複雑・ファジー小説

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IF=全国中学生能力者選手権編= 再開してみました。
日時: 2011/11/16 21:40
名前: 狒牙 (ID: tDghPMhC)

コメディ、ライトの方で違う名前で
違うもの書いてる者です。

えーと、ざっくりと説明するとですね、
闘いまくります。
そして今ちょっとしたピンチ、詳しくはこの>>0の下の方を見て下さい。

あと、大阪編と東京編に分かれて、同時進行します。
東京編書いたら大阪編って感じで。
メイン主人公が大阪編、メインストーリーが東京編だと
思ってください。
大阪編は東京編の一年前のストーリーです。

長編予定です。

ってなわけで、東京編行きまーす。



プロローグ

今朝起きたら、父親がいつも通り、新聞を読んでいた。
「早くしないと二年生の新学期早々遅刻よ」
キッチンから母さんの声が聞こえる。
ふと時計を見ると、七時半を指している。
「あっそ、入学式は八時半からだ」
朝食を取った俺はすぐに着替え、カバンを用意し、
八時十分ぐらいになるのを待った。
するといきなり、インターホンが鳴った。
「ターカシーン!まだかーーーーーー!」
白石の呼ぶ声が聞こえる。
どうやらシンスケも一緒にいるようだ。

「来るの早いんだよ」
ブーブー言いつつも、いつも通り学校に行く支度をする。
とりあえず、俺は外に出た。
四月だから、吹く風も心地よく、日差しも柔らかく、穏やかだ。
そして、超平凡な、この俺、高木新羅(たかぎ しんら)の
超非凡な物語が始まる。




今回だけ、大阪編も一緒にします。

プロローグ


大阪のある市立中学に通っている白山 後(しろやま こう)には、
もう一つの顔があった。
それは、芸能人としてのじぶんである。
そんな華々しい自分に、少なからず誇りを持っていた。

ある日突然白山は、クラスでも浮いている男子から
声をかけられた。
「俺のいるチームで、全中に出ないか?」と。


※大阪編の主人公は浮いている男子です。
 謎や秘密は頻繁に出てきますが、ちゃんと後々
 明かしていくので、気にせず読んでください。






質問は気軽にしてください
答えますんで

そして、一つピンチです。能力が足りません。
誰か心優しい方はここを見て下さい。>>34
ついでいうとキャラクター募集、という形に変わりました。

Re: If there are …… ( No.29 )
日時: 2011/07/05 16:14
名前: 狒牙 ◆nadZQ.XKhM (ID: 6C/2QBw5)
参照: もうちょい続くよ大阪編

大阪編第七話 襲撃




どうにか、分身を全員習得することが出来たので、
代介から昼食を取る許可が下りた。
各々は、各家々から持ってきた弁当を取りだした。

「なんでそんな宇宙食みたいな弁当なんだ?」

呆れた顔で鱒字がウィダーみたいなのを飲んでいる新城に聞く。
返答を予想することは訳無い。おそらく、楽だから。

「決まってんだろ。手っ取り早くが第一だからだ」

予想通りの答えが返ってくる。
その内こいつ体壊すんじゃないだろうかと思ったが
毒を操るということはウイルスや病原体も意のままということだ。
栄養失調でもない限り絶対に健康だ。
家での食生活はまともらしいからそれはおそらくないだろう。

「てめえも人のこと言えねえよ。飯と納豆と生卵と野菜って僧か?」

プラスチックの容器に敷き詰められた白米。
その上に乗っているのは茶色い、糸を引く豆。
さらにその横に申し訳程度に乗っている緑黄色野菜。
生卵の姿が見えないということはもうすでに納豆の中に
混ぜられてしまっているのだろう。
しかも箸も割り箸だし・・・・・

「それに比べて剣はまともやな。母さんに作って貰ったん?」
「自分」

春の問いに対してあっさりと言い放ったが
さすがにそれはちょっと凄くないかい?
しれっと答えていたが、男子にしては珍しい例だと分かっているのか?

