけ?」

フィールドに続く階段を上りながらトーゴーはチョコに訊いてみた。
チョコが何かを思い出すように、視点を上に向ける。
そして、思い出したと言うように、視点を真っ直ぐ戻して
右手の人差指をまっすぐに天に向けて答えた。

「風霧葵(かぜきり あおい)と駿河命(するが みこと)」

風霧葵は知らないが、駿河という男には聞き覚えがある。
確か、昨年のクレー射撃の準優勝者か何かだったはず。
ロックオン・アイを持っているから勝利はほぼ確実と言われていたのに、
たった一瞬のミスで一位に敗北してしまったはず。
それでも全国二位という大健闘は校内で激しく賞賛されていた。
優勝者は何という名前だっただろうか・・・
確か女子だったはずだ。頭文字は「と」だった気がする。

「風霧葵はウォーターアーティストだから、あんまし油断しないで」

装飾のついた拳銃型の武器をいじりながらトーゴーに呼び掛ける。
分かってますよ、と軽く彼は会釈した。
炎以外のアーティストスキルと闘うのは初だが
その炎の能力者が神道なだけあって、従来のアーティストが
どの程度の強さなのか分からないが、水流という男子があそこまで
強いのだから、やはり神道ぐらいと思っていた方が良いだろう。

「とりあえず、ノルマは一人だね」

銃口を覗き込みながら、独り言ぉのように呟くチョコ。
トーゴーは、あえてそこについては返さなかった。
小さくため息だけを吐いて壇上に立っている対戦相手を見つめ上げる。
風霧葵は、本当に生徒会なのかと訊きたくなるような人間だった。
お前本当に生徒の模範である生徒会なのかと、言いたくなる。
まず第一に、地毛でもないのに髪を染めている。
神道は地毛だから許されている、というか黒に染める方が校則違反と
こじつけて、染髪していない。
本人いわく、せっかく親から貰ったものなのだから、
しっかり保っておかないと、ということだ。
それに対して風霧葵は元々黒い髪を茶色や金どころではなく、真っ青に染めていた。
ウォーターアーティストだからと言って、それはないだろうと
トーゴーは顔を引きつらせた。
耳にも鼻にもピアスを付けているし、制服は着崩すどころかほとんど私服。
緑色のカラーコンタクトの件については触れないでおこう。
流石に、タバコのにおいはしなかったが。

「えー、何かちっこいのと他校生出てきたよ。こんなんが私らの敵になるの?」

この瞬間、トーゴーの中の、これまで無かったイラつきは一気に最高点まで昇り詰める。
私らの敵にはならないと、見下されたことについてではない、
彼のことなのだから、ちっこいのと言われたことが原因なのだ。
それよりも、チョコは他校生をどのように解釈したら弱く見えるのか必死で考えていた。

「知るかよ。ていうか油断はするな、足元すくわれるぞ」

優しさからか、義務の押しつけからか、駿河が葵に注意する。
しかしこともあろうに、葵はとんでもない爆弾発言をした。

「なーに〜?去年の自分の戒めかしら?」

完全に上から立って見下すような視線でそう言い寄る。
わずかに生まれた怒りを表面に押しだすように、眉の箸を吊り上げる。

「どういう意味だ」
「そのまんまよ、ロックオン・アイなんてチートみたいなの使って負けるなんて、馬鹿でしょ」

いきなり、向こうの陣地から険悪なムードが漂ってくる。
始まる前から仲間割れしていて大丈夫かと訊いてみたい。
そこから論争は始まり、三分程時間は潰れた。
そこで彼らは、一つの結論を導き出した。

「分かったわ」
「決めたぞ」
「こっちで先に敵を倒した方が」
「正しいってことでいいなあ?」
「そのつもりよ」
「だったらどっちがいい?選ばしてやる」
「ちっこい方にしとくわ、あなたにはリベンジの機会を与えてあげる」

リベンジ、この言葉が妙にトーゴーの心に引っかかった。
気になってみたから当の本人であるチョコに訊いてみる。
あの人と知り合いなのか、と。

「・・・去年、勝っちゃったからなぁ・・・」

何にだよ、そう怒鳴ろうとした時にあることをいくつか思い出す。
リベンジとは、一度負けた相手にするもの。
彼、駿河命は去年の準優勝者であること。
優勝者の頭文字は確か、「と」であったこと。
そして最後に・・・


———チョコの本名は飛跳子(とび ちょうこ)であること。


「えっと、去年のくれーしゃ・・」
「の、優勝者よ」

あっさりとそう答えていたが、トーゴーは冷や汗が止まらなかった。
そんな奴が黒い性格で、武器として銃を持っていいのかということ。
しかし、それを言及しようものなら、確実に最初に狙われるのは自分だよねってことに。




                                 続きます


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さあ、次回から二回戦です。
ですが、チーム戦でなく、
チョコ対駿河、トーゴー対風霧です。
では、次回へと・・・


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