「何か楽しそうだなー、と思ってやったら板についた。
 母さんより最近上手い、ってか母さんのメシ不味い」

それはそれで失礼な気もするな。
そう思った後は空を見上げた。
真っ青な空に真っ白な雲が浮いている。
こんなにゆっくりと自然を見上げたのはいつ以来だろうか?
いや、それ以前に春と島美以外の人達と、
ゆっくりくつろいでご飯なんて食べる機会なんて今まであったろうか。
多忙な日々に何だか時間だけでなく、もっと貴重なものを
奪われているようで、少し悲しいような気分になった。

「何落ち込んでんだ、てめーは」

相変わらず眠たそうな目を
無理やり開けているようにしている代介が
後の心を見透かしたかのようにそう言った。

「いや、こういうことって私中々無いな・・・って」

あーはいはいなるほど、それだけ言いながら頷き、
来る時にコンビニで買っていたパンを食べ続けている。
だらしないことに唇の端にパンくずが着いている。
気づけよ、そう思ったときに代介は動物が顔を洗うように
汚れを落とすべく顔の上を払った。

「別にいいんじゃねえの?」

ビニール袋から今度は500ミリのペットボトルを取り出す。
水とかお茶とかを好みそうだな、と想像していたが
予想外に炭酸飲料だった。
炭酸の刺激なんか無いかのように一気に飲み干す勢いで
次々と喉を通りすぎている。
三分の一ほど飲んだところで、一旦飲むのを止めた。

「現に今出来てる訳だし。それに何か大切なものの代わりに貴重な体験はしてるだろ?」

そう言われてみるとそうだ、自分に友達と過ごす時間は
ほとんど無いが、その代わりに人前に立つという
大変珍しいことはしている。
さっきのことが下らない悩みだったかのように、心はすぐに晴れやかになった。

「それより、代介はなんで弁当じゃないの?」
「自分で作れない」

分かってるよ、そう言いながら後は笑った。
作れたとしても自分で作る訳無さそうな性格だから。

「家族、いねえから」
「・・・・・・・は?」

家族・・・いない!?
ちょっと待てよ話重くね!?

「別に死んだ訳じゃねーよ。うざってえから逃げるようにして独立したんだ」



—————六歳の時にな



そこだけを、代介は声にせず、心の中で言った。

「後悔はしてねえ。代わりに、家族より大切な奴らに会えたから」

師匠のことだ。
それだけ言うと、それ以上は喋ろうとしなかった。
ただ、ここにいくつかの疑問を後は感じた。

奴ら・・・ってことは何人かいるのかな?
ていうか、大切な人達、じゃなくて奴らって言ったけど
人間じゃあないのもいるのかな?

悩んでる後の頬にいきなり冷たいのが当たった。
犯人は金田だった。

「ちょっと冷たいかな?」
「これ、一応キンキンに冷やしてんだけど?」

後の薄い反応に金田は苦笑いした。
まだそんなに暑くない日に冷やした飲み物当てられてちょっと冷たいってどんなだよ。
氷のシードを持っている今、それは確かに当然のことなのだが。

「ちょっと出かけてくる」

それだけ口にして、代介は立ち上がり滝の方へと近づいていった。

「どこ行くんだよ」

ゴミ箱にゼリーのごみを捨ててきた新城が
いきなり立ち上がった代介に話しかけた。

「別に、何か視線感じたからそっちに行くだけだ」

怪しい気も感じるしな。
その言葉を発すると、新城の目は輝いた。

 ゃ
「闘んのか?だったら俺も・・・」
「いい」

興奮する新城を代介は手で制止するように手を前に差し出した。

「最近、全然闘ってなくて鬱憤たまってんだ。俺にやらせろ」
「分ーったよ」

新城にしては随分珍しく素直に引き下がった。

「でも、人の戦闘見ることでキャリア(経験)は付くからな。
 新入り組は強制参加。見たい奴は来な」

そう言うと、全員が見に行こうと立ち上がった。
しかし、そこで思ったことはもしそれが思い違いだったときのことだが・・・
春は、それを代介に聞いてみた。

「大丈夫だ。大概俺の勘は当たる」
「根拠無いんすけど・・・」

結局、それでも全員代介に着いて行くことになった。

その頃、滝のさらに上、上流の方に何人かの人がいた。
こいつらこそが代介の感じていた視線の正体だった。





                              続きます

Re: If there are …… ( No.30 )
日時: 2011/07/05 21:35
名前: 狒牙 ◆nadZQ.XKhM (ID: 6C/2QBw5)
参照: もうちょい続くよ大阪編

大阪編続き




「何だよあいつら。軽々しく白山さんに近づきやがって」

滝の上流、木々が鬱蒼と生い茂る中、
一人の男がぶつぶつと不平を洩らしつつ、
彼らの様子をじっと眺めていた。
イライラとしながら親指の爪を噛み、
男衆、特に代介の姿を憎悪の炎を
燃やした目で睨んでいた。
金田と岩木は普段からつるんでいる上、女子だから
構わないのだが、
代介を筆頭に鱒字、端革、新城は
学校では問題児であり尚且つ男である。
そんな連中が後に近づくのには耐えられなかった。
この男、もっと言うと代介たちの同級生は
後の、アイドル『白山後』の
狂ったほどの熱狂的なファンであった。

「待っててよ、俺が助けるから」

そうして、都合よく向こうから歩み寄ってきている
七人組にこちらから近づいていった。
特に、代介だけは許さない。
人の苦労も知らずによくもあんなボロカスに言えるもんだな。
代介に対する怒りは刻一刻と高まっていく。

「・・・叩き潰す」







「動いたな」

突然、先頭を歩いていた代介が独り言のようにそう言った。

「ああ、段々こっちに来てる。やっぱこれは・・・」
「確信犯だな」

鱒字と端革がその言葉に同調する。
だが、一体こいつらはどのようにして
このようなことを知ることが出来るのだろうか?
正直言って羨ましい、どういうものか聞いてみることにした。

「レーダーみたいなもんだ。周囲に己の気を
 張り巡らせてその範囲内の敵を察知する。
 はっきし言っておいてやろう。
 莫大にSOEを喰うからお前たちにはまだ無理だ」

あっさりと出来ないと断言されてしまった。
少々がっくりきたが、
鍛練しだいでは使えるようになるらしいので
まだいい方である。

そんなこんなで話していると突然、
景色が開けたところに出た。
平らな地面に石が転がり、雑草が生えているだけの何も無い土地。
ま、要するにただの空き地だろう。
ただの空き地だというのに縦にも横にもそこそこに広い。
その中心に一人の男が立っていた。

「・・・あいつか」

ようやく視線の発信源にたどり着き、
歩みを止めた一行。
そこで、後はなんだか彼が見覚えがあるような気がした。
記憶の中から目の前の男子と同じ顔の人間を探す。
すると、去年入学したばかりの時に
隣の席に座っていた人間とはっきり重なった。

「中田くん、だったかな?」

顔は出てきたが名前が全く分からない。
とりあえず、それっぽい名を口にした。

「馬方だよ」

必死で思い出した名前はあと一歩のところで違っていた。
「ま」であるところを「な」にしてしまったようだ。

「馬方だかバカ田だか知らねぇが何の用だ?」
「白山さんから離れろ」
「何で?もしかして君ファン?」
「だとしたら?」
「うわ〜無いわ〜、こんな陰湿で変な
 ファンがいるから俺の中でのこいつの評価が
 落ちるんだよな〜、ほんっと帰れよ」

久々に発せられる代介の心をえぐる毒舌。
だが、こんなところでは終わらない。

「雑魚のくせにヒーロー気取りかよ〜
 あまりにも惨めでみっともなくて涙が出そう。(笑い泣きで)
 こういう奴がストーカーになるんだよ。
 あれ?君変態?還ってよさっさと〜」

代介が、家ではなく土という願いを込めて
あえて二回目は帰れではなく還れと言った。

「てっめぇ・・・」

眉と眉の間に数え切れぬほどの皺が寄る。
目の端は釣り上がり、瞳孔が細くなり
上唇はめくりあがり、額には血管が浮き出る。
見事に怒っている。

「勝負だ。負けたらその人を仲間にするのは諦めろ」
「あんたにそれを決める権利は無い」

そんなことを言いながらも代介は戦闘体勢に入る。
右足を引き、左足に体重を乗せ、
左手を防護の準備用に地面と水平になるように
胸の前で固定する。
右手は、いつでも攻撃を仕掛けられるように拳を作り、
ズボンの右側のポケットの辺りでキープさせる。
その場に、緊張の糸が張り巡らされた瞬間、
それを切るように馬方は動きだした。
代介に向かって一直線に駆け出す。
果たしてこいつの能力は一体・・・

Re: If there are …… ( No.31 )
日時: 2011/07/06 15:09
名前: 狒牙 ◆nadZQ.XKhM (ID: QHGZjD4B)
参照: 上のと二つで一セットです

「フェニックス・ウイング(鳳凰の翼)」

突如、助走をつけた馬方は宙に飛びあがる。
馬方の背中から、真紅の翼が
紅蓮の炎で錬成された巨大な羽が生える。
羽ばたくたびに、普通の鳥が羽をまき散らすように
火の粉を振りまいている。
そして、その翼を巧みに操って馬方は宙に浮いた。
上空から、代介を見降ろし、攻撃態勢に入る。
そして、大きく体をのけ反らせた後、大きく翼を振るった。
雨が地面に降り注ぐように羽から独立したいくつもの
細かい火は代介に襲いかかろうと真っ直ぐ飛んでくる。

「・・・だから何?」

その炎の雨に、代介は飲み込まれた。
いや、そうじゃない。飲みこまれたように見えた。
その雨がはらわれたとき、代介の姿はそこには無かった。
ただ、黒く焦げ付いた地に、うっすらと火の粉の名残があるだけ。

「そんな・・・馬鹿な」

その場にいた人間は誰もが代介は避けない、
または避けられないと思ったはずだ。
実際、代介の実力のほどが分からない女子組と馬方は当たったと思ったし、
残りの男子陣は避けずに適当にかき消すと思っていた。
だが、代介は回避を選択した。

「なるほど、まだ隠しておきたいのか」

鱒字が、納得するように首を縦に振る。
何を誰から隠したいのかはよく分からないが黙って見ていることにした。

「で、終わりか?ザコ君」
「舐めんな!」

そのまま、後ろに身を丸ごと引いたかと思うと
反動を付けて一気に突っ込んできた。
スピードは中々のもので、見る見るうちに差は詰められていく。
炎は翼から漏れ出し、体中を覆い尽くす。
まるで、その姿は火の鳥のようだ。
鱒字の紅の、特にサイズを入れると三の型に極めて告示している。
だが、威力は段違い。後にだって見ているだけで分かった。
これは鱒字の足元にも及ばないと。

「散れよ!」

そして、炎の鳥の嘴が、代介を飲み込み、
喉に引きずり降ろそうとした時、
代介のほんのちょっとだけの声が聞こえた。

「ファスター100」

一瞬だ、たった一瞬まばたきをしただけで
代介の姿は視界から消えていた。
かと思うと、今にも馬方が地面に直撃する寸前に、
馬方の背後にその姿を現した。

馬方がその勢いのまま、地面に突っ込む。
はっきり言って自爆。
顔面から直撃したせいで、代介が何もすることなく終わった。

「だっせ」

小さい溜息をもらして代介は振り向いた。

「おい、隠れてないで出てこいよ」

茂みの方に声をかける。
真に代介がその存在に感づいていたのはそっちの三人組だった。
確かに馬方の方も気づいていたが・・・

「なるほど、君中々だね」

そうして、そっちの方向から三人の人が出てきた。




                                  続く



_______________________________________



後「あいつ偉そうにしてるのにファスターかよ・・・・・」

Re: If there are …… ( No.32 )
日時: 2011/07/06 20:29
名前: 狒牙 ◆nadZQ.XKhM (ID: yycNjh.Z)

大阪編続き




「で、てめえらは誰だ?」

代介がいきなり現れた三人組の一人に声をかける。
見たところ馬方とはちょっと違っている。
別に後はどうでもいいようだ。
気味の悪い笑みを浮かべながら、三人のうちの一人はこう言った。

「別に、ただ単に頼まれただけさ。お前たちの強さを測れと」
「へえ、誰にだ?」
「そんなに君が知りたがることでもないと思うけど」
「いいから言いな」
「君吉厳統」
「ほう・・・・・」

普段、滅多なことでは表情の変わらない代介の顔に変化が現れる。
目の端の部分がピクリと持ちあがり、目からは眠気が取れている。
それにしても、一体厳統って誰だ?
ふと現れた疑問に答える者は無く、ただその場を
眺めていることしか後には出来ない。

「へえ、あの老いぼれがねぇ」
「口が過ぎるぞ」

いくつかだけ分かることがある。
代介の口振りでは、年のいっている人のようだ。
そして、向こうさんのセリフではかなりの大物のようだ。
だが、未だかつてその名前は聞いたことがない。

「で、用件は?さっきからじろじろ見てっけど」
「言っているだろ、ちょっと手合わせしてもらう」

辺りに、緊迫した空気が漂う。
だが、その空気の中に立っている代介は、いつもよりも
生き生きしているように見えた。
横にいる新城と同じように。

「おい、代介。助だ・・」
「いらん。すっこんでろ。邪魔すんな。ケガすんぞ」

流石にそれは酷いんじゃないかい?
そう思ったのは代介の実力をまだ見ていない連中だけだった。

「さっき程度の力で俺らに勝てると思うか?」

刃物のように鋭い気が、自分たちの周囲を取り囲む。
目の前の三人組が溢れ出るほどの気を
そのまま外に漏れださせている。
殺気のように体にチクチクと突き刺さる。
腕に鳥肌が立つ。
でも、それはまだ今から後たちが踏み込む、
代介や鱒字が感じている世界の入り口レベルにも満たなかった。

「はっ、あんなもん序の序の序の序の序の序の序の・・・(省略)序の口だっつの」

今度は、代介が文字通り殺気を飛ばす。
気とかそんな色々な物が一切混じっていない、
あまりにも強大な純度100パーセントの殺気。
あの、いつか金田が喰らったそれよりも遥に強い、
凄まじいほどの鋭利な、むき出しの闘志。
これには、さっきまで全く変化のなかった剣たちにも
鳥肌を立たせるほどだった。

「フン、ファスターなんて俺の敵じゃねーんだよ」

三人の中でも一際ガラの悪いやつが現れ出る。
中高生にしか見えないのに、歯は真っ黒に染まり、
漏れだす息はヤニ臭い。

「流石厳統の部下だ。まるでチンピラだね」
「んだと、舐めてんのか!?」
「・・・・・舐めている?」

この言葉に、代介はイラっと来たのか
片方の目の眉の端を持ち上げた。

「舐めてんのはそっちだろ?」
「ああ、何が舐めてるって言うんだよ」
「分かってないのかよ」

呆れたように溜息をついて、
いきなり、外から剣が口を挟む。
瞳には侮蔑の色が満ちている。
嘲笑の後に、剣と代介は声を合わせて言い放った。

「俺達相手にてめぇら烏合の衆が相手になるなら、千人いたってクソなんだよ!!」

ちょっと、千人って・・・・
それは絶対にないだろうと言いたかったが
なぜかこいつらが言うと本当の気がしてならない。

「それに、誰の能力がファスターだって?」




—————んなもんサブだっつーの




連中をさらに屈辱に陥れるために、一旦一部のことばを飲み込んだ。
そして、じゃりじゃりと地面を踏みならして
またしてもさっき馬方に取ったものと同じ構えを取った。

「来いよ」

掌を上に向けてこっちに来いと手招きする。
挑発も充分にし、モチベーションも上々のようだ。

「ちっ、舐めやがって」

三人は、一気に力を解放した。
敵達のSOEが上昇していく。

「ウォーターアーティスト」
「ウインドアーティスト」
「コールドアーティスト」

冷気が、大気が、蒸気がそれぞれの手掌の中に収束する。
押し固め、練られ、力を加えられたそれらは、
それぞれの手により、一点に集中、大きな力の塊となった。

「調度いいサンプルだ。岩木、金田、白山。てめえら三人で同じことできるから
 今度練習してみな、これは強えぞ」

水による、莫大な圧力で敵を圧砕、搾激して押しつぶし
鋭利に砕かれた氷の無数の細かい刃で斬撃、
風は、その両方を鎌鼬と突風で援護する、
そうして、とてつもない強力な技を作りだす(by鱒字)

「どこまでもふざけやがって、喰らえよ」

突如、巨大な集合体は薄く広がる。
広がったそれは空き地中に広がり、代介を包み込んだ。
水流は轟々とうねり、風は空気を切り刻む勢いで真空波を上げている。
球として代介を包み込んだそれは、全く死角のない状況から
代介に襲いかかった。

少しずつ、球体は小さくなっていく。
今にも代介に触れそうなところまで行く。
そして、遂にその姿を捕えようとした時、異変は起きた。


ズンッ!!!


いきなり大きな炎を上げて爆発が起きる。
水は弾け飛び、辺りにビシャビシャと散ってしまう。

「代介!」

金田が煙に向かって大声で呼びかける。
だが、これは敵の攻撃では無かった。

「どういう・・・ことだ・・・!」

煙が晴れた時には代介は無傷だった。

「あれ?見たこと無い?これ爆気弾って言うんだ」
「ふざけるな!あれはストロンガー専用の技」
「じゃ、俺はストロンガーだな」
「んだと?てめえはファスターだろうが!」

そこで彼らは気付いた。
代介の足元に大きな穴が開いているのに。

「しまっ・・ってそうか!お前はぱわ・・」
「お喋りは終わりだ。弾けろ」

そうして、さっきの爆炎は今度は三人を飲み込んだのであった。

「すまねえな。まだ1パーセントも力出してねーんだよ」

そうして、一日目の修行は終わった。









                              続く



________________________________________




お次は東京編、久しぶりですね。
前回は妙なところで切ったから頑張ります

Re: If there are …… ( No.33 )
日時: 2011/07/08 13:47
名前: 狒牙 ◆nadZQ.XKhM (ID: QHGZjD4B)

東京編第七話




「みっしゅん、お前師匠なんていたのかよ」

どうりでそんなに強い訳だ。
感嘆するようにシンスケは開ききった目で頷いた。

「相当昔の話だよ。しかも教えを受けたのはたった一日だけ。
 教えてもらった技は四つだけ。
 しかも全部剣技。それ以外は全部独学だ」
「独学っていうより実践じゃないか?」
「ま、そうだな」

かなりにこやかにしてそう言ったが
はっきり言ってそれは生半可なものではない。
まだ俺は目の前でその光景を見たことは無いが、
みっしゅんはシンスケとその評判を二分するほどに強い。

「あ、そうだ」

関係無い話なんだけど・・・そう言って
今までチョコに散々いじられて虐められていたトーゴーが
あることを思い出したように話し合いに入って来た。

「今日、担任の先生が言ってたんですけど、君吉を入れて三人いるうちの
 転校生の一人は、六月に入ってくる予定だったんですけど、
 なんかちょっとした都合で再来週ごろに来るそうです」
「ふーん、誰?」

半分どうでも良さそうにチョコが聞く。
でも、ふと高木は思い出したことがある。



—————四人目、まだいないけど影美リサ。転校してくる予定。




そう、初めて俺がこの家に来た時、というより昨日に
確かに君吉はそう言った。
それに、昨日と言えばシンスケと白石と行きに話していたこともある。




—————姉の転勤で六月ごろに越してくる





そうだ、だからつまりその引っ越してくるタイミングが早まったのはそいつ。
どうでもいい話ではないし、関係無くもない。

「なあ、君吉」
「どうした?タカシン」
「それって俺達に関係大有りだと思うぞ。七人目の説明まだしてないだろ」
「あ!そうか!あの子が来るのが早まったのか〜
 良かった良かった、ギリギリじゃなくてすんだよ」
「お前ら何盛り上がってんだ?」

話に着いて行けないシンスケがイライラしながら高木に聞く。
そういえば、あそこに白石はいたが、シンスケはいなかった。

「ああ、七人衆を君吉は作ると言った。だがここにいるのは?」
「たった六人。だから昨日の朝話した転校生を引きずりこむってことか?」

さすが、一を聞いて十を知る男。
シンスケはあらゆる能力に長けているから
名前をもじって神童と呼ばれることも多い。
そんなことだから、ものごとの一部分を聞いただけで、
全体を察するなんてザラである。

「ま、そういうことね。ついでに言うけどその子の名前は影美リサ」

能力はバリアー、攻撃から身を守る盾を作りだす能力。
盾と言うよりは円形の障壁に近い。
球体のようなもので、全方位の攻撃をガードできる。
大きさ、硬度は鍛錬により基礎値が上がる。

「日本人とイギリス人のハーフ。姉がいる。
 その姉は大学時代、イギリスでかなり強くて有名だったらしいわ」

その人物の身内に関連する細かいことをチョコが細くする。
情報通だったりなんかしたら、白石と意気投合しそうだ。

「ん?そいつ厳統関係あんのか?」

正直影美なんていう名前は聞いたことが無い。
イギリスなんかにいたことからして、おそらく厳統は・・・

「関係無いわよ」
「やっぱり?」

そんなやつを連れ込んでいいのか?
俺らはよくてもその内、このことを知ったら
大概の奴は抜けていくと思うが。
このこととは、全員の親が・・・だということだ。
だから、家での父さん母さんは尊敬しているが
仕事中のあの人たちにはあまり近寄りたくない。

「・・・親たちのことを気にしているなら気にしなくていいと思うわ。
 あの子、ちょっとした事情で、親と子を結び付けるような考えは捨ててるから」

何があったのかは分からないが、一々とある事情と言ったんだ。
何かしら言いづらいものがあるのかもしれない。
だから、その人については、それ以上深くは追求しなかった。








                              続く

高木「多分チョコの奴・・・その転校生がそいつだって
   分かってふざけてたんだろうな・・・
   じゃないとどうでも良さそうにする訳がない」





_______________________________________



今回は読んでもあんまり面白くない中身かもしれませんね。
で、着々と順調すぎるほど集まってますね、仲間。
そうして最後の一人も楽勝に・・・行ったらいいね。
次回は一気に時間が二週間ほど飛びます。
じゃないとその子がいつでてくるか分からない。

それじゃ、次回に続く方向で!


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